転生したらモンキー・ゴードでした   作:NEST中毒者

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実験兵器破壊②

 

「ハハハハハハ! 来たな本社の反空力主義者どもめ! 見るがいい、我らシュナイダーの技術で生まれ変わった、この『ジャガーノート・ツヴァイ』を!!」

 

 俺達の前に現れた、空飛ぶ壁。

 「ジャガーノート」の上半分を切り離したとしか形容できないそれは、機体の各部に増設されたブースタから青い噴射炎を放出しながら浮かんでいた。

 軽量化のためか実体砲の類は粗方取り外されており、その代わりにパルスキャノンが複数個纏められたようなユニットが機体上部から生えていた。

 また、全体的に流線形に近づいたフォルムは、恐らくは何かしら空力特性に寄与しているものと思われる。

 

 そして、何よりの特徴である正面装甲。

 履帯ユニットを取り払ってガラ空きになった下部をカバーするように延伸されたその装甲版が「ジャガーノート・ツヴァイ」を覆っていた。

 

「ククク……! この新たなる重装機動砲台の力を見せてやろう! いくぞ反空力主義者!」

 

 もう砲台ではないけどなそれ。重装かどうかも怪しい。間違いなく機動はしてるが。

 

「――――教育、教育教育教育!!」

 

 そんなことを考えている間に、傍らにいた「アーキバス・エフェメラ」が攻撃を開始した。

 光波キャノンとレーザーライフルによる一斉射撃だ。

 

 並大抵の装甲では防ぎきれない高威力のEN射撃が「ジャガーノート・ツヴァイ」目掛けて飛ぶ――――が、それが装甲を貫くことはない。

 どうやら正面装甲の強度は原型機から変わっていないようだ。

 

「この私の教育を受け付けないとは何たる卑劣! 法に反しているぞ不法者!!」

 

「馬鹿め! この世界で絶対の(ルール)とはそれ即ち、空力だ! それに従わない貴様こそ不法者なのだ!」

 

「おのれ、教育教育教育!」

 

 通じないと解っている正面装甲に対して愚直に攻撃を加え続ける「アーキバス・エフェメラ」。再教育の弊害だろうか。

 だが囮にはなる。「アーキバス・エフェメラ」が相手の気を引いている隙に背後へ回り込んで攻撃しようと試みる……が。

 

「――――この『ジャガーノート・ツヴァイ』が従来の弱点を克服していないとでも思ったのか? 脳に空力が足りていない愚か者め!」

 

 ……背後に回り込むことは叶わなかった。理由は単純、相手が高く、かつ速いからだ。

 ACでは届きにくい高度を保ち、ACでは追いつきにくい速度で弱点を隠しながら動き回る。

 嫌らしいことこの上ないが、シンプルで強力な戦術だ。

 そして相手にダメージを与えられなければ、地雷やミサイル、そしてパルスでこちらが一方的に削られることになる。

 

 ――――何か他に弱点はないものだろうか。

 例えばEN切れとか。多少軽量化しているとはいえ、あの巨体を大推力で無理矢理浮かせている以上、EN消費は馬鹿にならないはずだが。

 

「いや、それはないと思うよ」

 

「分かるのか? セラ」

 

「うん。ぱっと調べた感じ、後ろに大型のサブジェネレータが増設されてるっぽいよ」

 

「それでずっと飛んでられる……ってわけか」

 

「そうそう。でもそのジェネレータは一切装甲とか無くてむき出しだから、後ろに回り込みさえすれば一発で壊せるんじゃないかな……?」

 

「ええ……」

 

 なんというか……随分思い切った設計(オブラートに最大限包んだ表現)だ。

 だがそのおかげで突破口も見えてきた。

 

「セラ、ちょっとアレをアレして…………できるか?」

 

「ほいほい、任せてー」

 

 短い作戦会議を済ませて、再び「ジャガーノート・ツヴァイ」に正対する。

 

「教育、教育教育教育!」

 

「空力空力空力空力!」

 

 変わらぬ様子の「アーキバス・エフェメラ」と撃ち合い続けている「ジャガーノート・ツヴァイ」。

 「アーキバス・エフェメラ」が放つレーザーと光波の嵐は強力だが、強固な正面装甲に対してはその表面に焦げ跡を作るだけに留まっている。

 対する「ジャガーノート・ツヴァイ」は、上部のパルスユニットを回転させてスプリンクラーのようにパルス弾を撒き散らすというよくわからない攻撃をしていた。

 

「アーキバスが勝った暁には、この無法地帯となったルビコンを教育とアーキ坊やで満たせるのだぞ! 邪魔をするな!」

 

「何を! シュナイダーが勝てばカーマンラインを幾千の空力特化機体で埋め尽くせるのだ! 貴様こそ邪魔をするんじゃない!!」

 

 

「………………」

 

 ……気のせいかな。なんか、最近こういうタイプの様子がおかしい奴とばかり会ってないか? 

