まんまるピンクな食いしん坊の日常   作:Mr.K@河童92号

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いつもお疲れ様です。
暑い夏の気温にも負けず、のんびりと執筆してますでGES。
今回はやたらと戦闘が長くなっておりますでGES。
つくづく思いますけど戦闘描写って表現するのが難しいですよね、上手い人は一体どんな風に描いてるんだろ....?
まぁそんなこんなな訳ですが『暇だから取り合えず読んでやらん訳でも無いZOY。』と仰る方は、ゆっくりしていってね!


第16話 反逆の引き金

ここはウィスピーウッズの森。

この森にはウィスピーウッズと呼ばれる大木がおり、森の平和を見守っているのは言わずもがな。

そんな彼にも友人と呼べる人物....というより大木がいる。

 

このウィスピーウッズの森から東に向かった所にある東の森にて暮らしている、アコルと呼ばれる樹齢800年以上の大木である。

動物達が住み処にしており、リックやクーもそこに暮らしているのだ。

そんなアコルが暮らす東の森にて、以前デデデが『デデデロイヤルカントリークラブ』と呼ばれるゴルフ場を造るべく、森林伐採を図ろうとした事がある。

しかしデデデの奮闘も虚しく、カービィ達の活躍によってこれを阻止、東の森に平和が戻ったのだが、そんな大変な状況だったにもかかわらず、アコルはず~~~っと眠ってばかりだったのだ。

まぁ800年も生きてる御老人....もとい、御老木なのだ、仕方無いと言えば仕方無いとも思える所である。

 

閑話休題。

 

カービィ達はクリスタルを手に森の奥へ逃げ込んだ黒い雲を追い掛けていた。

何故かデデデカーに乗って。

エスカルゴンが運転を行い、助手席にはデデデが乗っており、後部座席にはカービィとリボン、アドレーヌ、そしてバンダナを被ったワドルディが乗っている。

因みにワドルディは城から一本の槍を持ってきている。

無論、人数制限は軽くオーバーしており、かなりぎゅうぎゅう詰めだった。

 

「いくら何だって皆してついてくる事無かったでGESょうがよ、お陰で馬力が出ないからスピード乗らないでGES。」

「堅い事言うでないZOY、こやつらはワシの同志達ZOY。」

「そうよ、ちょっとくらい平気だって。」

 

運転しながら悪態を吐くエスカルゴンにデデデとアドレーヌは気楽に宥めていた。

その傍らで、リボンは申し訳なさそうにこう言った。

 

「すみません、一刻の猶予も無い状況なのでこうして車で送って頂くしかなかったんです....。」

「リボンは気にしなくても良いわよ、クリスタルの在処がわかるのはあなただけなんだから。」

 

エスカルゴンに謝罪するリボンに、アドレーヌはフォローを入れた。

そこにエスカルゴンは前方に気を配りながらリボンの言葉にこう突っ込んだ。

 

「いやそういう事じゃなくて、何も全員で車に乗らなくても良かったんじゃないのって言ってるんでGESよ。追い掛けるヤツがヤツだけにカービィには戦って貰うとして、何でウチの兵士までついてきてるんでGES?」

 

ワドルディの事に突っ込みを入れるエスカルゴンに、リボンは事情を説明した。

 

「このワドルディさんはカズマさんについていくと決めたみたいで、どうしてもと譲らなかったんですよ。....言葉はわからなかったですけど、そう言ったと思います。多分。」

「そうよ、バンダナ君はカズ君に恩義があるんだから、心配になってついてくる気になったのよ。多分。」

「そこの小娘二人、自信が無いなら態々言わなくて結構でGES。」

 

リボンに続いてアドレーヌもフォローを入れるが、あっさり論破される始末だった。

因みに小娘と言われてアドレーヌがムッ....となったのはここだけの話だ。

 

「それにしても、大丈夫でしょうか....。」

 

そう言いながら、リボンは隣りに座っているカービィに目を向けた。

アドレーヌも気になったのか、カービィの方を向いて声を掛けた。

 

「カズくーん大丈夫?カー君の口の中苦しくない?」

「前が見えねェ。」

 

 

 

 

時は少し遡り、ここはデデデ城の中庭。

ここにはデデデの指示によってエスカルゴン(その他諸々)が集まっていた。

車庫からデデデカーを出してきたエスカルゴンにデデデは早速黒い雲を追い掛ける様指示を出した。

 

「エスカルゴン!直ちにあの黒い雲を追うZOY!」

「いや行くのは良いんでGESが、こやつらまで連れていく気でGESか?」

 

そう言ってエスカルゴンはデデデの後ろにいるカービィ達に目を向けた。

 

「こやつらとは先程ワシ以外の悪を撲滅するべく同盟を結んだZOY。そして向こうは一人でこちらは大勢、言わば数の暴力で攻めこむ作戦ZOY!これぞ非道の極みZOY!!」

「ただの物量作戦じゃないすかそれ?」

「どっちでも同じZOY!という訳で早速向かうZOY!」

 

デデデの言葉にカズマはツッコミを入れるも、当の本人はまるで気にせず車に乗り込み出発しようとしていた。

と、ここでエスカルゴンがストップを掛けた。

 

「ちょちょちょ待った待った!いくら何でもこの大人数を車一台に乗せていくのは無茶でGESよ!大体人数制限が」

「言い訳など聞きたくない!そんな些細な事気合いでどうにでもなるZOY!」

「そりゃただの根性論でGESょうが!」

 

ここに来て再び揉め始めるデデデとエスカルゴン。

何だかまた時間を浪費しそうなので、カズマは一つの提案を提示した。

 

「考えている時間も惜しい状況です、とりあえず森に向かうメンバーを決めましょう。」

「貴様、何を勝手に話を進めておるZOY?決定権はワシにあるZOY、誰の指図も受けぬ!」

 

カズマの提案にデデデが反発していると、今度はエスカルゴンがデデデにこんな提案を提示した。

 

