ハンマー少女はバズらない! 固有スキル【隠遁】で自由に探索してたら伝説になってました   作:chikuwabu

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閑話/ピーチアームズ

 これは、桃子とヘノが出会い、様々な冒険をしてきた時代から、少しだけ先の未来の物語。

 

 

 

 

【ダンジョン武具を語れ】

 

:これからの時代は魔石銃がメインになるのかな

 

:法的な問題があるから、日本だとなかなか・・・

 

:そもそもメインに出来るほど、あれを使いこなせる人間いないしな。なんだよ魔力操作って。

 

:魔力について学びたければ蔵王ダンジョン、別名「桃源郷」の修行コースをどうぞ

 

:桃源郷どころか軽い気持ちで受講した配信者がみんなガチ泣きするので有名な地獄修行やんけ

 

:軽い気持ちで修行なんてするもんじゃない

 

:桃源郷といえば 求)ピーチアームズ情報

 

:最近新しいの見つかったんだっけ?

 

:(実はピーチアームズって名前は聞くけど詳しく知らない)

 

:日本各地で宝箱から見つかってる不思議な効果を持つ武器群の総称。桃の刻印が記されていて、詳細は不明。

 

:それこそ桃源郷が関わってるんじゃないかって言われてるよね

 

:桃源郷のギルドと魔法協会が結託して収集してるって噂だしな

 

:あそこは魔法協会の息がかかった魔窟だからな・・・

 

:話を戻すけど、毒樹の毒を撒き散らさず伐採できる斧とか、砂漠の湧き水を作り出していた剣とか、ピーチアームズでどれだけの人が助かったことか

 

:絶対に刃こぼれしないけど、固すぎて磨げない刀とか、癖が強すぎるものもあるけどな

 

:有名な鍛冶師の爺さんがこりゃ駄目だってお手上げしてる動画見たことあるわ。お孫さんが物凄く味わい深い顔してて可愛かった

 

:どれも普通の人には製作不可能だし、どう考えても人外の力が働いてるよねっていう

 

:見た目は近代の武器を模してるらしいから、余計に見つかりにくいんだ

 

:近代の都市伝説ってやつだな

 

 

 

 

 

 

 

 

【とあるダンジョンで遭難した二人の青年たち】

 

 

「おい、ギルドに救助要請は送ったから、きっと助けがくるからな!」

 

「ああ、でも……寒いな。くそっ、手足の感覚がなくなってきたし……目が霞んできた」

 

「馬鹿、寝るな! くそ、まさかの雪崩に巻き込まれて、たまたま目の前にあった洞窟に入り込んだはいいものの、出口が雪で塞がり、燃料や食料が入ったリュックも失ってしまうという大ピンチに陥ってしまうとは……一生の不覚!」

 

「な、なんか……随分と、説明的だな……」

 

「ん? おい、お前、そりゃ何に寄りかかってるんだ?」

 

「……あれ? そういや、椅子みたいなのがあって……なんだこれ、木箱かな?」

 

「お、そりゃ宝箱じゃないか?! 開けてみるぞ! こういう時は藁にもすがれ!」

 

「……なんだ、これ。随分おおきな剣が入ってるな」

 

「おい、これ! みろ、桃の刻印が入ってる! これあれだろ、あれ!」

 

「ピーチアームズ……実在したのか」

 

「ああ、桃の印の入った謎の武器群、通称ピーチアームズ。こんな状況で武器があっても嬉しくはないが、まさか死ぬ前にこの目で実物を見ることができるとは!」

 

「……な、なあ。なんかこの大剣、やたら温かくないか?」

 

「ん? ……なんだこれ、本当だ。剣だけじゃなくて、触ってると物凄くポカポカしてくるぞ。なんだこれは!」

 

「……これなら、寒さにも耐えられるぞ!」

 

「やったな! さすがは伝説のピーチアームズだ!!」

 

 

※この後、彼らは無事生還できました。

 

 

 

 

 

 

 

【とある水の底で魚人に不意を突かれた若者】

 

 

「ガボガボっ……!!」

 

(しまった、魚人に酸素ボンベを奪われた……! 呼吸が……!!)

 

「ガボッ……!!」

 

(くそ、諦めてたまるか! 俺にはまだ……あれがあるんだ!)

 

 

 ――良いですか? 水中で本当に危機に陥ったときには、この宝剣に頼りなさい。

 

 ――これは、我らが姫様からの、賜り物です。

 

 ―― 無下に扱うようなことがあれば、姫様に代わり、私が鉄拳制裁をしますからね。

 

 

(姉さんが、授けてくれた、宝剣……)

 

「グゥ……!!」

 

(この桃の刻印の短剣、ピーチアームズを……口に咥える!!)

 

「スゥー……ぶくぶく……はぁー……ぶくぶく」

 

(空気の出てくる短剣。まさに、ピーチアームズの真髄だ……!!)

