まんまるピンクな食いしん坊の日常   作:Mr.K@河童92号

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いつもお疲れ様です。
ここのところ暑いZOY....。というか先月から暑かった気がするZOY....。
まぁでも、夏にはおあつらえ向きなシーンを書いてみました。
「そうでもなかったらハンマーの刑に処してやるZOY。」と仰る方は、ゆっくりしていってね!
....あ、いや別に挑発してるとかそういう訳ではなく(ry


第14話 不思議な絵描き少女

ここはププヴィレッジ。

嘗てこの村は数多もの魔獣達の襲撃にあった事がある。

その原因の殆どはこの国の王様であるデデデが何かしらの悪巧みやただの気まぐれ、己の私利私欲の為にホーリーナイトメア社から魔獣を取り寄せたからである。

 

魔獣達は皆好戦的なものが多く、カービィを狙って襲い掛かって来たりしていたのだが、大体は魔獣の武器等を吸い込む事で得られるコピー能力によってこれらを対処、最終的にデデデの借金が積み重なっていくという悪循環が生まれていった。

 

まぁその殆どの借金はデデデが目の敵にしているカービィの手によって踏み倒されるという結果に終わるのだがこれはまた別の話........と言いたかったのだが前にも言いましたねこんな話。

 

そんな野蛮な魔獣の中にも例外は存在していたりする。

名前はファンファンといって、一頭身のゾウの様な姿をした魔獣なのだが、ホーリーナイトメア社の魔獣養成学校から逃亡を図り、デリバリーシステムを通じてププヴィレッジにやってきた臆病な魔獣である。

 

いつもの如くデデデの癇癪によって一悶着あった訳だが、悪意を持たない魔獣という事で村の皆に受け入れられ、現在はウィスピーウッズの森で動物達と楽しく暮らしている。

小動物達がファンファンの長い鼻を滑り台にしたりして仲良く遊んでいるとはウィスピーウッズの弁である。

 

閑話休題。

 

リボンの持つクリスタルが、ウィスピーウッズの森の中から別のクリスタルを感じ取った事により、カービィ達は次のクリスタルを求めて森の中を進んでいた。

ワドルディという新たな仲間を加えて意気揚々としている中、カズマは辺りを見渡しながらこんな事を呟いていた。

 

「ホントに森の中にあるのか?ここスゲェ迷いやすいトコなんですけど。」

「この先にあるのは間違いありません。確かに反応を感じますし、クリスタルの所へは迷わずに辿り着けるでしょう。」

「ポーヨ。」

 

リボンの返事に相槌を打っているカービィを尻目にカズマは続けて呟いた。

 

「問題はその後なんだよなぁ、クリスタルが落ちてるトコが奥の方だと出る時大変なんだよ。木が多すぎて現在位置を把握しにくいし、俺もこの森の事はそんなに熟知してないんだよ。」

「大丈夫ですよ、いざとなったら空から脱出すれば済む話ですし。」

「ポヨポヨ。」

 

さも当たり前の事を口にするリボンとカービィだが、その様子をジト目で見ながらカズマは更に続ける。

 

「アンタらは良いよなー、空飛べるんだから。飛べない俺らはどうしろっていうんだか。」

「ワニャ。」

 

ワドルディもカズマの意見に賛同する様に相槌を打っている。

リボンはそんな二人に対してこう答えた。

 

「ワドルディさんは何とか運んで行けますので大丈夫です。」

「マテ。俺はどうなる?」

「カービィさんにお任せします。」

「....ポヨポヨ。」

「ちょいと待たれよカービィ君。何でそこで頭を横に振るのかな?やめろよ俺だけおいてけぼりとか勘弁して下さい300デデンあげるから!!」

 

カービィの反応に割りと本気で焦ってるカズマを尻目に、カービィは前方に目を凝らしている。

それを見たリボンも前方に気を向けると、こちらに向かって猛然と走ってくる二人組がいた。

いや、厳密に言えばどうも追いかけっこをしている様にも見える。

一人は口の周りに髭を生やしたキャピィ族で、背中に何かを包んでいる風呂敷を担いで後ろから追い掛けてくる人物から逃げている様だ。

もう一人は警官の服装をしたキャピィ族で、目の前のキャピィ族を追い掛けている様だ。

 

「....って、あれボルン署長とドロンじゃねえか?」

 

カズマは暢気にそんな事を言っていると、ボルンはカービィ達に向かって大声で呼び掛けた。

 

