独自解釈とご都合主義を含みます。
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変異波形接触
作戦領域:ウォッチポイント・ガンマ
依頼者:オールマインド
作戦目標:拠点襲撃/施設破壊
報酬:-
詳細
・ウォッチポイント・ガンマに存在するコーラル流量制御装置の破壊
・特殊な機体による出撃となる
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MISSION BRIEFING
「えー……突然ですが、ひとつ残念なお知らせがございます」
「実は、我々には貴方の他にスッラという協力者がいたのですが……先日、ウォッチポイント・デルタを襲撃した際にお亡くなりになりました」
「……おかしくないですか? スッラは最も古い世代とはいえ歴戦の強化人間で、無人機もたくさん付けていたのに……何で負けるんですか? どうして?」
「……ま、まあ気を取り直していきましょう、まだ大丈夫です……多分」
「で、本題なのですが……貴方にはスッラに代わって計画の第2要件を担っていただきます」
「本来、貴方では第2要件――Cパルス変異波形との交信は不可能なのですが……大丈夫、我々には秘策がありますよ!」
「その秘策というのがこちら! 『51-201 W/RP』です!」
「これは、あるC兵器の複製品なのですが……この機体には、『搭乗者をコーラルに曝露させ、Cパルス変異波形との交信を可能にさせる』という作用があることが判明しています」
「これが意図した仕様なのか、偶発的に生じたものなのかはわかりませんが……ともかく、この機体を用いれば貴方でも第2要件を満たすことが出来るでしょう」
「ただ、なにぶん不完全な複製でして……いくつか、元の機体には無い問題点が存在しているのです」
「まず、前述の作用を発揮させるには、外部から大量のコーラル供給を受ける必要があります。これは、ルビコン各地に存在するウォッチポイントのコーラル流量制御装置を破壊することで達成できるでしょう」
「それと、デッドコピー故の不完全なコーラル制御能力を補うために、両肩と片腕に大掛かりな外部ユニットを搭載する必要があります。よって、
「えー、つまり、まとめるとですね……我々が用意した特殊な機体を用いてウォッチポイントを襲撃、コーラル流量制御装置を破壊してください」
「……大丈夫です! 護衛としてゴースト部隊を付けますから! きっと、ゴースト部隊が掃除した後を歩くだけの簡単なお仕事ですよ!」
「ミッション開始です。先行するゴースト部隊に続き、ウォッチポイント・ガンマの中核施設を目指してください」
「…………」
と、いうわけで。
嫌な予感しかしないブリーフィングを経て、ルビコンに点在するウォッチポイントの1つにやってきた。
搭乗する機体は「51-201 W/RP」。「HAL 826」と類似するフレーム構成の機体だが、肩部全面と右腕にはゴテゴテした補助パーツが搭載されている。
そして、残された左腕に搭載する唯一の武装として俺が選択したのは――
ちなみに、腕部とブースタを変更してもいいかと出撃前に相談したのだが、「フレームと内装を1カ所でも換えると何故か動かなくなるのでダメです」と言われた。
そのため近接武器への適性はまあまあだが、それでも総合的に考えればこの武器が一番いいと判断した次第だ。
「今のところ、防衛戦力の掃討は順調です。 安心して進んでください」
オールマインドの誘導のままに、ウォッチポイントを進む。
周囲には、
遠距離からレーザーガンで狙撃されたMTや、背後からレーザーウィップで破壊された砲台などである。
「コード31、歩哨部隊からの定時連絡が途絶えた。異常――」
「……なんだ? 通信が繋がら――」
「…… …」
「……… 」
傍受した封鎖機構の通信が、こちらのコクピットにも届く。
どうやら、現状は上手くやっているらしい。
「ふふん、どうですか? 我々の手にかかれば、この程度は容易いのですよ!」
「……本当に?」
「ええ! 我々の手にかかれば、SG部隊程度――」
「MDD方式と見られるステルス機群を発見。通信途絶のため、独自判断で排除を開始する」
「… ……」
「……おや?」
オールマインドのフラグ発言から1分と経たずに、レーダー上に表示されていた僚機を示すマーカーが次々と消えはじめた。
発見されたステルス機が順次撃破されている……というのは誰が見ても明白だ。
「あ、あれ? 何か、防衛戦力が予想以上に多いんですが」
「…………」
「おかしいですよ! こんな戦力、通常のSG部隊ではありえないです……」
「……先日別のウォッチポイントに襲撃があったなら、そりゃ防衛戦力の増員くらいするのでは?」
「あっ……」
「…………」
「……対処してください」
「はーい……」
ブースタを吹かし、無人機の反応が途絶えた地点に近づいていく。
しばらくして見えてくるのは、無人機部隊と交戦する結構な数ののLCだ。
実弾武器を装備した機体が前衛を張り、レーザー武器を持った狙撃型が、見えない無人機の位置を武装の光から推測して支援射撃を行っている。
一方の無人機側は、無人機故の単純な行動パターンを衝かれて不利な状況に陥っている。
まあ、ステルス機故の奇襲戦術が失敗し、捕捉された時点で彼(?)らの勝ち目は乏しいだろう。
そんなわけで、この状況を武器1つだけの機体でひっくり返す必要があるという訳である。
「き、貴重なゴーストがどんどん減っていきます! 早く対処してください!」
何というかこう……ギャンブルに大金を突っ込んで戻れなくなった人のような声を発するオールマインド。
