まんまるピンクな食いしん坊の日常   作:Mr.K@河童92号

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いつもお疲れ様です。
今日もひっそりと書いてました。
今回はちょっと試験的な意味も兼ねて結構露骨なネタを書いてみました。
一応アニメでも無法地帯とも言わんばかりにはっちゃけてたのでまぁ、多少はね?←オイ
「ワシも空を飛んでみたいZOY!」と仰る方は、ゆっくりしていってね!

................ん?


第15話 ヒコウする大王

ここはププヴィレッジ。

毎日汗水流して働く大人達の休息の場として知られているバーがある。

キャピィ族のサモはそのバーの経営者兼バーテンダーであり、毎晩仕事を終えて飲みに来る客をもてなしている。

因みにバーテンダーとは、バーやパブ等のカウンター席が設置された酒場で、カクテルやビールにワイン等といったアルコール飲料を提供し、飲酒する客をもてなす人物の事である。

 

夜に訪れた客と世間話をしながら、村の噂話を集めたりしているが、ある人物に情報を提供する為だったりする。

その人物とは、村で占い師をやっているメーベルという女性のキャピィ族である。

サモはメーベルに想いを寄せており、彼女に振り向いて貰う為に何かと積極的に協力する事もしばしば。まぁいつも空回りしている様だが。

 

そんなサモだが、意外な事に彼が経営するバーに時々、子供達が客としてやって来る事がある。

理由としてはサモは昼間にもバーを経営しており、子供達にジュースやケーキ等といったお菓子を提供している事から、大人だけでなく子供にまで愛されるバーとして活躍しているのだ。

まぁ流石に昼間から酒に溺れる飲んだくれが村にいる訳ではないので、どちらかというと昼間は喫茶店、夜はバーみたいな感覚で客をもてなしている。

 

果たしてそんな彼にも春が訪れる時はやって来るのだろうか。

頑張れサモ、お前がNo.1............だといいなぁ。

 

閑話休題。

 

カービィ達は森を出てデデデ城に向かっていた。

次のクリスタルの反応を感じるとリボンが言って、いざ歩いてみると方角的にデデデ城にあるという事がわかったのだ。

ふと、カズマはこんな事を呟いていた。

 

「まさか次のクリスタルの反応を当てに歩いてたらあっさり森を抜けられるとはな....しかも方角的にデデデ城と来たもんだ。」

「まぁ森の外に落ちていたらその反応を頼りに進むだけですから、迷う事は無いかと。」

「考えてみればごく単純な話だよなぁ。」

 

リボンとカズマがそんなやりとりをしていると、横からアドレーヌが割って入ってきた。

 

「リボンも大変なのねぇ、故郷をいきなり襲われて、しかもバラバラになっちゃった大事な星の財産を集めなきゃならないなんて。」

「えぇ、でも大丈夫です。カービィさん達が手助けしてくれているので、本当に助かってます。」

「カー君も凄いわよね、まだほんの子供みたいなのにリボンの話を聞いてたら頼もしく聞こえるよ。」

 

ここでアドレーヌが言った言葉にカズマは首を傾げていた。

 

「....カー君?」

「カービィだからカー君。」

「んな安直な....。」

「それを言ったらカズ君って呼び方だってそうじゃない。悟空ってあだ名は嫌だって言うからカズ君って呼び方にしたのよ?」

「いつの話してんだよ。」

「待って下さい。その悟空って何なんですか?」

 

カズマとアドレーヌのやりとりを聞いて今度はリボンが割って入ってきた。

カズマが何で悟空なんていう呼び名にされかけたのかが気になった様だ。

 

「あのねぇ、カズ君ったら村でよくかめはめ波の練習をしていたのよ。いつか絶対出来る様になってやるって言ってさ。」

「だからいつの話してんだよ。まだ幼い子供の頃の話じゃねえか。」

「あの時のカズ君可愛かったんだよ?」

「茶化してんじゃねえよ。」

 

溜め息混じりにそんな事を言っていると、カズマはある疑問についてアドレーヌに訊ねていた。

 

「というか何でアンタプププランドにいるんだよ?村にいるんじゃなかったのか?」

「絵の修行をする為に旅をしてたのよ。」

「絵の修行?」

 

カズマが復唱する様に言うと、アドレーヌはそれに答える様に続ける。

 

「カズ君、突然旅に出るとかって言って村を出てったじゃない。それから考えたんだけどさ、私も色んな街とか山とか海とかの風景を描いてみたいなって思ったんだ。そう思ったらいても立ってもいられなくてね。」

 

それを聞いていたカズマは、アドレーヌの身なりを見て思った事を呟いた。

 

「結構な事だが、旅に必要なものだとか殆ど何も持ってないじゃないか。寝袋とかさ。」

「街で宿に泊まったり、森の中で落ち葉を集めてそれを布団代わりにして寝たりしたよ?」

「....食糧は?」

「木の実を食べてた。」

「....それでよく今までやってこれたもんだな。」

「だって旅のいろはとかよくわかんないもん。」

「それでよく旅に出ようと思ったもんだな。」

「楽しく旅してなんぼでしょ?余計なものはいらないんだって!それにカズ君でも出来るなら別に大丈夫かなぁって思ったから。」

「おいアド、そりゃどういう意味だ?」

 

そんなやりとりを続けているうちに、アドレーヌはカズマの後をついてきているワドルディに目を向けた。

 

「そういえばさぁ、何でこの子ついてきてるの?」

 

