転生したらモンキー・ゴードでした   作:NEST中毒者

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技研都市占拠①

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技研都市占拠

 

作戦領域:中央氷原-ルビコン技研都市

依頼者:オールマインド

作戦目標:敵部隊殲滅

報酬:-

 

詳細

・ルビコン技研都市に駐留する敵勢力の排除

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MISSION BRIEFING

 

「代替プランの必須要件……ザイレムの掌握は完了しました」

「続いて、ルビコン技研都市を支配下に置き、バスキュラープラントを稼働させる必要があります」

「以前のブリーフィングでも述べましたが、技研都市は現在、ルビコン解放戦線の占拠下に置かれている状態です」

「彼らには依然としてファーロン・ダイナミクスやシュナイダーの支援が付いており、本社を離反したレッドガンも協力関係にあります。激しい戦闘は避けられないでしょう」

 

「……具体的な段取りの説明に入ります」

 

「まずはザイレムで中央氷原まで航行、技研都市直上の氷床まで移動させます」

「続いて、我々がザイレムにあった資材で作った特殊装置を用いて氷床を穿孔。直接技研都市へ突入し、内部の敵勢力を殲滅してください」

 

「敵勢力は極めて多数ですが……技研都市には未だ防衛用の無人兵器が残留しているはずです。これを用いれば活路が開けるでしょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて……『ジュピター』の改修が完了しましたよ」

 

 ザイレムの甲板上で、新しくなった「ジュピター」の出撃準備をする。

 中央氷原まで航行している間に、オールマインドがザイレム内の設備を使って機体を改修してくれたのだ。

 

「元はと言えば、このザイレムも技研の設備ですからね……我々にとっては扱い易いものです」

「……うん、それはいいんだが…………このエンブレムは何?」

 

【挿絵表示】

 

 オールマインドの応急改修により、ジャンクだった「ジュピター」のフレームパーツが正規品と同じくらいの性能と装甲を取り戻した。

 ……のはいいんだが、このコアにデカデカと貼られた金色のエンブレムは一体なんだろうか。

 

「何って……我々謹製のエンブレムですが、何か?」

「そういうことを聞いてるんじゃないんだよなぁ……」

「おや、一体何が不満なのでしょう? 我々が傭兵に贈る中で最上位の金色のエンブレムですよ?」

「うーん…………まあいいか。ところで、こっちは?」

 

 ……おかしいのは「ジュピター」だけではない。

 その隣には、何というか……奇妙な物体があった。

 

 「スマートクリーナー」のパーツを流用して作られたと思われるそれは、残骸や予備パーツをかき集めたのであろう6本の破砕アームを放射状に並べ、円形のシルエットを描くように仕立てた奇怪なものだ。

 アームの付け根となる中心部にはむき出しの大型ジェネレータがあり、各部にブースタが据え付けられていた。

 

「よくぞ聞いてくれましたね……これは、技研都市直上の氷床を穿孔するために作ったものです。技研のアーカイブから『シースパイダー』や『ヘリアンサス』……そして『アイスワーム』のデータを参考にして作成しましたよ!」

 

 ……言われてみれば「ヘリアンサス」を横置きしたような形に見えなくもない。

しかしこれでどうやって氷床に穴を空けるというのだろう?

 

「では早速使ってみましょうか! 既に位置的にはウォッチポイント・アルファ上空まで来ていますからね!」

 

 自信満々なオールマインドの声を皮切りに、隣に置かれていた謎の機械が動き始める。

 それは中心のジェネレータを軸に回転し、各部のブースタを稼働させながら少しずつ浮かび始めた。

 ACが触れれば一瞬でスクラップに変わりそうな死のコマと化した巨大機械は、ザイレムから徐々に離陸し、氷床の上に向かっていく。

 

「さあ、ここで変形です!」

 