「おーい!ドロンがまた脱走したんだ!捕まえるのを手伝ってくれー!」

「まーた逃げ出したんか、懲りない泥棒だな。」

 

カズマがそんな事を言っていると、ドロンは今度は明後日の方向に向かって走り出していた。

 

「....無視は出来んなこりゃ。カービィ、リボン達と一緒に先にクリスタルの回収に向かってくれ。俺もあいつを捕まえたらすぐに追い付く。」

 

カズマはそう言うと、ドロンを追い掛ける様に走り出した。

 

「あっ!カズマさん!?」

「いいから先行ってろ!ワドルディに取り憑いた奴の事もある!早く回収してこい!」

 

リボンの制止を無視してカズマはボルンと共にドロンを追い掛けていった。

やがて三人の姿は見えなくなり、その場にはカービィとリボン、ワドルディだけが残されていた。

 

「行ってしまいましたね。」

「ポーヨ。」

「....仕方ありません、ワドルディさんの件もあります。私達だけで先に向かいましょう。」

「ポヨ!」

「ワニャ。」

 

リボンはそう言うと、カービィとワドルディもそれに賛同し、森の奥へと進んでいくのだった。

 

 

 

 

森の奥の大きな切り株の上で、イーゼルで固定されたキャンパスに風景画を描く一人の少女がいた。

服装は緑色のシャツに膝丈程のスカート、髪は黒色のショートで、頭に赤いベレー帽を被っている。

 

パレットの絵の具を使って、絵筆でキャンパスを彩るのに夢中になっている。

ふと、少女は何となく周りを見渡していると、足元に小さなクリスタルが落ちていた。

 

「ん?何だろうこれ。」

 

手に取って見ると、キラキラと青色に輝いており、そのあまりの美しさに魅了されていた。

 

「へー、とても綺麗じゃん!でもいつからこんな所に落ちてたんだろ?」

 

そう疑問を浮かべていると、少女が気付かないうちに、キャンパスか徐々に黒く染まりだした。

その黒い異物はどんどんキャンパスから飛び出してきており、だんだんと丸い形へと変化していく。

少女は視界の端に何かが映った様な気がして、キャンパスの方に振り返ってみると、黒い異物は突然キャンパスから飛び出してきて、そのまま少女を押し倒した。

 

「む....むぐ....!?」

 

少女は大声を挙げようとしたが、口を何かに塞がれた様な錯覚に陥り、喋る事もままならない。

力一杯に押し倒してきた何かを振りほどこうと少女は必死にもがいて抵抗するも空しく、徐々に身体の力が抜けていき、次第にどんどん視界が暗闇に染まっていくのだった....。

 

 

 

 

クリスタルの反応を頼りに、カービィ達は森の奥へとやって来ていた。

反応が近くなっているので一行は辺りをキョロキョロと見渡しながら歩いている。付け加えるとリボンは当然歩かずに飛んで探している。

 

「この辺りの筈なんですけど....。」

「んー........ポヨ?ポヨポヨ。」

「どうかしましたか........あ!」

 

リボンはカービィが指差す方に目を向けると、その先には大きな切り株があった。

その上にイーゼルで固定されたキャンパス、その隣りにこちらを向いて立っている人間の少女がいた。

 

「反応はすぐ近くですし、あの人なら何か知ってるかも知れませんね。聞いてみましょうか。」

「ポヨ!」

 

そう言ってリボンとカービィは少女の方へ歩み寄り、ワドルディは二人の後ろをついていっている。

そして、一行は少女の前で立ち止まると、リボンは少女にクリスタルの事を聞き出した。

 

「あの、すみません。お尋ねしたい事があるのですが....。」

「....あぁ、もしかして、私が持ってるこのクリスタルの事?」

 

少女はそう言うと、どこからか小さなクリスタルを取り出した。

 

「あ、それです!私達はそのクリスタルを探してるんです!お願いです!それを渡して頂けませんか?」

「....ふーん、これが欲しいんだ。」

 

少女は手に持っているクリスタルを高く掲げて眺めながら話す。

そして少女は再びリボン達の方に視線を向けて....。

 

「お断りよ、これは私のものだから。」

 

クリスタルの譲渡を断固拒否した。

 

「....え?」

「これを先に見つけたのは私よ?どうして見ず知らずの人達に渡さなきゃならないのかしら?」

 

クリスタルは自分のものだと言い張る少女に戸惑いを隠せずにいるリボン。

そんな彼女の事などお構い無しに少女は更に続ける。

 

