ハンマー少女はバズらない! 固有スキル【隠遁】で自由に探索してたら伝説になってました   作:chikuwabu

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桃探しの朝

「というわけで、なんか肌年齢が子供の年齢なんだよねえ」

 

「先輩ってやっぱり本当に座敷童子か何かなんじゃないです?」

 

 いま桃子が歩いているのは房総ダンジョン第二層、坑道迷宮。

 今日は特に約束をしていたわけではないのだが、柚花もダンジョン内で配信をするということだったので、ギルドで合流して途中まで一緒に行こうということになった。

 今日はどこかで眠っている人を助けるわけでもどこかの兵器を阻止するわけでもなく、時間にもそれなりに余裕があったので、ヘノのつむじ風には頼らずに柚花と共に徒歩でダンジョン内を進んでいる。

 途中途中では柚花を狙う魔物が現れるものの、魔物探知ができるヘノが事前に教えてくれるので、さほど危険もなく足取りは順調だ。

 

 その順調な道のりで、桃子が先日の肌年齢の話題を出す。

 自分の肌が、10歳児と判定されてしまったという、桃子的には悲しい事件だ。

 

「人間は。肌に年齢があるのか? 桃子の肌は。あとから生まれたのか?」

 

「ほっぺた触らせてもらっていいですか? うわお肌やわらか!?」

 

 ヘノが肩の上から左頬を小さい手のひらで押しこむように突き、柚花は反対の頬を指で軽くつまむ。

 桃子のほっぺたは押し込まれたり引っ張られたりしてなんだか大変だ。

 

「うふぅー、もうほほひゃらふっひょへは……」

 

 うーん、もうどこからツッコめば……と桃子は言ったつもりだが、ちゃんとした日本語にならなかった。

 しかしヘノと柚花は桃子の言わんとすることを察したのか、それとも満足しただけなのか、さっとそれぞれ手を離す。

 そして柚花は、少し自分の口元に指をあてて考え込む素振りを見せてから、口を開いた。

 

「ダンジョンの食べ物には特殊な効能が備わっていることも多いですし、どこかでお肌が若返る効果があるものを食べていたのかもしれませんね」

 

「そっかー。力が強くなるとか、体力が回復するとかだけじゃなくて、そういう効果もあるのかもしれないねえ。だとしたら、どの食べ物がそういう効果だったのかなあ」

 

「何か思い当たるものとかはないんですか?」

 

 思い当たるもの。

 

 以前は持ち込みのカレー材料に、房総ダンジョン第一層で採れる薬草や果物をいれたものが主体だったが、ヘノと出会ってからは様々なものを食べるようになった。

 妖精たちが持ち込んできた様々な食材にはじまり、玄米や松茸にキノコ、貝汁も飲んだし、蟹も食べた。更には、胃に入ったという意味なら、深潭宮の水はこれでもかというくらい摂取している。

 イカやエビはもう少し増えてからカレーにするつもりだからまだ食べていないけれど、もしかしたらもう食べても大丈夫な量はいるかもしれない。

 

 というように、まだ食べていないものもあるけれど、ここ最近で口にしたものだけでも両手の指では足りなかった。

 

「桃子は。食べられそうなものも。そうでないものも。だいたいカレーにしてきたからな」

 

「待って、ヘノちゃん待って、それは誤解だよ。私も、さすがに毒薬とサカモトさんの大剣は食べてないからね? そりゃ鍋にいれたらカレーにはできたかも知れないけど……」

 

「サカモトの剣をいれてたら。どんなカレーに。なったんだろうな」

 

「えー? 剣カレー? うーん、やっぱり鉄分豊富なカレーだろうね。味はどうなんだろう」

 

「二人ともいきなり漫才を始めるのやめてくださいよ。なんなんですか? 芸人目指してるんですか? 武器は食べ物じゃないですからね? 分かったら先輩、正気に戻ってください」

 

 柚花は、この二人を放置していたらそのうち「試しに剣を食べてみよう」とか言い出しそうだったので、慌てて止めに入った。

 何をどうして剣を食べる話になって、そして何をどうしたら剣カレーの味について想像し始めるのか。

 最近は放置しているとすぐに漫才を始めてしまう先輩方には、是非とも正気にもどってほしいと切実に願う、柚花であった。

 

