転生したらモンキー・ゴードでした   作:NEST中毒者

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歯が痛くて遅れました。




捕虜救出阻止②

 

「見つけたぞ……ルビコンの脅威……!」

 

 パイルバンカーで隔壁を破壊し、格納庫から姿を現したベイラムの量産AC。

 

「ベイラム製量産機と見られるACを確認。声紋パターンから、搭乗者はサム・ドルマヤンと推定されます。対処してください」

 

 オールマインドの指示を聞きつつ、回線を開く。

 

「……ルビコンの脅威、ね」

 

 ちなみに、手術の際に声も弄りまわされたため、今の声は元の面影すらない。

 まあ身バレ防止の観点からすれば妥当な処置だ。声質とかに思うところはあるが。 

 

「そんな風に呼ばれるようなことをやった覚えは、今のとこ無いんだが?」

 

「……分かるのだ。一度灰を被って生き延びた身故に、災厄の気配というものがな」

 

「……ほう?」

 

「新たなルビコンの脅威、故無き怪物よ……感じるのだよ。貴様を生かしておけば、ルビコンに待つのはどんな形であれ惨禍のみと……故に、ここで朽ちるがいい!」

 

「まったく、酷い言われようだ……な!」

 

 毒づくとともに、逆関節特有の脚力で地を蹴り跳躍する。

 その直後、立っていた場所に拡散バズーカの榴弾が降り注いだ。

 

「逃さん!」

 

 ベイラム量産ACが、更に動いた。地から足が離れ、逆間接の機動性が削がれたところに蹴りを入れるべく、ABを起動し突撃してくる。

 

 それに対して、こちらは左手の特殊バズーカを向けた。弾速の遅いこの武器でも、至近距離かつ相手がまっすぐ突っ込んでくるなら命中率は高い。

 

「甘いわ!」

 

 だが、敵の動きは予想以上に鋭かった。それはこちらの構えを見るや否や、AB中の左右移動とそれを即座にキャンセルしてのQBを併用することで疑似的な2段QBを行う。その動きで「アセンブラージュ」の背後に回り込むように移動すると、敢えてチャージしていないパイルバンカーを素早く飛び込みながら放ってくる。

 

「チィ!」

 

 その一撃は、横に逸れることでギリギリ回避した。だが、ドルマヤンの攻撃は終わっていない。

 間髪入れずに振るわれたのは、先程アサルトライフルを投棄して無手となった右拳だ。

 鈍い音と共に、衝撃がACS負荷となって「アセンブラージュ」を襲った。

 素手とはいえど、その衝撃量は元々持っていたアサルトライフルの1マガジン分に匹敵する。

 

 すなわち、アサルトライフルであれば撃ち切るまでの数秒間を要して稼ぐだけのACS負荷を、それを棄てた右腕はたった1秒足らずで稼ぎ切ってしまった、と言ってもいい。

 

「おいおい、アサルトライフルを棄ててしまってよかったのか? 幅広く支持されるロングセラーだって話だが」

 

「この状況なら、素手(こちら)の方が強い。そう判断したまでのこと!」

 

「……全く以て、同感だな!」

 

 ブースタを切って自由落下し、真下に逃げることで続く拳を回避。

 空振りした隙を狙ってライフルの3点バーストを撃ち込みつつ、ロックオンが完了した特殊ミサイルを放った。

 

 続けて撃ち下ろされる4連ミサイルを躱しつつ、爆導索に追われるベイラム量産ACを追撃すべく動く。

 

 同時に、オールマインドから通達が入った。

 

 

「解放戦線の部隊から、ベイラムACへの通信試行を確認。情報を引き出すため、ジャミングなしで傍受します」

 

「……父、そこにいるのですか、帥父!」

 

 聞こえてきたのは、ヘリの操縦士と思われる男の声だ。

 

「帥父が、何故ベイラムのACに乗っているのです! まさか、自力で脱出を……?」

 

