「そのKRSVを選ぶとは……お目が高いですね」
オールマインドから提示された3つのKRSV。
熟考に熟考を重ねた末、俺がその中から選び出したのは4脚KRSVだった。
「ではこれを『マインド
いつになくテンションが高いオールマインド。
その勢いのまま、次の任務のブリーフィングが始まった。
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六文銭排除
作戦領域:ベリウス南部-ガリア多重ダム
依頼者:オールマインド
作戦目標:敵AC撃破
報酬:-
詳細
・ルビコン解放戦線に身を寄せる独立傭兵「六文銭」の排除
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MISSION BRIEFING
「それでは、引き続き解放戦線の戦力を削っていきましょう!」
「今回の標的ですが、六文銭と名乗る独立傭兵です」
「……実のところ、彼はかつて我々の協力者でした」
「彼は表向き独立傭兵として活動しつつ、その裏で様々な工作を行っていましたが、土壇場で翻意し解放戦線に……あれ?」
「……以前にも似たような説明をしませんでしたか? おかしいですね」
「ま、まあいいでしょう。とにかく彼を排除してください。ブリーフィングは以上です」
「……どうしてこんなに離反者がいるのでしょうか……? なんだかよくわかりません」
オールマインドがしおれている。
先程のハイテンションとは一転、自分で語ったブリーフィングの内容に自分でショックを受けているようだ。
まあそれは置いておくとして、六文銭って元内通者だったんだな。
機体に使われているパーツからしてオールマインドの関係者か、あるいはログハントをすごく頑張った人かのどちらかであるとは思っていたが。
「……あの、貴方は土壇場で翻意したりしませんよね……?」
「しないしない」
「ほ、本当ですか? 本当に大丈夫ですか?」
「…………」
「……ミッション開始です。六文銭を排除してください」
はい。そんなわけでガリア多重ダムにやってきた。ここもなんやかんやあって解放戦線の手に戻ったらしい。
「頑張ってね? いろんな意味で」
「………………」
うーん一体どういう意味だろう。
とにかく任務を進めることとする。
「敵襲! ACが1機!」
ダムに接近したこちらに気付き、早速出てきた迎撃のMTたち。
それに対して俺は、脚部のホバーモードを起動して上空から接近。そのまま右手にマルチエネルギーライフル、左手にレーザーハンドガンを構え、連射する。
「灰被りて、我ら――――ぐあっ!」
両腕の武器からそれぞれ発射されるレーザーとプラズマ。非常に連射速度の速いそれらはジェネレータの補正も相まって非常に高い殲滅力を発揮している。
さらに、遠くの砲台群に対して右肩のプラズマミサイルをマルチロック、発射。
「おのれ! コーラルよ、ルビコンと共に――――」
現れた4脚MTに対しては、レーザーハンドガンで牽制を入れつつマルチエネルギーライフルのフルチャージショットを叩き込んだ。
そして即座に左手の武器をプラズマ機雷投射機に持ち替え、
「いやはや、相変わらずKRSVは凄いなぁ、雑魚の掃討から強敵への対処まで何でもこなせるしな!」
「……とりあえずKRSVを褒めておけば我々の機嫌を取れる、なんて思っていませんか? 我々がそんなにチョロい傭兵支援システムだと思われているなら心外ですね」
「くっ手ごわいぞこいつ」
「………………」
……ミッションを進めよう。
防衛部隊を薙ぎ払いながら、多重ダムを進んでいく。
しばらくすると、普段のダムとは少し違った光景が目に飛び込んできた。
ダムが放水をしているのだ。
年中氷漬けの筈のガリア多重ダムにしては、非常に珍しい光景。
そしてその下に、1つの影が見えた。
「スゥーッ! ハァーッ! スウウウゥーッ! ハアアアァーッ!」
それはACだ。ACがダムの放水を浴びながら直立している。
エルカノ製の軽量フレームをベースに、オールマインドのパーツを組み込んだ機体。
コアにはデカデカと「忍」の一文字が刻まれている。ただし左右が逆だが。
間違いなく、それは今回の標的たるAC「シノビ」だった。
「何やってんだあいつ……」
「修行なり。適切なカラテなく水面に触れれば、たちまちカッパに浚われてしまうのだから……」
「????」
……遠巻きに眺めていたのだが、気取られたらしい。
古風ぶった語り口で、通信越しに話しかけてくる声があった。
「ドーモ、オールマインドの使い=サン。六文銭デス」
そして、いきなりオールマインドの手のものであるとバレている。
なんでだろうね。右手に持っている物が良くなかったのだろうか?