 

 

 

「はい、まとめて撃退完了! です」

 

 房総ダンジョン第三層、鍾乳洞窟。

 ここにはスライムや巨大なカエルなど、全体的にジメジメしたタイプの魔物が多く出現するのだが、その大半が柚花の持つ雷を纏った二つの剣で簡単に煤へと帰っていく。

 いや、正しく言うならば、柚花の剣から延びた電流が勝手に魔物たちの中を走り、近づくまでもなく煤へと帰っていく、というべきだろう。剣で斬撃を繰り出すことすらない。

 

「ねえ、柚花のその剣って、魔法が付与されてたりするのかな?」

 

 魔石を一つ一つ拾っていく柚花にぱちぱちと拍手を送りながら、桃子は柚花の武器について聞いてみた。

 柚花の武器は片手で振り回せるサイズの左右の剣だ。見たところはきちんと整備されていて、本職の目からもしっかり扱われていることがわかる。

 が、桃子が興味を持ったのはその剣そのものではなく、そこから繰り出す電撃のほうだった。

 柚花は電撃の魔法を使用することができるが、大体の場合はその曲刀が電撃の起点となっている。

 

「これはただの一般的なダンジョン武器ですよ。もちろん、それなりに良質なものを選んでますけど、性能としては先輩のところの親方さんが作る武器の足元にも届いてないんじゃないですかね」

 

「桃子。さっきの電撃は。後輩の魔法の効果だぞ」

 

 柚花が差し出してきたその武器を受け取り、桃子はしげしげとそれを観察する。小さめの魔石がついてはいるものの、これは魔力効率を上げる程度のもので、魔法が付与されているわけではないようだ。

 せっかくなので魔石と石座が緩んだりしていないかを確認してから、大丈夫そうだったので柚花へと返す。

 

「私の魔法、電撃が連鎖的につながるんですよ。それで……うーん、なんといいますか、自分の武器を標的にする感覚で使うと、武器が魔法を纏った感じになるんです」

 

「なるほど、武器に魔法を纏わせる……。たまにヘノちゃんが私のハンマーに風を纏わせてくれるけど、そんな感じ?」

 

「ヘノのは。ただの魔力を増しているだけで。ハンマーに特殊な魔法をかけたわけでは。ないな」

 

 桃子も自分のハンマーを取り出して、巨大化させる。

 琵琶湖のダンジョンを破壊した際には使い捨て魔石を加工で装着したが、すでにその魔石は砕け散り、石のついていない石座だけが寂しそうに存在を主張していた。

 なんとなくの感覚で魔力を込めてみるが、やはり魔石もなにもついていない状態なので何の変化もない。

 

「先輩こそ。そろそろハンマーに何か魔法付与したらどうですか? 石をつける場所もありますし、専門家に依頼すると高額ですけど、ヘノ先輩とかニムちゃんならこう、ちゃちゃっとできたりしないんです?」

 

「ちゃちゃっとは出来ないけど。魔石があれば。多分。出来ると思うぞ」

 

 ヘノがふわりと浮き上がって、ハンマーの上にちょこんと着地する。

 ツヨマージを取り出してハンマーをつんつんと突くと、緑のつむじ風がハンマーを包み込むが、どうやらこれはただの魔力の増強で、特殊な効果があったわけではなかったようである。

 

「前もヘノちゃんに、真空の刃が出るハンマーはどうかって聞かれたけど、流石になんか……ハンマーとの相性が悪いというか、用途がちょっと違うかなって」

 

「まあ、一撃で倒す武器ですからねえ。風属性って、こういう小さい剣とかのほうが相性よさそうですよね」

 

「風の魔法は。そういうの。苦手なんだ。実に残念だぞ」

 

 古来、ゲームなどでもハンマーは岩や大地属性の武器。

 疾さや手数が主体となる風属性の魔法とは、いまいち相性が悪いのだった。

 

 

 

 

「じゃあ、私はここいらで失礼しますね」

 