「で、でもそれは....。」

「それにしても、あなたもとっても綺麗なクリスタルを持ってるのね。」

 

リボンの主張を遮り、少女はリボンが持つクリスタルに目を向ける。

 

「それ、私に譲ってくれない?」

「え!?」

 

少女が突然言い放った言葉にリボンは耳を疑った。

この人は何かがおかしい。

何となくそう感じたリボンに対して、少女は続ける。

 

「嫌だって言うなら....。

 

 

 

 

 

ちょっと痛い目に遭って貰うわよ!」

 

少女はそう言い放つと、突然目つきを変えた。

まるで忌々しいものを表情で表したかの様な顔つきにリボンは面喰らっていた。

 

「....へ........!?」

「っ!」

 

そんな二人の様子を見て、今まで傍観していたカービィはリボンの前に立ち、少女に対して身構えていた。

 

「....何よ、邪魔をするつもり?」

「ポヨ!」

 

少女の問いに対してカービィは力強く答える、リボンを護りたいという彼の意志は硬いものだった。

 

「カービィさん....。」

 

リボンはカービィの姿を目にして内心嬉しい気持ちで一杯だった。

そんな二人の様子を見て、少女は心底面倒臭そうな顔をしていた。

 

「....うっとおしい、さっさと片付けるか。」

 

少女はそう言うと、手に持っている絵筆でキャンパスに絵を描き出した。

少女の不可解な行動に首を傾げているカービィを余所に、ワドルディはリボンの手を引いて後ろに走り出した。

 

「え!?ちょっ!ワドルディさん!?」

 

リボンはワドルディに呼び掛けるも、それを無視してワドルディはリボンを連れ、カービィ達から少し離れた木の陰に隠れた。

 

「ここに隠れろ....という事ですか?」

「ワニャ。」

 

ワドルディは悪い予感がしていた。

万が一、あの少女も自分と同じ様に、あの黒い何かに取り憑かれているとしたら、はっきり言って自分達がいたのではカービィの足手まといになってしまう。

取り憑かれていた時の事はあまり覚えていないが、もし戦闘になってしまったとしたら、武器も何も持たない今の自分ではリボンを護りきれるかわからない。

それなら戦闘はカービィに任せて、自分達は少しでも彼の邪魔にならない様に距離を取って戦況を見守る事に専念するのが一番だというのがワドルディの判断だった。

もっと遠くまで逃げなかったのは、カービィだけを置いて逃げたくないというのと、万が一彼が敗北した時に隙を見てカービィを連れて、三人で出来るだけ遠くまで逃げる為という考えがあったからだ。

 

リボン達が木陰に隠れている隙に、少女は

絵を完成させていた。

 

「まずはこれでどう?」

 

そう言うと、少女はキャンパスの後ろに隠れた。

すると、誰もが目を疑う様な光景があった。

なんと、少女が描いた絵がキャンパスから飛び出してきて、カービィの前に立ちはだかった。

 

「!?」

 

カービィはその光景に驚いている。

無理も無いだろう、描いた絵を実体化させるなんていう所業を行った者が果たして他にいただろうか。

 

「あれは....エヌゼット!?エヌゼットの絵を描いて実体化させるなんて....!?」

 

木陰から様子を見ていたリボンも驚いている。

ワドルディも目の前の光景が信じられないのか、目を皿の様に見開いていた。

キャンパスから出てきた物体はエヌゼットという名前の様で、黒い身体に一対のツノが生えた黒猫の様な姿をしている。

エヌゼットはカービィ目掛けて突然体当たりを仕掛けてきた。

 

「!」

 

そんなエヌゼットに対し、カービィは力一杯吸い込みを仕掛けた。

 

ゴォオオオオ....!

 

パクン!

 

見事エヌゼットを吸い込む事に成功したカービィ。

そのままエヌゼットを飲み込んだ。

 

ゴクン。

 

「ポーヨ?」

 

その一連の流れに少女は驚いていた。

 

「なっ!?」

 

まさか自分が生み出した絵を食べられるとは思わなかったのだろう、驚きのあまりに唖然としている。

そしてそれはリボンも例外ではなかった。

 

「........ええええええええええええ!!?か、か、か、カービィさん!?エヌゼットを食べちゃった!!?」

 

無理も無いだろう、こんなにも優しくて可愛い生き物が目の前の怪奇現象の権化を一飲みにしたのだ、端から見れば都市伝説として名を残すレベルの超常現象だった。

尤も、ワドルディとしてはこの光景は見慣れたもので、ただ一人涼しい顔で戦況を見守っていた。

 

