ハンマー少女はバズらない! 固有スキル【隠遁】で自由に探索してたら伝説になってました   作:chikuwabu

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妖精の加護

【怪力◎】非常に怪力になる

【頑強○】身体が丈夫になる

【カレー製作】特殊なカレーを製作できる

【加工】簡単な素材を加工できる

【妖精の加護】妖精の加護を受けている

【蟶ク闍・】繝?ぅ繝ォ繝サ繝翫?繝弱?繧ー縺ョ蜉?隴キ

 

【固有スキル:隠遁】ダンジョン内で、他者からの認識を阻害する

 

 

「ええと、桃子さんの所有スキルの結果がこれなわけですが」

 

「はい……」

 

「あの噂、本当だったんですね」

 

「はい……」

 

「とりあえず、別室行きましょうか」

 

「はい……」

 

 あの噂。つまりは、ドワーフが妖精を連れている、という噂のことだろう。

 桃子がいつも担当をお願いしているお姉さんも、口数少な目だ。

 桃子は嘘を暴かれた子供のような青白い顔で、静々とお姉さんの後について、奥の部屋へと入っていくのだった。

 

 

 

 

 時間を少しさかのぼる。

 

 和歌のアドバイスもあって、桃子は仕事が早く終わった日に、房総ダンジョン地区にあるギルドへと足を運んでいた。

 

 房総ダンジョンは、千葉県房総半島に存在する。場所は房総半島の中心ほど。千葉県を横を向いた犬のような不思議な生き物のマスコットで例えるならば、その心臓のあたりだろうか。名称に関しては地元自治体や県の間でひと悶着あった末、他県からの知名度を勘案して房総ダンジョンという名称で落ち着いた。

 千葉県に広がる下総台地の南端に位置するその場所は、以前はゴルフ場が立ち並んでいたのだが、およそ30年ほど前にダンジョンが確認されてから環境が一変する。

 はじめは国の研究機関が立ち並び、それに合わせて大規模な交通経路も開拓されていく。

 その後、ダンジョンが民間に開放されていくのと共に探索者向けの施設の数々が建てられていき、ダンジョンの確認からおよそ15年後には専用の駅が完成。都心部から直通で訪れることができるようになっていった。

 そして今では、そこに住まう人々も増え、立派な街へと成長していた。

 

 駅から出てすぐにあるスーパーでは、いつもの探索前ならカレーの材料などを買い込むのだが、今日はギルドに用があるだけなのでペットボトルのお茶だけを購入。

 コクコクと喉を潤して、意を決してダンジョンへ続く大門に隣接して建っているギルドへと足を運ぶ。

 

「ええと、ギルドでやることは、まずスキルの確認。それと、妖精のことはなんとか誤魔化す。あとなんだっけ、スタンピードが地上まで出てくる恐れがあること……は、どう説明したらいいんだろう」

 

 いくつかある窓口の中で、一番端のなじみの女性受付がいる箇所へと並んで、今日の予定を指折り数えていく。

 

「ああ、あと、ハンマーの魔法付与についてもか。これ、どう説明したらいいのかなあ」

 

 懐から、小さな小槌サイズに縮んでいるハンマーを取り出した。

 普段ならば巨大ハンマーはギルドの預り所に預けており、潜る際にだけ引き出しているのだが、今回はハンマーを預けずに帰宅していたので、そこも聞かれるかもしれない。

 そうでなくとも魔法武器となるとギルドで登録の義務があるのだが、さすがに、妖精の女王に付与をつけてもらったなどとは言えない。

 

 桃子がウーンウーンと頭を悩ませている間に、名前が呼ばれて桃子の番となる。

 

「お待たせしました。桃子さん、本日は……今からダンジョン、というわけではないですよね? 例の噂のこと、とかでしょうか?」

 