「…………」
「やはりオールマインドか……ならばルビコンの土となれい!」
返答に窮していると、次の瞬間水しぶきが迸る。ダムの滝壺から「シノビ」が飛び出して来たのだ。
「イヤーッ!」
謎のシャウトと共に放たれるのは、左手のプラズマ機雷投射機を回転させてからのフルスイング。その勢いでプラズマ機雷が周囲に散布され、紫色の爆発が巻き起こった。
だがその程度の攻撃をみすみす食らうことはない。ホバーモードの速度を活かして爆発範囲から逃れた俺は、反撃にレーザーとプラズマの連射をを見舞う。
「アバーッ!?」
「……六文銭。なぜ解放戦線に鞍替えを行ったのですか? 貴方は我々の計画に賛同していたはずでは――――」
「バカめ! 元より賛同などしたつもりはない! 某が貴様に協力したのは、単にこのクサリガマ・ニンジャウェポンが欲しかったからに過ぎぬ!」
「えっ……」
機を窺って六文銭に質問を投げかけたオールマインドだったが、にべもない返答によってさらなるダメージを受けている。哀れ!
「そして某は放浪の末、真に仕えるに値する主を見出した! 義を見てせざるは勇無きなり、某は同志ツィイーの中に
だがそんなことはお構いなしに「シノビ」は戦闘機動を続ける。それは特殊ミサイルを放ちつつ、両手にショットガンとライフルを構えて吶喊してきた。
「だいいち、貴様の語る計画なぞに誰が本気でついて行くというのだ! このバカ!」
「な、なんでそんな酷いこと言うんですか!」
「インガオホーだ! 貴様の言うことは何もかもまるで意味不明ではないか――――」
「――やめろォ!」
……このまま六文銭を喋らせておくのはマズい、この口撃はオールマインドに効く。
というわけで早急に黙らせるべく右手のマルチエネルギーライフルを最大までチャージ、同時に左手のレーザーハンドガンもチャージしてバースト射撃を放つ。
「コシャクな――――グワーッ!?」
「シノビ」がレーザーハンドガンのバースト射撃を回避した直後を狙い、マルチエネルギーライフルのフルチャージを発射。
同時に、爆導索が回り込むような軌道でこちらに飛んでくるが、「マインドλ」は4脚だ。チャージショットを放ちつつ、同時にそれの爆発範囲から逃れることができる。
結果として、こちらのフルチャージショットが一方的に命中する結果となった。
軽量機である「シノビ」のACSでは到底耐えきれない衝撃力の一撃。
だが「シノビ」は被弾しながらもどうにかパルスアーマーを展開。
ダメージこそ受けたものの
「イヤーッ!」
パルスアーマーの耐久力を盾に距離を詰めてくる「シノビ」。対するこちらは主兵装がオーバーヒート中だ。
故にレーザーハンドガンとプラズマミサイルで牽制しつつ距離を取る他ない。
一方、それを見た「シノビ」は再度爆導索を発射する。
「…………?」
微かな違和感。
おそらくアレはロックオンを待たずに発射されている。
「見よ! これがカトン・ジツだ!!」
――そして、その謎の答えはすぐに明らかになった。
「シノビ」は再びプラズマ機雷投射機を取り出し、そのワイヤーの先端を爆導索に絡みつかせたのだ。
「Wasshoi!!」
そして、大幅にリーチが伸びた鞭がそのまま振り回される。
超広範囲をカバーする高衝撃力の一撃。
さらに言えば、現時点で「マインドλ」のACS負荷はかなり蓄積している。
「シノビ」の持つバーストアサルトライフルによる銃撃は、派手な火力こそないが確実に負荷を維持し続けていたためだ。
故にこの攻撃を食らえば
ならばどうするか……といっても対策は単純だ。
「……間に合ったな」
振り回された爆導索を、展開されたパルスアーマーが阻む。こちらにもコア拡張機能はあるのだ。
そのまま足を止めた「シノビ」に接近。こちらもプラズマ機雷投射機を振るう。
「オノレ……!」
放たれた回転体が、減衰しつつあった「シノビ」のパルスアーマーを引き剥がした。
間髪入れずにそれを引き戻し、無防備となった「シノビ」に対してさらにもう一発攻撃を放つ。
「……卑劣なオールマインドの手先め! ここで死すべし!!」
だが再度放たれた回転体に散弾が命中し、僅かに軌道が逸れた。
「シノビ」がとっさに右手のショットガンを放って迎撃したのだ。