「うーん、なんかここでお別れしないといけないのって寂しいね。柚花も一緒に行ければいいんだけど」

 

 白い鍾乳石の柱が見える位置まで来たので、柚花とはここでお別れだ。

 桃子は光の膜を通って妖精の国へと入るし、柚花は妖精の国には入れないので今日は第三層で配信をする予定とのことだ。

 

「私もあのお花畑は素敵で行けるものなら行きたいですけど、すぐ寝ちゃいますからねえ」

 

 前に柚花が妖精の国に踏み込んだときには、入ってすぐに眠りに入ってしまったのだ。なお、柚花本人は知らないことだが、好奇心旺盛な妖精たちにあちこち調べられたり、まさぐられたりしていたのを桃子は思い出す。

 その後は桃子が第一層まで背負って帰ったが、さすがに柚花もそれを繰り返したいわけではないだろう。

 

 柚花も一緒に行ければいいのにと思う桃子ではあるが、残念ながら、加護の有無まではどうしようもない。

 

「まあそれに! 今日はですね、ここ第三層に時折現れるという虹色のスライムを探す配信を予定してますからね。レアモン狩りですよ、レアモン! 知ってますか先輩、レアなモンスターっていい素材を落としたり、かなり質のいい魔石を落としたりもするらしいですよ?」

 

 しかし、しょんぼり桃子とは裏腹に、目の前の後輩は明るく声を上げる。

 テンションを無理やりあげて、レアモンスター、略してレアモンについて熱く語りだした。

 

「そ、そんなのいるんだ……?」

 

「はいっ。ですから、私は私で視聴者さんと楽しんできますから、先輩も楽しんできてくださいね。ほら、桃探し、でしょう?」

 

 そして桃子に掴まれていた手をやんわりとほどいてから、桃子の背中を押す。

 自分は全く気にしていませんよ、とでも言うように。

 

「うん、わかったよ。じゃあ、美味しい桃が見つかったら柚花の分もお土産でとっておくね!」

 

「後輩。桃子のことは。ヘノが護るから。心配しなくても大丈夫だからな」

 

「もちろん、信頼してますよヘノ先輩。では桃子先輩、名残惜しくなっちゃうから早く行ってください。先輩がいると配信がノイズまみれの放送事故になっちゃうんですから!」

 

「あー、それを言われると申し訳ないなあ」

 

 柚花がドローンカメラを起動させると、ドローンカメラが桃子の顔を正面から撮影する位置にくる。

 しかし、【隠遁】の効果が邪魔をして、いまこの状態で柚花がカメラを起動させても画面は砂嵐しか写さないことだろう。

 

 結局そのまま、柚花に押し出されるようにして桃子とヘノは先へと足を進めていくのだった。

 

 

 

 そして柚花と別れてからは、最後の大きな段差を飛び越えるためにヘノにつむじ風の魔法をかけてもらい、軽やかな足取りで鍾乳洞窟の岩を駆け上った。アッと言うまに岩の上へと到着する。

 最初にここを訪れたときは岩の高さに苦労していたのが懐かしい。

 今となっては、はじめて訪れたときにこの魔法を使ってくれればよかったのに、とも思う。あの時はやはり、ヘノも桃子を信頼しきれてはいなかった、ということなのだろうか。

 

「でもヘノちゃん、やっぱり柚花が入れるようになるのは、難しいのかな。妖精の国は」

 

「ん? さっきの話か。そもそも。加護が無いと入れないのは。仕方ないぞ」

 

「そりゃそうだよねえ、残念」

 

 目の前にそびえ立つのは真っ白く巨大な鍾乳石。妖精の国へと入り口がある場所だ。

 

 ヘノが光の膜を作り、桃子も慣れた様子でその膜に手を触れて、見慣れた風景の妖精の国。広大な花畑へと到着する。

 心地よい花の香りが気持ちいい。もっとも、妖精の加護を持たない人間にしてみれば、深い眠りに誘う魔性の香りなのだけれど。

 

「ヘノちゃんはさ。なんで私に加護をくれたの? やっぱり、サカモトさんを運ぶために、誰かに加護をあげないといけない状況だったから?」

 