「か、カービィさん....。」

 

リボンは未だに驚きを隠せずにいる。

余程ショックだったのか、唖然とした表情を崩さぬまま、ポツポツと呟いていた。

そんなリボンの様子を見て少し心配になったワドルディは、リボンの顔を覗き込み....。

 

「........話には聞いていましたが、どんだけ食いしん坊なんですか!?」

 

一人的外れなツッコミをしている妖精に盛大にずっこけていた。

 

 

 

 

一方ドロンは、見事脱獄を果たし、更に追い掛けてきたボルン(+@)を振り切って逃げ出す事に成功していた。

しかし、あまりにも長過ぎる距離を走ってきた為に既にバテバテだった。

なので、途中で見つかっても大丈夫な様に、その辺で拾ったダンボールに被ってその場に座り込んで休んでいた。

 

何故森の中でダンボールを被っているのかというと、他に安全に身を隠せる場所が見つからなかったからという理由も一応あるのだが、何より彼は以前ダンボールを被ってカワサキの店に侵入し、そのまま無事に脱出出来たという実績があり、そこから自信を身に付けているのが一番の理由だったりする。

....森の中でダンボールというのはどう考えても浮いている様に思えるが、ダンボールさえ被っていればもう何も怖くないという慢心から、そんな事にはまるで無頓着なドロンであった。

 

そんな感じでゆっくり身体を休めているうちに、ほうら、足音が聞こえてきた....。

 

「全く、ドロンは一体どこに隠れたんだ?警察官の誇りに懸けて、必ず見つけ出さねば!」

 

聞き覚えのある声が聞こえてくる。

どうやらボルンが近くにやって来た様だ。

ドロンは静かに息を潜め、ダンボールに空いている小さな穴から様子を窺う事にした。

 

「....ん?こんな所にダンボールが。」

 

ダンボールが見つかった。

もしここでダンボールを開けたり持ち上げられたりでもすれば見つかってしまう。

ドロンは内心冷や汗を流しながら、一切の物音を立てない様、息を殺してじっとするのだった。

 

「近頃はゴミのポイ捨てが多くていかんな。村に戻ったら村長に報告して清掃ボランティアの活動範囲の拡大を提案してみるか。」

 

そう呟くなり、ボルンの足音がどんどん遠のいていくのが聞こえた。

どうやらボルンはダンボールを無視してどこかに行った様だ。警察官の誇り、形無しである。

しかし、そうして安堵するのも束の間、再び足音が聞こえてきた。

 

「ドロンの奴てこずらせやがって、早く捕まえてカービィ達と合流せにゃならんというのに....。」

 

そんな風に吐き捨てているのはどうやらカズマの様だ。

さっきと同じ様にやり過ごして、そろそろずらかろう。

そう考えたドロンは再び息を潜めて虎視眈々とチャンスを待つ事にした。

と、足音が目の前まで近づいてきて、そこでピタリと止まった。

 

「........まさかとは思うがこのダンボールの中とは言わねえよな?」

 

ギクッ!

 

どうやら目の前の男はダンボールを開けるつもりでいるらしい。

先程まで余裕の表情を表していたドロンは内心冷や汗を滝の様にダラダラと垂れ流していた。

このままでは見つかってしまう、そう考えたドロンは万が一の時の為に考えておいたとっておきの作戦を頭に浮かべた。

最早出し惜しみするつもりは無いと考えたドロンは早速実行に移す事にした。

因みにその作戦というのは....。

 

「にゃ、ニャオ~ン。」

 

猫の鳴き真似で誤魔化すという何とも幼稚なものだった。

 

「何だ猫か....。」

 

ところが、そんな作戦にカズマは見事引っ掛かった様であった。

決まった....。

内心ガッツポーズしながら作戦成功を確信するドロンであった。

最早誰にもドロンを止められる者はいないのだろうか....?

 

「................なんて言うと思ったか!見つけたぞドロン!!」

 

................................................................................ん?