「なに……少し看守を()()()()ところ、()()()鍵を落としただけの事……それと、今の私は帥父ではない。アーシル」

 

「……どういう意味です?」

 

「今はただ、立場も警句も余燼も関係ない、1人の臆病な老い耄れに過ぎないということだ……!」

 

 言葉と共に、ベイラム量産ACが急激に上昇する。同時に拡散バズーカが再び動いた。

 高空から放たれたことで、更に拡散する榴弾。完全には躱し切れず、その1つを受けてしまう。

 

 だが、それと時を同じくして、炸裂した2つの爆導索がベイラム量産ACを巻き込んだ。

 

 2機は同時にACSの限界を迎え、一時的に動きを止める。

 

 両者、痛み分けの形。

 互いに致命打には至らない程度の損傷を負いつつ、戦いを仕切り直す。

 

「識別名、モンキー・ゴード。ベイラム施設のデータベースより、対象ACの構成データを入手しました。確認してください」

 

「……そっち(モンキー・ゴード)で呼ぶんだ」

 

 コンソールに、相対するベイラム量産ACのデータが表示される。

 外見で判別できない内装データに素早く目を通せば、それは実に標準的なものだ。

 ファーロン製の第2世代標準ブースタに、ベイラムの強襲作戦向けFCS、大豊の中量ジェネレータ。

 

 パイルバンカーという強力な近接武器を持つ機体を、右手のアサルトライフルを棄てることでさらに近接戦に特化させたドルマヤンだったが、機体の腕部やブースタはさほど近接特化と言うわけではない。

 だが逆に言えば、()()()()()()()()()()()()()()()()と言うことだ。まったく恐ろしい話である。

 

 だが同時に、勝機に繋がる情報を入手することもできた。

 それは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。

 

 近接にアサルトアーマーで返すのは定石だが、相手もアサルトアーマーを装備している場合はその限りではない。

 アサルトアーマーに対してアサルトアーマーを返したなら、後に出した方が勝つ。

 

 迂闊に使えば、死に繋がるわけだ。

 相手がパイルバンカーを有しているならなおさらのことである。

 

 だが、その懸念は無くなった。

 これなら、憂いなくカウンターが出来るというものだ。

 

「いい情報だ、オールマインド。助かったよ」

 

「……えっ?」

 

「えっ」

 

「……ああいえ、引き続き対処してください」

 

 ……良く分からんが、ともかくこれで確たる勝ち筋が出来た。

 膠着を破るべく、こちらから接近戦の構えを取る。

 

 だが、実際に膠着を破ったのは俺ではなかった。

 

 それは、降り注いだ大量のミサイルだった。

 連装、垂直、高誘導。

 様々な種別、軌道のミサイルが、「アセンブラージュ」を襲う。

 

「解放戦線が蛮勇にも……という訳でも無いな……一体何が起きている?」

 

 それを放った主は、ベイラムと大豊のフレームで固められ、大量のミサイルを搭載した重量2脚AC。

 レッドガンの2番手にして参謀、G2(ガンズツー)ナイルが乗機、「ディープダウン」だ。

 

「総員、降下開始! 得体の知れない状況だ、油断せずかかれ!」

 

「「「了解です! 副長殿!」」」

 

 上空の輸送機から降下してくるそれの後に、多数のベイラム所属MTやドローンが続く。

 3つの勢力が入り混じり混沌とする戦場に、その場にいる誰もが気を張り詰めさせた。

 

 

「あっ、機体反応が接近……していましたね。機体データの抽出に注力していて気づきませんでした」

 

「……………」

 

 ……約1名(?)を除いて。

 





AMちゃんルートでは、本編であまり焦点の当たらなかったキャラにも注目していきたいと思っています。

初期ブースタ、FCSの価格

  • もっと安い
  • 10,000くらい
  • 20,000くらい
  • 30,000くらい
  • 40,000くらい
  • 50,000くらい
  • もっと高い
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