ハンマー少女はバズらない! 固有スキル【隠遁】で自由に探索してたら伝説になってました 作:chikuwabu
「ニライカナイには、私が行きますから。ヒカリと私と、あとはエレクちゃんにも力を借りれれば、きっとどうにかなりますから……」
人のいない岬のベンチ。目の前には、遥か先まで続く水平線が見える。
和歌は桃子の手を握って、しかし桃子の目を見ずに、そのような言葉を吐く。
桃子は、自分の耳を疑った。
「待って……えと……和歌さん、私、足手纏いですか……?」
和歌は。この日、この夜は、桃子は与論島に泊まれという。それは――。
それは、桃子が与論島に泊まるということは。龍宮ダンジョンから距離を置いて欲しいということは。
夢の中の、ニライカナイの探索に参加しないで欲しいという。そんな意図を含む、言葉だった。
果たして、距離を取れば夢という形でニライカナイに呼ばれなくなるのかどうかは分からない。分からないけれど、それでも和歌は、桃子がニライカナイに向かうことを、良しとしていなかったのだ。
桃子は、突然の和歌の提案に頭が真っ白になるが、それでも言葉を絞りだす。
もし、自分が和歌たちにとって足手纏いだというのならば、それは己の実力不足が原因だ。事実、昨晩は一人だけ一反木綿に攫われる失態を演じてしまったのだ。
高レベル探索者である和歌が、実力の劣る桃子を足手纏いだと判断して切り捨てるなら。それならまだ、桃子も理解できる。悔しく思うけれど、仕方ないとは思う。
けれど、違った。
和歌は、無言で首を横に振って、言葉を続ける。
「違います。でも、次にあの夢の世界に入ったら、もっと危ない目に遭うかもしれません」
和歌は、一呼吸挟んで。桃子の手を強く握る。
「ですから、私はこれ以上、大切な桃ちゃんを危険な目に遭わせたくは――」
「っ……! 和歌さん! 怒りますよ!」
子供扱いだ。
和歌は、この期に及んで、桃子を子供として扱い、ニライカナイに行くなと言っているのだ。
桃子はその考えに行きつくと、つい。もしかしたら和歌と知り合ってから初めて、大きな声で。
和歌の言葉を遮り、怒りの言葉を叩きつけた。
「桃ちゃん……」
桃子は、カッとなったまま。怒りではなく、哀しみでいっぱいになった感情に任せて、ベンチから立ち上がる。
桃子の前髪から、小さな石の塊が、ほろりと崩れ落ちる。
桃子の胸元につけた、牙のお守りで作られたネックレスが揺れる。
振り返るように和歌の前に立ち、和歌の両肩を掴むように、その小さな手を当てる。距離が近くなった顔と顔を合わせて、訴える。
「そりゃあ、私は子供みたいに小さいです! 和歌さんが、私のことを娘みたいに思ってくれてるのも分かってます! 私もそれについ、甘えちゃってます! ……だけどね、和歌さん」
悔しさが込み上げ、桃子の目じりからは雫が溢れてくる。
言葉の合間で唇が歪み、和歌の肩を掴む手が、震える。
「それでも私は、大人で、ひとりの探索者なんです! ニライカナイで、和歌さんと、ヒカリさんと、エレクちゃんと、4人パーティを組んでる仲間なんです! こんななりでも、私だってパーティの前衛なんです!」
自分は子供じゃなくて、立派な一人の、探索者なのだと。
ヒカリと、和歌と、エレクと、桃子と。パーティの仲間なのだと。強く、訴える。
「だから、小さな子供の桃ちゃんじゃなくて! ちゃんと私を見てください。そりゃあ、一反木綿に攫われて心配はかけましたけど、ヒカリさんと比べると不安かもしれませんけど、でも! 今は、一人の探索者として、見てください!」
桃子は、和歌の目を見つめる。
自分を勘違いしないで欲しい、と。自分をきちんと、一人前の探索者として扱ってくれと。
けれど、きっと桃子もまた、和歌を勘違いしていたのだ。
