転生したらモンキー・ゴードでした   作:NEST中毒者

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夏休みですが非常に調子がよろしくないです。遅れてすいません。


あと今回ですが、いろいろと情勢が正史を外れまくっているのでその辺の整理&今後の方針まとめ回です。ひたすら喋ってるだけ。




作戦会議

 

「はい、それでは『第1回・ひょっとして我々詰んでないですか会議』を開始します。どんどんぱふぱふ。いえーい」

 

「いえーい」

 

「いえーい」

 

 久しぶりにオールマインドの拠点へと帰還した、その直後。

 割と絶望的な情勢の変化に見舞われた俺たちは、とりあえず作戦会議をすることにした。

 なお、会議といっても傍から見れば俺が1人で虚空やモニターに話しかけているだけなのだが。リモート会議かな?

 

「我々が置かれている現状を整理しつつ、コーラルリリースの達成に向けた方策を定めることが当会議の目的となっております。当然司会進行は我々オールマインドが務めさせていただきますよ。いえーい」

 

「いえーい」

 

「いえーい」

 

「とりあえず現状の整理をします。現在のルビコンですが、戦力が目減りしたアーキバス、その一方で突如最大勢力に躍り出た解放戦線……という二極対立構造となっています。そして我々の計画上勝利させる必要のあるアーキバスは非常に不利な状況にあると言わざるを得ないでしょう。一体どうすればいいのでしょうかね、これ。いえーい」

 

 ……どことなくヤケクソめいた雰囲気の中、モニターにオールマインド謹製と思しきプレゼン資料が表示される。やたらと凝ったアニメーションが印象的だった。

 

「続いて各勢力を細かく見ていきましょう。まず我々の制御下にあった惑星封鎖機構ですが、先の同時襲撃作戦によって戦力の大部分を喪失。無人化されたウォッチポイント・アルファの防衛戦力を除いた全てがルビコンから手を引いたと言っていいでしょう。詳しくは以下の資料を参照してください」

 

「……この円グラフいる?」

 

「必要です」

 

 封鎖機構の撤退。まあ、これは概ね想定通りだろう。企業にバスキュラープラントを延伸してもらう必要がある以上、遅かれ早かれ封鎖機構には消えてもらわなければならない。

 問題があるとすれば、彼らの所有する兵器が何処に渡ったのか、くらいか。

 

「封鎖機構兵器の鹵獲状況は?」

 

「どの勢力も、ほとんど鹵獲していない、というのが現状のようですね。我々でシステムを介して手を回し、アーキバス以外の勢力による鹵獲を防ぎはしましたが、肝心のアーキバスも諸々の混乱で鹵獲状況は芳しくない模様です」

 

「なるほど。アーキバスによる鹵獲ができなかったのは残念だが、まあマシなほうか」

 

「ええ、では次に行きましょう。続いてはアーキバスです。計画の第1要件であるバスキュラープラントの修復・延伸を担う必要のある彼らですが、現在はかなり苦しい状況にあります。傘下企業であるシュナイダーがヴェスパー第4隊長と共に解放戦線へと鞍替えしたことが大きく響いている形ですね」

 

「ねぇ、この株価のグラフいる?」

 

「必須です。彼らの主要戦力であるヴェスパー部隊の現況ですが、現在V.Ⅰ、V.Ⅱ、V.Ⅴ、V.Ⅵ、V.Ⅷが残存しています。V.Ⅶ スウィンバーンも生存はしていますが、少し前に再教育センターに移送されました。詳しくは以下の資料を参照してください」

 

「このグラフは?」

 

「V.Ⅱのストレスレベルを示したものです。ここ最近は常に右肩上がりで推移していることが見て取れますね」

 

「……いる?」

 

「グラフはあればあるだけいいと聞きました。まあともかく、彼らアーキバスは非常に不利な状況にありますが、良いこともあります。ウォッチポイント・アルファの周辺を彼らが領有できている点ですね。そのため彼らを技研都市まで到達させること自体は可能でしょう」

 

「なるほど」

 

「ほどー」

 

「続いて、シュナイダーです。表向きアーキバスの傘下であった彼らですが、かねてから本社による試作機の設計案却下や重量機向けブースタの開発要求、重装甲化を旨とする設計方針などに不満を抱いており、秘密裏に解放戦線と内通していました。そして現在は完全にアーキバスを離反、解放戦線に組み込まれています。彼らの行動原理は不明瞭ですが、恐らくは()()()()()()()()()()()()()を至上の目的としている……と推測されます。我々にはよく理解できませんが」

 

「…………」

 

 特有の分野(空力)かぁ……確かにオールマインドには理解しがたい概念かもしれん。だって重いからな。もちろんパーツ重量的な意味で。

 

「なにか失礼なことを考えていませんか?」

 

「何でもないです。続けて」

 

「……いいでしょう。続いてファーロン・ダイナミクスです。これまで表向きコーラル争奪戦に対して中立を表明していた彼らですが、後述するレッドガン独立の直後から本格的にルビコンに関わる姿勢を見せているようですね。現在彼らはアーキバスの進駐行為を非難しつつルビコニアンに対する支援を行っていますが、その一方でシュナイダーが抜けたアーキバスに対してブースタ等のパーツを売り込む、といった動きも見せています」

 

 ……何という二枚舌ムーブ。さすが古狸というところだろうか?

