あれからしばらく経った。
基本的に、稼ぎの大半が借金返済に消えている俺だが、ここのところは景気がいい。
惑星封鎖機構を叩く依頼が大量に出回っており、だいぶ金が浮いた。
次の依頼を探す前に、FCSでもベイラム製のやつに替えとくかな。
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通信基地破壊
作戦領域:中央氷原-ハーロフ通信基地
依頼者:アーキバス・コーポレーション
作戦目標:目標破壊
報酬:300,000COAM
詳細
・封鎖機構の接収した通信基地の破壊
・敵撃破に応じて報酬加算
・僚機あり
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MISSION BRIEFING
「独立傭兵モンキー・ゴード、これは我々アーキバス・コーポレーションからの依頼です」
「作戦立案者である第2隊長からのメッセージを再生します」
『ヴェスパー第2隊長、スネイルです』
『私の直属で任務に臨めること、光栄に思いなさい』
『これは惑星封鎖機構の2拠点に対して、同時刻・秘密裏に行われる急襲作戦です』
『襲撃目標のひとつは、敵の部隊間通信を中継するハーロフ通信基地』
『もうひとつは、強襲艦隊の母港として接収された、バートラム旧宇宙港です』
『貴方には、第4隊長と共に通信基地の中継アンテナを破壊していただきます』
『ブリーフィングは以上です、せいぜい励むことですね』
「メッセージは以上となります」
「……君が今回協働する傭兵か」
作戦領域へ向かう最中、通信が入る。
「私は、ヴェスパー第4隊長のラスティだ」
「随分やると聞く。それに、『戦友』……レイヴンとも親しいそうじゃないか」
「ああ。『ユーリ』とは肩を並べて戦った仲だ」
「奇遇だな。私も『戦友』とは共に戦ったことがある」
「…………」
「…………」
「……それはともかく、少し伝えておくことがある」
「この作戦は、通信基地の破壊によって増援を絶った上で旧宇宙港を制圧するというものだが」
「通信基地の破壊による通信の混乱は一時的なものになるはずだ」
「要するに、
「……私は、こちらが片付き次第救援に向かうつもりだ」
「なら、俺も行くが」
「……そうか」
「……話は終わりだ、そろそろ作戦領域に到達する」
会話を切り上げ、「ジュピター」と「スティールヘイズ」はハーロフ通信基地に降り立った。
「「作戦開始」」
「コード15!AC2機!」
「中継アンテナに近寄らせるな!」
そのあとはまあ、この前と似たような展開である。
何度戦っても同じようなことしか言われないので、正直バリエーションに欠けるというものだ。
適当にMTを蹴散らしつつ、中継アンテナを目指す。
すると、アンテナの根元で待ち構える2つの機影が目に入った。
「コード15、排除対象を確認」
「
「今は考えるな、排除執行する」
ACより、二回りほど大きなシルエット。
片手にはパルスシールドを装備し、もう片方にはそれぞれレーザーブレードとレーザーライフルを持っていた。
「HC型が……2機か……!」
「コード44、排除対象の情報を回してくれ」
「システムより回答。企業所属、
「妙な組み合わせだ」
「
「その件については、考えるなと言ったはずだ。作戦に集中しろ」
2対2というよりは、1対1が2つの構図。
「スティールヘイズ」が近接型と、「ジュピター」が射撃型と対峙する形だ。
「チッ!やりにくいな…!」
俺が対峙する射撃型は、ひたすら盾を構えながら引き撃ちに徹している。
こちらのやり口が割れているらしく、シールドバッシュすらしてこない。
ひたすら盾を構えての引き撃ち。ACでやると火力耐久共に心許ない戦法も、HCの地力では脅威だ。
こうも引きに徹されれば、アサルトアーマーを直撃させるのも難しい。
ここにきて、相性最悪の敵だ。ラスティと敵を交換すれば、楽だったのだが。
「正直、キツイな」
「……FCSを替えてなければ、だが」
両手でハンドガンを握る。
やることは単純、シンプルな撃ちあいだ。
シールドバッシュを使わないのをいいことに、ひたすら距離を詰めて連射。
これまでは精度の悪さにより割を食っていたが、至近距離におけるハンドガンの衝撃力は大したものだ。
ごく近い距離に、シールドで広がった被弾面積、向上した精度。
これらの要因によって全弾命中した大口径弾は、見る見るうちにHCに
「まずい、このままでは……!」
焦って放たれたレーザーライフルのチャージショットを躱し、アサルトアーマーを起動。
直撃とまではいかなかったが、ここまでACS負荷が溜まっていれば十分だ。
「馬鹿な……! 寄せ集め風情に……!」
すかさず武装を切り替え、右手で殴りながらチェーンソーをチャージ。
赤熱した刃を押し付け、とどめを刺す。
「システムに……報告」
「さて、向こうに加勢でもするか」
見れば、近接型HCと「スティールヘイズ」はまだ戦っている。
戦況は、だいたい互角ってところか。
HCの背後を取り、拳銃弾を浴びせてやる。
「なにっ……上尉殿は……!」
よほど戦闘に集中していたらしい。
相方の死に気づいていなかった近接型HCは、慌ててこちらに向き直る。
「……見せてくれる……!」
その隙を逃すラスティではない。
注意をそらしたHCの懐に素早く飛び込んだ「スティールヘイズ」は、アサルトアーマーを起動。
「コード……78……」
お決まりのセリフを吐いて、HCは爆散する。
「さて、さっさと目標を破壊して、ユーリの救援に行こう」
「……強いな、君は」
「一つ聞かせてくれ。君は、何のために戦っている?」
「……たかが独立傭兵に高望みしすぎだ。普通に金だよ」
「……そうか」
半分嘘、半分本当といったところだ。
金のために戦っているのは事実だ。
だが、どこかで他の理由を欲している気もする。
それが何なのかは、まだ分からないが。
「救援に行くんだろ?さっさと……」
「コード15、排除対象2機を確認」
「……増援か」
音のする方を見やる。
……この期に及んで、嘗められたものだ。
そこにいたのは、惑星封鎖機構の誇る欠陥兵器、カタフラクトだ。
「……ここは君に任せてもいいか?私は『戦友』の救援に向かう」
ラスティも同意見らしい。
「いや、俺が『ユーリ』の救援に向かう。お前が残れよ」
「いや、私が行く」
「いや、俺が」
「…………」
「…………」
「貴様ら!! 何をごちゃごちゃと話している!!」
「このカタフラクトが、貴様らを排除して……」
「「邪魔だ!!」」
瞬時にカタフラクトの正面に回る2機。
計4丁の火器から放たれた弾丸がコアMTに突き刺さり、
すかさず「スティールヘイズ」のレーザースライサーが砲塔を斬り飛ばし、「ジュピター」のチェーンソーがコアMTを抉った。
「馬鹿な……この……カタフラクトが……」
あっさりと爆発する欠陥戦車。
「…………」
「……二人で行くか」
そのとき、通信が入る。
「ねえ、せんゆう、ゴード」
「何だ? 『ユーリ』」
「どうした? 『戦友』」
「おわったよ。こっち」
「…………」
「…………」
話によると、ユーリは強襲艦を破壊した後、現れた執行部隊2機を瞬殺。
今は崖の上で、
「…………」
「……執行機2機を瞬殺とは。やはりすごいな君は」
「うん。にげたふりして、1きずつおとした」
「ゴードのやりくち」
「……!」
勝った。
なんとなくそんな気がする。
謎の優越感を覚えながら、俺は任務を終えたのだった。
ジュピターの脚部クイズ
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