その疑問に答えたのはリボンだった。

 

「なんでも、カズマさんがおにぎりをあげたらついてくる気になったみたいです。一宿一飯の恩義みたいでして。」

「まぁそんなこんなで、旅についてくる事になったんだよ。」

 

カズマがそう言うと、アドレーヌはふと何かを考え込んだ。

 

「....他のワドルディと区別つくの?例えばワドルディがいっぱいいる所に行った時とかにはぐれたりとかしても大丈夫なの?」

 

アドレーヌの言葉にカズマは少し考え込んだ。

 

「....そういやこれからそのワドルディが大量にいる城に向かうトコだったんだ。見分けつかねえな絶対。」

「ならさ、こうしたらどう?」

 

アドレーヌは不意にカズマが頭に被っている青いバンダナを取り上げ、ワドルディの頭に被せてあげた。

 

「あ、俺のバンダナ。」

「どう?これなら見分けがつくでしょ?」

 

アドレーヌの言葉に皆はワドルディを見ると、それぞれ納得した様な表情になっていた。

 

「確かにこれなら見分けがつきますね!はぐれても間違える事はなさそうですね!」

「ふふん、そうでしょリボン。このアドレーヌさんに掛かればお茶の子さいさいよ!」

「ポヨー!」

「....まぁ一理あるか。折角だしワドルディ、そのバンダナやるよ。」

「....ワニャ!」

 

ワドルディはバンダナを貰ってとても嬉しそうに笑っていた。

その様子を見て一行にも不思議と笑みが溢れていた。

 

「よし!今日からあなたはバンダナ君よ!」

「まーた安直な....。」

 

ワドルディにどや顔であだ名を付けている幼馴染....もとい、腐れ縁の少女にジト目でツッコミを入れる青年が一人、これから更に賑やかな旅にになりそうな気がするのだった........................................旅?

 

「....あのさ、アド。一応確認しときたいんだが。」

「ん?なになに?お姉ちゃんの好みとかが気になったのかな?」

「それについてとりあえず三つツッコミを入れようと思う。その1、いつからアンタは俺の姉になった?その2、好みとか言ってるけど誰もそんな事一言も言ってねえからな?その3、そんなん聞いて腹が膨れるならいくらでも聞いてやんよ。」

「そのツッコミの精度相変わらずだねカズ君。」

「誰かさんのお陰様でな。つか話進まねえからそろそろ質問させてくれよ。」

「はいはい、それじゃ何が聞きたいの?」

「アンタこれからどうするつもりなんだ?」

「どうって何の話?」

「いやだからアンタ、俺らについてきてるけど、これから何をするのか聞いてるんですけど。」

「カズ君達についていくつもりだけど?」

「具体的にどこまで?」

「クリスタルを全部集めてハッピーエンドまで。」

「帰れ。」

「ひどっ!?」

 

一部漫才を交えつつ、アドレーヌの目的を聞き出すなり退場を言い渡すカズマにアドレーヌは抗議を開始する事にした。

 

「久し振りに会えたのにひどくないかなそれ!?」

「遊びに行くんじゃないんだよ。やめといた方が良い。」

「な....!舐めて貰っちゃ困るわね!というか私がいないと絶対あなた達困ると思うわよ?このパーティーにおいて私という存在は必要不可欠だと思う訳よ!」

「リボンから聞いたけど、どうせ取り憑かれた時にやった絵の実体化とかいうやつの事だろ?」

「察しが良いじゃない。この能力を使えばそもそも寝袋とかかばんとかも必要無し!私が出してあげれるんだから!」

「で?それは今でも出来るのか?俺が思うに憑依された時に一時的に使えるものだろうから元に戻った今ではもう無理だろうというのが俺の推測だけど。」

「やろうと思えば出来るわよ!........多分。」

「自信無えんじゃねえかよ。何なら今出してみるか?」

「........絵の具無いから描けないもん。」

「ま、希望的観測を持つのは良い事だけどさ、そんな非科学的な事に執着するより現実主義に行かないと。」

「ぐぬぬ....。」

 

そんなやりとりを傍らから眺めていたリボン達は、二人のペースについていけず、おいてけぼりを喰らっていた。

 

「........何だか、私達完全に蚊帳の外ですね。」

「ポーヨ?」

「ワニャ?」

 

そんな中、カズマの指摘に苦虫を噛み締めた様な表情になるや否や、アドレーヌはこんな提案を持ち出してきた。

 

「じゃあそんなに言うなら賭けをしようじゃない!」

「何なの唐突に。」

 

カズマがジト目で言うのを尻目にアドレーヌは続ける。

 

「私が見事絵の実体化に成功したら何でも一つだけ言う事を聞くっていう勝負よ!」

「ゴメン、どうしてそんな展開になってるのか全くわかりません。」

「良いから勝負しなさいよ!絶対ギャフンと言わせてやるんだから!それとも何?逃げるの?男なのに真っ向から勝負しないんだ?」

「アンタ俺に一体何を求めてるんだよ。」

「騎士道精神。」

「じゃあ俺紳士だから女性に手ェ出せないわ。俺降りる。」

「そっかー、そんなに悟空って呼んで欲しいんだー、へー。」

「........わかったわかったよわかりました三段活用。とりあえずアンタの挑発に乗ってやんよ。」

「そう言ってくれると信じてたわ。流石幼馴染は話がわかるわね。」

「腐れ縁にする脅し文句じゃねえだろ普通。」

 

