あと、第2工廠のケイトは51-002 K、今のケイトはAMちゃんそのもの、という想定で書いてますが、あんまり区別する必要もないかもしれません。
「作戦開始」
輸送機のハッチが開き、3機のACが作戦領域に降下する。
眼下を眺めれば、そこにはいかにも急ごしらえ感のある拠点が広がっていた。
廃墟を再利用したと思われる格納庫に、突貫工事で据え付けられた砲台。
かつての秩序だった封鎖機構からは考え難い様だ。
「敵だ!企業が来たぞ!」
「HCの起動まで持たせろ!」
しばらく近づいていけば、拠点を警備していた機体が反応を示した。
もはやシステムによる統制も取れていないのか、封鎖機構おなじみのコードも口にしていない。
「エクドロモイが4、LCが2……特務機体と執行機体の混成とはな」
出てきた機体は、残党というには高級なものだ。反面、MTの姿は見当たらない。
逃げ切れる足のある機体だけが生き残った、ってところか。
降下しながら、通信を入れる。
「俺が右の2機、お前らが左の4機、それでいいか?」
「……構いませんが」
「指図すんな! 何様のつもりだテメェ!」
返答を聞き流して、右側の2機に焦点を合わせる。
エクドロモイMGが1機、狙撃型LCが1機。
楽勝だ。
「企業どもめ、くら――」
もはやデータ照会もできないのだろう。カウンターも考慮せずに蹴り込んで来たエクドロモイにアサルトアーマーを浴びせ、崩れたところをチェーンソーでぶち抜く。
「馬鹿な、エク――」
前衛が瞬殺され、面食らっているLCに突撃し、ハンドガンを斉射して崩す。あとはさっきと同じ流れだ。
「さて、あっちは……」
自分の担当が片付いたのを確認し、僚機の方を見やる。
「た、対処!! 対処してください!! イグ……パラナ!!!」
「うるせぇな……」
そこには、両手両肩から煙を吹きながら3機のエクドロモイに追い回される銀色のタンクACがあった。
様子を見る限り、彼女は開幕から最大火力の砲撃をぶちかましてLC1機を蒸発させたものの、それで全武装をオーバーヒートさせ、今は無防備な的と化しているようだ。
「いいから対処してください!! やくめでしょ!?」
「はぁ? テメェの方がタンクで硬いんだから、前に出るのはテメェの役目だろうが!」
「こっちはオーバーヒートして無防備なんですよ!? 早く対処してください!!」
「だったらそんな気軽にぶっ放すんじゃねぇよ……ったく、同じタンクでも
やれやれといった様子で、「
慌てて振り返った1機のエクドロモイに対して、盾越しに2門のガトリング砲から銃弾を浴びせる。
蓄積した衝撃で
「―――――!―――――――!」
「んなわけねぇだろ! 黙ってろテメェは!!」
「た、助かりました……ありがとうございます、パラナちゃん」
「テメェおちょくってんのか?」
そこで、一連の流れを見ていた残りの2機が、「イオタ」の方にターゲットを移す。
その2機、エクドロモイMGとPGは、なおも盾を構えながら射撃する銀のACに全武装を集中砲火した。
盾越しとはいえ怒涛の攻撃を受けたことで、みるみるACS負荷が蓄積していく「イオタ」。
「――――――――――!」
「わかってんだよそんなこと! 黙ってろ素人が!」
ガトリングで応戦するも、みるみる
そこにエクドロモイPGの放ったプラズマ爆発が直撃し、とうとう限界を迎えようとするが――
「甘ぇ!!」
その瞬間、パルスアーマーを展開し、ACS負荷をリセットする「イオタ」。
そのままガトリングを撃ち続け、怯んだ1機にプラズマ機雷を2発叩きつける。
「おのれ……企業……ども……」
爆散する1機と、それに驚いて一瞬固まるもう1機。
――そのもう1機が、背後からの光を浴びて消し飛んだ。
「へへん、どうですかこの火力! すごいでしょう!!」
またも両手両肩から煙を吹きながら、自慢げな声でケイトが言う。
「……だから、やめろっつってんだろ、それ」
「なにを! フルチャージこそがKRSVの醍醐味なんですよ! それを捨てるなんてとんでもない!!」
「だったらせめて両肩をだな……」
「何故ですか? カッコいいじゃないですか!! 変形!!」
「――――――――――!!!」
「……もういいわ」
……なんか愉快なので眺めていたら、手を出す間もなく終わってしまった。
……残りの掃討に移ろう。
「独立傭兵 モンキー・ゴード、その……」
残存勢力の掃討を終え、格納庫にあった起動前のHCを無傷で押さえたところで、ケイト・マークソンから通信が入った。
「こ、今回の依頼で聞いたことは、誰にも言わないでくださいね……?」
……フリかな?