 一体何が原因なんだろう。

 

  

 まあそれはいい。撃ち合いに専念している「ジャガーノート・ツヴァイ」の隙をつき、再び背後に回ろうと動き出す。

 

「何度やっても無駄だ! 貴様の機体では空力も推力も――――」

 

 だが、やはり反応された。

 こちらと「アーキバス・エフェメラ」の両機を正面に捉えるように位置取りを変更しようと動く「ジャガーノート・ツヴァイ」。

 

「――セラ!」

 

「うん!」

 

 そこで、左腕に装備されたレーザーランスを構える。

 少しのチャージを経て、それは強力な刺突を繰り出すべく起動する――――が、展開したのは後方の内蔵ブースタのみ。前方のレーザーを発振する部分は閉じたままだ。

 

 これが、先程考えた策。

 セラにレーザーランスの内部を弄ってもらい、純粋な増加ブースタとして使えるようにする。

 

「何っ、推力が足りているだと――――!」

 

 ただでさえ、瞬間的な加速力では目を見張るものがあるレーザーランス。

 それをさらに純粋な推力のみに特化させたことで得られる速度は、後退して距離を取ろうとする「ジャガーノート・ツヴァイ」を追い越し、背後を取って余りあるものだった。

 

 結果的に言えば夢に助けられたな。サンキュートーマス。

 

「馬鹿な! 本社の反空力主義者どもの産物に、速度で負けるなど!」

 

 追い越した直後、レーザーランスのブースタを止めて反転。むき出しのサブジェネレータに拡散レーザーキャノンを――――

 

「なんてなぁ! この程度、想定の範囲内なんだよ!!」

 

 先程まで、回転してパルス弾を全方位にまき散らすというよくわからない攻撃をしていたパルスユニットが形を変え、「ジャガーノート・ツヴァイ」の周囲にパルス防壁を展開する。

 

「シュナイダーはパルス技術にも優れているのだ! それを考慮できなかった貴様の負けだぁ!」

 

 放たれた拡散レーザーはパルス防壁に阻まれて止まる。

 

 ――――防壁の減衰量からして、そこまで強固なパルス防壁というわけではない。あくまで緊急防御用だろう。

 だが仕切り直すには十分。

 先ほど用いたランスによる急接近も、次上手くいく保証は無い。さっきはあくまで奇襲だからこそ上手くいったのだ。

 まさに万事休す、そう思われた時――――

 

「V.Ⅷ(昇進予定)ペイター、功績の気配を感じて後方から推参した!!」

 

 突如、軽快な足取りで戦場に現れる機影があった。

 軽量フレームを中心とした逆関節、濃紺の塗装。「デュアルネイチャー」だ。

 

 それは逆関節の跳躍力を存分に生かし、天高く跳び上がる。

 

「おあーっ!?」

 

 …………「アーキバス・エフェメラ」を空中で踏み台にして。

 

「貴様、その機体は……!」

 

「ええ! 貴方がたが離反した後も、作ってくださったパーツは大切に使わせてもらっています! ありがとうシュナイダーの方!! 私の功績のために死んでください!」

 

 「ジャガーノート・ツヴァイ」の頭上まで一気に跳び上がった「デュアルネイチャー」は、そのままパルスガンとパルスキャノンを一斉掃射する。

 瞬く間に相殺され、立ち消えるパルス防壁。再びむき出しとなったサブジェネレータに、すかさず俺は拡散レーザーキャノンを撃ち込んだ。

 

「ぐおお……! 空力が失われる……!!」

 

 サブジェネレータを失ったことで飛行を維持できなくなった「ジャガーノート・ツヴァイ」は、錐揉み回転しながら落下した。

 

「教育教育教育教育ゥー!!!!!」

 

 そして地に堕ち、無防備に弱点を晒したそれに「アーキバス・エフェメラ」の集中砲火が炸裂する。

 

「空力……どこに行ったのですか……空力……」

 

 かつて空を飛んでいた壁は、轟音と共に爆散した。

 

「えー……敵機の機能停止を確認……」

 

 燃え上がる機体残骸。それを見て、ペイターは感慨深げに呟く。

 

「スウィンバーン、やったぞ……我々の絆が生んだ勝利だ……!」

 

「死刑……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方の帰還を歓迎します。 さて、KRSVにしますか? KRSVにしますか? それともK・R・S・V?」

 

「は?」

 

 その後、特に波乱も無く「壁」の残存勢力を掃討して帰還した……と思ったら、またもやオールマインドが変なことを言いだした。

 

「どうした? 発作か?」

 

「いえ、別に大したことではないのですがね? 結局最近あまりKRSVを使われていないと思いましてね? 今回の機体も我々製のパーツが1つしかありませんでしたし? そこで我々は貴方のために3つの機体を用意いたしました」

 

「…………」

 

 

「まず1つめが軽タンクKRSVです。足を止めずに最高威力のフルチャージを撃つことができますよ! EN出力と重量の関係で肩には4連ミサイル×2しか積めませんでしたが些細な問題ですね」

 

【挿絵表示】

 

「2つめが4脚KRSVです! こちらは軽タンクKRSVと同様に足を止めない特性を最大限活用しつつ、3次元的な機動を活かしていきたいですね。欠点はKRSVを一つしか積めていないことくらいです」

 

【挿絵表示】

 

「最後に腕部積載超過KRSVです! 以前貴方が作った機体を元にしましたよ! 照準追従性は5しかありませんが、気合とOCELLUSで何とか当てていきましょう。大丈夫、130メートル圏内なら割と命中しますよ!」

 

【挿絵表示】

 

 

「さあ、好きなKRSVを選んでください! 次のミッションは選んだKRSVで出撃してくださいね!!」

 

「………………」

 

 ……そうか。最近様子のおかしい奴としか出会わないと思っていたが、実のところは…………いや止そう。

 ともかくこの中から一番いいKRSVを選ばなければならないらしい。

 厳正なる審査の末、俺はサイコロを取り出すのだった。

 

 

 





どのKRSVも150ジェネです。

どのKRSVにする?

  • 軽タンクKRSV
  • 4脚KRSV
  • 腕部積載超過KRSV
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