ハイスクール・フリート〜時空を越えた航海日誌〜2 BATTLE OF 2026 【打ち切り】 作:小説設営隊隊長
現代日本へ跳ばされてしまった学生艦隊は、自衛隊の硫黄島基地へ向かい、政府の公式見解を待った。
一方で垂水首相は緊急の国家を開き、議決により学生艦隊を受け入れることを決めた。
だが、その学生艦隊に2人のベテラン自衛官が迫っていた。
2026年9月18日 05:59
小笠原諸島 母島南南西6000海里 海中
攻撃型原子力潜水艦[やまと]:発令所
聴音手:溝口拓男《こちらソナー。学生艦隊と思われるスクリュー音を捉えました。方位3-1-0、距離6000。》
副長:山中栄治「なんとか間に合いましたな。」
艦長:海江田四郎「彼らが軍艦をうまく扱えるかの試験だ。攻撃は一切禁止だ。追い回すだけでいい。」
はやなみ型潜水艦[たつなみ]:発令所
副長:速水健次「本気ですか?旧型の駆逐艦相手にチキンレースを挑むなんて……」
艦長:深町洋「チキンレースってのも悪くねぇ。だがな、俺達は自衛官だ。同じ軍艦乗りなら守るものは自分たちで守ってみせろだ!南波!」
聴音手:南波栄一《やまと、所定の位置につきました!》
海上
航洋直接教育艦 晴風改三:艦橋
宗谷雪「聴音!潜水艦の位置は!」
万里小路楓《1隻は本艦の前方600の地点で期間停止中。もう1隻は艦隊の後方に展開していると思われます。》
流石は実力主義者の集まりであろうか。
人一倍の聴力を持つ万里小路楓は、探知が難しい原子力潜水艦の大まかな位置を正確に捉えていた。
宗谷ましろ「自衛隊は、独断で我々と戦う構えでしょうか?」
岬明乃「ううん。多分、試してるんだと思うの。」
納沙幸子「試すって、なにをです?」
岬明乃「自衛隊もブルーマーメイドも、実態は国を守る部隊でしょ?だから、守りたいならその覚悟を見せてって言っていると思うの。」
宗谷雪(覚悟………)
岬明乃の直感はまさに当たっていた。
だが、その真意は後世の記録では抹消されているため、詳しくはわからなかった。
万里小路楓《前方の潜水艦のスクリュー音を聴知!動き出しましたわ!》
岬明乃「戦闘用意!命令あるまで攻撃は厳守!」
艦隊後方
攻撃型原子力潜水艦[やまと]:発令所
溝口拓男《たつなみが動き出しました!最前衛の駆逐艦に仕掛けるようです!》
海江田四郎「こちらも動くぞ。機関始動!潜航深度そのまま、両舷半速。」
原子力潜水艦[やまと]も行動を開始したが、その動きは艦隊最後尾を守っていた大型潜水直接教育艦[伊−401]が捕捉していた。
大型潜水直接教育艦[伊−401]:発令所
伊−401艦長:千早群像「どうだ。動いたか?」
伊−401聴音手「機関始動音を確認!両舷半速で前進を始めました!しかし、こんなスマートな音は聞いたことがありません!」
伊−401副長:織部僧「坂本3佐の話によりますと、自衛隊の原子力潜水艦は米軍から無償提供されたものと聞いていますが………」
千早群像「となると、相手は7枚翼のスキュード・スクリューを搭載した潜水艦か………深度は!」
伊−401聴音手「潜航深度は反響音で詳しくはわかりませんが、恐らく深度900〜1000mと思われます。」
千早群像「よし。なら、追跡するぞ!機関始動!両舷半速!向こうの速度と合わせるぞ!」
伊−401操舵手「ヨーソロー!」
