ハイスクール・フリート〜時空を越えた航海日誌〜2 BATTLE OF 2026 【打ち切り】 作:小説設営隊隊長
闇夜にまぎれて突如日本へ軍事侵攻を開始した中国軍は、瞬く間に先島諸島を実効支配下に置いた。
対する日本政府は、中国軍の蛮行を批判して戦後初……自衛隊が発足して初となる【防衛出動】が発令された。
2026年10月19日 09:00
和歌山県 志摩半島沖合 670海里
横須賀基地を出撃した武蔵率いる第6護衛隊群は、第5護衛隊群との合流地点である四国沖へと向かっていた。
旗艦 超大型直接教育護衛艦 武蔵:戦闘艦橋
艦内無線《艦橋、こちらCIC!501部隊が別動隊と合流!当初予定通り、四国沖へと向かっています!》
宗谷真雪「こちら艦橋、了解。知名艦長、四国沖への到着予定時刻は?」
知名もえか「本日、09:54を予定にしていますが、この速度では大幅な時間ロスが伴います。」
宗谷真霜「急いだ方がよろしいかと……」
宗谷真雪「焦りは禁物よ。中国が日本の領海を侵犯しているのなら、近くに潜水艦がいる可能性があるわ。多少の遅れは構いません、艦隊の安全を最優先で進路を修正してちょうだい。」
知名もえか「了解しました!航海長、進路変更!取舵70度!進路3-1-0に修正せよ!第4戦速!」
宗谷真霜「全艦に通達!進路変更、我に続け!」
宗谷真雪は、多少の遅れを承知の上で進路を変更。やや沖合に出て、中国軍の潜水艦を警戒しつつ四国沖を目指す。
和歌山県 和歌山湾 沖合
一方で、501部隊と合流を果たした晴風以下7隻の別働隊は、一旦ここ和歌山湾にて仮停泊していた。
加賀型大型直接教育護衛艦 S-112 土佐
同 CIC
土佐艦長兼別働隊指揮官:速野彩(もし、このまま四国沖ヘたどり着いても、中国軍の潜水艦は必ず出てくる………)
別働隊指揮官の速野彩は、中国軍の潜水艦の存在を考えていた。
そこへ、501部隊の面々がやってくる。
バルクホルン「速野艦長!何故艦隊を止めたのですか!」
ハルトマン「そうだよ〜、このままじゃあ本隊と合流できなくなるよ〜!」
速野彩「中国軍の潜水艦が、既に四国沖に到達している可能性があるわ。迂闊に艦隊を動かせないわ。」
ペリーヌ「この艦隊には、対潜哨戒機はないのですの!」
土佐航空管制官:空田玲亜「残念だけど、どの艦艇もシーホークを陸におろしたまんまでね……。」
リーネ「そんな………!」
頼みのシーホークがいないのでは、打つ手なしであった。
だが………
土佐電信員「晴風から通信!海鳥での対潜哨戒の許可を求めてきています!」
速野彩「え?!」
何故、対潜哨戒に偏向翼機である海鳥を使うのか?
