…また朝から体が重い。原因は分かり切ってるけど。目を開けて紫色の髪が巻き付いてるのを見て確信する。
「……朝?」
「…あのね?こよ姉。人を抱き枕にしないで欲しいんだ」
「…やだ」
俺はいつものようにこよ姉に注意する。毎朝抱きついてくるこよ姉は部屋によく寝ぼけて侵入してくる。しかもその上で人を抱き枕にする。ふざけんな。
「…もっかい寝る」
「せめて自分の部屋に帰って!?」
「…ならお持ち帰り」
「…俺に抱きつかないで!?」
一度だけ抱き枕を見たことがあるが、何一つとして似てなかった。…さてはこよ姉、嫌がらせのためだけにやってるんじゃないだろうか。ちょっとだけこちらを潤みながら帰らないこよ姉を見るとそう思う。
「だから早く自分の部屋に戻れ!」
「………このままリビング行く」
なんとかしてこよ姉を追い出した俺は身支度を終えて階段を降りる。リビングでは小さく光が漏れている。
「おう、おはよう我が息子よ!」
「貴方、もう少し静かに…他の子達も起きてしまうでしょう?おはよう、斬夜」
「おはよう、父さんに母さん」
父さんはその小さい体からは信じられないような大声を出し、母さんがその大きな体からは信じられないような小声で嗜める。…はたから見たら母親と息子にしか見えないのは一体何でだろうか?
「……これなら良さそうね。斬夜、皆寝てるから呼んできてちょうだい。輝夜は…いらないみたいね。それと剣は朝からパトロールでもう行っちゃったから気にしなくていいですよ」
どうやらご飯ができたみたいだ。さて、皆を呼んでこないとな。…まあ、まずは倉庫にいるジキ兄かな。
「失礼します」
俺は扉を開けた瞬間、一旦目を瞑る。そうでもしないと目がチカチカし過ぎて失明してしまうからだ。…目を開けても金ピカ過ぎるけど。そして堂々とその中央に座っているジキ兄。
「…なんだ、斬夜か。この
「いや、ジキ兄?この玉座みたいな場所に堂々と座っているのとその言い方じゃ王様にしか見えないからね?」
「まあ、無理もないだろう。しかし、やがて
…なんかこれを平常運転でできるジキ兄も凄いのだが、これでもまだまだましな部類なのだ。話が通じる。一番時間がかからない。
「では、先に行ってるぞ」
「わかった。ありがとう」
…一番話が通じるのがジキ兄だな、本当に。他の兄さん達なら数分はとられる。
俺はダンベルが書かれた部屋の前でそっと扉を開け、ベットで豪快に寝ているシブ兄にジンオウガのお手を叩きつける。こうでもしないと起きないからしょうがない。
「おう、もっと気合い入れて叩け!そんなんじゃ良い筋肉は作れんぞ!」
「そもそも作ろうとすら思ってない。つーかシブ兄、飯だはよ来い」
まあ、脳筋(実際個性を使うとそうなる)であるシブ兄をこの方法でしか起こせないのは如何なのだろうか、とも思う。
「では筋トレを…」
「しようと思うならもっと早く起きてやれよ」
「無理だ!」
「じゃあ飯だから来て。父さんにボコされても知らんから」
「……え?」
「今日ご飯作ってたの珍しく母さんだから」
「…じゃあ行くか!終わったらトレーニングしようぜ!」
「はぁ…とりあえず早く行きな?」
相変わらずの脳筋っぷりである。…母さんが作ってる訳じゃなきゃ三十分はトレーニングに付き合わされる。本当に助かった。
「トレーニングしないで早よ行け!」
「ねえ、うつろ姉?」
「何?触手も這わせた方がいい?」
「いや、なんで抱きついてるかって話なんだけど」
俺はシブ兄を呼び、2階に上がったタイミングで後ろから抱きつかれた。こういうことをしてくる人は限られるので、もう肌の質感で大体わかってしまう。きめ細かいさらさらな肌の感覚と髪としては異常に太くて長く、そして何よりもドロドロした液体。ぶっちゃけここまでわかるぐらい抱きついてくるのはどうかと思う。
「え、そこに斬夜がいたからだけど」
「いや何当然のように言うんだよ…普通に怖いんだけど…」
「わかったよ。とりあえず触手も這わせたほうがいいんだよね?」
「這わせないで!?普通に犯罪者みたいになっちゃうから」
うつろ姉は後ろから触手を這わせてヴィランを捕まえるスタイルなので、普通に犯罪者のような絵面となるのだ。…抱きついてから触手で確保しているのは女性だけ、という注釈がつくが。
そんな考えもお構いなしに触手が絡みつく。動けはするがべとべとしていて動きにくい。
「あの、俺男だよ?」
「知ってるよ?」
「…朝ごはんあるから早く行って?」
「う〜ん、いや」
「いやかあ…」
とはいえ、この体勢で長くいると触手からの粘液で判断力やらなんやらを奪われるので早く動かないといけない。
「うん、このまま動いていい?」
「いいよ。お散歩お散歩♪」