千早群像「音通で各艦にも通達しておくんだ!」
千早群像指揮の伊−401は、密かに追跡を開始した。
一方でたつなみはというと…………
たつなみ:発令所
速水健二「おかしいですね………時間帯ならもうそろそろ、こちらにソナーを打ってきてもいいことですが………」
深町洋「南波!」
南波栄一《さっきから頭上がうるさくて、ソナーが全くききません!》
業を煮やした深町は、音波探針をするよう指示を出す。
深町洋「構わん!ピンガーを打て!」
たつなみ:ソナー室
南波栄一「了解!」
そう言うと、ピンガーのトリガーカバーを開けて、トリガーを押す。
ピイィーーーーーーーーーン………………
ピンガーが放たれて探針音が響く。
しばらく静寂の時が流れる。
そして反響音が返って来るが………
南波栄一「………………っ?!?!なに?!?!」
たつなみ:発令所
南波栄一《目標を補足!!しかし、位置が本艦の真上です!!》
深町洋「なんだと?!」
南波栄一《しかも本艦と同じ速度でついてきてます!!》
たつなみの乗員を驚かせたのはこれである。
普通、潜水艦と戦闘する際は並走など有りえないからだ。
だが、座学は今ひとつだが実力主義の集まりである晴風クラスにとっては、これくらいの奇策は造作のないことであった。
晴風改三:艦橋
万里小路楓《敵潜水艦、本艦の真下を並走中。速度差、接触の可能性なし。》
知床鈴「ヨーソロー!」
岬明乃「爆雷の準備は?!」
西崎芽依「いつでも行けるよ!!」
たつなみ:発令所
速水健二「艦長!!このままでは!!」
深町洋「黙れ!面舵50!」
たつなみは回避しようと面舵を取るが………
晴風改三:ソナー室
万里小路楓「敵潜水艦が転舵!面舵50!」
晴風改三:艦橋
岬明乃「りんちゃん!面舵50!」
知床鈴「面舵50!ヨーソロー!!」
晴風も逃さないと言わんばかりに猛追を開始する。
たつなみ:発令所
南波栄一《頭上の駆逐艦が面舵50を取りました!》
深町洋「何だと?!」
速水健二「取舵50!」
たつなみ操舵手「取舵50!」
晴風改三:ソナー室
万里小路楓「次、取舵50!」
晴風改三:艦橋
宗谷ましろ「取舵50度!!」
知床鈴「取舵50!!」
岬明乃(これでしばらくは攻撃できないはず!)
魚雷攻撃はさせないかのように、たつなみの動きに合わせる。
たつなみ:発令所
南波栄一《駄目です!!向こうはこっちの動きを読んでます!!》
深町洋(魚雷攻撃はさせないってか!面白い!)
両者鍔迫り合いであった。
晴風改三の奇想奇天烈な戦術に嵌ったたつなみは、それを知りつつもあえて翻弄させることを選んだ。
攻撃型原子力潜水艦[やまと]:発令所
山中栄治「あのたつなみを、あのような方法で攻撃を封じるとは……学生ながらあっぱれです。」
海江田四郎「学生だからこそ、柔軟な発想と奇天烈な戦術を生み出せる。だが、戦場は生き物だ。状況は刻一刻と変化していくものだ。」
山中栄治「はい。」
そしてやまともまた、艦隊の位置を探るためにピンガーを打とうとしていた。
溝口拓男《ピンガーの準備、終わりました。》
海江田四郎「ピンガーを打て!音波が返ってきたら、機関全開。一気に接近して間合いを取る。」
溝口拓男《はい!》
ピイィィーーーーーーーーーン………
ピンガーが放たれ、音波探針が始まった。
溝口は己の耳に集中して、艦隊の位置を探った。
溝口拓男(…………きた……?!)