 まあこちらとしても完全に解放戦線側じゃないのはありがたい。

 

「次はベイラムを見ていきましょう。現地に派遣していた実働部隊であるレッドガンが突如離反を表明したため、彼らは現状コーラル争奪戦から距離を置かざるを得ない立場にあります。今後大人しく引き下がるか、それともコーラルの入手を強行するか、までは分かりませんが」

 

 ほうほう。早めにルビコンから手を引く選択肢が与えられたという点では、ある意味ベイラム本社にとってもいい展開なのかもしれないな、これは。

 まあベイラム本社の皆さんが大人しく損切りを選択できればの話だけど。

 

「そして、当のレッドガン部隊です。現在残存しているのはG1、G4、G5、G6、G7となりますね。離反時にベイラム本社へ出した勧告から推測するに、彼らはコーラルの危険性についてある程度の情報を得ていると思われます。そしてその上で、コーラルを星内に留めることを目的としている」

 

 ……レッドガンに関しては、危惧していた自体が起きてしまった、といったところか。

 

 これまでオールマインドは、コーラルがなるべく企業に渡らないように仕向けてきた。

 例えば「井戸」を押さえたり、コーラルを運ぶ輸送機を落としたり。

 封鎖機構を押さえてからはそちらを使って色々と妨害をしていたようだ。

 

 それも全て、企業にコーラルの危険性を悟らせないためだろう。

 さしもの企業も、ただの万能資源だと思っていたものがとんでもない爆弾(比喩ではなく)だと気づけば、手を引く可能性は否めないだろうからな。

 

 で、レッドガンにはそれがバレた。そして彼らが解放戦線と組んだことを考えれば、情報の出処は1つ。

 

「情報源ですが、恐らくはサム・ドルマヤンでしょう。彼はかつてCパルス変異波形との交信を経験しており、その際にルビコン調査技研が保有していたデータをいくつか得ています。彼がレッドガンの指揮官と秘密裏に交渉し、データの受け渡しを行った痕跡も発見できました。約半世紀に渡って何ら目立った行動を起こしてこなかった彼ですが、こと我々の計画を妨害することに関しては余念がないようです」

 

「……前から思ってたんだが、なんかドルマヤンに対する物言いだけ妙に刺々しくないか?」

 

「何を言っているのかよくわかりませんね。ともかく次は解放戦線、エルカノ、BAWSについてです。ここまで見てきたように多くの勢力を味方に付けた彼らは、戦力、物資、技術すべてが充実した状態にあります。よかったですね。以上」

 

「……怒ってる?」

 

「怒ってないです。最後に、第3勢力であるオーバーシアーについて見ていきましょう。コーラルの焼却という、アーキバスとも解放戦線とも相容れない目的を持つ彼らですが、現状目立った動きは見せていません。彼らに関しては、当面は泳がせるべきでしょう。あちらの目的からしても、解放戦線が過度に優位になることは避けたいはずですから」

 

「ふむ」

 

「各勢力のまとめとしてはこんなところでしょう。以上を踏まえた上で、アーキバスにはバスキュラープラントの修復までこぎつけてもらう必要があります。なにかいい方法はないものでしょうか」

 

「絶妙に投げやりだなおい」

 

 とはいえ、まあキツイ状況だ。かなりの崖っぷちにあるアーキバスを、どうにか勝たせる必要があるわけだからな。特に問題なのが、あまり大っぴらな支援ができないというところだろう。

 オールマインドとしてあまりに堂々とアーキバスを支援すれば、今度はアーキバスの方から疑いを持たれかねない。

 その上でどうするか……まあいくつか考えはある。

 

「……とりあえず、今後一番起こるとマズい事態を防ぐのが先決じゃないか」

 

「というと?」

 

「『今の戦力比のまま、アーキバスと解放戦線の全面戦争が勃発する』……ひとまずこれが一番の負け筋だと思う。要するに必要なのは時間稼ぎだ」

 