「ヘノが桃子を数日間眺めて。気に入ったからだぞ。イビキ男を追い出すだけなら。加護がなくても。やりようはあったからな」

 

「そっか……えへへ。ヘノちゃんが自分から選んでくれたのか、えへへ」

 

 そんな風に話を続けながら、慣れた様子で妖精の花畑を歩いていく。

 今日の目的は桃の木探しなのだけれど、ここ最近のパターンとしては、一度個室か湖、あるいは畑に出向いて、そこで一息つくのが二人のお約束だった。

 

「うぅ……ヘノに桃子さん、い、今からお散歩ですかぁ」

 

「あ、ニムちゃんこんにちは!」

 

 二人で花畑を進んでいると、ちょうど正面の方からよく見知った蒼く光る水の妖精、ニムがやってきた。

 もしかしたら、ニムが来た方向からして、今まで畑か湖にでもいたのかもしれない。

 

「おいニム。いま。房総ダンジョンで後輩が配信っていうのやってるぞ。見てきたらどうだ」

 

「えぇ……は、配信ですかぁ? そ、それって、人間が沢山見てるやつじゃ……わ、私が人間の晒し者に……怖い」

 

 妖精は配信者というものに良い感情を持っていない場合が多い。何故なら、配信者は妖精のことを興味本位で世間に広めてしまうから。

 もちろん、妖精の大半は配信とか動画サイトとかいうものを理解していないし、カメラの仕組みすらわかっていない。しかし、配信の意味を理解していないとしても、本能的なところでカメラを持った人間には近づかないようにしている所がある。

 とにかく、妖精は配信者というものを警戒しがちなのだ。

 

「柚花の場合はドローンカメラっていうのを使ってるから、それの正面側に入らなければ大丈夫だよ。あとは、遠くから見ておくとかなら」

 

「それに。後輩のことだから。お前に気付いたら。配信にうつらないように。うまくやってくれるだろ」

 

「な、なるほどぉ……うぅ、は、配信……覗いてきますぅ……!」

 

 桃子とヘノの言いくるめ――もとい、アドバイスを聞いたニムはすぐにパッと顔をあげて、桃子たちが通ってきた光の膜を通ってそのまま房総ダンジョンへと出て行ってしまった。

 配信に興味があるのか、それとも柚花自身に興味があるのかはわからないが、しかしニムから人間に近づいていくだなんて、最初の頃の人間を恐れていた姿が嘘のようだ。

 

「もうニムちゃんは柚花のこと怖がってないねえ」

 

「ニムも。気になるなら加護くらい。あげればいいのにな。まあ。ヘノたちは一度休憩してから。クルラを探すぞ。あいつ。いつもふらふらしてて見つからないんだ」

 

 ニムと柚花の関係に言及したかと思ったが、やはり全く興味なさそうに、すぐに話題を変えてしまうヘノだった。

 桃子も、自分が口出しすることではないなと思い、ニムと柚花が仲良くなれるように祈りながら、ヘノの後を追いかける。

 

 

 

 

 

 畑で、綺麗に色づいている果物をそのままもぎ取って、シャクシャク食べる。

 

 

 何という果物なのかはよく分からないが、とにかく赤くて、甘酸っぱくて、汁も多くてジューシーな実だった。

 そんな風にヘノと桃子は畑グルメを味わいながら、お酒の妖精――クルラの姿を探すが、しかし広い畑を見ても、目的の妖精の姿はなかった。

 

「いないな。クルラ。どこいったんだ?」

 

「あ、そうだヘノちゃん。こんなこともあるかと思って、お酒を準備してきたんだよ、お酒!」

 

 桃子がそう言ってリュックから取り出したのは、小さな瓶。

 いわゆる、ウイスキーのミニボトルというやつだ。桃子はお酒を飲まないのでお酒ごとの違いは理解していないが、なんとなく高級そうな感じのするミニボトルである。

 

「お。さすが桃子だな。準備万端だな」

 

「まあ、用意してくれたのは私じゃなくて窓口さんだけどね、あはは」

 