桃子の知っている和歌は、頼りがいがあって。いつでも笑顔で。年上の大人で。探索者としてもとても強くて。
だから、桃子は知らなかったのだ。思いつきもしなかったのだ。
和歌の弱さというものを。
「でも、本当に……怖いの……今朝だって、桃ちゃんがこのまま目覚めないんじゃないかって……私はもう、二度と仲間が死ぬ姿を見たくないの……」
和歌が、今朝と同じようにその表情を恐怖にゆがめて、涙をこぼして。
桃子に訴える。仲間を失う恐怖を。誰かが目の前で死ぬ絶望を。
「人が引き裂かれて……血溜まりで……ヒカリも、鵺に……殺されて、食べられたのよ……? あの人、私の目の前で、自分が皆を守るなんて……言って……」
ガタガタと震える和歌には、きっと。その日の光景が蘇っているのだろう。
柚花から聞いている。ヒカリは、初めて探索者たちが鵺の情報を持ち帰ったその日、その時、あの渓谷に居合わせたのだ。
彼は、多くの探索者たちを助けるために、最後まで鵺に抗い、命を失った。恐らく彼がいなければ、目撃報告を持ち帰る生存者も現れず、それまで同様に鵺は知られざる魔物のままでいたはずだ。
和歌の視線の先では。
桃子が首からかけている、ヒカリが桃子にプレゼントした牙のお守りが、揺れている。
「いや、嫌なの……あんなのは、もう……私の魔法で、みんな……」
和歌もまた、その場に居たのだろう。和歌の最大の魔法は、共闘に向いておらず、渓谷で使えば人々を巻き込む二次災害をも引き起こす。しかし、威力を抑えた援護の魔法だけでは、ヒカリを助け出すことが叶わなかった。
和歌は、ヒカリが戦い、命を失うまでの姿をその目に焼き付けていたのだろう。
そして。鵺の周囲に、動ける者がいなくなった時点で、巻き込まれる生存者がいなくなった時点で。
上層を目指す、まだ生き残っている人々を守る最後の砦として、和歌が立ち塞がったのだ。
血溜まりに沈む探索者たちの亡骸もろとも、地獄の劫火で、手負いの鵺を焼き払ったのだ。
桃子には、その絶望感がいかほどのものか、想像もつかない。
それだけの思いを、桃子は味わったことがない。
でも。でも、だ。
そんな思いを聞いてしまえばなおのこと、桃子は和歌をたった一人で死者の国に向かわせるわけにはいかないではないか。
もう、和歌の心が限界ではないか。
「……和歌さん、和歌さん! 私はこれでも、滅茶苦茶に強いです!」
桃子は、和歌の肩を掴んでいた手を放して、代わりに和歌の頭を抱き寄せる。
和歌のように母性を感じさせるような身体ではないし、桃子の小さな手で撫でても、与えられる安堵感などたかが知れているかもしれない。
けれど、震える和歌は、同年代の女の子だった。目の前で恋人を食い殺されたという22歳の和歌が、目の前でずっと泣いていた。
これが、慰めとして正しいのかどうかは分からない。
けれど、桃子は和歌に誓うことにした。正直に、自分のことを打ち明けて。
「本当は言っちゃ駄目なんですけど! ……妖精の子と一緒に、あの日、鵺に止めを刺したのも私です!」
鵺、という言葉に。和歌はピクリと身体を震わせる。
桃子こそが、鵺に止めを刺したのだ。大勢の探索者たちが鵺を追い詰め、しかし最後に逃げられそうになったあの時。一番近くで見ていた桃子とヘノだけが、鵺の不意を突くことが出来たのだ。
桃子がサカモトの大剣を鵺の首に突き立て、そこに全力の魔力と共にハンマーを叩きこむことで、あの悪夢のような存在を遠野の地から消し去ったのだ。
「香川ダンジョンの闘技場を守っているゴーレムだって、琵琶湖ダンジョンの壁だって、ハンマーの一撃で壊せます! カレーを食べたら魔力が増えます! 鳥取の砂丘ダンジョンでも……なんだっけ、強い敵、強い敵を倒しました!」