交渉は成立し、上機嫌になっているアドレーヌを尻目に、リボンはカズマに近づき、小声で話し掛けた。

 

「良いんですか?あんな事言っちゃって....。」

 

それに合わせてカズマも小声で返答した。

 

「案ずるな、別にそこまで無理難題を押し付けるつもりは無えからさ。まぁそうだな....。肩たたきでもして貰う事にするよ。」

「いえ、そういう事ではなくて、もしアドレーヌさんが本当にまた絵を実体化させたら....。」

「まぁそん時はそん時で甘んじて要求に応じるよ。つっても、あの黒い雲が憑依した時に一時的にそういう能力を開花させただけだろうから、今はもう出来ないだろ。」

「そ、そうですか。」

「それよりとっとと向かおうぜ?このパターンだと多分次も誰かと戦う事になるかも知れないし。」

「そ、そんな事まだわからないのに怖い事言わないで下さいよ。」

「これまでの経験上、有り得ないとは言い切れない。二度ある事は三度あるって言うじゃん?」

「仏の顔も三度までとも言います。」

 

リボンとカズマがひそひそ話をしていると、横からいきなりアドレーヌが話に割って入ってきた。

 

「随分自信満々だねカズ君、その天狗になってる鼻をへし折ってやるんだから。」

「堂々と盗み聞きかいな。わかったわかった、ちゃんと実体化出来たら良い子良い子って言って頭撫でてやるから。」

「子供扱いしてられるのも今のうちだからね。」

「へいへい、あれこれ言う前にまず切らした絵の具どうにかするんだな。」

「ぐぬぬ....。」

 

半目になってヒラヒラと手を振って城に向かうカズマにアドレーヌ達も後をついていく。

絶対に実体化させてやる....と、闘争心を露にするアドレーヌだった。

 

 

 

 

そうこう言っているうちにリボン達はデデデ城にやって来ていた。

中に入るなり、沢山のワドルディ達が城の中を走り回っていた。

洗濯物を運んだり、掃除道具を運んだり、何故かちりとりの中に入っている皿の破片も運んでいた。

どこかで割っちゃったんだろうなと解釈したリボンは、クリスタルを感じる方向をメンバーに知らせていた。

 

「クリスタルはどうやらこの城の上にあるみたいです。」

「じゃあ早速行きましょうか。はぐれちゃダメよバンダナ君?」

「アドはもうそれで統一させてるのな....。兎に角、階段で上に登るか。」

 

すっかり青いバンダナを被ったワドルディをバンダナ君と呼んでいるアドレーヌを尻目に、カズマは目的地に向かおうとすると、リボンはふとこんな事を呟いた。

 

「それにしても、勝手にお城に入って大丈夫だったんでしょうか?事前に確認を取って貰っても良かったのでは?」

「俺も最初はそう思ってたんだが、城の門の前にいたワドルディはあっさり通してくれたからな。ここでの謁見然り、その辺は割りと雑なんだと思う。」

「そ、そうなんですか....。」

 

この城での警備態勢にちょっと疑問を抱くリボンだったが、今はそんな事を気にしてる時ではない事を思い出し、先に進もうとした。

しかし、その矢先に....。

 

「あ、カービィじゃない!カズマも........見慣れない人達がいるわね。」

「ポヨポヨ!」

「オッス、フーム。この二人はさっきそこで会った俺らの友達なんだよ。」

 

偶然にも近くを通り掛かったフームがカービィ達に近づいて挨拶を交わしてきた。

カービィとカズマも挨拶をした後、リボンとアドレーヌも自己紹介をするのだった。

 

「あの、初めまして。私はリップルスターからやって来たリボンといいます。」

「私はアドレーヌ、絵描きの修行の旅をしているの。」

「リボンとアドレーヌね。私はフームよ、宜しく。」

 

三人はそれぞれ挨拶を交わすと、リボンは一つ気になった事をフームに尋ねた。

 

「あの、私はリップルスターという星から来た、所謂宇宙人ですが、驚かないんですか?」

「え?別に驚かないわよ?このププヴィレッジには何人か宇宙人が暮らしてるからね。」

「へー、リボンみたいな妖精がいるの?」

 

フームの返答にアドレーヌは妖精について気になったのか、これに関する質問をする。

 

「いいえ、リボンみたいな妖精は私も初めて見るわ。図書室の本にその記述があったのは覚えてるけど....。」

「妖精の事が書いてあったんですか?」

 

妖精について記された本があると聞いて、リボンは頭に疑問符を浮かべた。

フームは読んだ時の記憶を頼りに本の内容を説明した。

 

「なんでも、このプププランドの遥か上空に浮遊大陸という空に浮いている陸地が存在するらしいのよ。」

「浮遊大陸?」

「えぇ、そこにあなたの様な妖精が暮らしてるって書いてあったと思うわ。あまり詳しい事は書かれてなかったと思うけど。」

 

リボンはフームの言葉を復唱する様に言って、更にフームはそこの妖精の存在を教えた。

プププランドの空にそんなものが存在しているなんて聞いた事が無く、カービィやワドルディにアドレーヌも首を傾げている。

そんな中、カズマはこんな事を呟いた。

 

「....それ、もしかしてフロラルドの事じゃないか?」

 

まさかカズマがそれを知っているとは思わなかったのか、フームは少々驚きながら尋ねた。

 