さらにその散弾は先の爆導索を受け止めたことで減衰していた「マインドλ」のパルスアーマーをも削り切る。
――――これで互いにパルスアーマーは消え、条件はイーブンといったところ。
だがアドバンテージはこちらにあった。満を持して、オーバーヒート状態にあったマルチエネルギーライフルの排熱が完了する。
「くっ……このままではジリー・プアー(徐々に不利)か……!」
六文銭の言う通り、完全な火力を取り戻した「マインドλ」のダブルトリガーはみるみる「シノビ」の装甲を削っていく。
対する「シノビ」の射撃武装は、射程が短いショットガンと火力に欠けるバーストアサルトライフルだ。爆導索にさえ気を付けていれば、撃ち合いで「シノビ」に負ける道理は無い。
このまま射撃戦を続けていれば、こちらが一方的に相手を削り殺せるというのは明白だった。
「だがまだだ! 勇将の元に弱卒無し! 同志ツィイーと共に歩むと決めた某に……退く選択肢は無い!」
故に相手が取る行動も決まっている。接近戦だ。こちらの退路を塞ぐように爆導索を放ちつつ、左手にプラズマ機雷投射機を携えて迫る「シノビ」。
だがこちらのプラズマ機雷投射機も既に排熱済みだ。迫りくる敵を迎撃すべく持ち替え、構える。
奇しくも同じ武器、同じ腕部。
ならば勝敗を分けるのは――――脚部の違いだった。
4脚であるこちらの「マインドλ」は、武器を振るいながらも「シノビ」の放つ回転体を紙一重で回避する。
一方、足の止まった「シノビ」に、「マインドλ」の放つ回転体を躱す術は無かった。
「――――天網恢恢疎にして漏らさず……悪逆の徒よ、ルビコンの土となるがいい……」
そして既に、マルチエネルギーライフルには最大限のエネルギーがチャージされている。
「……サヨナラ!!」
凄まじい熱量が撃ち放たれ、六文銭はしめやかに爆発四散した。
…………で。
「AC『シノビ』の撃破を確認、ミッション完了です……ところで」
「………………」
「再三確認しますが、貴方は土壇場で翻意したりしませんよね? 大丈夫ですよね?」
……ふむ、どうしてこうなったんだろう?
「……さっきからなんなんだ一体」
「だって、我々に賛同した人がみんな翻意するんですもん! 今回といいこの前のオキーフといい……! スッラだって利害が一致していただけで計画には興味なさげでしたし!!」
「…………」
「貴方だって、優しげな言葉をかけておいて実際は我々の……か、から……」
「から?」
「KRSVが目当てなのでしょう!!!!」
「……いや、それはない」
「えっ、それってKRSVに興味がないってことですか……?」
「………………」
……めんどくせーなこいつ。どう答えるのが正解なんだ?
というかセラどこ行った。まあ、あいつは割と気分屋でタイミングによって居たり居なかったりするが……ちょっと助け船が欲しい。
「……とにかく答えてください!! 貴方は我々の計画に賛同してくださいますよね? ちゃんと最後まで協力してくれますよね?」
「いや、そもそも俺はお前の計画について具体的には知らないんだが……」
「えっ」
「……あんまり説明しなかっただろお前」
そう。ぶっちゃけ俺のコーラルリリースに関する知識はかなりフワッとしている。
そもそも
あと俺が知ってるのはエアがトリガーを乗っ取った場合のパターンであって、それがオールマインドの計画通りに進んだ場合と同じなのか、それとも何かしら違いがあるのかさえも定かではない。
……そしてこっちでオールマインドから聞かされた内容も計画の達成要件とかそれくらいで、具体的な内容には特段触れられていないのである。
「そ、そういえばそうでしたね? 我々としたことがうっかり話し忘れていたようです」
「えぇ……」
「……じゃあ、ゆっくりと説明しなければいけませんね!!」
「…………ん?」
途端に、コクピット内に謎のガスが充満する。
いつの間にかロックされていたハッチの内側で為す術なくそれを吸い込んだ俺は、オートパイロットが起動する音を聞きつつ意識を失った。
マインドλ(4脚KRSV)
UNIT
R-ARM UNIT:
L-ARM UNIT:
R-BACK UNIT:
L-BACK UNIT:
FRAME
HEAD:VP-44S
CORE:IA-C01C:EPHEMERA