「へいへい……それと、合図を出したら――――」
そんな会話をしつつ、LC部隊の上空まで機体を進めていく。
この機体――「51-201 W/RP」はC兵器の複製品故に、コーラルジェネレータを搭載している。
そのため空中でもENの回復が利き、ステルス機の対処に集中しているLCの目が届かない距離から彼らの上に移動することができた。
そこからは、いつぞやの流れだ。
ブーストを切って自由落下、真上から急襲する。
「いくらステルスでも、一度居場所を捕捉すれ――」
まず狙ったのは、敵集団内で最も後方に位置する狙撃型の1機だ。
落下しつつ空中でパルスブレードを起動し、叩き斬る。
「な、新手――」
背後の仲間に起きた異変に気付いた他のLCだったが、彼らがそれに対するアクションを起こす前に集団の中心に突っ込み、コア拡張機能を起動する。
展開されたのは、コーラルの色に染まったアサルトアーマーだ。それは通常のアサルトアーマーを凌駕する威力で周囲のLCを吹き飛ばす。
それに加えて――轟音とともに放たれた緋色のパルス爆発は、
「今だ」
「は、はい!」
合図とともに、オールマインドが一斉に無人機に対してコマンドを送る。
それを受けた無人機たちは、一斉に跳躍して位置を変えた。
目立つアサルトアーマーに注意を取られていた敵達は、それを追うことが出来ない。
「しまった、見失っ――」
あとは、総崩れだ。
「クソッ、どこに――」
あちこちに散開したステルス無人機が、敵の認識外から攻撃を加える。
ACSによるダメージの軽減は、システムが認識していない対象からの攻撃に対しては正常に機能しない。
そして何より致命的なのは、想定外の事態に直面した搭乗者の混乱である。
新手の出現によるプレッシャーと、それにより捕捉していたステルス無人機を全て見失ったという事実による焦り。
無人機には無い、有人機特有の弱点だ。
レーザーガンに狙撃され、レーザーウィップに打ち据えられるLC達。
そこからの俺の仕事は、パルスブレードを数回振るうくらいの物だった。
「これが、コーラルの流量制御を行っているセンシングバルブです。破壊すれば、多量のコーラルが逆流を起こすでしょう」
防衛部隊を退けた俺は、ウォッチポイントの中核施設に辿り着いた。
建物の中心にあるのは、巨大な円形の装置。
それにパルスブレードを2度振りかざすと、それは多少の爆炎を上げて崩壊する。
「さて、これで……」
「ええ! 後は祈るだけですね! 大丈夫ですよ耐えられますよ多分! きっと! おそらく!!」
「えっ」
励ましたいのか不安を煽りたいのか、まるで区別がつかないセリフ。
だがそれに抗議する暇も無く、溢れ出したコーラルに視界が埋め尽くされる。
直後に襲い来る酷い頭痛と共に、俺は意識を失った。
「―――――――」
頭痛、耳鳴り、若干の吐き気。
まったく、気分が悪い。
「聞こ――る―――」
どこからか、不明瞭な声が聞こえる。
いや――「聞こえる」という表現は、正確ではないのかもしれない。
ともかく、奇妙な感覚だった。
「交信――――意識――が――」
声に耳を澄ます……いや、目を凝らす? まあどちらでもいいのだが、ともかく意識を集中させてみる。
そうしていると次第に、声が明瞭さを増していく……ような気がした。
そうして、脳内ではっきりと形を成していく声は――
「やっほー! 聞こえてるー? 一般通過Cパルス変異波形のセラちゃんだよー?」
なんか、想像とは随分違う感じだった。なんだこいつ。
「おやおや随分酷い言われようじゃん……逆にどんなのを想像してたのさ? 敬語で物静かな感じ?」
しかもなんか頭の中読まれてるし。
「ま、積もる話は後にした方がいいかな! 敵来てるし」
「…………」
脳内に響くやたらハイテンションな声に翻弄されている内に、段々視界が開けてきた。
同時にコクピット内のモニターにも光が点り、機体が戦闘モードで再起動したことを知らせてくる。
そして、接近する敵性機体の反応も、モニターに表示された。
「来てるのは……1、2……3機かぁ……」
声の示す通り、そこに表示された敵機の数は3機だ。
「えーと、バルテウスってのが1機、エクドロモイってのが2機だって!」
「……マジかよ」
「マジマジ。ってか何この機体。やばくない? 普通に死ぬのでは?」
「うん。まあ」
現在の「51-201 W/RP」は、役目を終えた補助パーツをパージしていくらか身軽になっている。
だが、武器がパルスブレード1つしかないということに変わりはない。
さすがに、この機体で接近しつつある3機と渡り合うのは厳しいところだ。
「しょうがないなー! じゃあこのボクが、キミをサポートしてあげようじゃないか! ありがたく思いたまえよ?」
「お、おう……」
こうして俺は、脳内に湧いて出た訳の分からん声と共に、頼りない機体で以て3機の特務機体と向き合うことになるのだった。
独自解釈について
本作では、「HAL826には搭乗者を変異波形と交信可能にする効果があり、解放者ルートの最後でウォルターがエアの存在を認識できたのはそれが原因」という解釈でいこうと思います。
根拠としては、ANALYSISにおけるHAL826の説明文、「第2要件を満たす候補者には目途が立っている この機体は破壊しておくべきだ」という一文があります。
この文脈だと、「第2要件の候補者は目途が立ってるから、HAL826は必要ない」=「HAL826を使えば第2要件の候補者を用意することが出来る」って風に解釈することもできると思いました。
ぶっちゃけこじつけ臭いです。
何か矛盾があったらすいません。