転生したらモンキー・ゴードでした   作:NEST中毒者

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バスキュラープラント襲撃⑤

 

「あの機体は……」

 

「……ラミー、チャティ……カーラ」

 

 深度3、高炉の残骸を中心に広がる足場にて俺達を待ち受けていたのは、アーキバス主導で壊滅させられたRaD……その改造MT達と2機のAC、そして「バルテウス」。

 

「敵……あいつらをやれば、薬……コーラルがもらえる……」

 

「脳ミソ……パチパチ……」

 

 こちらの姿を認めた改造MT達は、うわ言を発しながら一斉に武器を構える。

 

「アーキバスの……いや……あいつらの遺志を……」

 

「メッセージ送信を試行……エラー。最上位命令『敵対勢力の排除』を優先……」

 

「スネイル閣下……見ててくださいよぉ……」

 

 「フルコース」と「マッドスタンプ」の面影を残したACと、「バルテウス」も同様だ。

 それらから放たれたのは、暴力的な数の弾丸、砲撃、ミサイル。

 

 奇しくも、最初にここへ来た時と同じ状況だ。

 故に、対処法もこの前と同じ。

 

 下に逃げ、張り出した足場からの射角を切る。

 垂直軌道のプラズマミサイルが掠めるが、無事に下部の足場に退避できた。

 

 下を見る。

 

 かつてあったレーザー障壁は消えたままだ。その気になれば、このまま技研都市まで進むこともできるが。

 

「ユーリ、ここで迎え撃つぞ」

 

「うん」

 

 だが、挟撃のリスクと補給シェルパが絶たれるリスクを考えれば、後顧の憂いを断っておくべきだ。

 

「コーラルが……恵みが――」

 

「待て……待――」

 

 迎撃態勢を取ると、敵もこちらを追って降りてくる。

 だが、改造MT達がこちらに辿り着くことは無かった。

 それらはまともに落下制御もできずにボトボトと足場から落ち、岩に叩きつけられて自滅していく。

 

 ……まあ、元々胡乱なドーザー達を無理やり「部品」にすれば、こうもなるか。

 

「障害を……排除しなければ……」

 

「エラー……エラー……エラー……」

 

「俺に……勝てるもんかよ……」

 

 まともに追ってきたのは「フルコース」と「バルテウス」、そして辛うじて「マッドスタンプ」くらいだ。

 

「俺は……最強で無敵の……ラミー様だぁ……」

 

「ラミー……」

 

 迂闊に突出してきた「マッドスタンプ」に2機の集中攻撃が突き刺さる。

 素で低い実力をアーキバスの処置でさらに鈍らせた彼では、まったく相手にならなかった。

 

「俺の……マッド、スタンプ……」

 

 一瞬で爆散する「マッドスタンプ」。その背後から、残りの2機が向かってくる。

 

「ああ……畜生、何が面白いっていうんだい……」

 

「メッセージ送信に失敗、メッセージ送信に失敗、メッセージ……」

 

 その2機が、一斉にミサイルを発射。

 「バルテウス」の超多連装ミサイルに、「フルコース」の多種多様なミサイル。それらは全て。

 

「ゴード!」

 

「俺狙いか……!」

 

 それらを、「フルコース」の方に接近しながら回避……しきれず、いくつかのミサイルを食らってACS負荷限界(スタッガー)に陥ってしまう。

 

「クソッタレが……笑えないんだよ……!」

 

 それを、"シンダー(灰かぶりの)"・カーラ……だった「部品」は見逃さない。

 

「コーラルも、企業も、技研(私ら)も……どいつも、こいつも……!!」

 

 その身に染み付いた反射で、接近してのアサルトアーマーを見舞う。

 

 ……ああ、分かっていた。だからこそ、近づいてからミサイルを受けたのだ。

 

 展開されたパルス爆発が直撃する前に、こちらもアサルトアーマーを起動。

 

「……カーラ」

 

 姿勢安定性に優れる「フルコース」はそれだけでACS負荷限界(スタッガー)に陥ることは無かったが、間髪入れずに光波の弾と斬撃が突き刺さったことで体勢を崩した。

 