「それなら陛下がカズマに指図しろと指図すれば良いんじゃないでGESか?」

「おぉ!それは名案ZOY!」

「良いんかいッ!!」

 

エスカルゴンの何とも奇妙な発案を受け入れたデデデに思わずツッコミを入れるカズマである。

カズマがデデデと出会った当初はやたらと畏まっていたものだが、今ではそんな国王に対してキレのあるツッコミを繰り出す始末な訳だから、慣れというのはつくづく恐ろしいものだと一人心の内でぼやくエスカルゴンだった。

 

「ではカズマよ!森へ向かうメンバーを選出する事を許可するZOY。」

「....ありがとうございます。ではメンバーの方ですが、ここに来るまでに幾度もあの黒い雲の襲撃を受けています。それを考えると、この先戦闘が発生する可能性も捨てきれないでしょう。なのでまずコピー能力で戦えるカービィ、次に少しかじった程度ですが戦闘経験がある俺も行きます。....あぁそれと、あの黒い雲に本当の悪というものを叩き込んで頂く為、陛下の御力もお借り頂きたく思います。」

「ふむ、成る程。カービィの力はライバルであるワシがよーく知ってるZOY。貴様の力は未知数ではあるがその培った戦闘経験を大いに有効活用して貰う事にするZOY。そしてワシのこのハンマーでヤツの浅はかさを思い知らせるという訳だな!でぇははは!!パーフェクトな人選ZOY!!」

「それと非戦闘要員として、車の運転の為にエスカルゴン閣下、そしてクリスタルの場所を探って貰うべく、そこの妖精のリボンにも付き添って貰います。黒い雲はクリスタルを手に逃走を図りましたが、幸いな事に、リボンはクリスタルの場所を探る事が出来るのです。その力で追い掛ければ、森の中でも迷う事無く、ヤツに追い付く事が出来るでしょう。今回はこのメンバーで向かうのが適切かと。」

「それで五人か....雇用範囲内ZOY。では早速向かうZOY!」

「陛下、それを言うなら許容範囲内でGESアウチッ!?」

「わざと言ってみたんZOY!」

「....御意に。」

 

カズマとデデデの作戦会議に水を指したエスカルゴンは、デデデの愛のムチ(?)によってお仕置きを喰らっていたが、カズマはこれを軽くスルーしていた。

 

「ちょぉぉぉぉっと待ったぁあああああああ!!」

 

そこに、抗議を申し立てる者が一人いた。

赤いベレー帽がトレードマークのアドレーヌである。

 

「カズ君!どうして私を仲間外れにするのかな!?ついていくって言ったよね!?....あ、そっか!カズ君うっかり私の名前挙げるの忘れてたんでしょ!も~しょうがないんだから~。」

「安心しろ、あれで合ってる。アンタの勘違いとかでも何でもないから。」

「何でそうなるのよ!!何で私がお留守番なのか納得出来る様に答えなさいよドゥーユーアンダースターン!?」

「車の定員オーバー。」

「クリティカルヒッツ!!」

 

木刀青年の容赦の無いツッコミにその場に崩れ落ちる絵描き少女が一人、心なしか頭に被っているベレー帽も頭からずれ落ちそうになってる様にも見えた。

と、思いきや、直ぐ様立ち上がってデデデに提案を出した。鬼気迫ると言わんばかりの顔で。

 

「旦那!聞きたい事があるんだけど!!」

「ひぇっ!?わ、ワシかZOY?」

「そう!デデの旦那に聞きたいの!この車ってワドルディがいっぱい乗った事があるの!?」

「う、うむ。ざっと十人は乗せた事があるZOY。連結させた荷車に乗せた状態ではあるが。」

「つまり!あと一人や二人乗っても重量的には問題ないのよね!?」

「そ、そうだな。だが座席が足りんZOY。」

「大丈夫よデデの旦那、私に良い考えがある!」

 

アドレーヌの凄まじい攻めっぷりに流石のデデデも若干引いていた。

名案があると豪語するや否や、アドレーヌは皆がいる方に振り向いた。

 

「じゃあ皆!とりあえず車に乗って!あ、カズ君はまだね。」

「What?」

「良いから早く乗って乗って!あ、バンダナ君はどうするの?」

「ワニャワニャ!」

「....うん、まぁわかんないけど乗りたいなら乗って!」

 

そう言われてカズマを除く全員が多少戸惑いながらもデデデカーに乗り込んだ。無論アドレーヌもである。

 

「オイ、留守番言い渡された腹いせに俺を置いていこうっていう魂胆か?」

「そんな冷たい女の子に見える?」

「穏やかじゃないですね、色々と。」

 

抗議の声を挙げるカズマにアドレーヌは質問で反撃するも更にカウンターを浴びせたカズマは、何とか説得しようと試みるも、その前にアドレーヌはにっこり笑顔でカービィに対し....。

 

「カー君、カズ君を吸い込んで。」

 

さらっと死刑執行を言い渡したのだった。

 

 

 

時は戻り、ここはウィスピーウッズの森。

結局、咄嗟に考えた提案をアドレーヌにちからずくでねじ伏せられたカズマは不服そうに愚痴を溢していた。カービィの口の中で。

 

「全く、人が折角手早く案を考えたってのに、物の見事にねじ伏せてくれたもんだ。」

「置いていこうとしたカズ君が悪い。」

「あのなぁ....大体アンタついてくるっつったって、何が出来るんだよ?武術や剣術もろくに出来ないだろうに。」

「芸術で戦えるわよ。」

「アド、普通の人はアートを武器に戦いません。」

「特別ですから。」

 

そう言ってアドレーヌはどや顔で胸を張っていた。

そんな彼女にカズマはすかさずツッコミを入れていった。

 