南の離島の潮騒と共に、桃子の声が、他に誰もいない海沿いの岬に響く。
桃子の前髪がゆれ、小さな石が、ほろりと崩れるように落ちた。
幼い顔立ちで、身長も小学生で、言動だって、決して大人らしいとは思えぬところもある桃子だけれど。
探索者としては、強いのだと訴える。
「魔力とスキルで身体も頑丈です! ピンチのときには頼れる仲間も大勢います! だから、かなり強いんです! だから! だから……っ!」
桃子は、和歌を抱きしめたまま、思いつく限りの言葉を並べる。
自分がどれだけ異端なのか。どれだけ強敵と戦ってきたのか。どれだけ強いのか。
強いから。とても強いから。だから――
「私は絶対に、ヒカリさんみたいに、和歌さんを残して死んだりはしません!」
自分は絶対に死んだりしない。
桃子は強く、そう伝えた。
「桃ちゃん……絶対に、死なない?」
「もちろんです! 死にそうになったら、鵺より強い味方を呼びます!」
連絡がつくかわからないし、来てくれる保証もないけれど。これは決して、嘘じゃない。
「私をおいて、いなくならない?」
「もちろんです! 和歌さんこそ、いなくならないでください。私、和歌さんのこと大好きです。和歌さんがいなくなったら嫌です。ちゃんと、一緒に魔物を倒して、ニライカナイの異変を解決して、戻ってきましょう?」
「うん、桃ちゃん……ありがとう……」
泣きじゃくる和歌は、か弱い少女のようだった。
桃子は、自分も頬を濡らしながらも。熱く火照る和歌の身体を、ぎゅっと、守るように抱きしめた。
龍宮礁へと向かう船のラウンジで。
桃子と和歌は、互いに赤い目をして、にへらと笑いながらも、隣り合って座っていた。
結局のところ、探索者としての桃子は強くて、和歌は思ったより弱いところがある。
それを互いに認識を改め合って、それだけだ。
工房の人々からすれば、桃子はやはり小さな末っ子だし、和歌は桃子の頼れるお姉さんだ。その人間関係が変わることは無い。
「桃ちゃん、施工中の壁かなにか触りましたか? 髪に、石がついてますよー?」
「えー、やだぁ……いつのまに?」
和歌が、桃子の髪を手櫛で整えながら優しく笑っている。
「桃ちゃんに、ずっと隠してたことがあるんです」
「え、私が言うのもなんですけど、和歌さんも秘密が多すぎません?」
「いえ、桃ちゃんの秘密ほど大したことではないですよ? 桃ちゃん、守秘義務とか大丈夫なんですかー?」
「うぅ……ど、どうしよう……」
痛いところを突かれてしまった。
勢い余って、和歌にはあれから自分のことをあれこれ話してしまった。流石に全てを語り尽くせるほど単純な立場ではないけれど、妖精のパートナーがいること。妖精の国を起点に様々なダンジョンを渡り歩いていること。各地で様々な事件を解決してきたこと。
ギルドの関係者以外には絶対に話さないこと、と。何度も念押しされているようなことまで話してしまった気がする。
どうしよう。桃子は今更ながら、頭を抱えたい気持ちになってきた。というか、頭を抱えていた。
そんな桃子をクスリと眺めながら、和歌は自分の『隠していたこと』を語りだす。
「私、ヒカリと結婚の約束をしてたんですよ。そして、将来子供が出来たときの名前も決めてました」
「そう、なんですか」
桃子も、自分の頭を抱える手を下ろし。自分のことはさておいて、和歌の話に耳を傾ける。
和歌の語るその話は、半ば予想していて、半ば予想よりも遥かに先を行った話であった。
ヒカリと和歌が友人以上の関係だったことは、見ていれば桃子とて察することが出来る。ヒカリと和歌の距離感は、まるで人生を共にするパートナーのようなやり取りだったから。
でも、結婚とか、子供とか。そこまで深い関係だとは、知らなかった。