 ギルドカードを見せるまでもなく、受付のお姉さんが声を小さくして問いかけてくる。

 桃子が特別有名人というわけではないと思うが、子供のように小さいソロ探索者の少女で、さらにその体躯に反した巨大なハンマー付きとなると、さすがにキャラクターが濃いために覚えられているようだ。

 

「ええと、噂はまあ、おいておいて。とりあえず、スキル再鑑定をお願いしていいですか?」

 

 本人確認のギルドカードを差し出すだけ差し出してから、まずは何はともあれスキル鑑定だ。

 案内に従って、受付に設置されている、手に光を当てて読み込む謎の機械――桃子はこの原理は全く知らない――に小さい右手を差し出して、30秒ほど。

 

「え……」

 

「……?」

 

 出力されたスキル用紙を目にした窓口のお姉さんが、目を白黒させたかと思えば、慌てて何かのボタンを押してから受話器を手にとった。

 

「お疲れさまです、窓口です。室長、ただいま例の……ドワーフの……そうです、ケースFです。あと何か、読み取れないものも。はい、はい、わかりました」

 

「……けーすえふ?」

 

 どうやら内線電話で何かやり取りしているらしい。

 何かただならぬ様子に桃子が不安げに眉を下げるが、窓口のお姉さんはそんな桃子に気付くと、にっこりと笑いかけて。

 

「失礼しました、大丈夫ですからね。では、何はともあれ桃子さんのスキルですが、こちらになります」

 

 こうして差し出された紙に書かれていたものが、冒頭のスキル群である。

 妖精を誤魔化すもなにもない。しっかりと【妖精の加護】なるスキルが増えている。あと、なんだか文字化けしていて読めないスキルもひとつあるが。

 

 なんにせよ、妖精について誤魔化すもなにもなく、スキルでバレバレだった。

 

 そして、冒頭へと戻る。

 

 

 

 

 そんな流れで案内された別室にて、桃子はソファに座っている。

 正面には、顔だけ知っているここのギルドの室長のおじさん。上下とも高級そうなスーツを着ているものの、ノーネクタイな上にワイシャツの胸元は開けており、そこはかとなく緩さを感じるおじさんだ。

 横には窓口のお姉さんが控えている。こちらはきっちりスカートタイプの事務服を着こなしている。室長よりも彼女のほうが、しっかりしていそうだ。

 

「やあやあ、桃子くん。こうして話すのはお初だが、ここの室長のヤマガタです。よろしく頼むよ」

 

「は、はい、よろしくお願いします」

 

 緊張のため、名刺を受け取る手もなんだかぎこちない。

 

「あー、そんなに緊張しないでくれ。ぼくも室長なんか名乗っているが、もとはただの探索者だからね。役人のように堅苦しいのは好きじゃあない」

 

「は、はい。頑張ります」

 

 そんな返事も、ガッチガチに緊張気味である。

 急な偉い人との面談など心の準備もしておらず、桃子は就職面接のとき以上に緊張していた。

 とはいえ思ったより気さくな雰囲気で、何か怒られたり、尋問されたりする雰囲気ではなさそうだったので、恐怖心は薄れているが。

 

「ははは、がちがちだね。おじさんもなんか子供をいじめてるみたいで申し訳ない気持ちになってきちゃうし、まあ手早く用件を済ませちゃおうか。では、桃子くん。何はともあれ、妖精の件ね」

 

「は、はいっ」

 

 室長は言葉を区切り、ジッと桃子の顔を見つめる。

 が、すぐにワハハと笑って。

 

「結論から言っちゃうんだけど、ぼくたちも偉い人たちから『妖精のことは秘密にするように』って言われてるからさ、キミも出来るだけ内緒で頼むよ」

 

「内緒……ですか? 何か、尋問されたり、妖精を捕えたりとかは……」

 

「しないしない。キミが知らなかったのは当然なんだが、『魔法協会』主導で、ダンジョン内の妖精は極秘の保護対象に指定されてるんだよね。だから、キミのお友達に何かすることはないし、情報も口外しないことを誓おう」