時系列はちょっと巻き戻って、晴風に移る。
20分前 航洋直接教育護衛艦 晴風
同 艦橋
岬明乃「ココちゃん!シーホークは出せそう?」
野紗幸子「今、航空科の皆さんが頑張ってくれてますけど………最低でもあと30分は掛かるそうです!」
晴風だけは、航空機の運用能力を向上させるためシーホークと海鳥を各1機ずつを搭載していたが、整備に思いのほか時間がかかって直には出せない状態であった。
岬明乃「どうしよう………」
明乃が悩んでいると、ましろが艦長を呼びに来た。
宗谷ましろ「艦長、ちょっと良いですか?」
岬明乃「シロちゃん!どうしたの?」
宗谷ましろ「応急委員の子たちが見せたいものがあると……」
岬明乃「?」
そう聞くと、ヘリ格納庫へ向かった。
晴風 ヘリ格納庫内
岬明乃「ヒメちゃん、モモちゃん。見せたいものって?」
青木百々「あ、艦長!」
和住媛姫「海鳥を改造したんですよ!」
岬明乃「海鳥を?…………うぇ?!」
宗谷ましろ「えぇ?!」
明乃とましろは改造された海鳥の姿を見て驚いた。
海鳥の機首に、可動式のソナーが搭載された上、機体底部内に爆弾倉を追加して、67式150g対潜爆弾を2発装備した姿であった。
岬明乃「えっと……………これって………」
青木百々「戦術曳航ソナーをちょっといじって、海鳥の機首を改造して取り付けたんです!」
和住媛姫「機体も少し改造して、対潜爆弾を2発搭載できるようにしたっす!」
宗谷ましろ「取り付けたって…………それって違法改造じゃあ………」
青木&和住「非常時ですから、大丈夫じゃないの?(んすか?)」
宗谷ましろ「あぁ~もう…………」
岬明乃「あははは………。取り敢えず今回は事後報告ということにしておいて……次やる時はちゃんと許可を取ってね?」
あまりにも身勝手な行動に頭を抱えてしまうましろを横目に2人を注意する岬であった。
岬明乃「兎に角、今のうちに対潜哨戒に出てくれないかな?ヒメちゃん、モモちゃん!」
和住媛姫「了解っす!」
青木百々「青木・和住!対潜哨戒に出発します!」
そして、時は現在に戻るのであった。
土佐 CIC
速野彩「全く…………晴風は変わった生徒しかいないと聞いていたけど、あそこまでだいそれた真似ができるなんて………。」
ことのあらましを聞いた速野彩はあまりにもだいそれた報告を聞いて頭を抱えてしまう。
ハルトマン「学生がヘリを現地改修って………」
リーネ「普通はできないと思うけど………」
ペリーヌ「一体どうやって………」
一方で501部隊の面々は、晴風クラスの奇想天外の報告を聞いて、目が点状態であった。
速野彩「兎に角、うだうだしてたって仕方ないわね………、晴風に海鳥の飛行の許可を通達してちょうだい!」
速野の判断で、対潜哨戒に海鳥を出すことに決めた。
飛行許可が出た晴風では、さっそく発艦準備に取り掛かっていた。
晴風後部甲板 航空管制室
晴風航空科管制委員:四月一日いおり「哨戒機、発艦準備、格納庫シャッター開け!」
管制委員の四月一日いおりの指示が出ると、ヘリ格納庫のシャッターが上がり、中から海鳥が姿を現す。
四月一日いおり「ベアトラップ、ヘリ甲板へ展開!」
シャッターが開けきると、海鳥がベアトラップに繋がれながらヘリ甲板へ展開される。
海鳥 コックピット内
青木百々「ソナー、感度良好!バルカン及び対潜爆弾も異常なし!」
和住媛姫「こちらテンペスト!機体正常、発艦に支障なし!」
四月一日いおり《了解!甲板要員の退避後、ベアトラップを解除!発艦せよ!》
和住媛姫「了解!主翼展張後、エンジンスタート!」
甲板要員が退避すると、海鳥の主翼が展張してエンジンが動き出す。
和住媛姫「エンジン正常!ベアトラップオープン!テイクオフ!」
和住がスロットルレバーを押すと、鮮やかなプロペラ音を轟かせながら、海鳥が晴風から飛び立つ。
晴風:CIC
