転生したらモンキー・ゴードでした   作:NEST中毒者

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技研都市防衛⑦

 

 

「呼んだか? スネイル」

 

 レーザーで吹き飛んだビルの陰から出てきたのは、V.Ⅰ(ヴェスパー・ワン) フロイトだ。HCの改修機……と思しき機体、「ディクリプター」に乗っている。

 

「……いつから聞いていたのですか? フロイト」

 

「ああ、最初からすべて聞いていたぞ。だが、そんなことは重要じゃない」

 

「一体、何を……」

 

「そこの独立傭兵、そいつを譲ってくれ、スネイル」

 

「……何を言っているのです、さっさと離脱して持ち場に戻りなさい」

 

「離脱……? いいやダメだ、やらせてくれ」

 

「………………」

 

 何を言っても無駄と判断したのか、「アーキバス・バルテウス」は踵を返す。おそらくフロイトの持ち場へ代わりに向かうのだろう。さっきの大回転でストレスを発散して、頭も冷えたらしい。

 

 一瞬武器をフロイトの方に向けた気がしたが、おそらく気のせいだろう。

 

「……逃がすか! この野郎!」

 

「逃げるな、この卑怯者が!」

 

「普通のスネイルかと思ったら、メタルスネイルでした!」

 

 先の非道を行った主犯が立ち去ろうとするのを見て、追撃を試みるMT部隊。

 

「皆さん、退がりなさい!」

 

 それを、五花海が制した。

 

「ここからは、本当に我々は足手纏いにしかならない。 ……よろしいですね? G14」

 

「ああ、そっちの方が助かる」

 

 返答を聞き、五花海はMT部隊を連れて移動する。

 そのまま、今度は後方支援すらできない距離まで退がった。

 

「用は済んだか?」

 

 それを、何をするでもなく眺めていたフロイトが言った。

 

()()()()()()()? 独立傭兵 モンキー・ゴード」

 

「ああ、()()()()()V.Ⅰ(ヴェスパー・ワン) フロイト」

 

「さあ、刺激的にやろうか」

 

 言葉と共に、「ディクリプター」は跳び上がり、右肩の武器をこちらに向ける。

 その巨大なノズル――それは、火炎放射器。「バルテウス」の象徴的な武器だ。

 

 瞬間、それが火を噴いた。チャージして撃ち下ろされるそれは、着弾と共に爆炎を上げ、地面を焼き払う。

 

「いいだろ、これ。誰でも一度は使ってみたくなるよな?」

 

 上昇して爆炎を避けたこちらに対し、右腕のライフルが向けられる。

 本来、LCやその高機動型に装備されている、長銃身のもの。だが、本来グレネードランチャーを懸架している銃身下部には、奇妙な長方形のユニットが取り付けられていた。

 

「さて、次はどれを使おうか……」

 

 ライフルで軽く牽制した後、新しい玩具で遊ぶ子供のような声で武器を切り替えるフロイト。

 

 次に構えたのは、左手。

 その手に持ったパルスバッシュシールドから光の杭を発生させると、こちらを串刺しにするべく突っ込んで来た。

 

「チッ……!」

 

 アサルトアーマーは、先程「アーキバス・カタフラクト」に使ってから、まだ回復していない。

 迎撃はできない。タイミングを合わせて回避。

 

「やはり、避けるよな!」

 

 だが、攻撃はそれで終わりではない。

 「ディクリプター」は、冷却に入ったパルスバッシュシールドの代わりに、右のライフルを振りかぶった。

 

 その銃身下部に取り付けられた、長方形のユニットが展開する。

 赤熱するそれは、ヒートカッター。セントリーMTが装備しているものだ。

 

「……少し前、スネイルに内緒でオールマインドにログを送ったんだ」

 

 ライフルの長銃身を活かしたリーチの長い切り払いを放ちながら、フロイトは続ける。

 

「そしたら、いくつかのパーツと一緒に、バズーカが届いたんだよ。銃剣付きの」

 