 

「スゥー……ぶくぶく……はぁー……ぶくぶく」

 

(でもなんかこの空気、カレーの匂いがするなあ)

 

 

※この後、彼は無事生還できました。

 

 

 

 

 

【とある空の上でゴンドラに乗る三人の女性探索者たち】

 

 

「ナツノ先輩、ナナミ先輩、スカイゴンドラにはゆっくり乗ってくださいね。落ちたら私の回復魔法でも助かりませんよ」

 

「キクノの回復魔法で無理なら、それはもう死んでるってことだからね! あははっ、って、笑えない笑えない。私たちも落ちないように気を付けるよ、ねっ」

 

「うん」

 

「はぁ……では、魔石ワイヤーを起動しますよ。下降の際に揺れますので、ナナミ先輩は落とさないよう『彼』を懐にしまっておいてくださいね」

 

「うん」

 

「このゴンドラ、もう少しサイズがあればよかったんだけどねっ。あ、でもそうすると重量とか耐久性の問題があるのかな? こんなところから落ちたら、例の大先輩じゃないけど、サバイバル生活一直線だよねえ」

 

「サバイバルどころか、普通は死んじゃいますよ。ってナツノ先輩、それどうしたんですか? 右手、怪我してるじゃないですか」

 

「このくらい大丈夫なんだけどなあ。サッカーしてたら、このくらいの怪我はいくらでもあるよ? 何でもかんでも治癒しちゃうのはダメだってキクノも言ってたでしょ?」

 

「治療はともかく、せめて消毒はしますよ。杖を向けるから動かないでくださいね」

 

「あ……それって、もしかしてピーチアームズの?」

 

「あれ、ナナミ先輩は間近で見るのは初めてでしたっけ? ピーチアームズとは言っても、アルコール除菌のできる変な杖ってだけですけどね」

 

「でも、キクノ、前にそれで火炎放射してたよね? 私の炎の魔法が形無しだったじゃん。アルコールって可燃性だから、かなりよく燃えてたよね」

 

「それは忘れてください。うちの師匠と違って私は正統派ヒーラーなので、アルコールで荒くれたりはしないんです! ナナミ先輩も頷いてないでください」

 

「うん……?」

 

「キクノの師匠って蔵王ダンジョンにある魔法協会支部の凄い人でしょ? そんなに変な人なの?」

 

「能力的にはすごい人ですけどね。このピーチアームズも師匠から貰ったものですし。ただ、プライベートは酒……いや、うん、変わった人です」

 

「ふうん。それくらいの人となると、ピーチアームズとか所有してるものなんだねえ。私、結構知ってるんだよ? 正体不明のピーチアームズ。目の疲れが吹き飛ぶ目薬が出てくる弓では、有名な弓使いさんの疲れ目が治ったでしょ? あと、パズルの謎を解いたらそこからカレーの――」

 

「長い長い、相変わらずナツノ先輩は話が長い!」

 

「ごめんねっ。話が長いのだけは、子供の頃からの癖なんだよね。あー、それにしても、正体不明で『桃』かあ。どうしても、思い出しちゃうよねっ」

 

「うん……なんだか、懐かしいね」

 

「ん? お二人とも、遠い目をして何かあったんですか?」

 

「んーん、小学校の頃の友達を思い出しただけよ」

 

「あの……ところで、キクノちゃん、蔵王ダンジョン出身なんだよね……?」

 

「ええ、はい。蔵王ダンジョン出身というか、むしろあのダンジョンが私の故郷の村に後から出現したというか……」

 

「そうそう! 蔵王ダンジョン、別名桃源郷! 魔法使いの聖地! 私もいつかはあそこで修行してみたいなあ」

 

「桃源郷に興味あるんですか? なんなら、お二人分の地獄修行コース、予約しておきましょうか? 私なら融通利かせられると思いますし、ギルド長の奥さん、先輩と同じ炎魔法のエキスパートですよ? 戦略兵器みたいな威力の炎の魔法を使いますから」

 

「え、いや、ごめん、言ってみただけで本当に地獄修行ってなると心の準備が……」

 

「う、うん……」

 

「そうですか? まあ、蔵王ダンジョンギルドにはいつでも融通利かせられると思うので、言ってくださいね」

 

「それにしてもキクノ、あんた本当にいい子よね。うちにお嫁に来ない? うちのお兄ちゃん、意外と優良物件だよ? 菊乃小梅から夏野小梅になろうよ」

 

「なんですかいきなり。ほら、そろそろお話はここまでです。到着したらナナミ先輩は、『彼』を出してあげてくださいね」

 

「うん」

 

「じゃあさ、あとでモチャも交えて食事時にでも、ピーチアームズの話を聞かせてよ。大昔はどうだったのかとか、キクノも桃源郷の関係者なら少しくらい知ってるんでしょ?」

 

「この武器って多分、そんな歴史があるものじゃないと思うんですけどねえ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   幕間 ピーチアームズ 了

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