俺達を待ち受けるように立つ、レッドガンの精鋭4機。
それぞれが、封鎖機構から鹵獲した兵器をベイラムの技術でカスタムした機体に乗っていた。
「一応、聞いておきましょうか」
そのうちの1機、高機動型LCの改造機が前に出る。
レッドガンの3番手である五花海が乗るそれは、肩のフライトユニットはそのままに、右手にガトリングガン、左手にパルスシールドを装備していた。
「こちらに付く気はありませんか? G14」
聞き覚えのある台詞。
「貴方は、この前のスウィンバーンのような小物ではない。はっきり言って、戦闘能力だけで言えば総長すら凌駕するでしょう。我々には最大限の待遇で迎え入れる準備がありますが、いかがですかな?」
……あまり、本気で言っているようには思えないが。
「
そう返し、ゆっくりと歩み寄る。
「……っ、ええ、では詳細を――」
俺がこう返すことは想定していなかったらしい。ややあって返答が返ってきた。
それを聞きながら、唐突に急加速。敵機の懐に飛び込む。
「な――」
反射的にパルスシールドを構えたLC高機動型に、アサルトアーマーを撃ち込む。
「貴方に……話が通じると……思ったのは、失策……」
それが、開戦の狼煙となった。
「っ、五花海さん! よくも!」
「レッド! 落ち着け!」
最初に突出してきたのは、
卑劣な騙し討ちにて上官を屠った俺に、左手のバズーカを向ける。
最初に騙そうとしてきたのは五花海の方だと思うが、まあどうでもいい。
「……レッド」
「っ……G13!」
こちらに向けたバズーカを発射しようとしたその刹那、横合いから飛んできた光波の斬撃がレッドの機体に突き刺さった。レッドは一瞬そちらに気を取られ、射撃が疎かになる。
それを見逃さず、ニードルガンを斉射。
「レッドガンの……悪夢……」
「……ごめんね」
すかさず接近した「ボイジャー1」が、両手の収束レーザーで改修型エクドロモイを貫いた。
「G3、G6が、こうも早く……!」
「嘘だろ、クソが……!」
後衛の2機が介入する間もなく前衛が撃破され、彼らに動揺が走る。
当然、その隙を見逃すはずもない。一気に畳みかける。
間髪入れずにABを起動し、突撃。
次の標的は、
「……っ!」
一瞬遅れて、ナイルの改修型重装HCがミサイルを斉射。
連装型が30。垂直型が36。低速高誘導型が10。通常のACには到底搭載不可能な物量のミサイルが一斉に殺到した。
問題ない。
いくら弾数を増やしたところで、それらは既知の軌道から何ら逸脱してはいない。
体に染みついた回避軌道が、ミサイルの大半をいなす。
「その程度、読んでいるとも」
だが、ミサイルを得意とするナイルにとってはそれも想定内らしい。
ミサイルを回避して飛び込んだ先に、置くように左手の超大型リニアライフルが突きつけられた。
「こっちもな」
チェーンソーをチャージしながら構え、前進する。
高速回転する超硬質の刃は、突きつけられた銃身の先端を挽き潰した。
弾丸を電磁加速させる役割を持った銃身部が半ば潰されたことで、弾丸の威力は激減。チェーンソーの刃で止まる。
「くっ……!」
さらなる追撃を加えるべく、前進しようとする。
「クソ、俺を無視してんじゃねぇ!」
だが、進もうとした先を巨大な車体が横切った。
元になった機体よりさらに重装化されたそれの体当たりは、恐るべき威力だろう。
「ナイルさん、あんたは下がってくれ! 俺が前に出る!」
「そうしよう、ヴォルタ……!」
言葉を交わし、改修型重装HCはミサイルによる援護に徹するべく後退する。
俺を見据えたまま。
その背に、1発の収束レーザーと、光波が命中した。
「が、G13……!」
「…………」
ナイルの機体を
ちょうど、こちらに向けてパスするように。
「……っ、クソ……!」
飛んできたそれに、チャージしたままのチェーンソーを抉り込む。
その刃はいつも通りにコアの中心めがけて貫通し、大穴を開けた。
残り1。
「ち、畜生……化け物どもが……!」
1人残され、言葉に恐怖が滲むヴォルタ。