一方で晴風の大改装により新しく追加されたここ【CIC(戦闘指揮所)】では、モニターとコンピューターだらけで女子としては非常に目によろしくないが、そこはみんな割り切って職務に集中していた。
青木百々《こちらテンペスト!発艦後機体に異常なし!これより四国沖に向かいます!》
宗谷ましろ「こちら晴風、了解した!民間機に注意しろ!」
晴風水雷長:西崎芽依「はぁ~、早くミサイル撃ちたいなぁ〜。」
晴風魚雷管制員:松永理都子「魚雷発射管とは違って、なんだか安心感があるね〜。」
晴風VLS管制員:姫路果代子「そうだね〜。」
岬明乃「えっと………みんな、取り敢えず気を抜かないでね?」
宗谷雪「そうね。領海内とは言っても、もうここは戦場みたいなものだから……慢心は禁物よ?」
そうこうしていると、海鳥からの通信が入る。
和住媛姫《こちらテンペスト!目標の四国沖に到達しました!》
宗谷ましろ「テンペスト!敵潜の反応はないか!」
和住媛姫《現在八の字低空中ですが、5分前に友軍のたつなみをソナーで補足しましたっす!》
宗谷ましろ「わかった!そのまま哨戒続行!」
岬明乃「旗艦へ報告!」
その後、晴風からの報告を受けた速野彩は、予定通り四国沖へと向かうことにした。
一方で、いぶき率いる第5護衛隊群は予定通り四国沖へ到達。
補給艦しゅまりないと間宮からの補給を受けつつ、第6護衛隊群の到着を待った。
護衛艦いぶき 艦橋
涌井継治「第6護衛隊群はまだ来ないか?」
秋津竜太「はい。中国軍の潜水艦を警戒しながらのため、予定より到着時刻が遅れています。」
涌井継治「そうか。副長、第6護衛隊群に通信を入れてくれ。”当該海域に潜水艦の脅威なし。予定通り、合流されたし。”だ。」
新波歳也「了解しました!」
ミサイル護衛艦みらい CIC
青梅鷹志「水上レーダーに反応あり!水上目標7隻、鳴門海峡から接近中!」
菊池雅之「FIS照合、学生艦艇のデータで確認せよ!」
青梅鷹志「了解!」
砲雷長の菊池の指示により、直ぐに敵味方の識別を行う。
青梅鷹志「FIS照合完了!間違いありません!第6護衛隊群から分かれた分遣隊です!」
同 艦橋
みらい副長兼船務長:角松洋介2等海佐「梅津艦長。接近中の艦艇群は第6護衛隊群の分遣隊のようです。」
みらい艦長:梅津三郎1等海佐「了解。航海長、加賀及び土佐に発光信号を。501部隊のいぶきへの移譲を開始せよと伝えてくれ。」
みらい航海長:尾栗康平3等海佐「は!」
みらいからの発光信号を受け取った加賀及び土佐のV字型飛行甲板からは501部隊の戦闘機が次々と発艦していき、随時いぶきへと着艦していった。
その15分後、第6護衛隊群本隊が四国沖に到達して、第5護衛隊群と合流を果たす。
そして、第6護衛隊群旗艦武蔵では、各艦の艦長と副長達が集まり今後の作戦行動を話し合っていた。
超大型直接教育護衛艦 武蔵
同 会議室
宗谷真雪「では、現在の戦況について報告します。参謀長。」
宗谷真霜「はい。」
そう返事をすると、部屋の照明が消えてスクリーンに先島諸島の現在の状況が映し出された。
宗谷真霜「現在、先島諸島には少なくとも100万人前後の中国軍が上陸しており、捕虜になった島民は各島の学校の体育館に集められている模様です。」
あたご2代目艦長:浦田鉄人1等海佐「中国海軍の規模は?」
宗谷真霜「未だ詳細は不明ですが、深夜の航空攻撃を考慮しますと、少なくとも正規空母1隻を主力とする艦隊が展開していると思われます。」
ちょうかい艦長:浮船武彦1等海佐「米軍はどうなんや?支援してくれんのか?」
宗谷真霜「在日米軍は既に出動態勢を整えていますが、10分程前に行われた日米緊急首脳会談で垂水総理が米軍の行動をなるべく自重する旨を伝えたところ、貴国の判断を尊重すると了承を得ています。」
このことから導き出せる事は、自衛隊の対応能力が超えない限り米軍の支援は受けられないというものだった。
浮船武彦「全く政府はいらんこと言いおって…」