「なぁにが特別だぁよ。まだ一度もその能力試してないだろうに、どっからそんな自信が出てくるんだか。」

「リボンに聞いたから、嘘を吐く様な子じゃないのはわかってるでしょ?」

「そりゃ憑依されてた時の話な、今の話をしてるんだが。」

「何事もやる前から諦めてたら何も出来ないでしょ?ポジティブにいかなきゃ!」

「ここまでフラグ乱立させてるヤツに言われたか無ぇ。」

「カー君、この甘くて美味しいキャンディーあげるね。」

「ポヨ!?」

「だァアアアアアやめろォオオオオオオオオ!?急にとんでもない量のよだれがァアアアアアアアアアアアア!!?」

 

何やらカービィの口の中から断末魔の様なものが聞こえてくるが、アドレーヌはそれに構わずカービィの口にキャンディーを放り込んだ。

それからカズマがどうなったのかはまぁ想像に任せるとして、エスカルゴンは運転をしながらまたも悪態を吐いていた。

 

「こんな騒がしい連中連れていって、本当に大丈夫なんでGESょうかねぇ?」

「あれも若気の至りZOY。大人への第一歩を踏みしめんとする若者なら誰もが通る修羅の道ZOY。」

「何の話でGES?」

 

 

 

 

そうこうしている内に一行は目的地に近づいていた。

クリスタルの反応を確かめながらリボンは呟いた。

 

「もうすぐで追い付きます。この先に留まっている様です。」

「でぇははは!でかしたぞリボンとやら!では当初の予定通り、数の暴力で鎮圧を図るZOY!」

 

リボンの言葉に闘志を燃やすデデデは気合い十分である。

ある程度進んだ所でリボンはエスカルゴンに声を掛けた。

 

「あ!ここです!車を止めて下さい!」

「え?ここでGES?」

 

そう言ってエスカルゴンはブレーキを掛けてデデデカーを止めた。

そして一行はデデデカーから降りて、目の前に見える大木の様子がおかしい事に気が付いた。

 

「こやつはウィスピーウッズZOY?」

「でも、何か様子がおかしい様な....?」

 

デデデ達がそう呟く傍らで、カービィは口の中からカズマを吐き出した。

 

「ん~ペッ!」

「おどッ!........うわぁ身体が....よだれまみれじゃねえかよ....。」

 

見れば、カズマの身体はカービィのよだれで全身が濡れていた。

 

「....あらら、大変だったわねカズ君。」

「テメェ....誰のせいでこうなったと思ってやがる....。」

「....うん、ごめん。正直そこまで凄い事になってるとは思わなかったの。」

「はぁぁ........許す。」

 

ちょっと申し訳なさそうにしてるアドレーヌを見て、割りとあっさり許したカズマは、デデデ達が目にしている大木....ウィスピーウッズを見て呟いた。

 

「目と口、そして鼻が付いてる大木....これが森の王ウィスピーウッズか....。」

「ワニャ~。」

「この大木ってウィスピーウッズっていうんですか?」

 

カズマの言葉にワドルディが相槌らしきものを打っていると、リボンがウィスピーウッズという言葉に反応した。

それに対してカズマは答える。

 

「俺も見るのは初めてだが、前にフームからそんな話を聞いた事があるんだよ。この森の平和を見守っているらしく、その事からここはウィスピーウッズの森って呼ばれてるらしい。」

「そうなんですか....勉強になりました。」

「まぁこの森の事に限らず、俺よりもフームの方が色々と詳しいから、今度会ったら聞いてみ?」

 

そんなやりとりをしていると、アドレーヌが横から割って入ってきた。

 

「ところでリボン、クリスタルってどこにあるの?」

「それが、ウィスピーウッズの方から反応を感じるんです。」

 

そう言ってリボンはウィスピーウッズの方を見る。

見ればウィスピーウッズは目を閉じたまま、何やら苦し気な表情を浮かべている。

 

「ウィスピーウッズから....?............オイ、ちょっと待て。」

 

カズマが何か言い掛けた時、突然ウィスピーウッズは顔を強ばらせて、カービィ達の方を睨み付けた。

 

「ぐぉおおおおおおおお!!!」

 

そして雄叫びを上げるなり、ウィスピーウッズは身体を揺らし始めた。

すると、カービィ達の後ろに地中から数多もの太い木の根っこが飛び出してきた。

 

『!?』

 

カービィ達が驚いていると、木の根っこはウィスピーウッズとカービィ達を閉じ込める様な形で、彼らの周りを囲い混んで、高い壁となった。

 

「木の根っこに囲まれたZOY!?まるでちょっとした闘技場ZOY!」

「な、何でGESかこれは!?私達閉じ込められたんでGESか!?」

「....そういう事かよ。」

 

エスカルゴンが現状に戸惑っていると、カズマは木刀を取り出して、そんな事を呟いた。

 

「そういう事って、何なのよ?」

 

アドレーヌはその言葉が気になったのか、カズマに尋ねると、本人はウィスピーウッズを睨み付けながら答えた。

 

「多分、こりゃ罠だな。」

「罠?」

「あの黒い雲がクリスタルを持ってここに逃げ出したのは、恐らく俺達を誘き出す為の罠だろう。陛下からクリスタルを奪えば、俺達が追い掛けてくると思っただろうから、それを利用したんだと思う。で、ここで俺達を閉じ込めて退路を断ち、増援も不可能な状態に持ちこんで一気に畳み掛ける算段だろうな。よっぽど自分の力に自信が無かったら出来る事じゃねえぞ。」

「....ちょっと待ってよ。じゃああのウィスピーウッズっていうのは今....。」

 

そう言ってアドレーヌは恐る恐るウィスピーウッズの方を見た。

 

「....ご名答。」

 

カズマがそう呟いた矢先、ウィスピーウッズの目の前に四本程の太い根っこが地面から飛び出してきた。

その四本の根っこは一斉にカービィの方に向かって地面を抉りながら突進していった。

 

「!」

 

すかさずカービィは横に飛んで突進してきた根っこをかわした。

 

「カービィさん!」

 

突然の事態に思わず叫ぶリボンだが、それに構わずカービィはウィスピーウッズに向かって走っていった。

 

「ぃえ!?ウ、ウィスピーウッズ!一体どういうつもりでGESか!?」

「貴様!このワシに歯向かうつもりかッ!!」

 

