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AAP03:ENFORCER/Enforcement System
IA-C01:EPHEMERA/Enforcement System
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「――――――――!」
「ユーリ! 下だ!」
「わかった」
こちらを狙う砲台に、レーザーキャノンに、光波に、ミサイル。
それらから逃れるため、俺達は迷わず崖から飛び降りた。
敵が立っているのは、高炉の外縁部、張り出した足場だ。
その下に潜り込めば、射角を切れる。
攻撃の雨を掻い潜りながら、すり鉢状の斜面を滑り降り、高炉下部の足場を目指す。
「やはり、ここもか……!」
降りていけば、いくつか異常な点に気が付いた。
まず、弾避けになりそうな障害物は軒並み撤去されている。
その上、深度1と同様すべての足場に放電型の汎用兵器が敷き詰められていた。
「わたしが、かたづける」
その言葉と共に、足場にプラズマミサイルを撒く「ボイジャー2」。
幸い、足場には汎用兵器以外見当たらない。
脆い汎用兵器たちが一掃された足場に、2機が降り立った。
着地するや否や、追撃を想定し、上を警戒する。
しかし。
「深追いは……してこないのか……?」
こちらが死角に逃げ込んだにもかかわらず、ほとんどの敵は追ってこない。
「エンフォーサー」は高速機動形態に変形し、射角の通る足場に飛び移って狙撃してきているが、寄ってくる気配はない。
高炉の防衛など、毛程も気に留めていないと言わんがばかりだ。
「ユーリ、少し確認することがある。ついてきてくれ」
そう言い、さらに下を目指す。
狙撃を回避し、汎用兵器を潰しながら足場を伝い、高炉の入り口がある隔壁に近づいた。
「やはり、か……」
見れば、隔壁には道中俺がやったことと真逆の処置がされていた。
つまり、閉じた状態で、開閉できないよう破壊されている。
チェーンソーを使って、時間をかければこじ開けられなくもないが、狙撃を避けながら開けるのは無理だ。
「やはり、上に行って連中を片付けるしかないな……」
「――――――――――――――」
「うん」
「ゴード、どうするの?」
「あぁ、そうだな……」
しばし考えてから、作戦を伝える。
「……これで行くか」
「うん、わかった」
「……よし」
合図とともに、ABを起動する2機。敵のいる上を目指す。
高炉の外縁部に降り立てば、そこに無人AC「エフェメラ」と人型形態に変形した「エンフォーサー」が立ちふさがった。
俺たちはそれを素通りし、2手に分かれる。
「安い奴から片付ける」。いつだか言った話だ。
俺が右回り、ユーリが左回りに、封鎖兵器と砲台を潰して回る。
当然、奴らも追ってくる。俺の方には「エフェメラ」が来たようだ。
追いながら光波とプラズマを放ってくる。
問題ない。
無人機故か、奴の狙いは酷く単純で、読みやすい。片手間に避けるのも容易かった。
馬鹿正直な攻撃を回避しつつ、砲台を斬り裂き、封鎖兵器を蹴落とす。
それを繰り返し、あっさりと円状の外縁部を半周。「ボイジャー2」と合流した。
「そっちも済んだか!」
「うん」
「なら、次だ」
言葉を交わし、俺は直進。ユーリは振り返った。
共に見据えるのは、ACの倍ほどの大きさをした人型、「エンフォーサー」だ。
「跳べ!」
地面に叩きつけられたエネルギーパイルによる衝撃波を跳んで躱し、接近。
至近距離で銃弾と拡散レーザーを大量に撃ち込む。
蓄積するACS負荷。
だが、まだ
ACS負荷が8割を超えた辺り。そこで攻撃を緩め、ACS負荷を維持するにとどめる。
同時に、「ボイジャー2」は一切の攻撃を停止。「エンフォーサー」のターゲットを俺に固定する。
そのまま、足場の縁に立ち、消極的な射撃を続ける。
「エフェメラ」からの横槍を避けつつ、しばし撃ちあっていれば、「エンフォーサー」が右手の複合エネルギー兵装を振りかぶった。
やはり、無人機。至極読みやすい。
エネルギーを収束させての突きに対し、アサルトアーマーを起動。
敵が
そのまま、チャージなしでチェーンソーを振るう。相手を深く抉るのではなく、表面の
その部位とは、
そして、飛び退いた。
「ユーリ!!」
「うん」
入れ替わるように、「エンフォーサー」の背後に接近する「ボイジャー2」。
その両手には、チャージされたエネルギーが光っている。
「ばいばい」
言葉と共に、両手のエネルギーを同時に叩きつける。
2発の収束レーザーをモロに受け、吹き飛ぶ「エンフォーサー」。
その先に、足場はない。
メインブースタがイカれ、その重量を支える推力などどこにもない巨体は、成す術もなく網目状のレーザー障壁に落下していった。
「さて、次だ」
敵の片割れを撃破し、もう片方に意識を向ける。
先ほどまでやや遠巻きに射撃していた「エフェメラ」。
その動きが、突然止まった。
ブースタを切って着地し、
そのまま、どこか愉しそうに両手を広げ、辺りを見渡す。
しばらく、そうした後。
ゆっくりと、肩越しに、こちらへ振り向いた。
人間なら。
これが人間なら、なんてことの無い所作だ。
「どこかのアニメで見た構図だな」なんて、くだらない感想を覚えたかもしれない。
だが。
機械の、それも無人制御のそれが取ったその動きは。
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IA-C01:EPHEMERA/Unknown
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ただただ、気味が悪かった。