 

 そこで室長は、ぺらりと何か一枚の紙を取り出して桃子に見せる。

 文字が多くて何を書いているのかは把握しきれなかったが、どうやら何かの誓約書のようだ。一番下には室長の名前と印鑑が押してあった。

 

「これね、妖精関連の探索者の情報……つまりはキミたちの情報は口外しません、可能な限りキミたちを保護します。そんな感じの誓約書。ぼくもサインしたし、横の窓口ちゃんも書いてるよ」

 

 横に立っていた窓口のお姉さんも、同じような誓約書を見せてくれた。

 一番下には窓口、とサインが書いてある。驚いたことに、窓口のお姉さんは本名が窓口さんだった。桃子は驚愕した。

 

「だから、ぼくらにだったら何を話しても口外しないことを約束するよ。まあ、魔法協会とか、お上のお偉いさんには情報共有させてもらわにゃならないけどね」

 

「ドワーフが妖精を連れている、という噂の段階で、室長と万が一に備えて話し合っていたんですよ。桃子さんのスキルを知っているのは専属で担当させて頂いている私だけでしたからね」

 

 ワハハと豪快に笑う室長と、横で優しく笑いかけてくれる窓口さん。

 つまりは、妖精については最初から室長たちは把握していて、桃子がひとりで悩む必要がそもそもなかったわけだ。

 

「よかった、よかったぁ……。ありがとうございます、本当は色々とあって、どう誤魔化せばいいかってずっと考えてて」

 

「うん、とりあえずは、ぼくらにも聞かせてもらえるかな。キミが、話しても大丈夫と思える範囲だけでいいから」

 

 ぺこりと二人に頭を下げてから、桃子はゆっくりと口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【美少女配信者について語り合うスレ】

 

 

:最近はユメコさんあんまり配信しなくなったよなあ

 

:知らんのか。ユメコは寿引退だろ。

 

:やめやめろ

 

:ユメコの話はしないでやろうぜ

 

:推しの引退は泣く

 

:ありつつも君をば待たむうちなびく わが黒髪に霜の置くまでに

 

:来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに 焼くや藻塩の身もこがれつつ

 

:古今和歌衆ちっすw

 

:古今和歌衆ってなに?

 

:昔、和歌っていうアイドル系探索者がいて、そのファン連中の総称。今でも歌を詠みながら帰りを待っているらしい。

 

:風情があって草

 

:美少女配信者なら、タチバナちゃん可愛くない? (URL)

 

:あいつ可愛いんだけど、なんかメスガキ臭がつよくて素直に褒めたくねえw

 

:実際にメスガキだからな ガチ女子高生やぞ

 

:女子高生があんなに強いのか? いつからダンジョン潜ってんの?

 

:都内のミッション系女子高って自分で言ってたな デビュー時は中学生だろ

 

:ミッション系でなんであんなメスガキになっちゃうのよ・・・

 

:あいつデビュー早々新宿ダンジョンの隠し通路発見しまくって、当時はかなり話題になってたよな

 

:やはり天才か…

 

:おかげでここ数年は新宿ダンジョンの上層が安定して開拓できるようになったんだよな

 

:今日も配信やってるぞ。平日なのにまた房総ダンジョン行くってさ

 

:ちゃんと学校行けタチバナ

 

:美少女配信なら、『りりたんの朗読チャンネル』おすすめ ただただダンジョンで美少女が本を読んでる (URL)

 

:なにそれ怖いんだが

 

:怖いと言えば、萌々子ちゃん関係で何かないかと思って探したら、momokoってだけのアカウントチャンネルがあってな、冒頭で暗い森の中が映るだけであとはノイズまみれ、っていう動画1つ置いてるだけだった (URL)

 

:なにこれ怖いんだが

 

:なんか不気味なアカウントって言えば他にもいくつか思い当たるぞ、これとか――

 

 

 

:なんで怖い動画紹介スレになってんの

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