エスカルゴンはウィスピーウッズの行動に驚いており、デデデの方は反逆してきたと癇癪を起こしている。

そんな二人にアドレーヌはある事実を伝えた。

 

「違うわ!あのウィスピーウッズっていう木は、黒い雲に操られているのよ!」

「なっ....!?」

「何ィイイイイ!?」

 

アドレーヌの言葉に驚いている二人だが、そんな事などいざ知らず、カービィは走っていってウィスピーウッズに近づいていた。

 

「グォオオオオオオオオ!!」

 

そんなカービィに対して、ウィスピーウッズは自身の頭にあたる部分に生やしているりんごを次々と落としていって、カービィにぶつけようとした。

 

「!?」

 

突然落ちてきたりんごに一瞬だけ面食らったカービィは直ぐ様吸い込もうとしたが、そうしようと思った時には既にりんごが眼前まで迫っており、とても吸い込みが間に合う様な状況ではなかった。

今にもカービィの頭にりんごがぶつかりそうになっていたその時.... 。

 

むんずっ

 

不意にカービィは誰かに頭を掴まれ、直ぐ様後ろに引っ張られた。

それによって上から落ちてきたりんごを紙一重の所で回避した。

ウィスピーウッズからある程度離れた所でカービィは自分を引っ張った人物の方に振り向いた。

そこには木刀を片手に持つカズマが立っていた。

 

「コピー無いのに無理すんな!これやるから!」

 

カズマはそう言うと、水筒から小さな氷を取り出した。

 

「こんな事もあろうかと、残しておいたんだ。でも氷はもうこれで終わりだからな。後はこれだけで踏ん張ってくれ。」

「ポヨ!」

 

カービィはカズマから氷を受け取り、またまたアイスカービィに変身した。

その傍らで、デデデはカービィの横に立ち、自慢のハンマーを構えていた。

ワドルディもまた、カズマの横に立って、槍を構えている。

 

「アイスカービィに変身しおったか。」

「ポヨ?」

「まさか再びこうして貴様と肩を並べて共闘する事になろうとは思わなかったZOY。ペンギーとやらの時以来か。」

「陛下、わかってるとは思いますが、ウィスピーウッズは今、あなたに取り憑いた黒い雲に....。」

 

カズマはウィスピーウッズに目を向けたまま、デデデに話しかけている。

デデデもまた、ウィスピーウッズを睨み付けたまま、カズマの言葉に返答した。

 

「言われずともわかっておる。あのウィスピーから雲を引き剥がし、袋叩きに遭わせてくれるわ。」

 

デデデは気合い十分といった具合にウィスピーウッズを見据えている。

そんなデデデとカービィ、ワドルディに対し、カズマは作戦を提示した。

 

「俺が先陣を切ります。カービィは冷気で後方支援、陛下は後ろからウィスピーウッズの戦術を見て、隙を探って下さい。」

「ではその隙を突いて、ワシのハンマーの餌食にしてくれるZOY!」

「上手くいけばそれであの雲を追い出せるでしょう。そこを一気に攻め落とします。後、ワドルディはリボン達の所に行ってくれ。」

「ワニャ?」

「俺達は今、ウィスピーウッズが出した根っこに囲まれてる訳だからな。戦えないリボン達をそのままにしておくのはちょっと心許ないから、アンタはあいつらを守ってやって欲しい。」

「....ワニャ!」

「頼むぞ、これで目の前の敵に集中出来る。カービィ、行くぞ!」

「ポヨ!」

 

そう言ってカズマはウィスピーウッズに向かって猛然と走り出し、カービィはカズマの後ろから『こちこちといき』で援護を試みた。

 

(りんごを落とされようが関係無え!木刀で弾いて仕舞いだ!)

 

そう考えてカズマはウィスピーウッズに近づき、上から木刀を降り下ろそうとさしたその時、ウィスピーウッズは突然大きく口を開けた。

 

(....ん?このパターンどっかで....。)

 

しかしカズマがそう疑問を抱くも時既に遅し。

ウィスピーウッズは大きく開いた口で....。

 

ゴォオオオオオオオ!

 

なんと吸い込みを仕掛けたのである。

 

「またこのパターンかァアアアアアアアア!!?」

 

みるみるうちにカズマは吸い込まれ、ついでにカービィが放った冷気も一緒に吸い込まれた。

ウィスピーウッズはそのままカズマをカービィ達目掛けて勢い良く吐き出した。

 

ペッ!

 

「どァアアアアアアアア!?」

 

このままでは激突すると誰もが思った時だった。

 

「なんの!打ち返してくれるZoooooY!!」

「え!?いや、ちょっ」

 

ドゴォッ!

 

デデデは飛んで来たカズマをハンマーで打ち返した。

これまた紙一重の所でカズマは木刀を構えて防御体勢を取り、何とかダメージを和らげる事には成功したが、勢いには勝てずにそのままウィスピーウッズの方へと吹っ飛んでいった。

 

「何でじゃァアアアアアアアア!!?」

 

カズマはウィスピーウッズに向かって飛んでいき、そのまま勢いよくぶつかったのだった。

 

「ぶっ!?」

「ゴァアアアアアアアア!!」

 

ぶつかった二人はあまりにもダメージが大きかったのか、悶絶して動けずにいた。

それをしてやったりといった顔でデデデは高笑いを上げていた。

 

「でぇはははははは!ワシの力を思い知ったか!」

「思い知ったかじゃねえッスよ!何でハンマーで打ち返すんスか!?」

 

笑い声が絶えないデデデにカズマは悶絶していた状態から回復するや否や思わずツッコミを繰り出すのだった。

 

「これはヤツの意表を突く為の作戦ZOY。まさかこちらの仲間を打ち返してくるとは思わんであろう?」

「そうですねッ!俺だって思いませんでしたよ!!」

「これぞ連携というものZOY!どんどん活用して一気に追い詰めるZOY!」

「アンタこいつを倒したいのか俺をぶっ飛ばしたいのかどっちなんだ!?」

 