 すかさず、殴って動きを止めながらチェーンソーをチャージ。アーキバス製に取り換えられたそのコアを、貫く。

 

「ビ……ジ……あんた、は……」

 

「……僚機の全滅を確認。敵機の撃破優先度を算定、戦術プロトコル更新。最上位命令を続行……」

 

 「フルコース」を撃破した途端、「バルテウス」の動きが変わった。

 前衛となる僚機がいなくなったためか、火炎放射器を振り回しながらこちらに突撃してくる。

 

「チャティ……」

 

 狭い足場を火の海にしながら、逃げた先にキャノンを撃ち込んでくるその動きは厄介だ。

 浮遊できる「バルテウス」には、地の利もある。

 

 だが、こちらにかまけ過ぎだ。

 

「みんな、ごめんね。でも、わたしは……」

 

 「バルテウス」の背後で、もう1つのアサルトアーマーが炸裂する。

 先ほどの応戦で若干削れていたパルスアーマーは、それを受けて消し飛んだ。

 

「敵機の挙動予測、計算完了。最上位命令、実行不能」

 

 前からは殴られ、抉られ。後ろからは、斬られ、突き刺される。

 高い耐久力を誇る「バルテウス」も、その猛攻には耐えきれなかった。

 

「メッセージを送信……ボスからの……伝言……」

 

 瞬く間にスクラップ寸前になったそれは、ジェネレータを暴走させ始める。

 

「『ビジター、アンタだけでも、笑っててくれ』……要件は、それだけ……」

 

「っ……でも、わたしは……」

 

「爆発するぞ! 離れろ!」

 

「っ……!」

 

 遅れてユーリが離れた後、「バルテウス」は橙の炎と共に大爆発を起こす。

 

「じゃあ……な……」

 

「……うん、さよなら。チャティ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あと、ちょっとで……」

 

「……少し、待ってくれ」

 

 長い洞窟を抜けて、技研都市に辿り着く。道中に大した防衛戦力はなく、すんなり辿り着くことができた。

 そして、それはここ(技研都市)も同様だ。こうして都市に入っても、特に敵は来ない。

 ……まあ、予想通り。障害物が多くて入り組んだ技研都市では、多対少の防衛はやりづらいだろう。

 

 戦力を集中させるなら、()()()のはずだ。

 

 ……それも考慮して、対策をして来た。

 あらん限りの、手を尽くして。

 

 しばらくすると、俺達を追って多数の機影が到着する。

 それは、補給シェルパ。残りのすべてが集結していた。

 

 さて。当然だが、物資を補給するためだけならシェルパは20機も要らない。

 

 どのみち補給できるタイミングは限られているのだ。

 スペアを考慮しても、20機は明らかに過剰だ。

 

 なので、その大半には()()()()が入っている。

 

 それらにコマンドを送り、技研都市の各地に配置。信号を送ればいつでも起動できるようにする。

 

「……それは?」

 

「ああ、これは――」

 

 補給シェルパの中身と作戦をユーリに伝えて、進む。

 

「――というわけだ。行くぞ」

 

「……うん」

 

 目指すは技研都市の中心部。バスキュラープラントだ。

 道中は特に何もなく、目的地である湖の前まで到達する。

 

 崖の上に立ち、下を見やる。

 

 

 

 そこで待ち受ける機影は、9()つ。

 

 

-----------------------------------------------------

 

「やはり、来たな。待っていたぞ」

 

AA22F:DECRYPTOR/V.I Freud

 

 

「チッ、使えない部品どもめ……」

 

AAP07A:ARQUEBUS BALTEUS/V.Ⅱ Snail

 

 

「来たか、G13、G14……!」

 

AAP07B:BALAM BALTEUS/G1 Michigan

 

 

「独立傭兵、なぜ貴様が……」

 

AA22B:BALAM HEAVY CAVALRY/G7 Hakra

 

 

「戦友……そして、モンキー・ゴード……!!」

 

STEEL HAZE ORUTUS [I]/Rusty

 

 

「待ってたぜ、野良犬……!」

 

IOTA/Paranà(Iguazu)

 

 

「―――――――!」

 

81-001 ANGL/Sera

 

 