「え!?知ってるの?カズマ。」

「あぁ、前にそんな話を聞いた事がある。なんでも、その浮遊大陸フロラルドというのはいくつかの国があって、確か....6つか7つだったか、それらの国によって構成されている大陸らしい。」

「どんな国があるんですか?」

 

カズマの話にリボンは興味津々になっており、フロラルドに関する事を尋ねた。

 

「俺もあまり詳しい事は知らないんだが....空に浮いているのにも関わらず、草原や山まであるらしい。後、これは流石に迷信じゃないかと思うんだが、所謂お菓子の国もそこにある様なんだ。」

「ポヨポヨ!?」

「うん、想定通りの反応ありがとう。飴玉あげるからちょっとおとなしくしてて。」

「ポヨポヨ!」

 

カズマはすかさずカービィに飴玉を食わせて満面の笑みにさせた後、話を続ける。

 

「でだ、そのフロラルドには花の姿をした妖精達が暮らしているらしく、彼らは天空の民と呼ばれてるそうだ。」

「天空の民....。」

 

花の様な姿をした妖精とは一体どんな人物なのだろうか。

カズマの話を聞いてリボンは是非一度会ってみたいと思い始めていた。

と、ここでアドレーヌがカズマに話し掛けた。

 

「本にも詳しく載ってないらしいのに随分詳しいのね、他にも何か知ってるの?」

「いや、俺が知ってるのはここまでだ。正直話でしか聞いた事が無いから、にわかに信じられないけどな。」

「ふーん、どこで仕入れたって言うのよその情報。」

「あれはどこだったろうか........前にどこかの街を旅してた時にそんな話を聞いたんだよ。話してくれたのは、ちょうどカービィやワドルディと同じくらいの身長のやつ....というか一頭身だったな。」

「一頭身?」

「それで何かピエロの帽子みたいなのを被ってて、何故か玉乗りしながら話してくれたよ。随分と器用なやつだったから鮮明に覚えてるわ。」

「というかピエロだったんじゃないの?」

「赤い鼻は無かったけどな。」

 

カズマの話を聞いて、アドレーヌは世の中変わった人物って案外多いもんなんだなぁ....と思うのだった。

と、ここでフームはカービィ達に気になっていた事を聞いてみた。

 

「ところでさっきから気になってたんだけど、カービィ達どうして城にやって来たの?何か用事?」

「........................................あ。」

 

その一言で思わず声を漏らすカズマ、話に花を咲かせていた一行はようやっと本来の目的を思い出したのである。

 

「ああああああああああああ!!?クリスタルの事すっかり忘れてました!!どうしましょう早く行かないとまたあの黒い雲が!!」

「とりあえずアンタは落ち着け!兎に角、早いトコ回収に行くぞ!」

「ポヨ!」

 

リボンを宥めたカズマが言うや否や、カービィ達は颯爽と上へ登る階段に向かって足早に去っていった。

 

「........な、何だったのかしら?」

 

フームは呆気に取られていると、突如全力疾走で戻ってくる人影があった。

その人影はアドレーヌで、戻ってくるなり鬼気迫ると言わんばかりの凄みのある顔でフームに顔を近づけた。

 

「うわっ!?」

「フームお願い!!いきなりで悪いけど頼みがあるのよ!!」

 

 

 

 

デデデ城の屋上にてデデデとエスカルゴンが何やら揉めていた。

エスカルゴンの手に小さなクリスタルが握られており、それの取り合いになっている様だ。

 

「エスカルゴン!そのクリスタルをワシに渡すZOY!」

「陛下!私の宝石コレクションを返してくれてないの忘れたんでGESか!」

「そんな事は重要ではない!聞こえたであろう渡せ!ワニのわ!たぬきのた!セクシーダイナマイトのせZOY!!」

「かえって意味不明でGESよ!!それに私が先に見つけたんでGES!!」

 

御覧の有り様で、エスカルゴンは珍しくデデデに反抗していた。

コレクションの事で根に持っている様である。

そんな時、カービィ達は屋上に辿り着き、二人の喧騒なクリスタルの取り合いを目にしていた。

 

「ポヨポヨ!」

「ありゃー、クリスタル見つかったのは良いけどなかなかに厄介な事になっちまってら。」

「ワニャ?」

「く、クリスタルが!?あの人達は何をしてるんですか!?」

「陛下と閣下がクリスタルの取り合いをしてるみたいだなありゃ。この分だと回収するのは骨が折れるぞ。」

 

カズマが溜め息を吐きなから言うのを聞いて、リボンは一瞬自分の耳を疑った。

 

「....え?....あの、あの方達は何者なんです?」

「あのペンギンみたいなのがこの国の王様であるデデデ大王で、あっちの蝸牛がその側近のエスカルゴン閣下だよ。」

「............王様と閣下がクリスタルを取り合ってるんですか!?」

「....まぁ、な。あの方達は見た通り貪欲なんだよ。」

 

一国の王様とその側近がクリスタルを取り合うという何とも言えぬ光景を目にして、リボンは呆気に取られていた。

そんな事等いざ知らず、未だにカービィ達の存在に気づいていないデデデの元へカービィは走っていった。

 

