転生したらモンキー・ゴードでした   作:NEST中毒者

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アーキバス部隊奇襲④

 こちらに高速で接近するV.Ⅰ(ヴェスパー・ワン)フロイトの乗機、「ロックスミス」。

 

 そこに、通信が入る。

 

「第1隊長殿! あなたが何故ここに!? あなたは特務部隊の殲滅を担当されていたはずでは!?」

 

 先ほど墜としたペイターの声だ。どうやら脱出に成功したらしい。

 

「ああ、話にならなかったから、さっさと潰してこっちに来た。結果オーライだろう?第8隊長」

 

「いえ! 私は第5隊長です! 第1隊長殿!」

 

「…そうだったか?どうやら覚え違いをしていたらしい。悪かったな、第5隊長」

 

「はっ! 光栄です! 第1隊長殿! 健闘を祈ります!」

 

「ああ。……さて」

 

 

 

「始めようか」

 

 会話を切り上げ、「ロックスミス」が向かってくる。

 

「そうだな……先ずは」

 

 挨拶代わりと言わんばかりに、上を取った「ロックスミス」から拡散バズーカが降り注ぐ。

それを飛び退いて躱すと、今度は爆炎の中から青い光が見えた。

 

「どう出る?」

 

 声と共に、炎と煙を切り裂いて青い光刃が閃く。

 先ほどホーキンスが見せたものと同じ、水平方向を薙ぎ払う回転斬りだ。

 

 当然、対処法も同じ。ブースタを吹かして上昇、縦軸をずらして回避し――

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――その先で待ち構えていたレーザードローンと、眼が合った。

 

 ああ、眼が合った、というのは言葉通りの意味だ。

 

 要するに、ドローンが狙っているのは――

 

 

 

「クソッ!!」

 

 

 ギリギリで機体を翻す。

 

 それとほぼ同時に放たれたレーザーが、「ブラックアント」の頭部に吸い込まれた。

 

「やられた……!」

 

 ……紙一重で、直撃は避けた。

 だが、視界の右半分はノイズがかかり、酷く見えにくいものになってしまった。

 

「ほう、凌いだか」

 

 愉しげな声色で、男が云う。

 

「だが――右か」

 

 その言葉を合図に、先ほどカメラを射抜いた大型のレーザードローンが3基に分離。

 さらに、左肩の格納器から3機のドローンが飛び出す。

 

 動き出す計6基のレーザードローン。

 

 

 それらは、執拗にこちらの右側に回りこむような軌道を取り始める。

 

「さっきから、こいつ……!」

 

 先のカメラを狙った一撃に、今の死角を狙う軌道。

 

 間違いない。

 

 ()()()()6()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……!

 

「どういう脳ミソしてるんだよ…!」

 

 吐き捨てながら、動く。

 

 今の視界では、ドローンを視認して回避するのは難しい。

 よって、可能な限り不規則に動き回り、ダメージを最小限に抑えるしかない。

 

 そうやって動き回りながら、距離を取る。射撃戦の構えだ。

 

 向こうの足を止めずに撃てる武装は、アサルトライフルとレーザードローンのみ。

 対してこちらは、リニアライフルのチャージ以外は全て足を止めずに撃てる。

 

 故に、動き続ける射撃戦。

 相手のペースに付き合うな。こちらの優位を押し付けろ。

 

 そう結論付け、両手のリニアライフルを連射しつつ、相手の動きを制限するためにミサイルを放つ。

 

「……ほう」

 

 その瞬間、「ロックスミス」のアサルトライフルと、レーザードローンの内4基が動いた。

 

「……っ!」

 

 自爆を避けるため、後方に跳ぶ。

 

 その直後、特殊ミサイルを弾丸が、4連装のミサイルをレーザーが貫いた。

 

「何も考えずただミサイルをばら撒く輩ほど、つまらん奴もそうそうないが」

「お前はなかなか悪くない」

 

 ミサイルなど当たらないか。

 まあ、構わない。少なくとも弾避けにはなるのだから。

 

 そのあたりで、「ロックスミス」の動きが変わる。

 先ほどまでは射撃戦に付き合う雰囲気だったが、今度は強引に距離を詰めてきた。

 

 同じ中量2脚。そしてABがある以上、追う側有利。

 ならば。

 

 

「結局いつも通りか……!」

 

 射撃しながら、あえて隙を晒して見せる。

 

 そこにブレードを振りかぶってきた「ロックスミス」に対し、チャージした左のリニアライフルを合わせ、引き金を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういう動きもあるのか、面白いな」

 

 瞬間、「ロックスミス」のコアが展開する。

 

 放たれた銃弾は、パルスアーマーに阻まれてあっけなく停止した。

 

「やりやがるな、マジで……!」

 

 カウンターを凌がれたのはこれで2回目だ。

 

 だが、仕切り直す隙は作った。

 

 再び射撃戦に移るべく、距離を取ろうとし――

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――何かが地面に落ちる音を聞いた。

 

 

 

 何かと目をやれば、それは右手に持っていた軽リニアライフルだ。

 

 コンソールで機体の状況を確認。

 

「クソが、またやられたか…!」

 

 

 

 見れば、右腕の肘から先が完全に機能停止していた。

 

 奴はおそらく、ブレードで注意を引いている間に、合体させたドローンを視界の悪い右に潜ませていたんだろう。

 

 そして、こちらが足を止めた一瞬を衝いて右腕の関節部を正確に撃ち抜いたという訳だ。

 

「お前の動き、蟻という感じではないな」

(むれ)を前提にした力ではない。むしろ突出した個のものだ」

 

 奴が何やら喋っているのをよそに、考える。

 

 これで射撃戦の優位は消えた。

 生きて帰るには、逃げるしかない。

 だが、奴に背を向けるのは自殺行為だ。

 レーザードローンで鴨撃ちにされるか、ブレードで背中からばっさりやられるかだろう。

 

 

 ならば、どうするか。

 

 

「さあ、もっと愉しませてくれ……!」

 

 明らかに牽制として放たれた回転斬りに、()()()()()()()()()()

 

 その致命的な一撃を受けた瞬間、「ブラックアント」のコアが展開した。

 

 そう、ターミナルアーマーの発動だ。

 

 ターミナルアーマー。機体のダメージが限界に達した際に自動発動するそれは、たった5秒間しかもたない代わりに、ほとんどの攻撃を受け付けない。

 

 

 すなわちこの5秒間、「ブラックアント」は限りなく無敵、不死身に近い存在となる。

 

 たったの5秒。

 

 十分だ。

 

 

()()()()()()5()()()()()()()()()()()()()()()()()……!!」

 

 

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