「……まず、1つ目の質問だ。お前は何者だ?」
「独立傭兵、メリル・マークソン。と言っても、このライセンスは
「……ほう」
「
「そうか。……次の質問だ。何故、『ブランチ』を襲撃した? 見たところ、ベイラムに雇われた防衛戦力、という雰囲気ではなかったが」
「……どうしてそんなことを知りたがる?」
「いいから、話せ」
「…………復讐だ。『ブランチ』共が掲げる『自由』とやら……その為に流れた血、戦火に塗れた惑星は数知れない。その報いを受けさせたまでだ」
さて、あれよあれよと始まった圧迫面接タイム。
俺はハンドラー・ウォルターの追求に対し、口からでまかせを吐き散らしていく。
「そうか。なら、偽の情報を流して『ブランチ』を誘き出したのはお前か?」
「……そうだ。ずっと『ブランチ』と『レイヴン』を付け狙っていたから、『レイヴン』のライセンスが盗まれたこともこちらは知っていた。だから、『レイヴン』の情報を餌として使って、連中を誘き出したんだ」
その結果として俺は、「『ブランチ』の起こした戦火に故郷を焼かれ、復讐のためにルビコンへ密航してきた独立傭兵」という、ありもしないキャラをでっち上げることになっていた。
「……成る程」
ウォルターの冷徹な声。どこまで疑われているのか、なかなか読みづらい。
「…………ひま」
一方、ウォルターの合図ひとつでこちらを殺しに来そうな「LOADER 4」だが、今はぼけーっとしているようだ。
そんな愉快な面接現場で、なおも質問攻めが続く。
「ところで、その機体のパーツ……どこで手に入れた?」
「……どれのことだ?」
「コアと右肩、左腕のパーツだ。一般に流通していない物の筈だが?」
……はい。
よりにもよって技研パーツをふんだんに使った機体に乗っているときに、技研に縁深いウォルターに目を付けられてしまったわけである。
さて、これをどう言い訳するか。
「ああ、これは封鎖機構の接収品を――」
「――ウォルター!」
「これは……!」
だが、会話は唐突に打ち切られた。
高速で接近する、多数の敵性反応によって。
「コード5、優先排除対象『レイヴン』を捕捉しました」
「他1機、独立傭兵と思しきACも確認。……了解。排除します」
「封鎖機構……特務部隊か!」
飛来する機影に、ウォルターが叫ぶ。
その総数は4機。内訳は……少し前にも見た「エクドロモイ」が3機、そして大型の戦車タイプ――「カタフラクト」が1機だ。
「優先排除対象だと? 『レイヴン』の情報に釣られて来たということか……? ……ともかく撒ける相手ではない、応戦しろ621!」
「わかった……!」
先程まで暇そうにこちらを監視していた「LOADER 4」だが、そんな様子は瞬時に一変、獲物を狩る猟犬めいた雰囲気を身に纏う。
「……話は後だ、ここは一時共闘でいいな? ハンドラー・ウォルター」
「……止むを得んか」
一方こちらは、これ幸いと共闘を提案。
ウォルターも、この状況では呑む他ない。
「さて……そろそろ来るぞ!」
短い会話の間に、特務部隊はすぐ近くまで迫っていた。
マルチエネルギーライフルをチャージしつつ、備える。
「排除を開始する。各機、散開しつつ――」
高速巡航を解き、少し離れたところに着地した「エクドロモイ」の1機。
その着地による一瞬の隙を見逃さず、フルチャージが完了したマルチエネルギーライフルを構える。
「……何だっ!?」
機動性を重視し、姿勢安定性は比較的に低い「エクドロモイ」。
エネルギーパイルを装備して先陣を切るつもりだったのであろうそれは、しかし哀れにも開幕の一撃で
「今だ、やれ!」
「…………!」
すかさず、「LOADER 4」が動いた。
それは左手でパルスブレードを発振しつつ突撃。近接攻撃に優れるブースタの力でそこそこ離れていた間合いを潰し、2連撃を見舞う。
「馬鹿な、このエクドロモイが、こんな……!」
パルスブレードによる斬撃をモロに受けてのけ反る「エクドロモイ」。さらに慈悲なく重ショットガンの散弾が突き刺さり、あえなく爆散する。
「くっ、中尉殿……!」
「……次だ」
さらに、畳みかける。
やられた「エクドロモイEP」に一瞬気を取られた別の機体……プラズマライフルを装備した「エクドロモイPG」目掛けて光波ブレードを振るった。
放たれる光の斬撃。同時に、「LOADER 4」から放たれた10連装のミサイルもまた、同じ機体目掛けて殺到していた。気が合うものだ。
「クソッ……! 私が現場指揮を引き継ぐ、各機陣形を立て直せ!」
「りょ、了解!」
ここで、やや離れた位置にいた「カタフラクト」が戦闘圏内に入る。
同時に「エクドロモイ」達の動揺も落ち着き、連携を取り始めた。
飛び交うレーザー、ミサイル、銃弾、プラズマ。
それらの回避に集中しつつも、「エクドロモイPG」を狙い続け、パーストライフルの弾丸をチマチマと浴びせていく。
「鬱陶しいやつ……ガッ!?」
着実に蓄積していく衝撃に、「エクドロモイPG」のパイロットの意識がこちらへ向く。
それが運の尽きだった。
もう1機の敵――「LOADER 4」から意識を逸らしてしまったそれを、冷却の済んだパルスブレードが襲う。
「何故、寄せ集めにこうも押される……!」
既にACS負荷が蓄積していた「エクドロモイPG」は、1撃目で
さらに重ショットガンによる追撃も加わるが――撃破するには少し足りない。
「まだ……!」
「いいや、ミサイルは撃たなくていい」
10連ミサイルによってさらに追撃しようとする621を制し、両手の武器をチャージ。
右からレーザー、左から3点バーストを立て続けに浴びせれば、「エクドロモイPG」は耐久限界に陥って爆散する。
これで残りは2機。
