「ターミナルアーマー? そうくるか……!」
「ロックスミス」の猛攻に対して、ターミナルアーマーを発動した「ブラックアント」。
制限時間は5秒。
その間に突破口をこじ開けなければ、命はない。
さあ、長くて短い5秒間の始まりだ。
残り5秒。
リペアキットを使用。直るのは装甲だけで、カメラや右腕は壊れたままだ。問題ない。
同時に左手のリニアライフルを投げ捨て、左肩の特殊ミサイルを
「ロックスミス」はまだ、ブレードの後隙から脱していない。
残り4秒。
無手となった左手で、
そのまま、弾頭を分銅のようにして振り回し、「ロックスミス」に突撃する。
残り3秒。
ここで「ロックスミス」が後隙から脱する。
ターミナルアーマーが切れるまでの時間を稼ぐつもりなのか、足を止めないアサルトライフルとレーザードローンを使ってやや遠巻きに攻撃してくる。
それに対し、こちらは両肩の武装をパージ。コンマ1秒でも早く肉薄しようと進む。
残り2秒。
「……面白い」
ターミナルアーマーを前にただ指を咥えて見ているフロイトではなかった。
アーマーからはみ出した爆導索に誘爆させるべく、拡散バズーカを発射。
対するこちらはバズーカの構えを見た瞬間、ブーストを一旦切ってクイックターン。敵に背を向ける。
残り1秒。
拡散バズーカの砲弾を背中側のアーマーで受けながら、後ろQBで突っ込む。
その勢いのまま、振り向き様に爆導索を投擲。
弾頭を重りにして飛んで行った爆導索は、見事「ロックスミス」の左腕に絡みついた。
残り0秒。
飛び退くと同時に、絡みついた爆導索が爆ぜる。
至近距離で起きた爆発は、「ロックスミス」の左腕を吹き飛ばすと共に、
……まだだ。
動きを止めた「ロックスミス」に対して、左腕を振り上げた。
爆導索を握りしめた左手には、大量の液化爆薬が付着している。
少しでも衝撃が加われば、肘から先はお釈迦だろう。
だから何だ。この後を考えれば、軽くなってありがたいくらいだ。
左腕を振り下ろす。
狙う場所は?
コア。論外。
そこは一番装甲が厚い。一撃で破壊できる保証がない以上、なしだ。
足。それもない。
確かに足を吹き飛ばせば歩けなくなるかもしれないが、あの化け物がそれだけで追ってこれなくなると、本気で思うのか?
目。同上。
どうせ「たかがメインカメラがやられただけだ」とでも言ってくるんだろう。
ならば、答えはひとつだ。
爆弾と化した左拳を、「ロックスミス」の左肩に叩きつける。
その衝撃で着火した液化爆薬は、「ロックスミス」の左肩に装備されたレーザードローン格納器を、こちらの左腕諸共に吹き飛ばした。
「なるほど、そういうわけか……!やはりお前は面白い……!」
武装の半分を潰されたというのに、心底愉しそうな声が聞こえる。
「さあ、次はどうするんだ…?もっとよく見せてくれ…!」
「やだね」
その瞬間、踵を返す。
これで奴の主要な追撃手段は潰した。
今「ロックスミス」に残っているのは、足を止める拡散バズーカと、威力の低いアサルトライフルだけだ。
それでも追ってくるだろうが、勝ちの目は――
……追ってこない?
背部カメラで確認すれば、「ロックスミス」は棒立ちでこちらを見送っていた。
……強烈にきな臭いが、逃げるしかない。
「……また逢おう」
去り際に、そんな言葉が聞こえた気がした。
その後について話そう。
俺は特に問題なく帰還。報酬もつつがなく受け取った。
偽装機体については、こっちで好きにしていいらしい。
まあ、当然といえば当然か。
仮に解放戦線がこいつを返してもらったとしても、使いようがない。
戦場に出そうものなら、自分らが襲撃事件の犯人だと自白するようなものだ。
売り飛ばすにも、足がつく可能性がある。
要するに、体よく証拠物件を押し付けられたわけだ。
俺も同じ理由で、こいつのパーツを使ったり売ったりはしばらくできないだろう。
あと、一応発信機やらが無いか確認したが、問題なかった。
ほとぼりが冷めるまでは、倉庫の肥やしになりそうだ。
それから、もうひとつ。
俺が作戦を遂行している間に、
標的になったのは、
撃破され、脱出もできずに死んだらしい。
……解放戦線は、まんまと陽動に使われたわけだ。
おそらく
ヴェスパー部隊が対封鎖機構にかかりきりのタイミングでさらに陽動として俺をぶつけ、その隙に孤立したオキーフを始末したんだろう。
これなら、オキーフ殺害の罪をベイラム、最悪の場合でも解放戦線に擦り付けることができる。
……幸いなのは、
解放戦線を調べられて、内通者から芋づる式に自分の正体が露見することを嫌ったんだろう。
ともかくだ、アーキバスは中央氷原での鹵獲作戦に失敗した挙句、ヴェスパー部隊を3人失ったことで少なからず混乱した。
別の作戦領域でも、結構な数の封鎖機構を取り逃がしたらしい。
ベイラムとアーキバス共同での、封鎖機構殲滅作戦。
アイスワームの撃破は成功裏に終わったらしいが、もう一方の作戦は大きく躓いたわけだ。
その結果、封鎖機構の残党はルビコン3上にウヨウヨと残っている。
その一方、「
つまり、ウォッチポイント・アルファを調査する前に控えているのは。
両社が盛大に足を引っ張り合いながら行われる、泥沼の追撃戦だ。
ブラックアントの追加解説
その正体は、拉致られたイグアスが乗っていた「ヘッドブリンガー」。
ちょうど余ったので、オキーフを殺すための陽動として解放戦線に供与された。
左側の武装とコア拡張、カラーリング以外は元の機体と全く同じ。
そこに爆導索を一つまみすることで黒幕の存在をほのめかした。
名前の由来は、イグアスのエンブレムから。
あれってぱっと見クワガタに見えるけど実際はクワガタの頭を運ぶアリなんですよね。
AMちゃんのおうちってどこだと思う?
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ザイレム
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その他