転生したらモンキー・ゴードでした   作:NEST中毒者

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評価数が100、UAが20000を超えてました。ウレシイ……ウレシイ……


ドーザー勢力掃滅④

 

「ああ、忘れもしません……あれはカーラがルビコン調査技研で働いていた頃……」

 

「…………」

 

「何を隠そう、私とカーラは恋に落ちたのです……禁断の恋でした……!」

 

「……嘘だろ」

 

「ええ嘘です。冷静に考えてそんなことあるわけないでしょう」

 

「嘘はついたことが無いんじゃなかったのか?」

 

「ええ、なのでこれが人生最初の嘘という事になりますねご友人!」

 

「ああ、そう!」

 

 

 引き続き妄言を吐き散らしつつ、その一方で巧妙に機体を操り射撃戦を仕掛けてくるブルートゥ。

火炎放射で視界を遮りつつ、ミサイルと銃弾を確実に当てに来るその動きは、なかなかに厄介だった。

 

「クイック、スロー、クイック、クイック、スロー、クイック、スロー、スロー」

 

 こちらが銃撃の合間に放ったグレネードをひらりと躱す「ウィズダムトゥース」。

 比較的重めの構成をしたその機体だが、回避もこなせる程度の機動性を確保してはいる。

 

「ああ、レールキャノンが啼いている……このまま陽の目を見ることなく朽ちていくのではないかと不安がっているのでしょう……不憫だ……」

 

「…………」

 

「おっと! 素晴らしいハーモニーです!」

 

 とはいえ、重量機。QBのリロード時間を狙って銃撃とパルスを放てば、「ウィズダムトゥース」はそれを避けられずにACS負荷限界(スタッガー)に陥った。

 すかさずブレードを起動し、無防備になったそれに追撃を加えようとするが――――その瞬間、「ウィズダムトゥース」のコアが展開。パルスが奔る。

 

「ご友人!」

 

「チッ……!」

 

 ――――アサルトアーマー。コア拡張機能を持たないHCでは、退がる他無い。

 

「ああ……コアとジェネレータが織りなす甘美な調べ……できればカーラとも分かち合いたかった……」

 

 パルスが晴れれば、そこからACS負荷がリセットされた「ウィズダムトゥース」が現れる。

 一方、対するこちらはACSに負荷と熱量が蓄積したままだ。

 

「クイック、クイック、スロー……さあご友人! もっと踊ってください……!」

 

 更に浴びせられる炎。いよいよこちらのACSは熱量に耐え切れなくなり、異常を起こす。

 

 そして、それを察したのか「ウィズダムトゥース」は左手の火炎放射器を仕舞い、チェーンソーに持ち替えた。そのままチャージしたそれを赤熱させつつ、右のライフルとミサイルを放つ。

 

「このまま夜が明けるまで踊り続けようではないですかご友人! 刻限など気にする必要はありません……! 裸足の方が躍りやすくていいでしょう!」

 

「……そこまで長引きはしないだろ!」

 

 ――――なるほど。要するに、「ウィズダムトゥース」の戦術はこうだ。

 

 最初の内は火炎放射器で戦って、相手がACS異常に陥ったあたりでチェーンソーに持ち替え。そうしてチェーンソーの刃を疑似的な盾としつつ、相手がACS負荷限界(スタッガー)に陥れば即座に追撃できるようにする。

 

 この状態では、通常の盾持ちと同様に右半分の武装しか使えず、衝撃力が心許ないが――――相手がACS異常に陥っていれば話は別だ。

 そして、ACS負荷限界(スタッガー)に陥った相手に対するチェーンソーの追撃は強力無比。HCだろうが、食らえば一たまりもない。

 

 まったく、よく考えられた機体だ。

 

 他方、考えられる弱点――距離。

 そも重量機である以上、「ウィズダムトゥース」の機動力は低めであり、さらに言えばチェーンソーのチャージ中はABを使用できない。

 引いてくる相手に強い散布型ミサイルで幾分かその弱点をケアしてはいるが、それでも距離を取れば本命のチェーンソーによる追撃は当てづらくなるだろう。

 

 ――――今乗っているのがACなら、の話だが。

 ACS負荷限界(スタッガー)からの復帰が遅いHCが相手なら、残念ながら多少距離が離れていても十分に追撃が間に合うだろう。くそったれめ。

 

 さて、この状況でどう勝つか。

 

「おお! 素敵なステップですご友人!」

 

 ブースタを全開にして距離を詰め、ブレードで斬りかかる。

 

 選んだのは、開き直ってのインファイトだった。

 これならば、遠距離に強い散布ミサイルは逆に無力化できる。

 そのまま火力差で押し切り――――

 

「この情熱的なテンポ! 素敵だぁ……!」

 

「……そう上手くもいかないか!」

 

 だがブルートゥは回避とチェーンソーによる防御を巧みに使い、HCの火力から繰り出される猛攻を凌いでいく。衝撃こそ着実に蓄積しているが、「ウィズダムトゥース」の堅牢さも相まって致命打には至らない。

 

「クイック、クイック、ご友人! ご友人、ご友人、スロー!」

 

 一方で、「ウィズダムトゥース」のバーストライフルから放たれる銃弾は確実にこちらの装甲とACSを蝕んでいた。

 そして、先程から振り回しているブレードも、ACのそれと比べれば連続使用が利くものの、限界はある。

 