そんな問答を繰り返しているうちに、ウィスピーウッズはカズマの真下から大きな根っこを出現させた。

 

「ッ!?」

 

カズマは咄嗟に横に飛んでかわすも、飛び出してきた根っこはカズマに向かって伸びていき、ぐるぐる巻きにして拘束した。

 

「しまっ....!?」

 

ウィスピーウッズはそのままカズマを高く持ち上げて、ぐるぐる巻きにしたままカズマを締め上げた。

 

「ぐッ....あがァアアアア!?」

 

その光景をカービィ達から比較的離れた場所から見ていたリボン達は血相を変えていた。

 

「あ!」

「な、何やってんでGESか!さっさと離れれば良かったのに!」

「カ、カズ君!!」

 

アドレーヌは思わず飛び出しそうになるも、一緒にいたワドルディが前に立ちはだかってアドレーヌを止めた。

 

「バンダナ君!」

「........。」

 

止めないで欲しいとアドレーヌは目で訴えるも、ワドルディは首を横に振るだけで、アドレーヌの要求に答えなかった。

 

「....そうだよね。バンダナ君は戦えない私達を守ってくれてるんだよね。」

「....ワニャ。」

「........だったらさ、証明すれば納得して貰えるよね?」

「アドレーヌさん、何を....。」

 

アドレーヌの言葉にリボンは頭に疑問符を浮かべていると、アドレーヌは突然持ってきていたスケッチブックと絵の具、絵筆を取り出して、大急ぎで何かを描き始めた。

 

「アドレーヌさん!?」

「やる前から諦めてたら何も起こらない!少しでも可能性があるなら試さなきゃ損でしょ!」

「こ、こんな時にのんきに絵なんて描いてる場合でGESか!!」

 

リボンとエスカルゴンが傍らで戸惑っているが、本人はそれを無視してただひたすら一つの絵を完成させる事に集中していた。

今にもやられそうになっている幼馴染を助ける為、己が持つ技術を最大限に活かして、真っ白だったスケッチブックを彩っていった。

 

そんなアドレーヌを余所に、ウィスピーウッズと戦っているカービィ達はというと。

 

「カズマ!さっさとそこをどくZOY!貴様が邪魔でウィスピーの所に行けんZOY!」

「無理言わないで下さいよ!この根っこに拘束されてて身動きが取れないんですから!」

「ワシが横から回り込もうとしてもすぐ貴様が目の前まで来て邪魔するZOY!」

「この根っこが伸びて陛下が懐まで来るのを防いでるんでしょうよ。カービィの冷気でダメージが入ったのかさっきよりは緩んでますけどそもそもこれ根っこだから簡単には....。」

「ええい!ならば貴様を倒してでもここを通るZOY!」

「いや何でそうなんの!?てか勘弁して俺今動けないって言いましたよね!?」

「案ずるな、貴様の死は無駄にはせんZOY!ワシの悪名の為に人柱となれぇええええい!!」

「いやァアアアアアアア!?この王様目がマジだァアアアアアアアア!!?」

 

....厳密にはデデデとカズマが揉めているせいでシリアスぶち壊しだった。

これには流石のウィスピーウッズもジト目で現状を見守っているしか無かった。

理由は単純、アホ丸出しな二人を前に大分戦意を削がれたからだった。

要するに呆れ果てて言葉も出ないのである。まぁ憑依されてからまるで喋ってないけど。

カービィはカービィでいきなり揉め始めたデデデ達に戸惑っていてどうして良いかわからずにいる。

 

しかしそんな二人に向かって叫ぶ者が一人。

 

「....人が折角必死こいて新兵器引っ提げて来たのに、喧嘩してるんじゃないわよ!!」

 

それは、スケッチブックを脇に抱えてやって来たアドレーヌだった。

 

「え....あ、アド!?お前何で来たんだ!!」

 

アドレーヌがやって来た事に驚いたカズマは思わず声を張り上げた。

しかしアドレーヌは構わず続ける。

 

「居ても立ってもいられなかったのよ。あなたが捕まったから。」

「んな事ァ良いんだよ!早くワドルディの所に戻r」

「それが何さ!いざやって来てみたらバトル中に揉めてるじゃないのよ!緊張感もまるで無いし!!私のシリアス返してよ!?」

「何にキレてんだお前!?」

 

いきなり現れたと思いきや戦闘中に揉めてる事を突っ込んでるミイラ取りもミイラになっている件についてはツッコミを入れないでおこう。

それも一つの優しさというものである。

 

「アドレーヌとやら、そう言う貴様は一体何をしに来たのだZOY?」

 

デデデはアドレーヌがやって来た理由にいまいちピンと来なかったので追及してみると、割りと早く冷静に戻って説明した。

 

「....そういえばそうだったね、新兵器を持ってきたのよ!」

 

そう言ってアドレーヌは脇に抱えていたスケッチブックをカズマ達に見せた。

見れば、赤い炎が灯った松明の絵が描かれている。

 

「....それをどうすんだよ、まさかホントに絵で戦うつもりじゃないだろうな?」

 

ジト目で睨むつけるカズマに対して、アドレーヌは胸を張って言った。

 

「言ったでしょ?その天狗になってる鼻をへし折ってやるって。何事も信じる事から得られるものがあるのよ。」

「ポーヨ?」

「カー君、一つ教えておいてあげるね。」

 

アドレーヌはカービィにそう言いながら、スケッチブックの松明に手を触れる。

最初は何の変化も起こらなかったスケッチブックだが、だんだんと何かが浮かび上がってきた。

アドレーヌが取り出した『それ』は、メラメラと真っ赤に燃え上がる松明によく似ている........否。

 

「何事も、やる前から諦めてちゃダメ。チャレンジ精神が大事なんだよ?」

 

松明そのものだった。

 

「........................は?」

「ポヨー!!」

 