「よくわからないけど。窓口に感謝だな」

 

 さて。ウイスキーのミニボトルを取り出して、とりあえず蓋を開けて香りをかいでみる。

 すると、やはりアルコール度数の高い飲み物である。瓶の口からは、豊潤でいい香りともいえるが、やはり強めのアルコールの香りが漂い始める。

 

「お酒♪ 飲むの? 私にも頂戴ね♪」

 

「うわっ、出た?!」

 

「こいつ。探すまでもなく。すぐに寄ってきたな」

 

 そして探していた妖精は、お酒センサーでもついているのではないかというくらいにあっという間に、桃子たちの下へと現れた。

 これで簡単におびき寄せられるなら、最初からこうしておけば良かったなと、桃子はお酒の香りをかぎながら思案する。

 

「こんにちは、クルラちゃん。これは全部あげるから、私たちのお願い聞いてくれる?」

 

「んふふ♪ んふふ♪ 桃よね? 桃の木ならよーく知ってるから、一緒に連れていってあげるわ♪」

 

 白い光……いや、白よりはやや黄色に近い光を持つ妖精だ。

 髪色は白に近い黄色。光の具合によってはピンクにも見える不思議な髪色だが、全体的には白と黄色で構成された色合いの少女だ。

 いつも通りに今日もほろ酔い状態らしく、いつものように白い肌が赤らんでいる。

 

「意外とあっさり。見つかったな。桃の木のありか」

 

「あら、でも、その格好じゃ寒いかもしれないわよ♪ 今は雪も降ってるのよ♪ 風邪をひきそうなら、お酒飲むといいのよ♪」

 

 しかし、お酒の妖精クルラは、桃子の服装を上から下まで観察したあと、おもむろにそう伝えてきた。

 確かに、ダンジョン内というのは場所によっては暑かったり、逆に寒かったりする場合がある。なので、妖精の国から移動した先に雪が降っているとしても、何もおかしいことはない。

 しかし、残念ながら今日はいつもの恰好だった。桃子が使っている寝室には深潭宮で着用していた水着もあるが、寒い場所で水着姿など問題外だ。

 

「雪が降ってるダンジョンなの? どうしよっか、流石にいつもの恰好じゃ寒いかな」

 

 そろそろ地上も冷え込む季節になってきた。

 今日は仕方なくとも、そろそろ妖精の国に、暑さ寒さに備えた着替えを常備しておいてもいいかもしれないな、と。桃子は思うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【その日の朝】

 

 

「うー、窓口さーん、助けてー」

 

「あら、どうしましたか桃子さん、何かありましたか? 学校でいじめられたんですか?」

 

「いや、違うんです。お店でお酒を買おうとしたら、子供には売れませんって言われちゃって」

 

「でしょうねえ。桃子さん、この前も煙草で同じように怒られてましたよね、子供なのに」

 

「いや、私これでも社会人で、大人なんですよお」

 

「ああ、そういえば18歳でしたね」

 

「最近、肌年齢も子供って言われちゃうし、このままじゃ本当に子供になっちゃいますよ」

 

「それは羨ましいですが、どちらにしろ18歳は飲酒は駄目ですよ。あと2年我慢しましょう? 個人的には20歳になってもお酒や煙草に手を出す桃子さんを見たくはありませんが……」

 

「ああいや私じゃなくて、煙草のときと同じで、お酒の妖精さんにあげたいんですよー。窓口さん、本当に申し訳ないんですけど……また代わりに購入お願いできませんか? お金は当然払いますから」

 

「ああ、そういう……わかりました、少々お待ちくださいね」

 

 

 

 

「はい、桃子さん。これをどうぞ、無料で構いませんよ?」

 

「早っ、それに無料って……さすがに駄目ですよ、これってなんか、良さげなお酒じゃないですか」

 

「構いませんよ? 就業中に飲酒をしていた室長からの、没収品ですから」

 

「うわ、そういうアレなんですね。あの、向こうで室長が儚げな目で見てますよ?」

 

「構いませんよ?」

 

「こわっ、窓口さん、目が笑ってないです、怖いですっ」

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