 

「よし!取り押さえた!ボルン所長!見つけました!」

「何!?よくやってくれたカズマ!........ん?そんな所に隠れてたのか?」

 

........どうやら引っ掛かったふりをしていただけの様だった。

結局、ドロンはその場でカズマに取り押さえられ、ボルンに手錠を掛けられてそのまま逮捕に至ったのだった。

何ともお騒がせな泥棒は、今日も牢屋で夜を明かすのだった....。

 

 

 

 

とある泥棒が何ともお粗末な流れでお縄を頂戴されている頃、カービィは絵描き少女が次々に実体化させた絵をなぎ倒していった。

時に吸い込み、時に吐き出してそのまま他の絵にぶつけたりと善戦していた。

 

「冗談じゃない!こんな訳のわからないピンクだまに押されてるなんて!」

 

少女はいつまで経ってもカービィを倒せずにいる現状に苛立っていた。

さっきからずっと絵を戦わせているのに、カービィは少しも息切れしている様子は無かった。

 

「....しょうがない、奥の手を出しますか。」

 

そう言うと、少女はまた絵を描き始めた。

どんどん絵の具を使っていき、程無くして「それ」は完成した。

 

「いきなさい!アイスドラゴン!」

 

少女が叫ぶと同時に、キャンパスからアイスドラゴンを実体化させた。

 

「ギャォオオオオオオオオ!!」

 

雄々しく雄叫びを挙げるアイスドラゴン。

だがカービィは決して怯まなかった。

それどころか、以前にも戦った事がある相手なので、手の内がわかっている分、心理的にもそこまで苦戦する相手では無かった。

強いて言うなら、前に戦った時よりは身体は小さくてぽっちゃりしており、エメラルド色ではなく水色の身体だったりする。ついでに言うとしっぽもとても短かった。

 

「あ、アイスドラゴンまで....!?どうしましょう、このままではカービィさんがいずれ体力の消耗で倒れちゃいます!」

 

次々と相次ぐ連戦にリボンが不安になる中、アイスドラゴンはカービィに向けて口から凄まじい冷気を放ってきた。

 

「!」

 

カービィはすかさず吸い込みを開始し、アイスドラゴンが放った冷気を吸い込んだ。

そして、カービィはその場で高くジャンプしたと思えば、突然カービィの身体が光だした。

 

「な、何!?」

「うぁっ眩しい!!」

 

少女とリボンは突然の出来事に驚きつつ、カービィが放つ光に目が眩んでいた。

直後、いつのまにか光は消え失せ、カービィはその場に着地していた。

見れば、カービィの身体はいつものピンク色ではなく、青色に変化しており、頭には沢山の氷が連なった帽子を被っていた。

その姿は人呼んで「アイスカービィ」と呼ばれている。

 

「か、カービィさん....!?」

 

リボンは今目の前に起こっている出来事に心底目を疑っていた。

この場にやって来てからというもの、突然絵を実体化させる少女に出会したり、カービィがそんな科学では説明がつかない様なとんでもない現象を平気で食べたり、更にはそれを繰り返すうちにいつもとは全く違う姿に変身したのだ、ぶっちゃけもうリボンの脳の情報処理がまるで追い付いていなかった。

 

無論、絵を実体化させたオカルト少女も例外ではない。

カービィが起こした奇跡を前にただ呆然と立ち尽くしていた。

 

「何....だと....!?」

 

しかし、この場でただ一人、この現象をよく知る者がいた。

そう、ワドルディである。

カービィが何かを吸い込んだ時、それを媒介にして強力な力を得る能力を持つ事をこの場でただ一人知っていた。....たまーにハズレもあるけど。

そして、人々はそれをこう呼んでいる。

コピー能力....それがカービィの唯一にして最強と言っても差し支えない程の力だった。

 

「....ふん!ただ見かけ倒しなだけじゃない!アイスドラゴン!やっつけちゃって!」

「グォオオオオオオオオ!!」

 

少女の呼び掛けに応えるかの如く、アイスドラゴンは更に大きな雄叫びを挙げて、カービィ目掛けて再び冷気を放った。

 

「ポヨ!」

 

カービィも「こちこちといき」を放ってこれを迎え撃つ。

両者が繰り出す冷気がぶつかり合って、辺り一面の気温が下がりだした。

しかし、そんな事などお構い無しにと、両者は更に技をぶつけ合う。

そうしていくうちに、徐々にカービィがアイスドラゴンを押し始めていた。

アイスドラゴンも負けじと踏ん張ろうとするが、息切れを起こしてしまい、途中で技を止めてしまった。

 

絵から生み出されたアイスドラゴンは決して弱い訳ではない。

少なくとも、最初にカービィに襲い掛かったエヌゼットより強い戦闘力を誇るのは確かだった。

しかし、そんなアイスドラゴンも所詮は「作り物」、本物よりも力が劣っているのは一目瞭然だった。

 