 ――――ならば、ここで()()()()()べきだろう。

 

「…………!」

 

 オーバーヒート寸前のブレードを、可能な限りの最大出力で発振。

 繰り出すのは刺突だ。ブースタの出力も最大限に上げて、一直線に突撃する。

 

「ああ、素晴らしい……! 素晴らしい殺意です、ご友人!」

 

 対する「ウィズダムトゥース」が選択した動きは、回避でも防御でもなく、迎撃。

 突撃するこちらの動きに合わせるようにチャージしたチェーンソーを突き出し、カウンターで挽き潰そうとする。

 

 その刃に自分から突っ込めば、命は無い。

 

 だが――――想定内だ。

 

「フフ……! そこまで読まれていましたか、ご友人!」

 

 しかし、突き出されたチェーンソーの刃は紙一重で空を切る。

 暫しの間とはいえ、かつて頼みの綱としていた武器だ。

 そのタイミングも、間合いも、読み違えることは無かった。

 

 そして――チャージしたチェーンソーを外す、その代償は大きい。

 「ウィズダムトゥース」はキャンセル不能かつ特大の隙を晒している。

 

 だがしかし、今のやり取りでこちらのブレードはオーバーヒートしていた。 

 故にこの隙を衝いて攻撃しても「ウィズダムトゥース」を倒し切るには至らない。

 

 ならば――と目を向けたのは、辺りに転がる丸い物体。

 そう、先程ブルートゥがバラ撒いた「トイボックス」を模した爆弾だ。

 

 それに接近し、グレネードを向け――――引き金を引く。

 

「そう来るとは……!!」

 

 自爆。

 「トイボックス」に似せたそれの中身が爆発し、外装を散弾のように撒き散らした。

 そして、すでにこちらの機体のACSにはかなりの負荷が溜まっているうえ、熱量による異常もある。

 

 ならば――それをもろに受けた自機がACS負荷限界(スタッガー)に陥るのは必定だった。

 耳障りな警告音と共に、機体の動きが暫し停止する。

 ああ全く、ACと比べると本当に長い。

 

 だが、それに追撃を加えるものは存在しない。「ウィズダムトゥース」はチャージしたチェーンソーを振りきってしまい、まだ動けないからだ。

 

 そして――これにより、HCのACS負荷がリセットされる。

 まあダメージもそこそこあったが、どうせチェーンソーを食らえば即死なのだ。死ななければ安い。

 

「フフフ……ハハハハハ! ご友人、ご友人、ご友人! 実に貴方は素敵だぁ!!」

 

 一方の「ウィズダムトゥース」には、先程の猛攻によるACS負荷がまだ残っている。

 さらに奴にとっては都合の悪いことに、こちらが負っていた熱によるACS異常もそろそろ時間切れだ。

 オーバーヒートしたブレードもまた、排熱が終わりつつある。

 

 要するに――――決着と言っていい。

 

 だが、それでも――ブルートゥは狂ったように戦い続けた。

 

「クイック、クイック、スロー! さあ、もっとテンポを上げて踊りましょう!!」

 

 「ウィズダムトゥース」はチェーンソーを投げ捨て、再度火炎放射を構えて射撃戦に移行する。

 チェーンソーの追撃による即死を捨て、これまでの消耗と先の自爆で危険域にあるこちらの装甲を削り切る腹積もりのようだ。

 

「すまんが、ダンスを踊るのには慣れてないな!」

 

 ならばと、こちらも一切容赦なしで叩き潰しにかかる。

 ライフルとパルスキャノンを一斉掃射し、相手に回避を強制。

 

 そして、「ウィズダムトゥース」が回避したその先に――グレネードを叩き込んだ。

 

「おお、そうなのですか……ならば、一度貴方の友人を誘ってみてはいかがですか? 貴方なら、きっと上手に踊れますよ、モンキー・ゴード」

 

「……残念ながら……そいつは難しそうだ」

 

 ACS負荷限界(スタッガー)に陥った「ウィズダムトゥース」を、ブレードで徹底的に刻む。

 アサルトアーマーが未だ回復していないその機体に、その猛攻を防ぐ術は存在しなかった。

 

「なるほど、それは……不憫だ……」

 

 とどめに放った最大出力の刺突が黄色の装甲を貫き、ジェネレータを破壊。

 最後の最後までおかしな様子のまま、ブルートゥは爆発の光に消えていった。

 

 

 

 

「……ふぅ」

 

 一息ついて、辺りを見渡す。

 現状、この機体はかなりガタガタだ。

 不測の事態が起これば命取り。そう考えて周囲を警戒したあたりで、上空に巨大な機影を捉えた。

 

「おーい、お迎えが来たよー」

 

「……ん、ああ」

 

 よく見てみれば、それは強襲艦だ。友軍の識別タグが付いていいる。

 

「隊員コード110V3KR5V-4M15CU73の機体反応を確認。オール……あっ、オールグリーンです。何でもないですよ。執行システムは貴方の帰還を歓迎します」

 

「…………」

 

 愉快な迎えと共に、封鎖機構としての初任務は完了する。

 強襲艦に乗り込んだ俺は、当座の住処となる封鎖機構の拠点へと向かうのであった。

 

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