「「「「ミスターブルートゥと踊る前に、我らレッカーファイブが相手をしよう!」」」」
「メリ!」
現れたのは、レッカーファイブと名乗る謎の5人組。
「……様子がおかしい人たちだね」
確かに、言動、機体共に様子がだいぶおかしいのだが……次の瞬間には、そいつらは一糸乱れぬ連携でこちらに襲い掛かってきていた。
――――最初に動いたのは、「レッカーレッド」と「レッカーパープル」の2機。
その狙いは、相方のLC高機動型だった。
「!? こいつら……!」
まず、「レッカーレッド」の4連ガトリングが火を噴いた。
本来凄まじい反動を生じる筈のそれだが、反動制御だけはある腕部の効果で集弾性は割と良い。
そんな弾幕に思わず距離を取ろうとする相方だったが、それを軽量高機動な「レッカーパープル」が追う。構えた盾に散弾が突き刺さった。
「チッ……!」
「させぬわぁ!」
流石にマズそうな相方の状況に横槍を入れようとするが、それを妨げるように大量のパルス弾が飛来する。放ったのは「レッカーブルー」だ。
これも「レッカーレッド」と同様、本来の反動の割に集弾性は良好である。
「逃がさぬぅ!」
パルスから逃れるべくこちらも距離を取るが、大量のミサイルがそれを追う。
これを放ったのは「レッカーグリーン」。軽めの機体を宙に浮かせつつ、安全圏から援護射撃をする姿勢のようだ。
――そして。
「――――今、あなたの後ろにいるメリ」
いつの間にか背後に回っていた「レッカーメリー」。
すかさず放たれた蹴りが、機体の背後に
メリメリと音を立てて装甲が軋み、メリーゴーランドのように回転して吹き飛ばされる。
「芸術は爆発メリ!」
追撃とばかりに、大型のグレネード弾が「レッカーメリー」から次々に放たれた。
当然こちらも回避を試みるが、その爆発範囲からは容易く逃れられない。
爆風によってACSが限界に達し、機体の動きが止まった。
すかさず「レッカーブルー」が追撃に動く。
――――現状、押されている。
「この最新鋭機が、寄せ集め風情にここまで……!」
そしてそれは、2機の相手をしている相方も同様らしかった。
まあ、コア拡張機能を使えない、
――――とはいえ、HCの操縦にもだいぶ慣れてきた。
そろそろ反撃に移るべき頃合いだ。
「畳みかける! 死ねぇ!」
幸い距離があったため、追撃によるダメージは復帰時間の長さを加味しても比較的マシだ。
装甲にパルスを受けながらもACSが復帰したHCを動かし、こちらも両肩のパルスキャノンを発射。
パルスとパルスは、互いに相殺しあう。
そして、この手のパルス武器は弾そのもののサイズがかなり大きい。
要するに、パルスの弾幕にこちらもパルスを撃ち込むことで、その弾幕を
「何っ、貴様パルスを良く分かっているじゃないか!」
渾身の追撃を凌がれた挙句、武器をオーバーヒートさせた「レッカーブルー」に対し、ブレードを起動。
突撃して来た相手の勢いを利用して、渾身の斬撃を叩き込んだ。
「くっ……!」
その一撃で
先ほどはこき下ろしたが、HCの基本性能がACより優れているのは事実だ。
ACのそれより高出力なHCのブレードはリーチや衝撃力に優れ、何より連撃が利く。
そしてその他の武器もAC規格の物より一回り強力だと言っていい。
故に、動きを止めたところにブレードの連撃を叩き込み、とどめにライフルに装着されたグレネードを撃ち込めば、そこそこの耐久力を持つ「レッカーブルー」も耐えられなかった。
「うおお……! だが吾輩の追撃を防いだのはそのパルスキャノンだ! つまりパルスこそが最強という事……!!」
様子がおかしい遺言と共に爆散する「レッカーブルー」。
「ふっ……レッカーブルーがやられたようメリな……」
「だが、レッカーブルーは我々の中でも最弱でヤンス……」
「所詮奴はレッカーの面汚しでございまするわねぇ……」
「ふん、奴の代わりなどいくらでもいるのであります……」