深町洋「まぁそうぼやくな!ここで米軍の介入を許してみろ!見返りに自衛権の改正を求めてくるぞ?」
宗谷真冬「まさか、あの米軍に限ってそんなk……」
海江田四郎「考えられる事だ。現にあの国は、旧ソ連の脅威に備えて、無理やり日本に再軍備を持ちかけている。」
冷戦後、アメリカは軍縮派と軍拡派の2つに分かれていたが、ソ連が崩壊して目先の敵が消えたことにより、軍拡派の勢いが衰えて軍縮派が台頭。
これより、米軍は大きく軍縮を行い、沖縄に駐留していた米陸軍の航空団も規模が縮小して、在日米海軍の規模が縮小した事により、中国が一気に台頭して、今や東南アジアの海洋経済は実質的に中国が支配しているに等しい。
涌井継治「まぁ、我々は自衛官だ。政治の話には疎いからな、今後の作戦行動を考えないとな。」
けんりゅう艦長:滝隆信1等海佐「しかし、今後の作戦行動を考慮するにしても、数の上では勝っているものの、指揮系統が別々の状態では………」
指揮系統が別々の上、精鋭の護衛隊群との連携がうまくいく保証がない現状、今後の作戦行動に支障が出る恐れが出てきたのだ。
しかし、宗谷雪がある提案を持ちかけてきた。
宗谷雪「では、2つの護衛隊群を1つの艦隊にまとめるのはどうでしょう?」
深町洋「2つの護衛隊群を1つに?」
角松洋介「…………連合艦隊を組むと?」
宗谷雪「その方が、今後の作戦行動をスムーズに行える上、敵の艦隊を南に釣り上げることができます。」
宗谷真冬「こっちに新型の空母が居るならまだしも、大型の戦艦が5隻以上居るとなりゃあ、大戦果と自信につられて勝手に南に来てくれるか……、こりゃあ”一石二鳥”のチャンスだな!」
宗谷雪が提案した意見はこうであった。
第5・第6護衛隊群を統合・再編成を行い、連合艦隊を結成させて、敵の艦隊をおびき寄せるため敢えて先島諸島への直進コースを進んで、向こうの絶対の自信を逆手に取って南に釣り上げると言うのだ。
ゆうぎり艦長:瀬戸斉明2等海佐「なるほど、確かにその方が危険は少ない上、双方の被害を最小限度に抑えられる。」
せとぎり艦長:清家博史2等海佐「だが、かえって必要に付け狙われる可能性があるが?」
宗谷雪「無論、敵を欺くためいくつかの欺瞞作戦を用意してあります。それにお忘れですか?こちらには【潜水艦タイプの揚陸母艦】が居ることを。」
あまぎり艦長:海老名洋子1等海佐「…………旧軍人は中々の切れ者ね?いいわ、私はその案に乗るわ。」
滝隆信「面白い、その連合艦隊とやらに俺も賭けよう。」
浮船武彦「中々の意見やな!わいも賛成や!」
浦田鉄人「私も賛成です!」
梅津三郎「私も異論はない。」
秋津竜太「自分も賛成であります。」
涌井継治「では、早速艦隊の再編成に取り掛かろう。」
これにより、第5・第6護衛隊群は統合・再編成を行って、【護衛連合艦隊】が結成された。
連合艦隊総旗艦に武蔵が抜擢され、空母機動群の指揮はいぶきが執る事になった。
武蔵:戦闘艦橋
知名もえか「群司令!全艦出撃準備、完了しました!」
宗谷真雪「わかったわ。………護衛連合艦隊、全艦出撃!!」
汽笛が鳴り響くと、武蔵の鐘楼に旭日旗が高々と掲げられ、一路先島諸島へとその船足を進める。
尖閣諸島 沖合560海里
南海艦隊旗艦 空母山東
同 艦橋
山東艦長「劉長龍大校。我軍の無人偵察機が、四国沖で日本の護衛艦隊を発見しました。」
劉長龍「艦長。奴ら、連合艦隊を復活させたらしいな?」
山東艦長「はい。情報部の連中も案外仕事が早いようで……」
劉長龍(ゴエイレンゴウカンタイ…か。面白い、対等に戦える相手かどうか、見極めさせてもらおうか……!)
不敵な笑みを浮かべた劉長龍は、潜水艦遠征103号率いる潜水戦隊に護衛連合艦隊を攻撃するよう命令を下す!
危うし、護衛連合艦隊!
第5話[情け無用の魚雷!!鹿児島沖海戦!!]に続く……
次回はいよいよバトル回です!
お楽しみに!!