「ポヨ!ポヨポヨ!」

「む?カービィ!今は取り込み中ZOY!貴様の相手をしている暇等無い!今はおとなしくしてるZOY!」

「あ!カービィちょうど良かったでGES!陛下からクリスタルを守るのを手伝っておくれでGES!後でワドルディに大きなケーキを焼かせるでGESから!」

「ポヨ!?」

「だぁーずるいZOY!!か、カービィちゃん!クリスタルを取り戻してくれたらカワサキに美味いスイカ料理を作らせる様手配してやるZOY!」

「ポ、ポヨポヨ!?」

「あちょっと陛下!?それ私のアイデアじゃないのよねえちょっと!?」

「黙るZOY今これよりワシらは同盟を結成し、いつ如何なる時でも助け合う事を誓うZOY!!」

「あぁんもう!悪の権化を自称する者の言葉じゃないでGESょうが!!もう陛下!!」

「ワシはいつだって独裁者!!ワシのルールが全てZoooooooY!!!」

 

デデデが大声で叫んだのを皮切りに、遥か上空から突如、黒い雲が急降下してきた。

 

「....ワニャ!?ワニャ!ワニャワニャワニャワニャ!!」

「ば、バンダナ?どうしたんだよ急に............おい、リボンあれって....!?」

「え?............あ!!」

 

ワドルディが突然上空に指を差して叫ぶ様に疑問符を浮かべたカズマは、リボンに上空の黒い雲の事を伝えた。

それを見たリボンは血相を変えて、カービィ達に向かって叫んだ。

 

「カービィさん!皆さん!伏せて下さい!!」

 

それを聞いたカービィとエスカルゴンは上空を見上げて、急降下してくる黒い雲に驚いた。

 

「ポヨ!?」

「は....?な、何でGESかあれは!?」

 

しかしそこでリボンの忠告を聞かずにエスカルゴンが持つクリスタルに手を出す者がいた。

あろう事かデデデがその人物だった。

 

「隙ありぃいいいい!!」

「え?あ!ちょっと陛下!?」

「でぇははは!敵を目の前にして余所見とは愚の骨頂ZOY!」

「いや余所見してるのアンタ!陛下上を見て!!」

「エスカルゴン、ワシにそんな子供騙しが通用するとdーーー」

 

ドゴォン!

 

「も!?」

 

急降下してきた黒い雲はデデデにぶつかり、そのままデデデごと宙に浮かび、デデデの身体を包み込んだ。

 

「ぐぁああああああああああああ!!!」

「へ、陛下!!」

「ポヨヨ!?」

「ワニャ!?」

「な....!?」

「う....嘘!?」

 

突然の事態にその場にいた全員は誰もが驚きを隠せず、唖然としてしまった。

程無くして、宙に浮いていたデデデはゆっくりと地面に降り立ち、カービィの方に向き直った。

 

「ポ、ポヨポヨ?」

「.......................。」

 

無言のまま立っているデデデにカービィは戸惑っていた。

すると、どこからともなくハンマーを取り出したデデデは、いきなりカービィ目掛けて走り出した。

 

「ポヨ!?」

「ぃえ!?陛下!?何をーーー」

 

エスカルゴンがデデデに問い掛けた次の瞬間、デデデは大きくハンマーを振り上げた。

 

「「!?」」

 

驚いている二人に構わずハンマーを降り下ろそうと....。

 

「せいっ!」

 

ビシィッ!

 

デデデがハンマーを降り下ろす前に、カズマがデデデの後ろからスライディングしながら、木刀で足元を凪ぎ払い、デデデの体勢を崩した。

そのままデデデはバランスを崩し、仰向けに倒れた。

 

「ポヨ!」

「閣下!早く下がって下さい!」

「い、一体何がどうなってるんでGESか!?説明するでGES!」

「それは後回しでお願いします!どうも相手の方は待ってくれそうにないみたいなんで。」

 

カズマがエスカルゴンに離れる様促すと、倒れていたデデデは再び立ち上がり、ハンマーを構えた。

 

「....わ、訳がわからないでGESがわかったでGES。後でちゃんと説明して貰うでGESよ!」

 

そう言うと、エスカルゴンはリボン達の元へ走っていった。

それを尻目にカズマはリュックサックから水筒を取り出した。

 

「カービィ、確かアンタ氷もコピー出来たよな?」

「ポヨ。」

「そんなら俺の水筒に入れてきてる氷使え。すっぴんよりはマシだろ。」

「ポヨ!」

 

そして、カズマは水筒から氷を取り出し、カービィに差し出した。

それをカービィは吸い込み、飲み込むとアドレーヌの時と同じ様にアイスカービィに変身した。

 

「ポヨポヨ!」

「....驚いたな、身体の色まで変わるのかよ。」

 

しかしあまり動揺する様子も無く、デデデに対してカズマは木刀を構える。

デデデは様子を窺ってるのか、こちらを睨み付けるばかりでなかなか攻めてこなかった。

一方、リボン達と合流したエスカルゴンは、暴れだしたデデデをカービィ達が止めているという不可解な事態に状況の整理が着かず、自身を納得させる為にリボン達に説明を求めた。

 

「ど、どういう事でGESかこれは!?お前達は何か知ってるでGESか!?」

「あの黒い雲が王様に憑依した所は見ましたよね?あの雲のせいで王様が操られて暴れているんです!」

「な、何でGESと!?一体何でそんな事に!?」

「あちこちに散らばったクリスタルを狙ってるんです。あの方に憑依したのは多分邪魔者を無力化する為に....!」

「今朝空から降ってきたアレが原因でGESか!?」

 

リボンが状況を説明している間、デデデとカズマは未だ睨み合ったまま動かず、互いに様子を見ていた。

 