 そして、回転していた破砕アームが一斉に下を向いた。

 円盤状から円錐状にシルエットを変えたそれは、高速回転を維持しながら勢いよく降下し……6本の破砕アームを一斉に氷床へと突き立てる。

 破砕音に振動音……ありとあらゆる異音をまき散らしながら、オールマインド謹製の意味不明なユニットは氷の中へと沈んで消えていった。

 

「………………」

「………………」

 

「……計算通りですね。さあ、この穴から技研都市に突入してください」

「お、おう…………」

 

 眼下には大穴の空いた氷床だけが残っている。

 実に奇怪な光景だったが、ともかく技研都市への道は開かれたようだった。

 

 

 「ジュピター」を大穴に飛び込ませ、高度を下げていく。

 バスキュラープラントを傷つけずに技研都市へ侵入するために道は若干傾斜しており、かなりの距離がある。

 とはいえ途中に障害があるわけでもなく、道のりは順調だった。

 

 そうして…………地中に眠る巨大な都市へと到達する。

 どうやら技研都市側面の岩壁をぶち抜いて侵入したらしく、出口から都市を俯瞰することが可能な立ち位置だ。

 

 広がるのは、遥か昔に打ち捨てられた廃墟。だがその街並みは、急造の武装拠点へと改造されていた。

 立ち並ぶビルのあちこちに砲台が設置され、駐留している機体も多く見て取れる。

 解放戦線、シュナイダー、ファーロン……そしてレッドガンの機体もあり、ここが解放戦線を中心とした連合軍の新たな拠点であることは間違いないだろう。

 

 ……真下には、爆散した破砕アームの残骸がある。どうやらあの即席掘削機は役目を終えたらしい。

 そしてその爆発は、敵の注意を引くのに十分すぎるほど派手だったのだろう。

 

「敵ACを確認した、各自迎撃を頼む!」

「了解。シュナイダー試作飛行部隊、発進してください」

「こちらも敵機を捕捉した。ミサイルによる火力支援を開始する」

「聞こえたな、役立たずども! 相手は1機だと油断するな、全力でかかれ!!」

 

 ――――技研都市内に存在する敵の全てが、こちらに注意を向けているのを感じる。

 

 遠くからでも見える解放戦線の「ジャガーノート」、それに並んでこちらを狙う無数のミサイル砲台、空にはまたしてもゲテモノじみた飛行機械が飛んでいる。

 そして急速に接近する複数のAC反応。一切の手心なくこちらをすり潰そうとする容赦ない布陣だった。

 

 幾ばくかの改修を経たとはいえ、「ジュピター」単機で勝てる道理はない。だが――――

 

「――――ちょっと詰めが甘かったみたいだね!」

 

 遠くで、赤い鳥のようなものが飛び立つのが見えた。

 それは巨大な翼を広げて舞い上がり、突進する。

 

「馬鹿な、我らシュナイダーの最新鋭機より遥かに速いだと――!?」

 

 赤い鳥が頭上を横切った直後、空中に展開していたシュナイダーの部隊がまとめて爆散する。

 その鳥の正体は…………コーラルを纏って飛ぶ白い機体だった。

 

 アイビスシリーズ……「CEL 240」。おそらくそれは既に撃破され、解析のために技研都市で保管されていたのだろう。だが、ジェネレータを完全に破壊しない限り何度でも蘇るという不死鳥じみた性質までは解析しきれなかったのではないだろうか。

 そして――人の手には余るその機体も、十全に操ることのできる存在がこちらにはいる。

 

「往生際が悪いってこと! この機体も、ボクらもね!」

 

 空飛ぶ異形どもを撃墜し、あっという間に制空権を搔っ攫った「CEL 240」は、続いて地上部隊へとコーラルの刃を向ける。

 薙ぎ払う斬撃の乱打によって、脆弱なミサイル砲台は一網打尽に吹き飛び、それに巻き込まれる形で多数のMTが爆散。

 唯一耐えたのは重厚な正面装甲を持つ「ジャガーノート」のみ……だが、反撃を加えることは叶わない。

 重装機動砲台の名に恥じない大火力も、常軌を逸した速度で動く「CEL 240」の機影を捉えることはできず、お返しとばかりにコーラル弾の雨が降り注ぐ。

 

