「どうした、返事が聞こえないぞ
「
「テメェ、なんで俺のことが分かって……!」
「ほう、しばらく見ないうちに随分声変わりしたなG5! 風邪でも引いたか、軟弱者が!」
「……礼は言わねぇぞ、クソジジイ!」
言葉を交わし、崖から降りてくる「ベイラム・バルテウス」。
同時に、それに追いつく機体があった。
「総長、一体どこに……」
「遅いぞG7! 見ろ、家出小僧のG5が見つかった! 帰ったら貴様もしこたま殴ってやると良い!」
「んだと、ジジイが……!」
「……あの子供みたいな声がイグアス……? いや、しかしあの態度は……」
「G5、家出の言い訳は後でゆっくり聞いてやる! 今はG13とG14を落とすぞ!」
「チッ……!」
軽口を叩きながらも3機は素早く集結し、陣形を組む。
その正面を張るのは、「ベイラム・バルテウス」。
「さて、ベイラムの社是、物量による制圧とは何か……尻の青い新入りに教えてやろう!」
それは、全身に満載された重火器を一斉に構える。
右腕に、3門。
水平リング上に2門ずつ、計4門。
両肩側面に1門ずつ、計2門。
合計にして9門ものガトリング砲が、同時に回転を開始した。
「……っ離れろ!」
「うん……!」
スピンアップから発射開始までの、僅かなラグ。その間に全力で距離を取る。
その直後に放たれたのは、バカバカしいとしか言いようのないレベルの弾幕だ。
跳弾距離より内に入れば、ひとたまりもない。
「まったく、糞のような社是だろう? ……そら、次だ!」
俺たちが離れたのを見た「ベイラム・バルテウス」は、バックパックからリングを展開。
放たれたミサイルも、改修前とは一味違った。
元になった特務無人機「バルテウス」のミサイルは、数こそあるが軌道は画一的で、追尾性もそう高くない。
種が割れてしまえば、虚仮脅しとすら言ってしまえるものだ。
「ベイラム・バルテウス」のそれとは、まるで違う。
計8基の垂直リングの内4基を、分裂ミサイルに。
計6基の水平リングの内2基を、双対ミサイルに。
肩部上面のミサイルポッドは、高誘導ミサイルに。
機構が複雑化した分、総弾数と総火力は減少しているのだろう。
だが、対ACにおいては元のそれより遥かに効果的だ。
さすがに躱しきれず、
だが、それで終わりではない。
「ほう、流石はG13とG14。うちの役立たずの20倍では済まないな」
続けて放たれたのは、爆撃。
「ベイラム・バルテウス」の左腕に装備された連装大型グレネードと、それに追従したハークラーの改修HCの肩に装備された拡散バズーカとグレネードキャノン。
息の合った連携爆撃が、地面を爆発で埋め尽くす。
爆風に煽られつつも、上昇で回避。
「……ここまでが一区切りか」
さて。
近づけば大量のガトリングによる弾幕。
離れればミサイルとグレネードによる爆撃。
さらに、2機の随伴。
……こいつの、弱点は。
「……ユーリ」
「うん」
「――――をして、――――――してくれ」
「わかった」
秘匿回線で、簡潔に戦術を説明。
「行くぞ」
「……うん」
リロードが完了して爆撃が再開する前に、距離を詰める。
「ベイラム・バルテウス」のガトリング砲。その跳弾しないギリギリの距離に陣取る。
「来るか、G14!」
9門のガトリング、その圧倒的な弾幕がこちらを向く。
それ以上は、進まない。
ガトリングの有効射程、跳弾距離の線上で、照準を振り切る動きを取りながら反復横跳びする。
「そういう魂胆か……!」
明らかに、ガトリングの熱蓄積を狙った動き。
それでも、銃撃は止まらない。止められない。
このギリギリの距離。ガトリングを有効に使うには遠すぎるが、ミサイルとグレネードを使うには近い。下手に足を止めれば即座に喉元に食らいつかれるからだ。
かといって、ガトリングを完全に止めるのも良くない。完全に止めてしまえば、再発射までにラグが生じるから。
「ベイラム・バルテウス」が一番苦手な距離。幸い、重武装化の影響で機動力は原型機ほどではない。
このままこの距離に張り付き続け――
「させると思うか?」
「鬱陶しいんだよ、テメェ!」
当然、そうすれば他の2機が動く。
改修HCが左手の実体シールドを構えながら突っ込んで来て、右の連装ショットガンを放つ。
その後ろから、「ベイラム・バルテウス」のものではないガトリングの弾も飛んできた。
ハークラーの改修HC――シールドの裏に、何か装備されているな。形状からしてパイルバンカーか。