そして、カービィは相手が晒した隙を見逃さなかった。

アイスドラゴンが技を止めた直後を狙い、あんぐりと開いている大きな口目掛けて、更に強く「こちこちといき」を放ったのだ。

その冷気はアイスドラゴンの体内へと送り込まれていき、程無くしてその強靭な身体を内側から凍らせていった。

外から冷気を浴びせてもアイスドラゴンを倒すまでには至らない、しかし内側からならどんなに寒さに耐性を持つアイスドラゴンでもただでは済まないだろう、それがカービィの考えであり、以前戦った「本物」の時と全く同じ攻略法だった。

 

みるみるうちにアイスドラゴンは凍っていき、程無くして完全に凍り漬けになった。

直後、氷にひび割れが生じ、アイスドラゴンは氷と共にバラバラに割れて、そのまま消滅していった。

 

「す、凄い....!」

 

戦況を見守っていたリボンはカービィの強さに驚きながらも、感激の声を漏らしていた。

一体カービィが何をしてあんな姿になり、あれ程の力を発揮出来たのかはよくわかってないが、少なくとも今はカービィが有利である事だけは確かだった。

リボンとワドルディはカービィの勝利を確信していた。

今の彼ならどんな相手でも絶対に負けないという信頼があったからだ。

だが、それを絶対に認めないと憤慨する者もいた。

 

「........認めない。」

 

未だ切り株の上に佇んでいる少女は、今目の前で起こっている現実が信じられないし、まして認めたくなかったし、認める訳にはいかなかった。

自分がその気になればどんな強い手下や武器を生み出すのもお茶の子さいさいだった。

しかし、そんな能力を前にしても臆する事無く立ち向かい、しかも自分が生み出した手下を吸い込んでは食べて、しかもいきなり訳のわからない力を発揮してきたと思ったら、自分の奥の手をあっさりと倒して見せた。

 

そんなふざけた奴を少女は認めたくなかったし....。

 

「........オーケー、もうわかった。」

 

許せなかった。

 

「もう出し惜しみなんてしないから、覚悟なさい。」

 

そう呟いたと思ったら、少女はまたキャンパスに絵を描き出した。

何が何でもあいつにギャフンと言わせてやる。

そう言わんばかりに少女はキャンパスにぐちゃぐちゃと乱暴に描き殴っていた。

まるで怒りや憎悪等といった負の感情をぶつけているかの様で、端から見れば単に物に当たっている様にも見えた。

しかし、そんな描き方をしながらも、少女は絵を完成させていた。

そして、描いたばかりの絵を実体化させたのである。

見れば、黒い球体に四つの紫色のトゲが付いた一つ目のモンスターの様な姿をしている。

 

「あ、あれは....!?」

 

そんなモンスターを見てリボンは驚いていた。

リボンはポップスターにやって来る前に黒い雲の襲撃を受けているのだが、少女が実体化させたモンスターがその黒い雲にそっくりだったのだ。

 

「これで本当に終わらせてやる!」

 

少女がそう言うと、突然モンスターはカービィ目掛けて体当たりを仕掛けてきた。

そのスピードは凄まじいもので、エヌゼットが突進してきた時とは威力も段違いだった。

 

「む!」

 

あまりのスピードにカービィは一瞬反応が遅れたが、ギリギリの所で何とか突進をかわした。

その直後にカービィは「こちこちといき」を放ち、モンスターを凍らせようとした。

しかし、モンスターは持ち前のスピードで難なく攻撃をかわしていた。

 

「そんなものが通用するとは思わないでよね!」

 

少女が叫ぶと、その直後にモンスターの身体から小さな黒い雲が飛び出してきた。

それがモンスターの目の前に留まると、どんどん雲から小さな一つ目の黒い球体へと変貌していった。

数にして5体もの球体となったそれは、その球体を生み出したモンスターに外見がそっくりだった。

小さな球体はそれぞれバラバラの速度でカービィ目掛けて突っ込んでいった。

 

「!」

 

カービィはそれに対して再び「こちこちといき」で応戦するも、小さな球体は全てそれをかわしていった。

そのままカービィの周りをぐるぐる回る様に囲んでいき、徐々に逃げ場を無くしていった。

 

「........。」

 

カービィは落ち着いた様子でキョロキョロと周りを見渡しながら、周りに漂う小さな球体に警戒する。

 

「今よ!」

 

すると突然、少女は本体のモンスターに声を掛けた。

それに応えるかの様にそのモンスターは上空からカービィ目掛けて突進していき、同時に周りに漂っていた小さな球体も全方向からカービィに突っ込んでいった。

 

