ハイスクール・フリート〜時空を越えた航海日誌〜2 BATTLE OF 2026 【打ち切り】 作:小説設営隊隊長
前回のあらすじ
相模湾にて異常現象に巻き込まれた学生艦隊の先行艦隊は、2026年の現代日本へ跳ばされてしまい、そこは全く異なる歴史を歩んだ日本であることが判明した。
そして、日本政府も未来の選択を迫られるのであった。
2026年9月16日 20:30
日本国首都東京 首相官邸前
テレビキャスター《え〜、ここ首相官邸では深夜にも関わらず、緊急の会議が行われています!恐らく今朝の異常現象と思われますが、まだはっきりとしておらず、首相官邸の周囲を自衛隊のヘリと戦術機部隊が警備を固めています!》
同大会議室
ここ首相官邸では、深夜にも関わらず緊急の閣僚会議が行われていた。
内閣官房長官:石渡俊道「これより、緊急の閣僚会議を始めます。まず事の発端について、防衛大臣。」
第29代防衛大臣:沖忠順「はい。ことの発端は、本日早朝05:59。南硫黄島レーダー基地から、濃霧内から正体不明の大艦隊を補足せりとの第一報を受け、硫黄島基地に第2種警戒態勢が発令されました。その後、硫黄島基地から偵察のためOH-1観測ヘリコプターが現場へ急行。その後、例の学生艦隊の一部であることが判明しました。」
この報告により議会はざわめく。
沖忠順「なお現在その学生艦隊は、監視も含めて硫黄島基地にて待機しています。」
国土交通大臣「あの学生艦隊が突然出現して1ヶ月も経たずに、またしても賓客を迎え入れなくてはいけないとは……」
国土交通大臣がそう言うが、沖忠順防衛大臣が険しい顔で話を進める。
沖忠順「それが……簡単にはいかないのです。」
経済産業大臣「?どういうことだ?」
沖忠順「その学生艦隊には、明らかに”大和型戦艦”のそんざいが4隻確認されています。」
またしても議会がざわめく。
戦艦ならまだしも、大和型が4隻となれば迎え入れる状況ではなくなっていたのだ。
警視総監「大和型が4隻も?!」
国家公安委員会委員長「参ったな…………これでは、国内問題を超えて国際問題に発展するぞ……!」
国土交通大臣「アメリカや欧州各国ならともかく、中国にロシア、北朝鮮の出方が思いやられますな………。」
沖忠順「ですが、ここで選択をしなければ、諸外国に付け入る隙を与えてしまいます!」
経済産業大臣「………要するに、【迎え入れる】か【追い出す】かのどちらかだな…………。」
「………………。」
【迎え入れる】か【追い出す】かのある意味、人間性を問われる二者択一を迫られる事態となってしまった。
しかし、ここにいる閣僚達はみな、彼らを【迎え入れる】を選択していた。
だが……………
警視総監「我々は迎え入れるに賛成だが………」
国家公安委員会委員長「問題は、共産党と野党の出方だ。それに、憲法の改正と法整備すら目処も立っていない現状、恐らく不信任案で打って出るだろう。」
自衛隊の戦力拡大に伴って、国民からの不満や憤りが表面化になりつつある現状、憲法改正と法整備が急務となっているが、防衛省が勧めている【ペガサス計画(中期防衛力整備計画 令和元年〜令和6年)】と学生艦隊の出現により、貴重な労力を割かなければいけなくなり、当初の計画より大幅な変更をせざるを得なくなっていた。
国土交通大臣「自民党と立憲民主党等の与党は、賛成で舵を切っている。あとは垂水さん、あんたの努力にかかっている。」
垂水慶一郎「………わかっている。ここで選択を誤れば、今までの努力が水泡に帰するだけでなく、我が政権の総辞職も起こる………あの人にタスキを絆ぐためにも、ここでしくじるわけには行かない!」
しかし、1国家のリーダーとして、そして一人の人間として、あえて彼ら学生艦隊を【迎え入れる】選択を選び、3日後に控えた緊急国家に望みを託した。
東京都 千代田区市ヶ谷
防衛省 地下作戦会議室
政府の意思決定がなされたのと同時に、ここ防衛省でも、学生艦隊の処遇をどうするかを話し合っていた。
統合幕僚長「官邸から連絡が入った。政府は一人の人間として、学生艦隊を【迎え入れる】選択を選んだようだ。」