「くそっ……!」

 

 子弾をばら撒きながら急速に近づいてくる敵に慌てて距離を取り、旋回して「CEL 240」を正面に収めようとする「ジャガーノート」。

 

「――――忘れられちゃ困るな」

 

 その無防備な背後に飛び込む。

 フルチャージを終えたチェーンソーを叩き込んで「ジャガーノート」のメインブースタとACSを潰し――――そしてすかさず距離を取った。

 頭上には、コーラルキャノンの発射準備を終えた「CEL 240」。

 直後、光の柱じみたコーラルの奔流が降り注ぎ、無防備なデカブツを完全に残骸へと変える。

 

「これで前座は片付いた……かな」

「……ああ」

 

 今の()()()だけでもかなりの数があったが、しかし接近する機体反応が絶えることはない。

 息もつかせずに現れたのは、複数の「ジャガーノート」を含む大軍勢と……そして本命のAC部隊。

 解放戦線とレッドガン、双方の生き残りによる混成部隊が、十分な火力支援をバックにこちらを包囲しつつあった。

 

「G4、G5! 貴様らの底力を見せつけてやれ!」

「ああ……言われるまでもねぇぜ、イグアス!」

「クソ、こんな時に耳鳴りがしやがる……だがミシガンの野郎ほどうるさくはねぇな……!」

 

「行くぞラスティ! ここが正念場だ……!」

「無論だフラットウェル。ルビコンの夜明けを拓くまで、倒れるつもりはない!」

 

 迫りくるACは合計5機。

 「ライガーテイル」、「キャノンヘッド」、「ヘッドブリンガー」、「ツバサ」……そして「スティールヘイズ・オルトゥス」。

 さらにAC以外の兵器も豊富で、よく見れば鹵獲品と思しきLCなんかも数は少ないが紛れ込んでいる。

 先程以上に圧倒的な数的不利を抱えた状況だったが――――

 

「防衛システムの再起動完了……停止していた封鎖兵器を起動しました」

 

 ウォッチポイント・アルファから繋がる、技研都市への正規の入口がある方向に機体反応。

 直後、そちらから多数のプラズマミサイルが飛来する。

 それは俺たちではなく解放戦線側の機体へと降り注ぎ、不意のダメージを与えた。

 

 ミサイルを放ったのは、ウォッチポイント・アルファ及び技研都市を守っていた封鎖兵器。あくまで起動し損ねて眠っていた機体を動かしただけと思われるため数は少ないが、状況をかき乱すには十分。

 

「隙あり!」

 

 戦場の注意が新手へと向けられた一瞬の間に「CEL 240」は飛び上がり、十字にクロスした光波を打ち放つ。

 コーラルの燐光を放ちながら飛んだ刃は的のデカい鹵獲LCにクリーンヒットし、ACS負荷限界(スタッガー)に。

 そしてそれが復帰する前に「ジュピター」で急接近、チェーンソーを叩き込んでスクラップに変える。

 

「次!」

 

 敵が浮足立っている間に再加速。次は新手の「ジャガーノート」の背後に飛び込み、アサルトアーマーで随伴機ごとACSを吹き飛ばす。

 直後、先程と同様に上からの最大出力コーラルキャノンが叩き込まれ、「ジャガーノート」は爆散した。

 

 ――――片方がACS負荷限界(スタッガー)に追い込み、もう片方が最大火力の追撃でとどめを刺すという連携の効果は上々だ。

 だが、ここからはそううまくやらせては貰えないだろう。何故なら――――

 

「何をもたついている、役立たず共!!」

「総員うろたえるな! コーラルを守るんだ、同志たちよ!」

 