「ベイラム・バルテウス」との連携を前提にした、遊撃と追撃を担う機体――そういう設計思想だろう。
この布陣の前で
故に。
「ハークラー、お前から潰す……!」
連装ショットガンの散弾を躱し、ニードルガンを発射。
だがそれはシールドで受け止められ、反撃の拡散バズーカが向く。
……ああ、さっきの言葉は嘘。誘導だ。
改修HCが足を止めた瞬間、その脇をすり抜けて突撃。
「テメェ!」
「……イグアス」
パラナ……イグアスの方は、ユーリが受け持ってくれる。
「殴り合いが望みか、G14!」
全速力で突っ込む先は、「ベイラム・バルテウス」。
当然ガトリングが向く……だが、先ほどよりは弾幕が緩い。
熱が蓄積しているからだ。
当然ミシガンは歴戦の勇士……いたずらにオーバーヒートを起こすヘマはしないが、それでも熱管理のために発射数を落とす必要はある。
そうして緩んだ弾幕を、潜る。振り切る。
向かうは背後。「ベイラム・バルテウス」の背後だ。
そこには巨大なバックパックがあり、それが邪魔して後ろに武器を向けることはできない――というより、大半の兵器は真後ろへの攻撃を想定していないだろう。
そしてその旋回速度は、遅い。少なくとも、ACのクイックターンよりは遥かに。
「フン、小賢しいなG14……!」
これが、「ベイラム・バルテウス」の弱点。
その構造と重武装化による機動力の低下により、高速機で背後に張り付き続けられることを不得手とするのだろう。
「だが、想定済みだ!」
まあ、対策が無いはずもない。
ニードルガンと蹴りをいくらか撃ち込んだあたりで、「ベイラム・バルテウス」のコアユニットが紫電を放つ。
それを見た瞬間、全力で後退。
その直後に展開されたパルス爆発が機体を掠める。
ガトリングの弾幕によって、少なからずACSに負荷は溜まっていた。
直撃ではないアサルトアーマーも、その状態の「ジュピター」を
「G7!」
「はいッ!」
すかさず、改修型HCが左腕を振りかぶる。その手に持ったシールドが展開し、パイルバンカーが露わになった。
HCの姿勢安定性は高い。ACS負荷が一切蓄積していない状態なら、アサルトアーマーの直撃をギリギリ耐えるほどだ。
ハークラーも、それは承知の上だ。カウンターを考慮せず、全力で突っ込んでくる。
「終わりだ、独立傭兵……!」
アサルトアーマーを起動するものの、
その直前に、改修型HCの背後を光波が抉っていなければ、だが。
「なに……ッ」
そこに、チャージしたチェーンソーを振りかぶる。
――先ほどユーリには、こう伝えた。
「イグアスの相手をするフリをして、適当なタイミングでミシガンかハークラーの背中を刺してくれ」と。
当然だ。
そんな取るに足らない奴に、戦力の半分を割く? ナンセンスな話だ。
だからブラフを張って、伏せ札として使った。
ミシガンとハークラーの連携が厄介だったから。
そして、弱点。
チェーンソーを、振るう。
これをやるのは
HCでやるのは初めてだが、まあ成功せずともいい。気楽にやろう。
「貴様、何のつもりだ……!」
チェーンソーの、赤熱し回転する刃。
それは、改装HCを容易く爆散させ――ない。
それは綺麗に誘爆を避けて、コアブロックだけを切り出していた。
「情けのつもりなら――」
ニードルガンを仕舞い、右手を空ける。
そのまま切り出したコアブロックを掴み、「ベイラム・バルテウス」に向き直った。
「G14、貴様……!」
弱点。
「ベイラム・バルテウス」の弱点は、先ほど述べた通りだ。
搭乗者の弱点については、言っていなかったが。
「さあ、どうする! お優しい総長サマ!」
「そ、総長! 私に構わず、撃ってください!」
コアブロックを盾のように掲げ、左手でニードルガンを撃ちながら「ベイラム・バルテウス」に迫る。
「くっ……!」
僅かな逡巡。
とはいえ、彼は軍人だ。
「戦死者の何割かは同士討ち」――それくらいのシビアな思考は持ち合わせているだろう。
だから、コイツの命が惜しければ、なんて馬鹿げたことをするつもりはない。
これはただの一時的な弾除け。それと、
「総長、撃ってください! 総長――」
右手に持ったコアを、投げつける。
それを追うように、さらに前進。
その直後、「ベイラム・バルテウス」の背後でパルス爆発が起こった。
「G、13……!」
アサルトアーマーを放ったのは、「ボイジャー1」だ。