アドレーヌがやってのけた事に、カズマは自分の目を疑わずにはいられなかった。

具体的に彼女が何をしたのかというと、アドレーヌはスケッチブックに描かれた松明の絵を取り出したのだ。

そう、カズマは絶対に無理だろうと軽く見ていた『描いた絵の実体化』を確かにアドレーヌはやってのけたのだ。

それも自分達の目の前でだ、これでは最早疑う余地も無いのだが、やはり目の前で起きた摩訶不思議現象を未だに信じられずにいた。

 

尤も、傍らにいたカービィはまるで手品を見せられたかの様に驚き、そして喜んでいる訳だが。

それはどうやらデデデも同じの様だった。

 

「おぉ!お前はマジシャンだったのかZOY!?」

「マジシャンかー。響きはちょっとカッコイイけど、私は絵描きのままでいたいかな。」

 

デデデの言葉にアドレーヌはまんざらでも無さそうな事を言うと、再びカズマの方を見た。

 

「どう?少しは見直したでしょ?」

「........お前....どうやって....?」

「うーん....正直に言うと、私もよくわかんないの。ちょっとイメージしてみたらなんとなく出来た....ってトコかな。」

「........ハハ............参った。参ったよ。」

 

アドレーヌの言動に最早苦笑いを浮かべるしかないカズマだった。

アドレーヌも少しだけ笑っていたが、程無くしてカズマを拘束している根っこを睨み付けた。

 

「ちょっとだけ我慢しててよ、すぐに助けるから。」

「え?」

「旦那!どいて!」

「へ?うぉわっ!?」

 

アドレーヌはカズマを拘束している根っこの所へ行き、手に持っていた松明を根っこの根本に押し付けた。

 

「ッ!?グォアアアアアアアア!?」

 

すると、ウィスピーウッズは叫び声を上げて、たちまちぐるぐる巻きになっていた根っこはカズマから離れて地中に潜っていった。

それにより、拘束されていたカズマは根っこから解放された。

 

「大丈夫!?」

「あ、あぁ、何とかな。にしてもさっきの実体化といい、というか実体化させたものといい、随分無茶苦茶するなお前も。」

「木にはこれが一番でしょ?」

「いやまぁ確かに効果覿面だが....。」

 

アドレーヌとカズマがそんなやりとりをしていると、ウィスピーウッズは今度は四本の根っこを地面から出現させ、カービィ達を睨み付けた。

 

「根っこがまた増えたZOY!?」

「ポヨ!」

「よ、寄らないでよね!当たると熱いわよ!」

「ちょっ!?ここで振り回すな俺らが熱いわ!」

 

ウィスピーウッズはデデデに向かって根っこを伸ばして突撃させた。

 

「うぉりゃあ!!」

 

デデデは向かって来た根っこに対してハンマーを上から叩き付けた。

 

ドゴォ!

 

それによりデデデに突撃した根っこは地面に倒れた。

 

「でぇははは!悪の帝王の一撃を思い知ったか!」

「陛下!まだ油断しないで下さい!」

 

そう言ってカズマは再び向かって来た根っこに対して横凪ぎに木刀を振って攻撃を浴びせた。

 

ビシィッ!

 

攻撃を受けた根っこは後退して、ウィスピーウッズの前で留まった。

なかなか根を上げない相手にカズマは悪態を吐いていた。

 

「チッ、根っこばかり相手しててもいつまで続くかわかんねえし、いっそまた本体を叩くか....?」

「でもまた吸い込まれるわよ?迂闊に近づけないじゃない。」

「けど現状接近せずに攻撃出来るのは氷をコピーしたカービィぐらいだぞ?かと言って一人で戦うにはちと荷が重いが。」

「そりゃどういう事ZOY?」

 

アドレーヌの指摘に答えるカズマの言葉にデデデは疑問符を浮かべて訳を聞き出した。

 

「その気になりゃウィスピーウッズは全ての根っこを使って攻めてくる事も出来るって事ですよ。カービィ一人だけで戦ってるなら周りに冷気を発生させるという暴れ技も出来るでしょうけど、俺らやリボン達がいる以上それは無理。というかその根っこで口を塞がれたらそれで終わりですよ、カービィは小さいから塞ぐ事自体は簡単でしょうし。」

「えっ........あ、でもそれなら何で最初からそうしないのかな?」

 

カズマの言葉から何故最初から全ての根っこで攻めて来ないのか気になったアドレーヌはカズマに質問した。

 

「さぁな。その辺は俺も知らんけど、そもそも木っていうのは根っこから養分を吸い取る訳だろ?人間で言えば飯を食って栄養付ける為に必要な身体の一部だから、あまり酷使出来ねえんじゃねえの?」

「操られてるのに?」

「態々ここまで誘き寄せた事を考えてみろよ。ウィスピーウッズを操ってる黒い雲は意地でもここで俺達を倒して、クリスタルを強奪するつもりなんだろうぜ。操ってる身体がダメになる前に勝負付けるつもりだろうから慎重になってんだろ。」

 

相手の戦法についてそんな風に分析していた時、ウィスピーウッズは根っこでりんごを掴み取り、カービィ達に向かって投げ飛ばしてきた。

 

「ッ!陛下!来ます!」

「ふん!このワシにそんなものが通用するとでmぶっ!?」

 

言っている間にデデデの顔面にりんごがクリーンヒットした。

その弾速はあまりにも速く、避ける間もなく喰らってしまった。

 

「あいてててて....な、何をするZOYこの!!」

「陛下、油断大敵ですよ!」

「んな事言われんでもわかっとるZOY!」

 

デデデは気合いを入れ直してると、再びウィスピーウッズはりんごを投げつけてきた。

 

「チッ!」

 

ビシッ!