「二人きりのときに、話したことがあったんです。桃太郎のお話みたいな、強い子供になるようにって。男の子だったら『つるぎ』、女の子だったら『もも』という名をつけようって」
「もも……」
「初めて桃ちゃんが来た日に。ヒカリと結婚したら生まれていた女の子が、会いに来てくれたんだって……勝手に、そんな風に思い込んでしまって……だから、つい、桃ちゃんを子供扱いしてしまいましたねー」
和歌が、桃子を必要以上に可愛がるのは、娘として見ているのは、そのような事情があったからだった。
少し悪い言い方をすれば、和歌は桃子に、生まれることもなかった自分の娘を重ねて見ていたのだ。
ヒカリが死んだのは13年前。もし鵺と出会う事なく、その後二人の間に子供が出来ていれば、ヒカリたちの子供は小学六年生辺りに育っていたことだろう。ランドセルを背負い、学校に通っていたのだろう。
桃子の実年齢は19歳だが、こと外見だけを見れば。もし娘が生まれていれば、生きていれば。和歌とヒカリの子供は、桃子と同じような背格好の少女に育っていたのかもしれない。
「私、別に気にしてません。私も勝手に、和歌さんのことお姉ちゃんみたいに思ってますから」
「娘とお姉ちゃんでは、ニュアンス的にだいぶ違うと思いますけどねー……」
船は、桃子と和歌を乗せて龍宮礁へと近づいていく。
和歌が、桃子の手を握る。
「だって、和歌さんて外見が若すぎて、流石にお母さんっていうイメージは……あれ、和歌さん?」
「ねえ、桃ちゃん。鵺を倒したのが桃ちゃんていうのは、本当なんですね……?」
船の速度が緩やかになり、龍宮礁の船着き場が近いことが分かる。
けれど、和歌はそんなことも気にせずに、火照った顔で、桃子に問いかける。
しかし、様子がおかしい。
「和歌さん? どうしたんですか? って、すごい熱……!」
「桃ちゃん……ごめんなさい……」
桃子がその額に手を当てると、明らかに正常ではなく、和歌の身体は熱くなっていた。
そして、桃子が呼びかけても、和歌は小さく何かつぶやいたきり、そのまま瞳を閉じてしまう。
「和歌さん?! 和歌さん?!」
船着き場に到着後。
桃子の声に気付いた船のスタッフたちが、熱を出し倒れている和歌に気付いたのは、この後すぐのことだった。
「はい、氷を持ってきたわよ、桃子さん。ドクターはなんて言ってたの?」
「ありがとう、ローラさん。お医者さんの見立てだと、普段と違う環境で、ペースを上げすぎて疲れがたまっていたんじゃないかって」
桃子と和歌の部屋。
龍宮礁に常駐している医師が先ほどまでこの部屋で和歌を診察していたのだが、熱が出ている以外は特に目立った異常というものがなく、恐らくは疲労による発熱ではないか、ということだった。
確かに、熱を出して眠ってはいるものの、しかし和歌は見た限りでは静かに落ち着いて睡眠をとっているように見える。
室内には、ベッドに横になる和歌と、心配げに和歌を見つめる桃子。
そして、ここが女性のみの部屋ということもあり、桃子の横にはローラが付き添ってくれていた。
和歌の額に乗せられた氷嚢は、たった今、ローラが喫茶店から持ってきてくれたものだ。額を冷やすと、心なしか和歌の寝顔も楽になってきているように見える。
「和歌さん、確かに昨日まで服のデザインとか頑張ってたものね……」
「服のデザイン?」
「ええ。ダンジョンの装備品だけじゃなくて、ウェディングドレスのデザインなんかもしてたわよ? 凄いなあって、感心しちゃったもの」
ローラは、喫茶店から直接駆け付けてくれたので、朝と同じく空の妖精スタイルだ。慣れというのは怖いもので、ローラが異常な恰好をしていても桃子も何も気にしなくなってきた。
ただ、やはり倒れた人間のいる部屋では、ローラも恒例の決めポーズは繰り出さない。