統合幕僚副長「では、我々自衛隊も、選択をしなければなりませんな。」
統合幕僚長「彼らに何処までの処遇を与えるかだ………ロシアに不審な動きはないな?」
北部方面総監「はい。2個戦術機中隊を警戒当たれせいますが、これといったことは。」
自衛隊としても、彼らの処遇をどうするかで決め悩んでいた。
処遇を軽くしてしまうと、職権乱用で問題視されかねないが、処遇を厚くしてしまうと、ベテラン自衛部隊との釣り合いが合わなくなる懸念が生じていた。
統合幕僚副長「いっそ、横須賀へ全艦入港させてはいかがです?そのほうが、本人と直接コンタクトが取れるので、一石二鳥ですが?」
統合幕僚長「いや、それは駄目だ。第1自衛隊が独断で事を運んでしまったら、三権分立を犯すことになる。それに、”柘植の反乱”を繰り返してはいけないのだ。」
「……………。」
統合幕僚長「とにかくだ、我々は我々にできることをするまでだ。陸自と空自は第1級緊急出動待機を要請!海自は直ちに第1護衛隊群と第11護衛隊群を硫黄島へ派遣して学生艦隊の警備に当たらせる!」
「了解!!」
こうして、自衛隊も間接的ではあるが、学生艦隊を【迎え入れる】ことに決めたのだった。
防衛省:人事部
人事部長:北郷章香「垂水首相は選択を謝らなかったか………。」
自衛隊の人事部もこの事態を受けて、予備役の自衛官を復帰させる手続きを行っていててんやわんやな状態であった。
補佐官:国崎橙子「それで、どうします?」
北郷章香「予備役の自衛官を特進させて現役に復帰させるが……」
国崎橙子「なにか問題でも?」
北郷章香「確か、横須賀に元統合戦闘航空団の隊員がいたな………今は半ば退役状態で学校に通っている……」
国崎橙子「横須賀基地第28航空隊所属の………宮藤芳佳元曹長ですか?」
北郷章香「そうだ!宮藤芳佳だ!坂本が視察先で見つけた逸材と言っていた。彼女を2階級特進させて現役に復帰させるよう手配をしてくれないか?」
国崎橙子「わかりました。」
北郷章香(また………動乱の時を迎えそうだな………。)
硫黄島基地
官舎前
夜が深まった硫黄島基地。
羽山は一人、何かを考えていた。
羽山陽介(アメリカと欧州各国はわかってくれるだろうが、問題は中国とロシアだ。もし、戦争状態にでもなったら、彼らにも危険が伴うかもしれんが……)
羽山も、この先来るであろう動乱の時を予感していたが、誰もそれを立証するものは居なかった。
2026年9月17日 12:00
千代田区永田町
国会議事堂 衆議院
学生艦隊を迎え入れるか追い出すかの議論は、四分五裂になり白熱を極めた。
ある議員は「一人の人間として、人道的に反するすることはできない!」と唱えるものや「彼らは武力を持っている!自衛隊の総力を持って排除すべし!」の声も上がり、挙句の果てには「彼ら学生艦隊を諸外国へ売り渡す」などの発言も見受けられた。
衆議院議長「では、採決に移ります。賛成の議員は起立を願います。」
議論が落ち着いた所で採決に入った。
垂水首相を始め、閣僚全員が起立する。
最初は誰も起立をしなかったが、次第に賛成の票は増えていき、過半数により【学生艦隊を受け入れる】事になった。
無論反対の意見もあったが、賛成の票数が僅かに多かった。
そして垂水首相は即日、学生艦隊を横須賀へ迎え入れる手筈を取った。
そして…………
2026年9月18日 硫黄島近海
艦隊総旗艦:武蔵 戦闘艦橋
羽山陽介「校長。全艦、出港準備できました。」
宗谷真雪「わかったわ。全艦、横須賀に向けて出港します。」
座乗艦を赤城から武蔵へ乗り換えた宗谷真雪は、一度横須賀へ向かうため、艦隊を出港させる。
晴風改三:艦橋
岬明乃「海中の警戒を厳にして!」
宗谷雪「聴音!スクリュー音を聞き逃さないでよ!」
万里小路楓《かしこまりました。》
艦隊最前衛を務める晴風改三は、警戒を一層厳にした。
何故なら………
海中から、2隻の潜水艦が艦隊へと近づいていたのだった………
第4話「学生艦隊の実力調べ」に続く………
次回は、沈黙の艦隊からあのお二方に登場してもらいます。
お楽しみに!