「畜生、野良犬! 俺なんか眼中にもないってか、こっちを見ろよ!!」
なおも消極的な射撃しかしないイグアスを容易くすり抜け、ミシガンの背後を取っていた。
とうとうパルスアーマーが剥がれ、
右を素手に、左をチェーンソーに。
チェーンソーの回転率を上げながら、右手をコクピットが増設されたであろう辺りに叩きつける。
「……G5」
しっかり3発殴ってから、罅の入った装甲にチェーンソーを突き立てる。
「最期に授業をしてやる、――――――――――」
その言葉を最後にして、「ベイラム・バルテウス」は動きを止めた。
「……んだよ、それ……ジジイが……」
残されたのは、1機。
「クソ、がああああああああああっ!!」
ミシガンの言葉で、何かが変わったのだろうか。
それは、打って変わって勇猛に突撃してくる。
今更だ。
「死ね、野良犬!」
「…………」
たった2門しかないガトリングの弾幕を、ユーリは容易くいなす。
「俺は、俺は……!」
「…………」
続いてプラズマ機雷投射機を振りかぶるが、返す刀で放たれた光波ブレードの斬撃に左腕ごと斬り飛ばされる。
「あああああああああああ!!」
銀色のACはオーバーヒートしたガトリングを捨て、右拳を振るう。
「…………」
近接攻撃推力の大して高くないブースタで振るわれたそれは、容易く迎撃される。1発目の収束レーザーで右腕を貫かれ、2発目がコアに命中。
「畜生……! 畜生が……!!」
俺はその背後にチェーンソーを振るい、コアを袈裟斬りに両断した。
「次こそは……テメェらを……」
機能停止した「
「……ねえ、ゴード」
「何だ?」
「……なんでも、ない……ごめん」
ほとんど晴れて来た、霧の中。
補給を済ませ、次の戦いに備える。
しばらくすれば、霧の向こうに見覚えのある緋い光が見えた。
「――――――――――」
「……エア」
それは、先ほど撤退した「SOL 644」だ。
コーラルアーマーは纏っておらず、破損した両腕の断面からはコーラルによる半透明の刃が形成されていた。
少し遠くに着地したそれに、「ボイジャー1」は向かっていく。
俺も、後を追おうとするが――
「……捜したぞ」
進路上に、ドローンが張ったワイヤーがきらめく。
振り向けば、そこには奇妙なHCの改修機が居た。
「もう限界だ……やらせてくれ、モンキー・ゴード」
ベイラム・バルテウス
ベイラムの社是、物量による制圧を体現したバルテウスの改修機。
重火器をこれでもかと満載している。
右手にもともとあった3連ガトリングはそのままに、水平リングの火炎放射器をガトリング2門×2に、左肩側面のキャノンもガトリングに換装、何もなかった右にもガトリングをつけた。
これにより計9門という弾幕の暴力を体現。
左腕には連装グレネードを装備。
ミサイルにも手を加えており、装弾数を減らす代わりに軌道を複合化することで回避難易度を上げている。
余談だが、通常バルテウスのミサイルは本来マルチロックでMT部隊とかの大軍を制圧するための物なんじゃないかなと書いてて感じた。
凄まじい火力を誇る反面、機動力は若干落ちておりアーキバス・バルテウスとは対照的。
ベイラム改修型HC
ベイラム・バルテウスとの連携を想定して改修されたHC。
右手は通常バルテウスが持っている連装ショットガン、左には裏にパイルバンカーが装着された実体シールドを装備。
肩は片方が拡散バズーカ、片方がグレネードキャノン。
ベイラム・バルテウスの砲撃支援や死角のカバー、スタッガーした相手への追撃を担当する。
今構想のあるもの(上ほどハッキリ決まってる、下ほどフワフワ)
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AMちゃんルートIF
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ヒロアカRTA ヒューマライズチャート
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「465、仕事の時間だ」「ん」
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無限ループ闇堕ち621
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TS魔法少女もの(オリジナル)