もうめんどいのでこのまま他の人も呼ぶことにする。…別に判断力が落ちた訳ではない。どうせこの後これをはがせる人に会うからだ。
「モク兄、電気ショック」
「任せロ」
「ひゃうん!?」
モク兄に電気ショックを使ってもらいうつろ姉をはがしてもらう。粘液が残っているけど着替えていけばいい。
「お前さあ…ぬレすぎだロ。動くな」
「お願い」
見かねたモク兄が高速で電流を流して粘液を吹き飛ばす。毎回見ているけど繊細にぶっ飛ばしてるのは凄いと思う。
「いちゃつくのヲ見せつけてくルンじゃねえよ。つーかなンできてンだよ」
「う〜ん…私と斬夜の結婚報告?」
「捏造するな」
「リあ充爆発しロ」
「落ち着け、ズドーンが起きる」
「呼んだか兄ちゃん!」
「ありゃ起きちゃった」
今扉を蹴破って侵入して来たのは爆発する弟、ズドーン。ピエロじみた服装と爆弾のポーチでいるところを見るに、もう起きてたみたいだ。基本的に『爆発』に関係することを口にするといつのまにかやってくる。
「ねえねえモク、誰を爆発させればいいの?」
「この部屋ぜンいン爆破しロ」
「ちょっと待って…」
「落ち着けズドーン。あと朝飯食うから下降りてこい」
「わーい!ご飯ご飯!」
ズドーンはなんだかんだで気を逸らされたらそのまま流されてくれるからな。
「私も?」
「うんそう。モク兄も早く行きな?」
「…うざってえ。ったく…」
ともかく、とりあえず二人にも伝えたことだしあと一人を起こしに行く。
「おにぃたん、おはようごさいます!」
「おはようネクロ」
何故かいつも抱きつきながら挨拶されるけど可愛いからいい。ネクロ以外はもう皆呼んだので、抱きつかれた感覚でそのまま抱っこする。
「ありがとう、おにぃたん!」
「どういたしまして」
さて、さっさと行くか。もうそろそろシブ兄あたりがトレーニングしたいとか言い出す頃だろうし。
「全員揃ったわね。斬夜、ありがとう」
「別に良いよ母さん」
「ではいただくとしようか!」
「「いただきます」」
「「ごちそうさまでした」」
「じゃあ今日は木が皿洗いお願いね」
「めンどい……」
「ハッハッハ!斬夜、今日は試験の二次試験なのだろう?頑張ってこい!」
「……ファイト」
「…ふん。
「最善は筋肉で突破しろ!筋肉は至高!」
「はぁ…斬夜はとりあえず個性を存分に使えば受かるから。頑張って」
「お兄ちゃん頑張って!」
「おにぃたんならだいりょうぶだよ!」
「…恥ずかしいからもう行ってくる」
皆から応援されるのはこそばゆい。だからもう試験会場に向かうことにした。今から徒歩で向かえば全然間に合う。
「いってきます」
「「いってらっしゃい」」
「………ここ?」
「ここだぞ」
俺が来たのは試験会場の12番。とりあえず職員の人に試験について書かれた紙を貰う。
「…こんにちは」
「…こんにちは。えっと、すごい気を悪くしちゃいそうな質問いい?」
「…どうぞ」
「なんで話しかけてきたん?」
俺は目の前にいる蛇が体に絡みついているような人にそう問いかける。普通に話しかける理由がないからだ。精々さっきここかどうかの悩みに答えたぐらいだし。
「…えっと、その紙について見せて欲しいのと友達になって欲しいから」
「…いいよ。俺は狩野斬夜。君は?」
「鎖残鑼々。えっとその、よろしく。名前で呼んでくれると嬉しい」
「じゃあドララって呼んでもいいか?」
「え!?」
「ん?嫌だったか?」
「ううん、初めてあだ名つけてもらったことに驚いただけだよ」
「ああ、なるほど?まあ、これ見ようぜ」
俺はとりあえずドララと一緒の場所で試験をやる感じか。
「……あのさ、君の個性は何?」
「モンスター。一部分が変化するって感じ。ドララの個性はその…今絡んでいる蛇みたいな奴か?」
「……………うん。蛇って個性。蛇に関係することならいろいろできるんだけど…」
「けど?」
「……蛇に関する怪異?みたいなことをやると人格が変わるみたい。その時にはこの蛇みたいなのが消えてるから注意してね」
「ああ、注意しときはする。…というより、その言い方的に記憶は共有してないのか?」
「…わかんないや。少なくとも僕には共有はされてないけど…ごめんね」
「別に気にすることの程でもないだろ。寧ろそんなんで謝らんでくれ」
「………う、うん」
「つーか今回これをどうすりゃいいんだろうかね?」
「……多分壊せばいいんじゃないかな。そうじゃなきゃ一番最初のこの部分なんて書かないはずだもん」
「えっとなになに…『基本的には関節部分を狙って壊していきましょう』……なるほど、確かにこんなもん書かねえな。ありがと、ドララ」
「…えへへ…」
と、会話をしていたらもう時間になったようだ。上にはイレイザーヘッドがいる。…あの高さは大体二十メートル位か?