「うるせーなこいつら」
様子のおかしい各々は思い思いに仲間の死を悼んでいるようだ。
……戦いを続けよう。
続いての標的は、空中からミサイルを垂れ流してくる「レッカーグリーン」。
通常のACであれば手を出しにくいところだが、HCの滞空能力ならば話は別だ。
背中にあるユニットを稼働させ、軽々しく宙に浮かび上がる。
そのまま高速飛行し、宙を舞う「レッカーグリーン」に追いつくのは、HCの推力ならば容易いことだった。
「降りてくるメリ! 飛んだら当たらないメリ!!」
そして高度を取ったことで、「レッカーメリー」からの爆撃は脅威度が下がる。一石二鳥だ。
「ふん、あちらの盾持ちと違って、ミサイルが足りてない機体ですわね!」
なおもミサイルをバラ撒きながら跳びまわる「レッカーグリーン」に追いすがり、パルスキャノンとライフルを連射する。
ACでは保持の難しい長銃身を持つこのライフルは、命中した際の衝撃力もかなりのものだ。
軽めのフレーム故に脆い「レッカーグリーン」では、そう長くは耐えられない。
「努々忘れる勿れですわ! ガン逃げミサイラーは一切衆生誰も彼もの心中に潜んでいるという事を、ですわー!!」
「ふっ、レッカーグリーンがやられたメリ……」
「だが、奴は我々の中で2番目に弱いヤンス……」
「奴の代わりは探せばいるであります……」
「毎回やるのかそれ?」
はい次、次行こう。
……さて、ここらで相方の方に視線を移す。
「くそっ、頭のおかしいドーザーどもめ……!!」
相方の方はというと、だいぶ追い詰められていた。
盾は割られ、装甲にも傷が多い。おまけに精神的にも混乱してそうだ。
ここは助け船を出しておくべきだろう。
「ヤンスヤンスヤンス! 発熱と振動が心地いいでヤンス!!」
意味不明な事を口走りながら弾丸をバラ撒く「レッカーレッド」に上から近づく。
どうやら相手はガトリングを連射するのに夢中でこちらの接近に気付いていないようだ。
「ヤンス!?」
ライフルの下部に装着されたグレネードを構え、発射。
上から撃ち下ろすことで、確実に爆風を相手に命中させる。
「ふっ、爆発物の使い方を心得ているメリ……でも些か炸薬が足りてないメリ」
「うっせ」
「……助かりました、上尉殿!」
「レッカーレッド」が
放たれたのは同じくグレネードだ。その爆風が「レッカーレッド」を追撃しつつ、ACSの復旧を阻む。
「ヤンスゥーー!!!!!」
吹き飛ばされ身じろぎするそれにパルスキャノンによる追撃を加えれば、またも意味のわからん断末魔が響いた。
「ふっ、レッカーレッドがやられたメリ……」
「奴の代わりはいるか分からないであります……」
……もはや何も言うまい。
「――隙ありであります!」
ショットガンの発砲音が響く。
「レッカーレッド」に注意を向けていた相方は、「レッカーパープル」から意識を逸らしてしまっていたようだ。
盾を失った高機動LCを散弾が立て続けに襲う。
至近距離で撃てば凄まじい衝撃力を発揮するそれは、負荷が溜まっていた高機動LCのACSにとどめを刺したようだ。
「今であります、マリー!」
「メリはメリーだメリ!」
更に「レッカーパープル」は動きを止めた高機動LCを蹴り、「レッカーメリー」の射程内へと飛ばす。
「これは……!」
「メリメリメリメリメリ」
すかさず「レッカーメリー」は両肩のグレネードキャノンを構える。
――――だが、その前に青いブレードが閃いた。
その斬撃が「レッカーメリー」を捉え、怯ませることで発射を食い止める。
「邪魔するなメリ! せっかくいいところだったメリのに!!」
「うっせーメリ! ……あっ」
おやどうやら口調が移ってしまったようだ。
だがそんなことは気にしない。距離を取りつつ、ライフル下部のグレネードを発射。
「メリ! その程度の貧弱な炸薬で、メリと勝負するとは片腹痛いメリ!!」
