明らかに魔法の性能がおかしい回復魔法使いと謎の女吸血鬼のマイペースな冒険生活   作:ジョク・カノサ

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20話 探索寮

 報酬でゲットした探索寮は都市の中央の通りから遠く離れた場所。言ってしまえば都市の僻地にある。

 

 朝、宿から出発した僕達はその建物の正面に立っていた。

 

「改めて見ると、こう……大きいですよね!!」

 

「そうだな」

 

 まず目の前にあるのは門だ。縦格子の重そうな黒い門。そこから横に塀が続いて、しばらくしたら直角に曲がって奥へと伸びていく。

 

 門の先、塀の中の地面には一面の芝生。そしてメインの二階建ての建物。それがとにかく大きい。

 

 騎士団の建物には流石に及ばないけど、あそこと比べても良いくらいの大きさだ。寮というか最早お屋敷といった感じ。

 

「とりあえず中に入りましょう」

 

 事前に受け取っていた鍵で門を開けて、建物までの砂利道を歩く。ちなみに門は滅茶苦茶重くて僕が押したら凄い時間がかかりそうだったけど、レイさんが押したら即開いた。

 

 そのまま建物の前の階段を上がって石畳のエリアに、そしてその先にある扉の前へ。建物用の鍵を使って扉を開け、中に入る。

 

 まず入口にあるのは玄関だ。そこから縦に伸びる廊下を少し歩くと、丁度一階の真ん中を横断する廊下に合流する。

 

 この廊下が一階にある色々な部屋へと扉で繋がっていて、合流部分の近くには二階へと上がる階段もある。

 

「掃除、見た感じはちゃんとされてるみたいですね」

 

 当たり前ではあるけど僕達は一度ここに見学に来ている。その時は長期間ほったらかしにされていたのもあって廊下の時点で汚れが目立っていた。

 

「一階だけだという話だろう?中途半端な気遣いだな」

 

「時間が無かったみたいだし仕方ないですよ。二階に上がる前に軽く一階の部屋を見て回ってみましょう」

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 大広間。多分建物内で一番広い部屋だ。特に何か家具が置いてあるというわけでもなく、走り回れそうなくらい広々としている。

 

 所々に訓練用っぽい道具とか木剣が立てかけてあったりするのを見るに、前に住んでいた騎士団の人達はここを訓練用に使っていたんだろう。

 

 リビング。大広間の横にある部屋だ。部屋の中央に縦長のテーブルとそれを囲む椅子が置いてある。複数人で食事をする際はここでする事になるんだろうか。

 

 応接室。リビングの真向かいにある部屋。中央では高そうなテーブルがこれまた高そうな二つのソファーに挟まれている。

 

 部屋の隅には高そうなツボがあったり、壁に面した棚には高そうなお皿が何枚も飾ってあったり、全体的に高そうな部屋だ。

 

 建物を報酬として貰う際に中のモノは自由にして良いって言われたけど、ここもそうだとしたら太っ腹すぎないかと思う。嬉しいというよりホントに大丈夫なのかちょっと不安になってきた。

 

 キッチン。料理を作る場所だ。ここは僕が今まで見てきたような設備と大した違いはないかも。流石に調理器具とかはそのままにしてはいないみたいで、料理をするとなったら色々と買う必要がありそう。

 

 ちなみに僕は料理に自信はない。ギリギリスープが作れるか作れないかくらい。レイさんも出来ないって言っていた。

 

 ……使うのかな、ここ。一応すぐそこに家の裏手にある井戸に繋がる裏口があるから、水を汲む際に良く通ることにはなりそう。

 

 お風呂。そう、お風呂である。存在は知っていたけど見るのは初めてだ。村やここの宿じゃ井戸から汲んだ水と石鹸とタオルで身体を拭くのが普通だったし。

 

 ここはお湯を溜めてそこに入るらしい広い湯船と、降りかかるお湯で身体を洗える場所がいくつかある。

 

 そしてそのお湯はこの部屋に備え付けられた魔力を使う不思議な道具で用意出来るらしい。この道具、探索都市で作られたものらしく、用意しようとしたらそれなりに高くつくという話だ。滅茶苦茶気になるし早く使ってみたい。

 

 後は物置部屋とか、小部屋とかがあるくらい。一階にある部屋はこんな感じ。

 

「今更ですけど、絶対僕達二人だけで使うような場所じゃないですよね」

 

「正当な報酬として受け取った場所だ。胸を張って使えば良い」

 

「……レイさんも遠慮なく使ってくださいね。外で寝るとかもうナシですよ」

 

「こうなったからには使わせてもらうさ。といっても適当な部屋くらいしか使わないと思うが」

 

「お風呂とか使わないんですか?僕めっちゃ気になってるんですけど」

 

「あの場所は人間が身体の汚れを落とす場所だろう。私には必要無い……が、どうせなら使ってみるのも良いかもしれないな」

 

「そうですよ。どうせなら使わないと損ですよ」

 

「ふむ……なら、二人で使ってみるか?」

 

「何がならなんですか?いや、一緒には恥ずかしいからちょっと……」

 

「冗談だ」

 

「……レイさんって冗談、言うんですね」

 

 

 

 ☆

 

 

 

 基本的な生活に使うような部屋は全て一階に。そして住人の個室用の部屋は全て二階にある。

 

 一階のように階の中央を真っすぐに廊下を通って、その両側面に部屋がズラっと並んでいる。

 

 片方に五部屋あるから計十部屋。元々使っていた人たちが置いて行ったモノなのか若干部屋ごとに内装が違ったりするけど、ベッドとかカーテンとかテーブルとか鏡とか基本的なモノはどの部屋にも備え付けてあるようだった。

 

 基本的なモノって言っても僕にとっては全部は高級品に見えるんだけどさ。

 

 ただ、やっぱり廊下も含めて大規模な掃除は必要なようだと。部屋の一つに入り、中のホコリ臭さを感じながら僕達は実感していた。

 

「レイさん、掃除をラクに終わらせる魔法とかって使えますか」

 

「無理だ」

 

「ですよね。……これ、とりあえずで僕達が使う二部屋だけを掃除したとしても大変ですよ」

 

「だがやるしかないだろう。私は汚れていても気にはならないが」

 

「いや……いや!ここは今日一日使って全体を徹底的に奇麗にしましょう!せっかく手に入れた寮、折角なら気持ちよく使いたいです!幸い、騎士団の人たちが残していった掃除用具がありますから、今すぐにでも始められます。――やりましょう、大掃除」

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