モンスターの狙いはこれだった。

さっきからカービィは一つの方向にしか冷気を放ってこない。

ならば全方向から攻めれば、例え正面は冷気にやられても、その死角から標的を仕留める事が出来る。

この瞬間、少女は勝利を確信した。

この攻撃を止められまいと、この後起こるであろう惨状を想像し、思わず口の端を歪めた笑みを溢す。

 

「カービィさん!!」

 

そして、カービィが今にもやられそうな状況下でリボンは思わず木陰から飛び出していく。

ワドルディもそれに続いてカービィの元へ走っていった。

このままではカービィはやられる。

誰もがそう考えて疑わなかった。

 

 

 

 

 

 

しかし、その考えは甘かった。

 

「こちこちブリザード!」

 

カービィは技名を叫ぶと、突然カービィの周りに凄まじい冷気が発生した。

 

「「!?」」

 

突然起こった出来事に驚いてリボンとワドルディは思わずその場に足を止めた。

カービィを包み込む様に吹き荒れる冷気は突進していったモンスターや小さな球体をも巻き込んだ。

そして、冷気が止んだと思ったら、その場には凍り漬けになったモンスターや小さな球体が地面に転がっており、カービィの方は無傷だった。

 

「............................は?」

 

少女は絶句した。

先程生み出したあの黒いモンスターはいわば最終兵器の様なものだった。

こいつさえ出してしまえば最早自分に敵う奴なんていやしない。

そう思っていた。否、そうなって当たり前だったのだ。

しかし、現実に目を向けてみればどうだろう、最強だと考えて疑わなかった自分の最高傑作の今の姿は何だ?

凍り漬けになって地面に這いつくばっているではないか。

飛んでいるし、足も無いから地面に降り立つ事等本来なら有り得ないというのに、見事ひれ伏させた者が今、目の前でぴんぴんしている。

少女はそんな現実を突き付けられながらも、自分が手に持つパレットに目を向ける。

絵の具は既に使いきっており、もう絵を描いて実体化させる事も出来なかった。

 

やがて、凍り漬けになっていたモンスター達にもひび割れが生じて、バラバラに砕け散って、消滅した。

少女は追い詰められていた。

どうしようもない状況に陥って、血迷いでもしたのか、なりふり構わずカービィの元へ突っ込んでいった。

 

「う、うぁああああああああああああッ!!!」

 

そんな少女に対して、カービィは身構える。

これで決着が着くのかと、リボン達も固唾を飲んで見守っていた。

 

ガッ

 

「わ!とっとっと!?」

「ポヨ!?」

 

ぽふんッ

 

........突っ込んだは良いものの、少女は地面に落ちていた石ころに足を引っ掛けてバランスを崩し、そのままカービィの口の中に入ってしまったのだった。

 

「............................。」

「.............えぇっと。」

「ん~ペッ!」

 

リボン達がとりあえずどうしたものかと考えていると、カービィは少女を吐き出した。

少女は仰向けになって目を回して倒れている。

そして、少女の身体から黒い雲が飛び出してきて、そのまま空の彼方へと消えていった。

 

あまりにあっけない終わり方に、リボン達は少し肩透かしを喰らっていた。

 

「........とりあえず、勝った....という事で良いんですよね?」

「ポヨ!ポヨポーヨ!」

「ワニャ!」

 

リボンが一言呟くと、それに賛同する様に、カービィとワドルディは笑顔ではいタッチをしていた。

そんな二人を見て。リボンも緊張感が解れたのか、自然と笑みを溢していた。

 

(カービィさんって、凄いなぁ....。)

 

そして、リボンは戦いに勝利したカービィに対する尊敬の念を露にするのだった。

 

 

 

 

一方その頃、カズマはというと、ドロンを捕まえてからボルンと別れ、カービィ達の後を追うべく、森の中を歩いていたのだが....。

 

「よくよく考えたら今あいつらどの辺にいるのかわかんねえっつーかここどこよって状態に陥ってから早数十分、完全無欠に迷ったらしい。....どうしよ。」

 

絶賛迷子中だった。

 

「オイ冗談じゃねえよドロン追い掛けてるうちに方角もよくわかんなくなってきたしあいつらのトコに近づいてんのか遠のいてんのかもよくわかんねえよどうすりゃ良いんだよ教えておくれよバーニィ。」

 

カービィ達を捜して随分経っているが未だに手掛かりを掴めずに若干トリップ状態に陥っているカズマ。

このままではクリスタルを全て集めきる前に森の中で遭難するんじゃないかという発想すら芽生え始めていた。

 