 

カズマは飛んできたりんごを木刀で弾き飛ばした。

その直後....。

 

「うわっ!?」

 

今度はアドレーヌの方にりんごが飛んできた。

アドレーヌは辛うじてりんごをかわすも、弾速の速いりんごに驚いて、手に持っていた松明を落として転んでしまった。

すると今度は突然アドレーヌの真下から四本の根っこが飛び出してきた。

 

「!?」

 

四本の根っこによってアドレーヌは四肢を完全に拘束されてしまった。

 

「ポヨ!?」

「アド!!」

 

カービィ達は捕まったアドレーヌを助けようとするも、ウィスピーウッズが飛ばしてきたりんごによって動きを封じられてしまう。

 

「だっはぁああああああああ!?き、貴様!そんないっぺんに大量のりんごを投げつけるでないZOY!」

「か、カービィ!何とか吸い込めないか!?」

「ポヨ!」

 

カービィがりんごを吸い込もうとしたその時だった、ウィスピーウッズはりんごを投げつけながらいきなりカービィを吸い込み始めたのだ。

 

すぅうううううう!

 

「!?」

 

カービィはウィスピーウッズにあっという間に吸い込まれてしまった。

いきなりの吸い込みで反応が遅れたというのもあるが、何より体重の軽いカービィが地に根を張っているウィスピーウッズの吸い込みに打ち勝つのは容易ではなかった。

 

「カービィ!!」

「ウィスピー!!少しはワシに極刑に処されるという忠誠心ぐらい持て!!」

 

デデデがウィスピーウッズにそう呼び掛けるも、本人はそれに構わずりんごを投げ続けていた。

弾速だけでなく、今度はその数や投げてくるペースがさっきよりも上がっている為、二人はりんごを捌ききるので精一杯で完全に足止めを喰らっていた。

 

「ぐぬぬぬ!あくまで王者に逆らうというのか!!」

「クソッ!アドとカービィが........舐めた真似しやがって!」

 

デデデとカズマはそれぞれハンマーと木刀で絶えずやってくるりんごを捌きながら吐き捨てている。

その時、ウィスピーウッズはアドレーヌの目の前に根っこを一本地中から出現させた。

その根っこの先端は真っ直ぐアドレーヌの喉元を向いたまま留まっている。

 

「........ちょっと....待ってよ....?」

 

アドレーヌは何か嫌な予感がして、自身を拘束している根っこを何とか振りほどこうともがいたが、まるでビクともしなかった。

アドレーヌの喉元を捉えている根っこはゆっくりとアドレーヌの方に伸びていった。

 

「....い........嫌........。」

 

その光景を、木刀でりんごを捌きながら見ていたカズマは....。

 

「ッ!?」

 

これから起こるであろう事態を想定して、恐怖と焦燥感が彼を一瞬にして押し潰した。

 

刹那ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

腰にぶら下げていた真剣『絶柵』を引き抜き、飛んできていたりんご、アドレーヌの四肢を拘束していた四本の根っこ、そして彼女の喉元を捉えていたもう一本の根っこを、一切合財纏めて切り払った。

根っこを斬った事により、アドレーヌは根っこから解放されるも、突然の出来事に何が起こったかわからないまま、しりもちを着きそうになったが、咄嗟にカズマが片腕で彼女を受け止め、そのままゆっくり地面に降ろした。

 

「........え?」

 

アドレーヌは自分の身に何が起こったのか未だに呑み込めていなかった。

見れば、自分は今根っこから解放されて、デデデは目を皿の様に見開いてこっちを見ており、その奥でウィスピーウッズが甲高い声を上げており、そして目の前には真剣を構えてる幼馴染が、そこに立っていた。

 

「........随分好き勝手やってくれてんじゃねえか。」

 

カズマはウィスピーウッズに対して、普段よりも低い声で呟いている。

 

「........こいつの首がそんなに欲しいか?仮にも女の子だぞ?」

 

鋭い目付きでウィスピーウッズを睨み付け、相手を威嚇している。

 

「........そんなに首が欲しいんなら。」

 

相手から一切目線を逸らさず、一人の剣士は....。

 

「この俺の首を獲ってみやがれ、木偶の坊。」

 

これまで以上の怒りを露にして言い放った。

 

カズマは真剣を片手にゆっくりとウィスピーウッズに向かって歩いていく。

ゆっくりと間合いを徐々に詰めていった。

すると、ウィスピーウッズの口が突然もごもごと動き出した。

 

「........。」

 

吸い込みでもするつもりなのかと、カズマは攻撃に備える。

しかし、ウィスピーウッズの口から見覚えのあるものが出てきただけだった。

それはまんまるでピンク色の....。

 

「ポヨ!」

「....カービィ?無事か!?」

 

友達がひょっこり顔を出していた。

カービィの無事を確認して安堵するカズマを余所に、カービィは突然吸い込みを始めた。

 

「何を....。」

 

カズマは何かを言いかけて、カービィの方に飛んでいく物体を目にした。

それは先程アドレーヌが実体化させた松明だった。

みるみるうちに松明はカービィの口の中に吸い込まれていった。

 

「....とっくに氷をコピーしてるだろうに、またコピーか....?」

 

カズマは疑問符を抱いていると、カービィは松明を吸い込むなり、そのままウィスピーウッズの口の中に戻っていった。

 

「か、カービィ!?」

 

カービィの不可解な行動に驚いているカズマ。

何をするつもりなのかと考えてるうちに、何やらウィスピーウッズの口から何かが漏れ出していた。

 

「な....何ZOY?」

「....水蒸気?」

 

デデデは何が起こっているのかわからなかった様だが、カズマはウィスピーウッズから出ているものは水蒸気だという事に気が付いた。

やがて、しばらくしていると、ウィスピーウッズが突然大きく目を見開いた。

すると、ウィスピーウッズの口から凄まじい勢いで大量の水蒸気が噴出され、同時に二つの物体が飛び出してきた。

一つはカービィで、さっきまでアイスカービィになっていたのが何故かすっぴんに戻っていた。

もう一つはウィスピーウッズに憑依していた、あの黒い雲だった。

 

「ねえ、あれって!?」

「!」

「おぉ!やっと出てきおったか!」

 

アドレーヌが驚き、カズマが黒い雲の姿を確認したのと同時に、デデデは黒い雲に向かって猛然と走り出した。

 