「だ、ダメですからね!?」
……まあ、実際のところ、俺はこいつらを告発するのは得策じゃないと考えていた。
まず、大した証拠がない。こいつらの暗躍についてはある程度想像がついているが、あくまで想像。確たる裏付けはない。
こいつらが輸送機内で繰り広げていた漫才も、証拠としては信憑性に欠ける。
なんせ今は人間の画家がほとんど駆逐されるレベルのAI全盛期だ。
ただの音声データなんてその気になれば偽造できるので、参考にはなっても確たる証拠とするには足らない。
……というか、話している内容がアホらしすぎてジョークにしか見えないだろうな。
もう1つの理由は、俺に大した発言力がないということだ。
なぜかアリーナがめっきり解放されなくなったせいで、俺のランクは高くないし、なにより借金まみれの身の上だ。
傭兵としての実績も、意外と芳しくない。
なぜなら、俺の
レッドガンの精鋭に、ヴェスパーの第4隊長、後のアイスワーム殺しの英雄。
なまじ僚機が有名なせいで、名声がそっちに吸われている感は否めない。
単独で挙げた主要な戦果が、どれも公表できないものであることも相まって、俺の実績は実態以上に低く見られていた。
そんな俺と、傭兵支援システムの特権をフルに行使できる向こう。
社会的信用という土俵での勝負では、勝ち目がないことは明白だ。
こいつらの計画を阻止したいのなら、もっと別なアプローチの方が良い。
例えば、コーラル争奪戦の勝者をオーバーシアーか解放戦線にするとかだ。
……そう結論を出し、俺はこう言い放った。
「……いくらくれるんだ?」
その後。
2大企業は各地で封鎖機構に対する追撃戦を繰り広げ、泥沼の戦いの果てに彼らをルビコン3から一掃した。
その過程で、両社ともに少なくない損耗を出したが、ある程度封鎖機構の兵器を鹵獲することにも成功したようだ。
ウォッチポイント・アルファを前に消耗した両社は、鹵獲兵器の活用方法の模索に専念し、調査の方は独立傭兵などの消耗しても構わない戦力を使う方針で一致している。
そんな折、追撃戦で大量の実績を稼いだ独立傭兵ケイト・マークソンと独立傭兵パラナは、連名で
その内容は、
それそのものは問題ではない。だが、その開発プロジェクトにアーキバス傘下企業であるシュナイダーの関与が疑われるとして、アーキバス内では騒ぎになっているようだ。
……奴らは、自分のアドバンテージを最大限活用する方針らしい。
来たるウォッチポイント・アルファの調査は、大きな波乱を抱えたまま始まるのだった。
イオタ/マインドΙ
UNIT
R-ARM UNIT:
L-ARM UNIT:
R-BACK UNIT:
L-BACK UNIT:
FRAME
HEAD:20-082 MIND BETA
CORE:07-061 MIND ALPHA
ARMS:VP-46S
LEGS:06-041 MIND ALPHA
INNER
BOOSTER:BST-G2/P04
FCS:FC-008 TALBOT
GENERATOR:VP-20C
EXPANSION:PULSE ARMOR
【挿絵表示】
解説
イグ……謎の美少女傭兵パラナちゃんの機体。
何とは言わんがアンケートの結果、盾をメインにしたコンセプトになった。
ガン盾しながらガトリングを撃ち、相手がスタッガーしたらヨーヨーで殴る。
こっちがスタッガーしそうならパルスアーマーで踏み倒す。そんな感じ。
マインドΩと合わせて、キャノンヘッド、ヘッドブリンガーのコンビと対比させている。
向こうはキャノンヘッドが前衛で、後ろからヘッドブリンガーがチクチクするのに対し、こちらはマインドιが前衛で、後ろからマインドΩが砲撃をかます。
やっぱ相方が情けないと否応なしにまともになるんやなって。
ちなみにΙ(イオタ)とは、9番目のギリシャ文字。
ラスティの
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さわやかなところが見たい
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曇ってるところが見たい