だが相手もグレネードを大量に撃ち返し、反撃してくる。
爆発勝負では質、量ともにこちらが負けているのは明白だ。
だが滞空性能ではこちらが上。
下からの爆撃など恐るるに足りないメリ。
「ピンチメリ、だからこそメリメリして来たメリ……!」
圧倒的な爆撃能力を誇る「レッカーメリー」だが、重大な欠点がある。
全武装のリロード時間が長く、ひとたび全弾発射してしまえばしばらくは丸腰同然になるというところだ。
故に、渾身の爆撃を放ち終わった今こそ攻めるチャンスだ。
パルスキャノンを放ちながらブレードを展開、大振りの斬撃を放つ。
「なめるなメリ!」
対する「レッカーメリー」もまた、飛び込んでくる。
放たれたのは、逆関節の脚部と重量級の機体からなる強烈な蹴り。
「レッカーメリー」の脚部は、いわゆる重量逆関節というやつだ。
これは、重いグレネードを持ちつつも上空からの爆撃を可能にするという意図に加え、強烈な蹴りによって長いリロードを誤魔化すという意図も加わったチョイスなのだろう。
――――だがそんなことは分かっていた。だからわざわざ大振りで誘ったのだ。
「メリ!?」
蹴りを食らう寸前でブレードをキャンセルし、回避。
「レッカーメリー」の背後に回り、コンパクトな連撃で切り刻む。
「メリメリ、熱いメリ!」
さらにライフルによる銃撃を加えれば、「レッカーメリー」は
すかさず、追撃として構えるのは――――グレネードだ。
確かにこちらのグレネードは、あちらの大型グレネードと比べれば爆発力に欠ける。だがその分、リロードは速かった。
「メリ……取り回しの良さに魂を売るのは……やめて欲しいメリ……」
爆発。相変わらず様子のおかしい遺言が響く。
「マリー……貴方に代わりなどいない……オンリーワンであります……」
「名前間違えてるけどな」
……ともあれ、これで残り1だ。
最後に残った「レッカーパープル」は、相方の高機動LCと機動戦を繰り広げている。
だが牽制をこなす仲間がいない分、「レッカーパープル」は相方を追い切れていないようだった。
「くっ……惑星風化気候め! なかなか素早いであります!」
「我々は惑星封鎖機構だ! 決してそのような名ではない!」
「おのれ剥製風刺嗜好!」
「黙れ!」
「北西連鎖施工!」
「ふざけるな!」
「覚醒怨嗟貴こ……あっ」
例に漏れず様子のおかしかった「レッカーパープル」は、舌戦と機動戦を繰り広げている最中、グリッドの足場がないところでエネルギーを切らしてしまったようだ。
「……そうだ。マリー、貴方の爆発をもう一度……」
地面に向けて落下していく「レッカーパープル」は、何を思ったのか自らジェネレータを暴走させたらしい。それは空中で大爆発を起こし、消し飛んだ。
「…………」
「…………」
「……様子がおかしい人たちだったね」
なんとも釈然としない雰囲気のまま、唐突に戦闘が終わ――――
「ああ、ご友人たち……! 心ゆくまで踊れたようで、何よりです……!」
センサーが新手を捉える。
現れたのは、先程と同じ頭部の機体。
その機体の主は、こちらの姿を認めるなりこう言い放ったのだ。
「おや、貴方は親愛なるご友人、モンキー・ゴードではないですか! グリッド086での催し以来ですね! お変わりありませんか?」
「……なんで分かるんだよ」
どのレッカーが一番強いと思う?
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青
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赤
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緑
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紫
-
メリ