 ――――AC部隊が前面に出始めた。

 複数の組織からなる混成部隊である敵勢力だが、指揮官がいいのか連携に不備は見られない。

 解放戦線に、レッドガン。両者とも実弾武器を主体とする勢力だ。

 そんな彼らが一斉に弾幕を張れば、どうなるか。

 数の利を頼みに取り囲み、高い衝撃力を誇る銃弾と爆弾の雨を一斉に浴びせれば、並大抵の敵はACSが保たないだろう。

 

 だが――――

 

「……そう簡単にやられるわけにはいかないんだよね!」

 

 敵が狙うのは主に「CEL 240」だ。

 この場にいる誰もが、異常な能力を縦横無尽に振るうC兵器に対して注意を向け、最優先で排除すべき脅威として認識していた。

 だがそんな予想をも超えて、セラは暴れまわる。

 

 「CEL 240」の並外れた機動力は、敵ACのブーストも、そしてFCSの追尾すらも振り切ることを可能にしていた。

 その速度を以て包囲網をかき回し、隙あらば協力無比なコーラルの一撃が炸裂する。

 

「――――速いな」

 

 だが、そんな「CEL 240」に唯一追いすがる機体があった。

 

「それでも、私は置いて行かれるわけにはいかない――――!」

 

 その機体は、「スティールヘイズ・オルトゥス」だ。

 きわめて軽く、機動性に特化した機体構成に搭乗者の技量が合わさり、規格外のC兵器ですら近距離の間合いに持ち込む動きを見せている。

 

「わっ……と!?」

 

 レーザースライサーによる突進攻撃を躱すも、強引な回避行動により若干の隙が生まれる「CEL 240」。

 ――――その一瞬に、グレネードが連続で炸裂した。

 

「何をやっている役立たず共! 射撃のチャンスを見逃すな!」

 

 グレネードを放ったのは「ライガーテイル」……ミシガンだ。

 彼に少し遅れる形で、他のレッドガンたちも射撃を開始する。

 

「畜生、上手く当たらねぇ……ミシガンの野郎はなんでアレに当てられんだよ……!」

「……クソ、頭に響きやがる……」

 

 援護した2機の攻撃は「ライガーテイル」のものほど有効打にはならない。

 「キャノンヘッド」の方は低機動性ゆえに距離があって命中せず、「ヘッドブリンガー」の方はやや火力不足だ。しかしそれでも圧力を増す要因にはなっている。

 

「封鎖兵器にはこちらで対応する! 動ける後方部隊は援護してくれ!」

 

 そして、AC「ツバサ」を操るミドル・フラットウェルはMT部隊を指揮しつつ、現れた封鎖兵器への対応に当たるようだ。

 

「動かせる封鎖兵器の数が少々不足しています。ここからは十分な撹乱効果は見込めないでしょう」

「……そうか」

 

 ――――状況は固まった。

 この戦況の中心、台風の目となっているのは疑いようもなく「CEL 240」……セラだ。

 オールマインドが動かした封鎖兵器は十分に仕事を果たしてくれている。5機いる敵の内1機を引き離し、さらなる敵の増援もしばらく阻止できるだろう。

 

 そしてこの状況において、この俺……「ジュピター」は比較的目立たない位置にいる。

 まあ、派手に暴れ回るC兵器や、突然動き出した封鎖兵器に比べれば、こちらは少々地味な存在だ。

 

 無理もない。オールマインドの改修でジャンクからは脱し、あとついでに変なエンブレムもつけられたが、それでも「ジュピター」は未だ旧式と廉価品の寄せ集めなのだから。影が薄くなるのは当然のことだろう。

 

 ……だからこそ、できることがある。

 今も圧倒的な火力と機動力で暴れ回る「CEL 240」。それを捉え、撃破できる可能性を持っているのは……「スティールヘイズ・オルトゥス」と「ライガーテイル」の2機だろう。

 

 ならば、俺のすべきことは明白だ。

 この乱戦の中、注目されていない現状を利用し…………ラスティとミシガンを、狩る。

 

 「ジュピター」のブースタに青い火を灯し、俺は乱戦の渦中へと飛び込んでいった。

 

 

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