世界の敵、オーバーシアー(貴方たちは)……貴方たちの野望は、ここで止めます(計画における異物なのです)

 

Kate Markson(ALLMIND)/TRANSCRIBER(MIND OMEGA)

 

 

「――――――――――」

 

IB-07:SOL 644/Ayre

 

-----------------------------------------------------

 

 ……よくもまあ、揃いも揃って。

 

 所属も目的もバラバラなこいつらも、「コーラルを焼かせない」という共通の目的では手を取り合えるわけだ。

 

 圧倒的な戦力。まさしく、絶望的な状況。

 

 

 構わない。

 

 ユーリ(惚れた相手)が、そうすることを選んだのだから。

 

  

 ようやく自覚した己の意味を、もう1度反復する。

 

 

 ……俺は、空虚な人間だったんだと、思う。

 共感も感動も、憎しみも罪悪感も、ほとんど無い。

 感情を持たないわけではないが、本当の意味で心が動いたことはなかった。

 

 それは、ここ(ルビコン)に来て傭兵として闘おうが、人を殺そうが、何をしようが、結局それは変わらなかった。

 

 ……なかったんだ。

 

 

 だが、あの海上で、初めて俺は。

 

 強い想いを以て、誰かのために何かを為そうとするユーリに、惹かれたのだ。

 

 そうだ。考えてみれば、簡単なことだった。

 

 ユーリに僚機要請(必要と)されて、あんなに心が躍ったのも。

 

 ユーリを理解しようともせず勝手な意味を押し付ける「ブランチ」の連中が癇に障ったのも。

 

 今の今まで気づかないなんて、我ながら馬鹿だ。

 

 だから、だから。

 

 

 アーキバスだろうが、ベイラムだろうが、解放戦線だろうが。

 

 オールマインドだろうが、コーラルだろうが。

 

 この惑星のすべてだろうが、人類種のすべてだろうが。

 

 

 全員、ブチ殺してやる。

 

 

 

 

 




フルコース(アーキバス鹵獲仕様)

UNIT
R-ARM UNIT:PFAU/66D(パルスミサイル)
L-ARM UNIT:WS-5000 APERITIF(包囲型ハンドミサイル)
R-BACK UNIT:Vvc-70VPM(垂直プラズマミサイル)
L-BACK UNIT:WS-5001 SOUP(散布型ミサイル)

FRAME
HEAD:HS-5000 APPETIZER
CORE:VE-40A
ARMS:VP-46
LEGS:2S-5000 DESSERT

INNER
BOOSTER:FLUEGEL/21Z
FCS:FCS-G2/P10SLT
GENERATOR:VP-20C

EXPANSION:ASSAULT ARMOR


【挿絵表示】


マッドスタンプ(アーキバス鹵獲仕様)

UNIT
R-ARM UNIT:VP-66LS(レーザーショットガン)
L-ARM UNIT:WB-0010 DOUBLE TROUBLE(チェーンソー)
R-BACK UNIT:Vvc-703PM(3連装プラズマミサイル)
L-BACK UNIT:Vvc-703PM(3連装プラズマミサイル)

FRAME
HEAD:DF-HD-08 TIAN-QIANG
CORE:DF-BD-08 TIAN-QIANG
ARMS:VP-46D
LEGS:VP-422

INNER
BOOSTER:BC-0600 12345
FCS:FCS-G1/P01
GENERATOR:VP-20C

EXPANSION:NOT EQUIPPED


【挿絵表示】



解説

アーキバスに鹵獲され、損傷部位をアーキバス系のパーツで補った2機。

フルコースはミサイルが4種になり、着弾タイミングを合わせれば非常に回避しづらくなった。あと若干軽くなり、ブースタも変わったので機動性が上がっている。

ちなみに現在シュナイダーはほぼ解体されており、パルスミサイルやブースタはアーキバスが接収したもの。


マッドスタンプは右がレザショになったことで射程が伸び、プラミサも追加して火力を上げている。なお中身。

換装部位から2人のやられ方が何となく想像できるかも。

チャティはAIということで、管理者権限で命令されて未改修のバルテウスに乗せられた。
最上位命令を何よりも優先するようにインプットされたが、最期にそれが詰んだと認識したことで自由を得た模様。

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