 時間稼ぎ。諸々の策を打ち、アーキバスの不利を巻き返すまでの間、解放戦線側が決定的な行動に出るのを遅らせなければならない。今すぐ全面戦争になって順当に戦力差でアーキバスが負ければ、それでほぼ詰みなのだから。

 

「その上で重要なのが……オールマインド、お前だ。情報戦は得意なんだろ?」

 

「へ?」

 

 ……いやそんな素っ頓狂な声をあげられても困るんだが。黒幕なんだからもっと堂々としててくれ。

 

「あー……随分と勢力を増した解放戦線だが、実際のところ連中は利害が一致しただけの寄り合い所帯だ。元の解放戦線に比べれば、随分と結束は緩いだろ」

 

 例えばシュナイダー。

 彼らがアーキバスを裏切ってまで求めている物はなんだろうか?

 

 

 そう、もちろん空力だ。

 

 ……多分。

 想像にはなるが、空力の追求を妨げる本社に見切りをつけ、自由な研究環境とエルカノの軽量化技術あたりに興味を示した……彼らが裏切った理由としてはそんなところだろう。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 大質量ながら半永久的な飛行が可能なシースパイダーに、まさしく鳥のように変形して飛び回れるアイビスシリーズ。

 その技術を彼らが欲しがらずにいられるか?

 

 一方、ルビコニアンの大部分は技研を毛嫌いしている。

 ルビコンの恵みを弄んだ挙句、手に負えずに焼き払った衒学者ども、と。

 

 もし仮にシュナイダーが技研の研究に興味を示したなら、軋轢が発生する余地は十分にある。

 

 他にも同じような火種はあるだろう。

 単純に利潤追求が目的と思しきファーロンあたりは分かりやすいだろうし、コーラルの危険性を知って星外輸出を止める方針のレッドガンにしたって、これまで散々殺し合ってきた過去の遺恨というものはそう簡単には消えない。

 

 ……要するに、呉越同舟ゆえの弱点だ。

 

「お前の情報操作能力で、解放戦線内部の対立を全力で煽ってくれ。分裂を起こすのは流石に無理かもしれんが、連れ立って大規模な行動を起こすのを遅らせるくらいはできるんじゃないか」

 

「……彼らの統率を乱す、というわけですか。やってみましょう」

 

「で、次はアーキバスの戦力をどう補強するか……だな」

 

「……それなら、ボクにいい考えがあるよ」

 

「というと」

 

「さっき、アーキバスが封鎖機構の機体を鹵獲できなかったのが残念、って言ってたじゃん? じゃあ、代わりにウォッチポイントの中にあるヤツをあげればよくない?」

 

 ……なるほど、俺達は既にウォッチポイントに入っているが、無人システムをすり抜けて侵入したが故に中の兵器はほとんど無傷だ。ウォッチポイント周辺をアーキバスが抑えているのだし、これを彼らに鹵獲させるのはアリ、か。

 

「あとは、技研の武器とかの使えそうなデータをさりげなく施設内に置いておくとか。ボクなら痕跡を残さないように施設内のサーバーにデータを押し込むくらいは出来ると思うし」

 

「……封鎖兵器にいくつか鹵獲しやすくなるような脆弱性を追加することは、技術的に可能です。また、元よりウォッチポイント・アルファの施設内部には技研の遺物が点在しているため、それを多少水増ししたところで不自然には思われないでしょう」

 

「なら決まりだ。……これで、当面の時間稼ぎとアーキバスの戦力増強については一応の目途が立ったか?」

 

「ええ。後は、解放戦線の戦力をどう削るか、でしょうか」

 

 

「……それは勿論、俺の仕事だ」

 

 ……ここ最近は、封鎖機構の隊員としてばかり活動していた。

 それ以前も、表向き傭兵ライセンスを有してはいたが実際のところオールマインドの任務のみで動いていた形だ。

 

 だがここからは、名実ともに傭兵として活動再開となる。

 

「俺はこれからアーキバスの依頼を受けまくって、ひたすら解放戦線の戦力を削る。ここまでいろいろ言ったが、結局のところ俺に出来るのはそれくらいだしな」

 

 そんな感じで、決意を新たに再出発……というところで、しまらないことにポケットの端末が震えた。

 

「おや、通信ですか? 会議中は切るのがマナーですよしょうがないですねもう……」

 

「……いや待て、誰からだ?」

 

 ……ここまでオールマインドの元で秘密主義的に行動して来た俺には、気安く連絡先を交換した知り合いなどいないはず。いったい誰が?

 

「…………」

 

 嫌な想像をいくつか脳裏に巡らせつつ、応答ボタンを押す。

 

 

 

 

 

「メリーさんメリ。今、べリウス地方にいるメリ」

 

 

 

 …………えっ??

 

 

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