転生したらモンキー・ゴードでした   作:NEST中毒者

44 / 99
技研都市防衛②

 

「アーキバス部隊の接近を確認。総員、迎撃を開始してください」

 

 オペレータの声とともに、アーキバスの軍勢が姿を現す。

 その先陣を切るのは、ベイラム側と同じく、BAWS製MTと封鎖機構兵器の混成部隊だ。

 

 早速それらに近づき、迎撃を開始する。

 押し寄せるMTを次々と撃ちぬいていったところで、奇妙な点に気づいた。

 なんというか、動きが普通じゃない。

 

 まるで正気を失ったような、胡乱な動きだ。

 

 しばらく戦っていれば、オープン回線から多様な声が響き始めた。

 

「コード5……コード5……コード5……」

 

「アーキバスこそが……飢えた子供たちを救ってくれる……」

 

「排除……秩序を乱すものを……排除する……」

 

「コーラルよ……アーキバスと共に……」

 

「封鎖による秩序を……アーキバスによる秩序……」

 

「ああ、アーキ坊やが見える……ずっと、そこにいてくれたのか……」

 

「アーキュバス最高……」

 

 なるほど、アーキバスが鹵獲したのは兵器だけではない。

 数的不利を埋めるため、あらゆるリソースを最大限活用した結果がこれと言うわけだ。

 

「まったく、アーキバスも趣味が悪いですねぇ……」

 

 隣で五花海が毒づくのを聞きながら、「無人機」達を片付ける。

 

 見たところ、解放戦線由来の「部品」はBAWS製のMTに、封鎖機構由来の「部品」は封鎖機構の兵器に積まれているようだ。

 これなら、機種転換のための調整も必要ない。まったく効率的なことだ。

 

「排除……排除……排除……」

 

 セントリーMTが目茶苦茶に振り回してきたヒートカッターを躱し、ハンドガンを数発撃ち込んで撃破。

 彼らの不規則な動きは予測が難しく、多少厄介だが、あくまで多少程度だ。そこまでの脅威ではない。

 

「解放戦線だろうが、封鎖機構だろうが、どのみち我々の敵です! 気にする必要はありません!」

 

 五花海も、異常な敵に動揺する隊員達を鼓舞しながら敵を排除していく。

 

 だが、その鼓舞は数秒後、最悪の形で裏目に出ることになる。

 

「総長……見ていてください……必ずや戦果を……」

 

「こいつらを堕とせば……アーキバス碧色勲章ものだ……」

 

「総長の……アーキバスのために……」

 

 

 

「これは……! クソッ、そういう訳ですか、アーキバスどもめ……!」

 

 ……なるほど、わざわざオープン回線でうわ言を垂れ流していたのは、こういう訳か。

 

「その声は……まさかオデール、ガンジス、お前らなのか!?」

 

 友軍MT部隊の一人が、驚愕したような声を発する。

 それに、虚ろな声が答えた。

 

「オールバニー、貴様……()()()()()()を……裏切ったのか……?」

 

「オデール、何を言っているんだ……?」

 

「許さないぞ……スネイル総長から受けた恩を……仇で返すとは……」

 

「ガンジス、お前まで……!」

 

「俺たちの命は……アーキバスに預けると……誓ったのを忘れたか……」

 

「やめろぉ!! 止めてくれ!!」

 

 あっという間に恐慌状態に陥るレッドガンのMT部隊。

 

 実際、元レッドガンの「部品」は対して多くはなさそうだが、個性のないMTが大半を占める以上、誰がどれに乗っているかわからない。

 こうなってしまった以上、この「部品」たちは実際の戦闘能力以上の「性能」を発揮するだろう。

 

「っ! 皆さん、これはサンプリングした音声をAIで喋らせているだけのフェイクに過ぎません! 不快ならオープン回線を閉じていなさい!!」

 

 五花海がとっさに叫ぶ。

 

「今名前が挙がった部隊員は全員、死亡が確認されています! 以前、番号持ちにのみ通達がありました!」

 

「……そ、そうか、なら……!」

 

「そうだ、そうに決まっている!!」

 

 五花海の()()を信じた者、あるいは()()()()()たちは、どうにか奮起し、攻撃を再開する。

 だが、その動きはどこか投げやりで、前のめりだ。

 

 戦場は混戦状態に陥り、無秩序な戦闘が繰り広げられる。

 混沌とした戦場。そこに通信が入った。

 

「か、各員に伝達! 新たな機体反応が高速で接近しています!」

 

 その声が聞こえた直後、上空からプラズマの光球が降り注いだ。

 

「……っ!?」

 

「増援、ですか……!」

 

 プラズマが降ってきた先、上を見上げれば、そこには奇妙な機体があった。

 

 

 その異形は、背部のフライトユニットの形状から、辛うじて高機動型LCの改修機であると察することができた。

 

 だが、それ以外のすべてのディティールは、異常としか言いようのない様相を呈している。

 

 まず目についたのは両腕だ。

 

 本来であれば何かを掴むためにあるはずの腕は、第二のフライトユニット、あるいは翼とでもいうべき形に改造されており、腕としての機能を果たしているようには見えない。

 

 続いて頭部。

 

 本来あるべきものが取り外され、代わりにごく簡素なカメラユニットのみが取り付けられたそれは、首無し死体を連想させる。

 

 全身の装甲は取り外されており、代わりに取り付けられた整流板や増加ブースタの隙間からは、フレーム、配管、挙句コクピットブロックまでもが見て取れた。

 

 複雑なフロート状の脚部は、地面に降り立つことを想定しているようには見えない。最低限の措置として、小さなランディングギアが取り付けられている。

 

 そしてその前面から伸びたロボットアーム、二本のツメだけの簡素なそれが、プラズマライフルを吊るしていた。

 

-----------------------------------------------

AA18Asc:SCHWALBE/Device Sc134

-----------------------------------------------

 

「空力……空力……空力……空力……」

 

 他のアーキバス部隊と同様にうわ言を垂れ流しながら、それは吊り下げられたプラズマライフルをこちらに向けた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。