結局、空の妖精の決めポーズが何なのかはわからないままだが、桃子も流石に今は可愛いポーズではしゃげる気分ではないので、ローラの気遣いがありがたい。
しかし、桃子はローラの語る和歌の話に胸が痛む。
和歌の職業は、設計士だ。あくまで探索者用の防具や武器を、依頼を受けて設計していく仕事である。
そこに、ウエディングドレスの発注などまず来ない。
だから、ウエディングドレスを描いていたとするならば、それは和歌が着たかったものなのではないかと。結婚の約束までしたヒカリと夢の中で再会し、当時の望みが息を吹き返してしまったのではないかと。
桃子は、ついそのような考えに至ってしまう。
「和歌さん……」
「桃子さんも、無理しないでね? 言ってくれれば、部屋までコーヒー牛乳の配達に来るからね?」
そう言えば、社員旅行という呑気な立場の桃子と違い、ローラは喫茶店を放ってここまで付き合ってくれているのだと、今更ながら桃子は思い出す。
純粋に彼女は、桃子と和歌が心配で付き添ってくれていたのだ。
ローラの優しさが、桃子の胸にも染み渡る。
「ありがとう、ローラさん。でも、私も今日はちょっと疲れたから、和歌さんと一緒に少しおやすみしようかな。ローラさんはだから、喫茶店に戻っても大丈夫だよ」
「うん、わかったわ。また元気になったら、二人で喫茶店まできて頂戴ね?」
「またコーヒー牛乳いれてね? 次はさ、また可愛い決めポーズでお願いね」
「ええ、分かったわ♪」
これ以上ローラの時間まで使わせるわけにもいかないし、実際に桃子も今はなんだか疲れている。
なので、休むことにした。
本物と比べると過剰に美しすぎる空の妖精が、部屋から退室していく。桃子はその背中に手を振って見送ると、自分のベッドに横になる。
和歌は、疲れて眠っているわけではないと、桃子は知っていた。
もちろん疲れもあるだろうが、和歌は今、ニライカナイに呼ばれているのだろう。なんとなく、根拠もないが、そういう感覚がある。
何故なら。桃子もこの龍宮礁に帰ってきてから、だんだんと。その両の瞼が重くなってきているから。
「……和歌さん、私も今から、行きますね。ニライカナイ」
枕に顔を乗せると、自然に瞼が降りていく。
だからその前に、横のベッドに眠る和歌に、声をかけた。
「絶対、一緒に帰りましょうね」
これは、約束だ。絶対に違えるわけには、いかない。
桃子の意識は薄らいでいく。
眠る桃子の髪のひと房で。小さな石が、ほろりと崩れた。
【とある妖精たちの会話】
「なんだか。後輩の奴。今日は随分と慌ただしかったな。知らない妖精の話も。してたろ」
「うぅ……ま、まさか……柚花さん、私以外の妖精と……う、浮気してるんじゃ……」
「んふふ♪ ……ひっく……大丈夫よ、柚花さんは浮気なんかしないのよ♪」
「女王もなんだか。静かになっちゃったし。ルイも。いなくなるし。桃子に何か。あったんじゃないだろうな」
「んふふ♪ 大丈夫よ。桃子さんは……ひっく……大丈夫よ♪ エレクがいるんだもの♪」
「クルラ。お前。今日は特別。酒が多いけど。エレクってやつと。関係あるのか」
「も、もしかして……柚花さんが言ってた、エレクっていう子のこと……クルラは、知ってるんですかぁ……?」
「ひっく……それは……そうね。話せば長くなるから、今度じゃ駄目かしら♪」
「うぅ……み、短くお願いしますぅ……」
「うーん……エレクは……強い妖精よ♪」
「本当に短いな」
「うぅ……ま、まさか……柚花さん、私以外の妖精と……う、浮気してるんじゃ……」
「後輩に限って。それは。ないだろ」
「そうよ♪ ニムと柚花さんは、ジメジメしてて、とってもお似合いよ♪」
「うぅぇへへへ……そ、そうですよねぇ……? うぅぇへへ……」