「…さっさと始めようか。試験としては簡単。この中にいるロボットがヴィラン。倒せ。…まあ、でかい奴には0ポイントしかないがな。最後に俺から一つ。ヒーローってのは綺麗事だ。以上」
「ま、順当な話だな。大丈夫か、ドララ」
「……うん。頑張る」
「ファイト」
「スタート」
「「!?」」
「おい、お前らは戦闘が綺麗事とでも勘違いしてんのか?」
とりあえず、俺は翼を広げてドララごと運ぶ。あっちでシャーとか奇声を上げながらロボットをぶっ叩いてる奴は無視だ無視。
「え!?」
「どうせ友人のよしみだ、中心部まで運んでやるから頑張れ」
「……またね」
「おう!」
さて、試験の開始だ。
「…どうしようかねえ」
まあ、悩むことをしていてもしょうがない。
ここまでで見た厄介そうな奴を倒しとくか。
「……困った」
もうほとんどをやってしまったのだ。これ以上やっても腹が減り過ぎて動けなくなりそうだし…
「このまま空でヤバそうな奴でも助けとくか」
このままのんびり上にいるよりは人を助けた方がいいだろう。そう思って俺は足の装備を外そうとして……やめた。助ける為に足取ったら自衛ができなくなる。
「…あっちか」
「あー!あの爆速翼の人!」
「叫んでた奴?」
「うん!まだまだやるぞー!」
「元気いっぱいだなおい…」
あと飛ぶ度にツインテールが目に当たって痛い。
「あっぶ!?…助かった。ありがとな」
「構わん。落ち着いて対処せよ。お前なら問題ないぞ」
「…兄貴かよ」
「別にそう呼んでもかまわんぞ?」
シロウか?こいつはシロウか何かなのか?
「……」
「影の人?大丈夫?」
「…………!」
「とりあえずあっちの影まで運べばいいか?」
「………」
意思疎通できねえ…
「……助かりました。レムは感謝します」
「おう、どういたしまして…ってスケート靴?」
「別にレムはこちらの方が個性に合ってます」
「…怪我しないようにな」
「ご忠告、ありがとうございます。レムは一礼します」
話し方が独特すぎる。機械でももう少しまともな気がするぞ。
『(゚∀゚)』
「大丈夫か?」
『(^∇^)』
「頑張れ……でいいよな」
『( ◠‿◠ )』
顔文字(しかも塵)で意思疎通か。できるのか…
「…とはいえ…あれか。大本命の登場だ」
俺は遠くにいなくてもわかるくらいのでかいロボットを見つける。つーかデカ過ぎて死人出るんじゃねえのかあれ。
「もうそろそろ終わりか。足だけだから無理だな」
撃破は間に合わなさそうだし拘束ぐらいが関の山か。
「…おいおいおい」
「死ぬわあいつ」
ロボットの方に向かう最中だ。どんなことが聞こえても無視する。
「…は?」
しかし、向かったところで何一つ意味はなかったようだ。…ロボットがまるで何かに巻き付かれたかのように関節部分から破損している。
とりあえず、やることがないので近くの瓦礫でも撤去しとこう。
『終了。何か怪我があったら医務室に行ってこい』
「なるほど。合理的な考えだな」
「…あ、お疲れ様」
「お疲れ様。怪我とかしてないか?」
「…うん。そんな怪我とかはないかな」
「そんなら安心だ。この後ご飯食べに行かないか?」
「……いいの?」
「ん?何がだ?別に嫌ならいいけど」
「…ううん、サイデ行きたい」
「了解、早よ行こうぜ。試験途中から腹減って腹減ってたまらねえんだ」
能力の代償で腹が減ってしょうがない。
「そういやドララは何処から来たんだ?」
「…遠いところ、かな。寒くて、暗い」
「……そうか。まあ、どんどん食え。ドリア食うか?」
「……いただきます」
…ってか飯食いに行くだけでこんなドララがカチコチに緊張してるのがよくわからん。次から誘うのにも気をつけようか?
「……ごちそうさまでした」
「ごちそうさまでした。っと、この後どうする?」
「…カラオケ、とか?」
「あ、いいなそれ」
「…すっかり時間経っちゃったな、こりゃ」
「……ごめん」
「いや良いって。別に俺は気にしてないし」
空はもう赤く染まり始めている。夕方になるまではあっという間だった。俺は別に問題ないが、普通なら怒られそうな時間だ。
「まあ、また雄英で会えるだろうしな」
「…うん!また雄英で」
…さて、帰るまでにちゃんと連絡とかしないとな。
俺は帰る連絡をし、帰り道についた。
ドララの話題が出てこなかったのはうつろ姉とこよ姉による添い寝と教育(意味深)で忘れたからです。
どれヒロインがよき?
-
ウツロイド
-
アーゴヨン
-
ガブリアス
-
ゲンガー
-
イベルタル
-
ドラパルト
-
カイリュー
-
テッカグヤ
-
ルカリオ
-
リザードン
-
キュレム
-
二つ以上
-
その他