「でぇはははははは!この時を待ちわびたZOY!ワシのハンマーによって己の浅はかさを自覚し、この悪の帝王に永遠に懺悔するが良いZooooooY!!」

 

デデデはハンマーを振り上げて、黒い雲を叩き潰そうとするも、あっさりかわされてしまった。

 

「くぉら!避けるでないZOY!」

 

黒い雲はハンマーをかわすと、アドレーヌに向かって真っ直ぐ突撃していった。

今度はアドレーヌに憑依してカービィ達を倒す算段らしい。

 

「えっ........。」

 

反応が遅れたアドレーヌは逃げ出す事も出来ず、黒い雲が目の前まで迫ってきて....。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

憑依しようとしたその時、割って入ってきたカズマの攻撃によって阻止された。

カズマの放った斬撃は文字通り一閃となって、黒い雲を真っ二つに切断した。

そのまま黒い雲は跡形も無く消滅していった。

 

「........。」

 

カズマは黒い雲が消滅した事を確認すると、アドレーヌの元に歩み寄っていった。

 

「大丈夫か?」

「............あ....うん........ありがと。」

「怪我とかしてねえだろうな?今隠し事したらげんこつで頭グリグリするかんな。」

「う、ううん、大丈夫だよ。....助けてくれたから。」

「そっか、なら良い。」

 

表情には出さなかったが、心の底から安心したカズマはウィスピーウッズの方に振り向いた。

 

「....感情的になってやり過ぎてしまったな。思えば随分酷い目に遭わせてしまった。」

 

ウィスピーウッズは目を回しながら気絶していた。

辺りはカズマ達が弾いた大量のりんごと、カズマが切り捨てた数本程の根っこが散らばっている。

 

「仕方無いですよ、あのままだと私達、どうなっていたかわかりませんでしたし、何よりアドレーヌさんの命も危なかったんですから。」

 

いつの間にかカービィ達に歩み寄ってきていたリボン達が合流してきた。

彼女らもどうやら無事の様だ。

 

「陛下、大丈夫でGESか?」

「うむ、ワシと仲間達の手により見事あの不届き者を成敗してやったZOY。尤も、ワシ自らの手でとどめを刺せなかったのがちょっと心残りだがな。」

 

エスカルゴンとデデデがそんなやりとりをしていると、リボンはある事を思い出した。

 

「あ!そういえばクリスタルは!?」

 

リボンがそう言うと、カービィは口の中から何かを吐き出した。

 

「ん~ペッ!」

「あ........カービィいつの間に?」

 

カービィの口からクリスタルが飛び出してきた事にカズマは少し驚いていた。

 

「そうか、さっきウィスピーウッズに吸い込まれた時に........つか、あいつ口の中に隠してたのかよ。」

「やりましたね!これでクリスタルを取り戻せました!」

「ポヨ!」

「ワニャ!」

 

クリスタルを取り戻せた事実に、リボンやカービィにワドルティは喜んでいた。

そこに横から割って入ってきたカズマは質問をした。

 

「さて、これからどうする?もうクリスタルを手に入れたし。」

「ポヨ?」

「一度城に戻って態勢を整えてはどうでGES?皆戦いで疲れてるでGESょうし。」

「それは良いですけど....ウィスピーウッズはどうします?気絶してますけど。」

 

リボンがウィスピーウッズを気に掛けていると、デデデは対して興味が無さそうに答えた。

 

「ほっとけば良いZOY。」

「えっ」

「こやつはその気になれば切れた根っこくらいすぐに再生出来るZOY。何せ大分前にウィスピー自身が倒れた事があったがたった一個のりんごから復活した事があるからな。」

「さ、再生....。」

「マジすか.... 。」

 

リボンとカズマは驚愕の事実に驚いたが、アドレーヌが絵を実体化させた時と比べると若干落ち着いていた。

どうにもこの国は摩訶不思議な出来事が起こるのは当たり前なのではないかとすら考え始めていたのである。

 

「ではお前達、そうと決まれば早速城に戻るZOY。いつの間にかワシらを囲っていた根っこの闘技場も地中に引っ込んで無くなっておるし。」

「陛下、帰るのは良いでGESけどこの人数どうするんでGES?」

「来た時と同じ手段を取れば良いZOY。」

 

その言葉を聞いて冷や汗を流す青年が一人。

 

「........アドレーヌさーん。」

「うん、流石にまたカー君の中ってのもね。」

「いや入るのは良いんだがあの大量のよだれだけ何とかして。」

「ポーヨ?」

「じゃあ三輪車でも出してあげようか?」

「せめて二輪でお願いします。」

 

そんなこんなでクリスタルを取り戻し、城へ戻っていった一行であった。

 

「............ミックスコピーを発現させたか、カービィ。」

 

気絶しているウィスピーウッズから少し離れた木の陰でそう呟くとある仮面の一頭身もまた、城へと戻っていった。

因みに森を脱出するべく全員同時に出発したら、アドレーヌに自転車を実体化して貰ったカズマは森を出て城に到着した時には既に夕方になっていたという。

もっと言うと、デデデカーで出発したデデデ達は自転車で城に着いたカズマより一時間遅れて到着したという。

 

「....何で自転車の俺よりも車のアンタらが遅れてんです?」

「ドライビングテクニックに関するクレームは全て秘書が受け付けてるZOY。」

「迷ったんでGES。」

 

 




御閲覧ありがとうございます。
ついに来ました夏休みシーズン!海だ!祭りだ!花火だ!24時間起きっぱなし!朝まで生放送!!........やりませんけど。
皆さんはどう過ごされますか?
わちきだったら....そうでGESな。
お祭りに参加したり、泳ぎに行ったり、田舎に帰省したり、映画とか観に行きたいと思ってますね。ポケモン超楽しみです。

セミの鳴き声は風情を感じる....と同時に凄く暑いZOY!!
そんなこんなですが、今回はここらでお開き。
もしまた機会があれば読んで頂けると幸いでGES。
それでは、これにて失礼します。
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