「しっかし、まさか一国の王様に歯向かうハメになっちまうとはな。こりゃ、俺達二人とも下手すりゃ豚箱行きかもな。」

「ポヨ?」

「ま、後で事情を話せば何とかなるだろ。さて、カービィ。結構無茶な注文になるけど、相手はあの黒い雲に操られてるだけだから、可能な限り深手を負わすなよ?冷気で動きを鈍らせる程度で良い。上手く陛下を気絶させて、あの雲を陛下から引き離すぞ。」

「ポヨ!」

 

作戦を提示したカズマにカービィは力強く返事をする、了解の意志を示した様だ。

すると、カズマはカービィから離れて、デデデの後ろに回り込んだ。

それに構わずデデデは、カービィが一人になった所を見計らい、カービィに向かって猛然と走り出した。

 

「こちこちといき!」

 

カービィは突っ込んでくるデデデに対して冷気を放った。

デデデはその場で足を止め、ハンマーを盾代わりにして冷気を凌いでいた。

 

「そこッ!」

 

カズマはデデデの背中目掛けて木刀を真っ直ぐ突いた。

 

ゴッ!

 

「ガッ!?」

 

カズマの攻撃によりデデデは前に押し出され、前のめりになる形で体勢を崩した。

 

「カービィ!!転ばせろ!!」

「!」

 

カズマがカービィを呼んで合図を送ると、カービィはデデデに向かってダッシュし、その勢いでスライディングをしてデデデの足をすくった。

そのままデデデはうつ伏せに倒れた。

 

「悪く思わないで下さいよ、陛下!」

 

そう言ってカズマは倒れたデデデに向かって走っていく。

このままトドメを刺すのだろう。

しかし、倒れていたデデデはすぐに起き上がり、走ってくるカズマに向き直ってあんぐりと大きく口を開けた。

 

「む!?」

 

その仕草を不審に思ったカズマはその場に踏み留まる。

しかし、それに構わずデデデはカズマに対して、なんと吸い込みを仕掛けてきた。

 

「うぉっ!?」

 

突然の出来事にカズマは対応出来ず、そのままデデデに吸い込まれてしまった。

 

「ポヨ!?」

 

これには流石のカービィも動揺せざるを得なかった。

今までデデデが吸い込みをした事なんてたったの一度も無かったからだ。

 

「ん~ぱッ!」

 

そんなカービィに向かって、デデデは吸い込んだカズマを吐き出し、そのままカービィにぶつけた。

 

「ポッ!!」

「グッ!?」

 

そのまま地面に倒れ込むも、すぐに立ち上がったカービィとカズマ。

さっきのデデデの行動に未だに驚きを隠せずにいる。

 

「悪い、大丈夫か!?」

「ポヨポヨ!」

「....冗談じゃねえぞ、まさか陛下がカービィの十八番を取るとは....。」

「ポーヨ?」

「多分あれもアドの時と同じだろ。あの雲が憑依したから変な能力が発現したんだと思う。まぁすぐに吐き出した所を見ると、流石にコピーまでは出来ない様だが。」

「ポヨ?」

「にしても吸い込みか....接近戦主体の俺にはちとキツイが、突破口はある筈だ。カービィは氷をコピーしてるし、二人で攻めれば何とかなるだろう。」

「ポヨ。」

 

二人は再び臨戦態勢になるも、デデデの様子が変わっている事に気付き、更に警戒心を強める。

見ればデデデの足はみるみるうちに地面から離れていき、どんどん宙に浮いている。

 

「............................................あの、カービィさん?こんな時にアレですが宜しいッスかね?」

「ポヨ?」

「....................俺の目玉が狂ってなければさ........飛んでるよね?飛べない鳥?....の筈なのにさ。」

「ポヨポヨ。」

「........今度はえらく冷静ですね、君。」

 

カズマはデデデが飛んでいる事実を前に呆気にとられてると、今度はデデデのお腹が少し膨らみ、お腹に一本の裂け目が浮かび、少しずつ裂けていった。

 

「ポヨポヨ?」

「........................オイ....。」

 

お腹に浮かんだ裂け目はどんどん大きくなっていく。

ただ、裂けた部分が血みどろになる事は無く、代わりに真っ白い瞳がそこにあった。

裂けたお腹に巨大な一つ目が現れて、二人はただ茫然と立ち尽くしていた。

その瞳は真っ直ぐ二人の方を見据えている。

その様はまるで蛇が獲物を睨み付けるかの如く、一切の隙も逃さず喰らわんとする狩人の目だった。

離れた場所からその姿を目にしたリボン達はこれまで以上に驚愕し、恐怖を抱いた。

 

「........!?」

「あ........あ............!?」

「....へ....へ....陛下が........!?あ、めまいが....。」

 

そして、カービィ達もまた、デデデの身に起こった超常現象を前に言葉を失っていた。

 

「ポーヨー....。」

「....................何すか?あの妖怪変化やらかした国王を止めろってか?」

「ポヨポヨ!!」

「........................じょ、冗談キツイぜ。ハ、ハハ........。」

 

カービィはデデデを止める為に俄然やる気満々なのに対し、カズマは想像も着かないトンデモ展開に茫然自失となり、乾いた笑みを浮かべていた。

 

カービィは過去に幾多もの魔獣や宇宙人と戦っており、人外染みた出来事は誰よりも経験している。

ちょっとくらい摩訶不思議な出来事に遭遇しても、それに屈する様な柔な心ではない、これまでの経験を糧にその心は確実に強くたくましく成長していた。

 