 銃剣を避ければ、今度は左だ。出の早いシールドバッシュを、飛び退いて躱す。

 

「だが、銃剣には特に意味は無かった。 ……俺は、ガッカリした」

 

 シールドバッシュを避ければ、次は火炎放射器。

 噴射し続ける炎を剣に見立てて、回転斬りを放ってくる。

 

「つまり何が言いたいかと言えば、今のマイブームはマルチウェポン――」

 

 回避した先で、何かがキラリと光った。

 

()()()()()()()()

 

 とっさにチェーンソーに持ち替え、振るう。

 空を切るかと思われたそれは、何かを切断した。

 

 2つのドローンを繋ぐように張られていたそのワイヤーは、数拍おいて爆発する。

 切断したことで直撃は避けたが、爆発の余波で衝撃が蓄積してしまった。

 

「少し前、()()()()()()が面白いものを見せてくれてな? 俺なりにやってみたくなったんだ」

 

「誰だよ、それ」

 

「さて、まだやってみたいことは山ほどある、最後まで付き合ってくれよ?」

 

 心底愉しげに語るフロイト。

 

「…………」

 

 さて、ここまでは防戦一方だ。

 間髪入れない初見の攻撃に、躱すことしかできなかった。

 

 だが、その間にアサルトアーマーは回復した。

 

 もちろん、それは相手も気付いているだろう。

 ここからは、カウンターを考慮した動きで来るはずだ。

 

 だから、カウンターに対応できない程懐に入らせる。そういう風に、誘い込んでやる。

 

 こちらが削り切られる前に、1発でもアサルトアーマーを直撃させる。それが勝利条件――

 

 

 

 

「き、緊急事態です! 直ちに戦闘を停止してください!」

 

 突然、ベイラムのオペレータの声がした。

 

 

 

 

「ベイラム、アーキバスの両社上層部により、一時休戦と共同戦線が合意されました! 直ちに戦闘を停止してください!」

 

 ……共同戦線だと? ()()()()()()()()

 

「そうか、スネイル。了解――」

 

 目の前のフロイトも、同じ通達を受け取ったらしい。

 

「――――――――――――」

 

「……ほう?」

 

 通達を無視して戦闘を続行しようとしたフロイトだが、何かを聞いてそれを止めた。

 

 ……こちらも聞いてみるか。

 

「一体何があったんだ? 共同戦線とは、何に対してだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「共同戦線の対象は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、『オーバーシアー』です!! ()()()()()()2()()()()()()()で、その存在と目的が判明した模様!」

 

 

 

 




AA22F:DECRYPTOR

解説

フロイトの新しい玩具。
封鎖機構のアレを使ってみたい、遊んでみたいを詰め込んだ機体。

一応HCをベースにしているが、武装は全とっかえ。

右手:長銃身ライフル+ヒートカッター
LCとその高機動型が持っているライフルに、セントリーMTのヒートカッターを着☆剣したもの。ライフルは衝撃値が高く、長銃身で銃剣のリーチも伸びる。

左手:パルスバッシュシールド
「企業勢力迎撃」で出てくるHCが持っていたヤツ。シールドとしても近接武器としても使えるが、フロイトはもっぱら近接武器としてしか使っていない。

右肩:火炎放射器
バルテウスが装備しているアレ。ナパームのように着弾地点で爆発し焼き払うモードと、近接武器のように振り回せるモードがある。ヒートカッターとシナジーでACS異常も狙える。

左肩:トリップワイヤードローン
どっかで見た爆導索が面白かったのでレーザードローンを改造した。
いろんな使い道がある。

全体的に武装が大型化している分、実は装甲を若干省略している。
シールドをあまり使わないこともあって、通常のHCより若干柔らかい。


名前の「ディクリプター」は、暗号解読者、解読器という意味。
物理的な鍵を開ける「ロックスミス」に対して、暗号鍵を開ける「ディクリプター」的な。

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