だが、その動きは冷静で、的確だ。
決して敵機を正面に捉えないように動き、正面に入られれば即座に急加速。
もとよりタンクACを乗機とする彼の動きは、封鎖機構のそれも、アーキバスに鹵獲されたそれも凌駕していた。
「どう、する?」
「……そうだな、俺が隙を作ろう」
そう返すと、右のニードルガンを仕舞い、代わりに
そのまま、「ベイラム・カタフラクト」に突撃した。
「クソが! 死にやがれ!」
言葉と共に、こちらに背を向けたままの敵、その砲塔だけが動く。
直後に放たれたのは、連装レーザーキャノンの代わりに装備された多連装グレネードキャノン。
横一列に5門並んだそれは、それぞれがACの持てる最大の砲と同等の口径だ。
上に逃げて直撃は避けるも、余波だけでかなりのダメージと衝撃。
だが、やり過ごした。
そのまま急接近。右手に握り込んだものを、後部の履帯と装甲の隙間に押し込んでいく。
「……っ何だ!?」
その直後、「ベイラム・カタフラクト」の動きが鈍る。
後ろ半分の履帯が異音を立てて停止したのだ。
履帯は前後で独立しているため一切動けないわけではないが、機動力は文字通り半減だ。
「クソ! テメェ、何しやがった!?」
ヴォルタがどれだけ後部履帯を動かそうとしても、それはビクともしない。
先ほど履帯に押し込んだのは、ニードルガンのマガジンから取り出した細い杭だ。
エルカノの得意とする鍛造技術で作られたそれは、そう簡単に折れることはなかった。
「今だ、ユーリ」
動きの鈍った「ベイラム・カタフラクト」に、「ボイジャー1」が突貫。至近距離で拡散レーザーを撃ち込んで
「畜生……どこに消えやがった……イグアス……」
締めに放たれたアサルトアーマーが直撃し、「ベイラム・カタフラクト」は炎を上げて爆散した。
補給シェルパを呼んで補給を済ませ、先に進む。
次は、レーザー障壁と高炉のあった深度3だ。
そこに到達すれば、今までと毛色の違う敵が待ち受けていた。
丸いコンテナのようなMTに、小型の4脚MT。
ガードメカを改造した奇妙な兵器。
そして、2機のACと、無改造の特務
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「そこに……いるのは……」
Captured AC Ov-001/“Cinder” Carla
「標的確認……排除開始……」
AAP07:BALTEUS/“Chatty” Stick
「俺様は……無敵……」
Captured AC Ov-002/“Invincible” Rummy
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封鎖機構ベイラムカスタムの解説
ベイラム改修型高機動LC
五花海の機体。フライトユニットのミサイルはそのままに、腕をガトリングとパルスシールドに変えた。
基本的な動きは元の機体とあまり変わってない。
ベイラム改修型エクドロモイ
左手にバズーカを持たせた。右は元のマシンガンのまま、肩のミサイルもそのままで、わりと変わってない。
ベイラム改修型重装HC
右手と両肩に、AC用のミサイルを無理やり連装化したものを満載している。
連装ミサイルが30、垂直ミサイルが36、高誘導ミサイルが10発と狂った量だが、これでもバルテウスの約半分。でも隙や回転率の面ではこっちの圧勝だと思われる。
左のリニアライフルもAC用よりかなり大型のものを使っており威力が高い。
ベイラム・カタフラクト
レーザー砲台の代わりにEARSHOTなみの口径を持つ砲を5門付けた。
あと、実は履帯前部に自衛用の実弾オービットがついていたりしたが、出す間もなく終わった。
カタフラクト以外は割とそれぞれのメンバーが元々乗っていたACの武器構成に寄せている。その方が機種転換訓練がやりやすそうだし。
あと、ファーロン出身のミシガンがミサイルをそんなに使ってなくて、彼を引き抜いたナイルがミサイルを使いまくってるのって、彼なりのファーロンへの義理立てとかなんですかね?