対してカズマはこれまで様々な山や谷に街、洞窟等を旅してきた。

その過程で何度か縄張りを守ろうとする獣や、旅人の私物を狙う盗賊に出会した事もあった。

手に持つ木刀や真剣で全て返り討ちにしてみせた。

そんじょそこらの悪人に簡単にやられる様な実力ではないのは確かだ。

だが、彼にはカービィが戦ってきた魔獣の類いと遭遇した事等まるで無かった。

流石に普段マイペースを装い、自由気ままに生きているカズマでも、少なからず恐怖を抱いていた。

正直今すぐに逃げ出したいかと聞かれれば、やぶさかでは無いと答えただろう。

 

しかし....。

 

「........一度引き受けた事を途中で投げ出したら、父さんなら何て言うだろうな。」

「ポヨ?」

「....何でもない、気にすんな。兎に角陛下は今空を飛んでいる。空から奇襲を仕掛けてくるだろうが、動きをしっかり見切れば避けれなくはないだろう。対して俺は空を飛べないから、ハッキリ言って何も出来ない。」

「ポヨポヨ?」

「ヤミカゲの時みたいに木刀投げても、多分避けられちまう。アンタも一応飛べるだろうけど、風船みたいにプカプカ浮くぐらいじゃ機動力で負ける。つまりこっちは地上戦しか無えってこった。何とか上手く奴を地面に引きずり下ろすんだ。一か八か........やるぞ。」

「ポヨ!」

 

だからと言って、彼とて物事を簡単に投げ出す様な薄情な男ではなかった。

カズマはカービィと一緒に約束したのだ。

まだ会って間もない友達を助ける事を。

 

「とはいえ、どうやって引きずり下ろすかだな....。」

 

カズマがそう呟いていると、宙に浮いたデデデのお腹の目玉からカービィ達に向けて突然黒い光弾を発射した。

 

「!」

「ッ!やっぱこのパターンは飛び道具だろうな!」

 

次々に飛んでくる光弾をカービィとカズマはジャンプしたりしゃがんだりしてかわしていく。

飛んでしゃがんで走って、それを繰り返していくうちにカズマは一つの案を思い付いた。

 

「カービィ!可能な限りで良い!あの光弾を纏めて吸い込めるか!?」

「ポヨ!」

「よし!目一杯吸い込め!!」

 

カズマがそう叫ぶと、カービィは飛んでくる光弾の弾幕を力一杯吸い込み始めた。

 

スォオオオオ....!

 

光弾は次々にカービィの口の中に吸い込まれていく。

すると突然デデデは光弾を撃たなくなった。

 

「大分吸い込んだな。カービィ、まだそれは飲み込んだり吐き出すなよ?俺が合図するまdーーー」

 

言い掛けてカズマは妙な危機感を察知して空を見上げると、いつの間にかデデデはカズマの真上まで降りてきていた。

そしてよく見ると、大きく裂けて開いているお腹にあった筈の目玉が消えており、代わりに真っ黒い鋭利な牙がギラリと太陽光を反射させて光っていた。

 

「ーーーーーーーあ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴッ!!

 

 

 

 

 

 

 

その牙は頭を覆い尽くし勢い良く閉じられた............かと思いきや、カズマは木刀をつっかい棒の様にして今にも閉じようとしていたお腹を抑え込んだ。

 

「危ねェエエエエエエエエ!!?カービィ前言撤回だ!!今すぐ撃てェエエエエエエエエエエエエ!!!」

「ん~~~!!パアッ!!」

 

咄嗟に出たカズマの悲鳴とも思える合図で、カービィは吸い込んだ時に「アイスほおばり」で口の中で凍らせておいた光弾を「アイスはきだし」で発射した。

大量の光弾を凍らせた事により巨大になった氷の塊はデデデに向かって飛んでいき、勢い良く直撃した。

 

「ガァアアアアアアアアッ!!」

 

ぶつかった拍子に氷はバラバラに砕け散り、デデデは吹っ飛ばされた。

そのまま地面に落ちてうつ伏せで倒れ、気絶していた。

 

「カービィさん達、あの雲を止められたんだ....!」

「....や、やったでGESか....?」

 

リボンとエスカルゴンがそう呟いていると、倒れたデデデに薄暗いオーラが浮かび上がってきていた。

 

「ポーヨ?」

「ハァ....ハァ....す、すまんカービィ、助かった....。」

 

カービィはカズマの元へ駆け寄り、身を案じていると、デデデの身体から黒い雲が飛び出してきた。

そして、その雲の隣りに小さなクリスタルが浮いている。

 

「あ!クリスタルが!?」

 

リボンがそう叫ぶや否や、黒い雲はクリスタルと共にどこかへ飛び去っていった。

飛んでいった方向からして、どうやらウィスピーウッズの森の方へ向かっている様だ。

 

「陛下!大丈夫でGESか!?」

 

エスカルゴンもまた、デデデの元へ駆け寄って、意識の有無を確かめていた。

すると、デデデはうっすらと目を開けて、ゆっくりと身体を起こした。

 

「アイテテテ....一体何がどうなったZOY?」

「陛下!目を覚ましたでGESか!大丈夫でGES?」

「大丈夫じゃないZOY。どうもさっきまで何をしていたのかわからぬ。それにやけに身体の節々が痛むZOY........んぉ?」

 