「おーい、カービィくーん....?」

 

一応声を掛けてみるも、返事は返って来なかった。

 

「........これは、つまり....アレだ。不幸だ....。」

 

溜め息混じりにそんな事まで言う始末である。

と、そんな事を言っていると、どこからか微かに声が聞こえてきた。

 

「....ん?この声は....リボンか?」

 

そう思ったカズマは声が聞こえる方へと歩いていった。

もしかしたら、カービィ達と合流出来るかも知れない。

そんな淡い期待を胸にカズマは更に歩いていく。

すると、だんだん話し声の様なものが聞こえてきた。

 

「ごめんなさい、いきなり襲い掛かってたなんて....。」

「良いんですよ、気にしないで下さい。悪いのはあなたを操っていたあの雲なんですから。」

「ポヨ!」

「そっか、そう言ってくれると気が楽になるわ。ありがとう。」

 

間違いなくあいつらだ、というかポヨって言ってる時点で疑う余地も無い。

そう確信したカズマは更に足早に現場に急行していく。

しかしその中で一つ引っ掛かる事があった。

 

「誰か一緒にいるみたいだが....はて、この声どっかで............いやまさかな。」

 

ある一つの可能性を思い浮かべるもすぐにかなぐり捨てたカズマは、大きな切り株の所までやって来た。

そして、そこには確かにカービィ達がいた。

自分がいない間に何か戦闘でもしていたのかとも一瞬考えたりしたが、カービィは何かをコピーしている様な姿ではなく、いつも通りの姿だったので大丈夫だったんだろうと考え直した。

 

「ポヨ!ポヨポヨ!」

 

カービィが声を挙げるなりカズマの方に駆け寄っている。

それに釣られてリボンとワドルディもカズマと合流していた。

そして、三人と一緒にいた赤いベレー帽を被った少女もカズマの方へ駆け寄ってきた。

そして、リボンはカズマに声を掛けてきた。

 

「カズマさん!無事に捕まえられたんですね!」

「....あ、あぁ、ちょっとばかし時間掛かったけど、何とかな。」

「こっちも無事クリスタルを回収出来ました!カービィさん凄かったんですよ!兎に角話す事が色々ありまして....!」

「うん、とりあえず俺としても色々と聞きたい事が山ほどあるんだがまず一つだけ良いだろうか?」

「えぇ、良いですよ!何から話しましょうか?」

「あのさぁ....。

 

 

 

 

 

 

何でアドがここにいるんでせう?」

「....え?」

 

ある程度のやりとりをした後にカズマが提示した質問にリボンはキョトンとしている。

 

「あの、アドっていうのは....?」

「あー、それ私の事なの。」

 

リボンの疑問に答えたのは、先程までカービィと戦っていた少女だった。

 

「久し振りだね、カズ君!」

「....アンタ、何でプププランドに....?」

「....え?............お二人は知り合いだったんですか!?」

「あ、あぁ、ちょっとな。いや、聞き覚えのある声が聞こえたからまさかとは思ったが....。」

 

カズマはどうやらこの少女とは知り合いらしく、何故彼女がプププランドにいるのかわからず、驚いたのか多少戸惑っていた。

 

「知り合いっていう程薄情な仲でも無いんだなー私達!」

 

少女はカービィ達の方に向き直り....。

 

「私ことアドレーヌさんとカズ君は村で一緒に遊んでた幼なじみなのよ!」

 

満面の笑みを浮かべて、自分の名を名乗りながらそう断言したのだった。

 

「一応ただの腐れ縁なだけだがな。」

 

 

 




ご閲覧ありがとうございます。
今年もすっかり夏が始まって、本格的に熱中症等に気を付けねばならぬ時期がやって来ました。
外を出歩く時は本当に注意しなければなりません。
わちきも一昨年だったか三年前だったか、熱中症のせいでのぼせて大変な目に遭いましたから、もうあっという間にバタンキューでGEしたよ(経験者は語る)
わちきも最近ではアイスが恋しくて仕方無く思っています。
でもチョーシ乗って食い過ぎたりするとお腹壊すからなぁ....気を付けねば。
さてさて、そんなこんなですが、もしまた機会があれば読んで頂ければ幸いでGES。
それでは、これにて失礼します。









でもやっぱりアイス食べてクーラー付けてスイカ食べながらこたつに入るなんていうデデププでの陛下の生活に憧れちゃうのよねぇ.................あ、あーいやいやいやこの唇に特別な意味は無kーーーー
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