音波はたしかに返ってきた。
だが、前方にいたのは…………
溝口拓男《ぜ、前方に大型潜水艦4隻!!本艦の進路を塞ぐ陣形で展開しています!!!》
山中栄治「いつの間に?!?!」
海江田四郎「…………。」
事前に伊−401潜からの報告を受けた伊−400・伊−402・伊−403・伊−404の4隻は、やまとが深度500m以下まで浮上したのを見計らってやまとの前方へと回り込んで包囲陣形を固めていたのだ。
山中栄治「艦長!!ここは一気に潜航して!」
海江田四郎「待て。溝口!他に潜水艦はいないか?」
溝口拓男《本艦の後方からスクリュー音1!完璧につけられています!!》
山中栄治「もう1隻いたのか!!」
海江田四郎(負けたな…………完璧に。)
後方からやまとを追跡していた伊−401潜が追いつき、遂にやまとを完璧に包囲したのだ。
伊−401:発令所
伊−401聴音手「敵潜水艦、エンジンを止めました。全く動きません。」
千早群像「そうか。そのまま警戒続行!」
織部僧「ドイツ海軍の潜水艦隊が得意とする”群狼戦術”の再現ですか……。」
伊−401書記「よくやろうと思いましたね。」
千早群像「一度やってみたかったんだ。父さんもここ戦術が得意だったしな。」
伊−401操舵手「そう言えば、艦長の父親は、ホワイトドルフィンの優秀な潜水艦乗りでしたね!」
伊−401水雷長「さしずめ、受け継がれし魂ってやつですか?」
任務中でも雑談を挟んでしまう。
それが学生である証でもあろうか。
防音対策をしていない潜水艦から漏れた会話音は、やまとのソナーに捉えるところとなった。
やまと:発令所
溝口拓男《間違いありません。学生の声です!》
山中栄治「学生にしては、中々の戦術でしたが………いかがいたしましょうか?」
海江田四郎「………メインタンクブロー、浮上だ。」
山中栄治「艦長……!」
海江田四郎「彼らには、軍艦を扱えるのに相応しい実力と戦術眼を持っているのを我々はここで知った。ここは、彼らの実力を信じる。」
山中栄治「は!メインタンクブロー!浮上!」
伊−401:発令所
伊−401聴音手「圧搾空気の排出音を聴知!浮上する模様です!」
千早群像「よし。こちらも浮上だ。」
伊号潜水艦とやまととの実力調べはここに終結した。
そして……
たつなみ:発令所
深町洋(これまでだな…………。)
なにかを察した深町は、何か納得した顔をしていた。
速水健二「艦長!このままでは燃料が!」
深町洋「タンクブロー!浮上だ!!」
速水健二「浮上ですか?!」
深町洋「俺達の任務はここまでだ!第1護衛隊群と合流して、学生艦隊の直掩に就く!」
晴風改三:艦橋
万里小路楓《真下から圧搾空気の排出音を聴知!浮上してきます!》
岬明乃「りんちゃん!!取舵70!!急いで!!」
知床鈴「ヨーソロー!!」
晴風が右へそれると、海中から巨大な黒鉄の鯨が姿を現した。
そして、艦隊後方からも巨大な黒鉄の鯨が水飛沫を上げてその姿を現した。
その姿を見た学生達は、驚愕の表情を隠せなかった。
武蔵:後部甲板
武蔵生徒5「あれが原子力潜水艦?!」
武蔵生徒3「大きい………!!」
武蔵生徒8「正にモビー・ディックね………。」
一方で、晴風の方は………
晴風改三:艦橋
西崎芽依「あの潜水艦、やっぱりホワイトドルフィンのうずしお型に似てない?」
立石志摩「うぃ!(似ていると言っている。)」
納沙幸子「他人の空似ですかね?」
たつなみ:艦橋
速水健二「こうしてみると………旧海軍の陽炎型と瓜二つですね。」
深町洋「旧海軍の払い下げってやつか………あの駆逐艦に女子学生が乗ってると思うと、中々の腕前だな。」
やまと:艦橋
山中栄治「本当に旧海軍の軍艦とそっくりです……!」
海江田四郎「運命の巡り合わせということか。」
こうして、両者は互いに実力を認め合った。
学生艦隊は遂に、横須賀へ入港しようとしていた。
だが、それは新たな時代の幕開けでもあった。
第5話「緊急事態!幻の爆撃!!」に続く…
今回は蒼き鋼のアルペジオのキャラを数名参戦していただきました!
潜水艦で一番印象のあるキャラなら、やっぱりアルペジオですよね!
次回は、劇場版パトレイバー2からあの名場面を少しアレンジを入れて再現させていきます!
と楽しみに!