ARMS:EL-TA-10 FIRMEZA
LEGS:LAMMERGEIER/42F
INNER
BOOSTER:BST-G1/P10
FCS:FCS-G2/P05
GENERATOR:VE-20B
EXPANSION:PULSE ARMOR
【挿絵表示】
厳正なる審査という名のアンケートで選ばれたKRSV。
KRSVの多彩なチャージ攻撃という強みに着目し、4脚にすることで構え無しの運用を可能にした。
もちろん150ジェネで威力を引き上げ、左ハンガーに装備したレーザーハンドガンとのダブルトリガーを想定。
KRSVにしろレザハンにしろ150ジェネで運用すると結構チャージを誤爆しやすいのだが、4脚なら誤爆しても足が止まらず隙を晒さずに済むという利点もある。
ヨーヨーと4脚の相性に関しては言わずもがな。
腕もそこそこ近接適性のあるFIRMEZAなので威力も結構出せる。
立ち回りとしては、ダブルトリガーとプラミサでAPを削りつつ隙を見てヨーヨーやチャージショットを入れていくという感じ。
問題点はマジで負荷がカッツカツなこと。ブースタは推力の低い初期ブースタで固定な上にそれ以外のパーツを換える余地もほとんどない。勿論EN回復も遅い。
初期ブースタ故の低い通常推力はホバーモードを上手く活用すれば踏み倒せるが、QB性能はそう高くないので注意。腐っても4脚故に姿勢安定性はそこそこあるので、そこを活かして立ち回るのが吉か。
軽タンクKRSV
UNIT
R-ARM UNIT:
L-ARM UNIT:
R-BACK UNIT:
L-BACK UNIT:
FRAME
HEAD:20-081 MIND ALPHA
CORE:IA-C01C:EPHEMERA
ARMS:VE-46A
LEGS:EL-TL-11 FORTALEZA
INNER
BOOSTER:NOT EQUIPPED
FCS:FCS-G2/P05
GENERATOR:VE-20B
EXPANSION:ぶっちゃけ決めてなかった
【挿絵表示】
選ばれなかったKRSVその1。
軽タンクで地面を走り回りつつミサイルとKRSVを撃ちまくるというシンプルなコンセプト。これも当然150ジェネ。
一見して軽タンク脚部はEN負荷が高いように見えるが、ブースタを装備しなくてもよくなる分総合的な負荷効率は割といい。
その甲斐もあってどうにか150KRSV×2、ある程度の機動性、最低限の肩部武装を辛うじて両立できた。
ただし姿勢安定性が低い、4連ミサイルの火力がそんな高くない、空中の機動性が死んでる、というか地上でもそこまで速くない……など弱点は山積みなので、構え無しで撃てる150KRSV×2の力をどれだけ活用できるかが肝。
腕部積載超過KRSV
UNIT
R-ARM UNIT:
L-ARM UNIT:
R-BACK UNIT:
L-BACK UNIT:
FRAME
HEAD:20-082 MIND BETA
CORE:IA-C01C:EPHEMERA
ARMS:AA-J-123 BASHO
LEGS:LG-011 MELANDER
INNER
BOOSTER:BST-G2/P06SPD
FCS:IA-C01F:OCELLUS
GENERATOR:VE-20B
EXPANSION:ぶっちゃけ決めてなかった
【挿絵表示】
選ばれなかったKRSVその2。
近距離以外の命中率を完全に投げ捨てた代わりに機動性を得たKRSV。
130メートル以遠だともう照準が追従するとかいうレベルじゃないくらいレティクルが暴れるが、近距離ならOCELLUSの効果で割と当たる。前2つのKRSVと違って2脚である以上ノンチャ連射をメインに立ち回ることになるので、上を取ってプラズマの範囲を活用していけば更に当たる。
両肩のプラミサと併せた数打てば当たるプラズマ祭りでAPをガリガリ削っていこう。
弾切れしてもBASHO腕で殴り掛かればいいので安心(?)
まあ真面目な話、本気でKRSVを活用する場合腕部積載超過を許容するというのは割とアリな選択肢だとは思う。
例えば天槍腕でKRSVを両手持ちした場合、腕部積載超過の表示こそ出るものの実際の超過量は軽微で照準追従性は80あったりする(VE-46Aで86)