デデデが正気を取り戻した事にエスカルゴンは安堵していると、デデデはある事に気付いた。

 

「無い!ワシのクリスタルがどこにも無いZOY!?エスカルゴン!さては貴様ァ!!」

「ぃえ!?い、いや違うでGES!私は何もしとらんでGESよ!というかさっきまでのアレ覚えてないの?」

「知らんとはどういう事ZOY!まさかクリスタルがひとりでに空でも飛んでいったとでも言うのか!!」

 

自分が持っていた筈のクリスタルが無くなっている事実に、デデデは誰かに盗まれたと癇癪を起こしていた。

そこにカズマがデデデに向かって事実を伝えた。

 

「ひとりでにとは言いませんが、確かに飛んでいきましたよ。ほらアレ。」

「アレ........?うぉっ!?ホントZOY!クリスタルが空を飛んでいってるZOY!」

 

カズマが指差した方向を見たデデデは、確かにクリスタルが森の方へ飛んでいく所を目撃した。

やがてクリスタルは森の中に入っていき、姿が見えなくなってしまった。

 

「クリスタルと一緒に変な雲も飛んでおったZOY。」

「あの雲があそこにいる妖精のクリスタルを狙い、陛下に憑依して俺達と同士討ちを図ったんです。」

「ヒョウイ?そりゃ何ZOY?」

「つまり、幽霊が人に乗り移ってその人を操るのと同じです。あの雲が陛下に乗り移って、人の物を勝手に持ち逃げしようと悪行を働いたんです。」

「な、何ィ!?」

 

カズマが話した事実に、陛下は酷く驚いていた。

無理も無いだろう、自分が知らないうちに身体を乗っ取られ、好き勝手に暴れてくれたとあっては誰でも平常心を保てないだろう。

しかし、こんな時に嘘を言っても何も始まらないので、カズマはここで起こった出来事を包み隠さず打ち明けた。

 

「........許せん。」

「え?」

「はい?あの陛下?何を言っているでGES?」

 

とはいえ、カズマのその配慮は....。

 

「無断でワシの身体に乗っ取り、あまつさえワシのクリスタルを強奪し、そして何よりもワシ以上の悪行を働くとはなんと傲慢な輩!悪行は世界一の大悪党であるこのデデデ大王様の特権ZooooooooooY!!!」

 

ただ火に油を注いだだけだった。

 

「カービィ!先程ワシは宣言した!ワシらはいつ如何なる時でも助け合う、同盟を結成すると!!」

「ポヨ?どう....めい?」

「そこで!これからワシらは共に手を取り合い、ワシ以上の巨悪の根源を叩き潰すZOY!!ワシは全世界の支配者デデデ大王!ワシを差し置いて悪の名を語るとは笑止千万!!その不届き者に本当の悪というものを思い知らせてやるZOY!!」

「ポーヨ?」

 

何だか訳がわからない方向に向かっているデデデの言動は周囲を完全に置き去りにしていた。

 

「....いや何で自分が悪人である事に誇り持ってんだこの人。そもそも俺が知る限り最近悪行らしい事あんまりしてない様n」

「何か言ったかZOY?」

「ナンデモナイデス。」

 

カズマが適当に誤魔化していると、デデデは気合い十分といった具合に声を張り上げた。

 

「そうと決まれば早速クリスタルを奪い返すZOY!エスカルゴン、直ちにデデデカーの準備ZOY!」

「あー、やっぱり行くので?」

「当たり前ZOY!奴に本当の悪のなんたるかを思い知らせてやるのだZOY!」

「りょ、了解でGES。」

 

エスカルゴンは車庫からデデデカーを出す為に、一足先に階段を降りていった。

 

「では皆の者、ワシに続くZOY!」

「お、俺らも同盟なんすか?というかホントに来るんですか?」

「何度も同じ事を言わせるでないZOY!!」

「アッハイ。」

 

そう言ってデデデは階段を降りようとしたその時....。

 

「皆遅くなってごめん!フームから絵の具借りてきたから私も戦u................あれ?」

 

階段からアドレーヌがひょっこり現れたのだった。

 

「................................あの、カズ君。」

「........何すか?」

「................................もう終わってた?」

「................ついさっき。」

 

どうやら本人も戦うつもりでいたらしいが、いざ来てみればとっくに終わっているという、アドレーヌにしてみれば不完全燃焼に終わる戦いとなったのだった。

 

 

 




御閲覧ありがとうございます。
梅雨に入って雨はザーザー、てるてる坊主が一番輝きを見せる時期でGES。
この時期は本当にとんでもないくらい雨が降り注ぎます。
クラッコが6月は絶好調だからなのか、それともMr.ブライトがテレビ番組の録画を忘れて意気消沈してるのかは知る余地もありませんが、雨が沢山降る事で植物や作物が良く育つのも事実。
なんだかんだでやはり梅雨というものも欠かせないものなんだなとふと思ふ今日この頃。パラソルを手に散歩するワドルディを想像してたらほっこりしました。
雨の中、谷で一人佇むカブー、何か哀愁を漂わせてる様に感じたのはわちきだけで良い。
雨の日に空を見上げるメタナイト卿、何をやらせても絵になる彼の魅力はわちきの中での七不思議の一つです。
........なーんかどんどん話が変な方向に行ってる気がするわちき。

そんなこんなで今回はこの辺でお開き。
もしまた機会があれば読んで頂けると幸いでGES。
それでは、これにて失礼します。
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