「LOADER 4」が残りの「エクドロモイ」へと向かっていったのを確認し、俺は「カタフラクト」の方に向き直る。
「コード31、2機撃墜された……了解、続行する……」
明らかに不利な状況にもかかわらず、撤退という選択肢を取らせてもらえない哀れな特務部隊員。
彼が乗っているコアMTの斜め上あたりを取り、マルチエネルギーライフルのフルチャージショットを撃ち込む。
弾はちょうどこれで打ち止めだった。ライフルを「カタフラクト」の履帯の下あたりに投げつけつつ、動きを止めたそれに接近。空いた拳で殴り、光波ブレードを振るって、蹴る。
再び動き出せば、それを追いかけてアサルトアーマーで即座に再度
そして、またタコ殴りにする。
「コード78……D……」
しばらくすれば、封鎖機構きっての陸戦兵器と謳われたそれはあっけなく爆散した。
同時に、少し離れたところで最後の「エクドロモイ」がパルスブレードの錆となったのが見える。
「……やったか、621。それに……」
ウォルターの少し安堵したような声が響いた。
……だが、それも束の間。
「不法勢力に勧告する。直ちに武装解除し投降せよ。さもなくば……」
続いて現れたのは、空飛ぶ艦隊だ。
「増援……強襲艦だと……!? 今度は執行部隊か……!」
現れた艦隊。それは地上にレーザーを撒き散らし、大量のドローンを放ちながら進軍してくる。
数も相まって、かなりの威圧感だ。
「クソ、こいつらも撒ける相手じゃない。応戦するしか……」
連戦に次ぐ連戦に、さしものウォルターも動揺が見える。
そんな彼に、俺は口を開いた。
「逃げろ。あいつらはこっちで相手をする」
「……何?」
「ここに封鎖機構が来たのは、おそらくこちらが『レイヴン』の情報を流したせいだ。その尻ぬぐいくらいはさせてくれ!」
返答を聞かずに、ABを起動。
そのまま通信を切り、俺は強襲艦隊目掛けて突撃していく。
「……撤退しろ、621」
「うん」
オープン回線を切った通信機に、一方的に傍受した通信だけが響いていた。
「……どうにかなりましたか」
作戦領域からかなり離れ、周囲に何の反応も無くなったあたりで、しばらく聞こえていなかったオールマインドの声がした。
「ふー、危機一髪だったねぇ」
それから、セラも。
「ああ……
「ええ。『レイヴン』は優先排除対象ですから、それを餌に封鎖機構を誘導するのは容易でした」
「隠蔽はボクのほうでやったし、足もついてないと思うよー」
先ほどの封鎖機構の襲撃。
あの場では、俺が『ブランチ』を誘き出すために撒いた情報に、『レイヴン』を優先排除対象としている封鎖機構もまた釣られた……という事になっていたが、実際のところはオールマインドが新たに情報操作を行って誘導した形だ。
「なら良かった。オールマインド、しばらく俺のステータスを安否不明状態にしておいてくれ」
「ええ、そうしましょう」
実際、あの場でどれくらいウォルターに疑われたかは分からない。
が、一先ず有耶無耶にして逃げることは出来た。一旦はそれでよしとしておくべきか。
「……しかし、封鎖機構の強制執行システムというのは、我々より遥かに劣っているようですね!」
「ん?」
「あんな不利な状況でなおも戦闘を継続させようとするなんて、なんと愚かな……まあ、完璧な我々と性能を比較すること自体ナンセンスですが!」
「んん?」
「そういえば、その執行システムってやつ、さっき色々やってるときに見つけたよ?」
「えっ」
「……ほう」
「なんか、ウォッチポイント・アルファとかいう地下から通信が出てた!」
「……なあ、オールマインド」
「何でしょう?」
「せっかくなら、強制執行システムの代わりをやってみたくはないか?」
「……え?」
「俺達で入ってしまおうじゃないか。そのウォッチポイントに」
「…………え??」
LOADER 4
UNIT
R-ARM UNIT:
L-ARM UNIT:
R-BACK UNIT:
L-BACK UNIT:
FRAME
HEAD:HC-2000 FINDER EYE
CORE:CC-2000 ORBITER
ARMS:AA-J-123 BASHO
LEGS:2C-2000 CRAWLER
INNER
BOOSTER:FLUEGEL/21Z
FCS:FC-008 TALBOT
GENERATOR:DF-GN-06 MING-TANG
EXPANSION:ASSAULT ARMOR
【挿絵表示】
解説
殺意がチラつく主人公機。
本編では一度機体全損イベントがあったのでパーツがガラリと変わっていたが、こちらではそれが無いので比較的初期機体の原型を残している(?)
近接推力で近づいてショットガンをぶっぱなし、パルブレでぶった斬るのが基本。
10連ミサイルのおかげで逃げる敵にも強め。
割とバランスの取れた機体に仕上がった……気がする。
六文銭の一人称
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俺
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私
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拙者
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我
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某
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吾輩
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その他