境界廻戦~闇夜に輝く魔眼~   作:ノワールキャット

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第5話_夜戦

暗い部屋の一室で、机に放置されていた携帯が振動し、呼び出し音が鳴る。しかし、持ち主がいない今、出ることはないだろう。

 

『お掛けになった電話をお呼び出ししましたがお出になりません。ピッと言う音が鳴りましたら───』

 

留守電へと切り替わる。

 

『元気にしてるかい、レイ。未那から聞いたよ。今度、僕の誕生日で戻って来てくれるんだって?ありがとう。僕すごく嬉しいよ』

 

電話から聞こえてくるのは柔らかい口調で話す男性の声。電話の持ち主であるレイが出ないと分かっても、依然としてその声は穏やかで柔らかであり、慈しんいでる様子が電話越しでも伝わって来る。

 

『それと、またあまり食べていないらしいじゃないか。ちゃんと食べなくちゃ駄目だよ。レイは昔から身体が弱かったんだから、よく食べて身体を作らないと。こっちに帰って来たら、式が腕によりをかけて作ってくれるみたいだから、また皆と一緒にご飯を食べよう』

 

携帯の持ち主が余程心配なのだろう。何処か不安そうな声色になったが、相手を慈しんでいる様子は依然として変わらない。

 

『会えるのを楽しみにしてるね。それと、あまり無理をし過ぎないように。式が心配してたよ。それじゃあね、レイ』

 

その一言で通話は切れた。ツー、ツー、ツーと暫く音が鳴り続けると、音は鳴り止み、スマホの画面も消えた。

 

部屋に風が吹き付け、ふわりとカーテンが舞う。月明かりの光が差し込み、部屋の内部が照らされる。

 

ぴちょん、と水音を立てて落ちるのは月明かりが反射して光沢を出す緋色の液体。台所に投げ捨てられた血に塗れた包丁から血が垂れ落ち、小さな血溜まりを作っていた。鉄の臭いが充満し、血生臭さがすることだろう。しかし、血溜まりは台所だけではなく洋室にまであり、台所よりも更に大きな血溜まりができていた。それは壁にまで及び、血飛沫が付着していた。

 

第三者が見れば確実に殺人現場だと思い、警察へ通報するだろう。しかし、此処が殺人現場であるならば、ある物が無ければおかしいのだ。部屋にあるのは二つの血溜まりに、投げ捨てられた血濡れの包丁。人が死んでいるという確たる証拠、死体がない(・・・・・)のだ。

 

あるのは血溜まりと、凶器となった包丁のみで死体は何処にも無い。出血量からでは生きているか死んでいるかは判別出来ないが、どちらにしろ出血していた本人の体がないのはおかしい話だ。

しかし、部屋に残されているのは前述した血溜まりと血塗れの包丁、そして窓へと続く血の足跡だけ。

 

この一夜が地獄へと歩む第一歩となった。

 

 

両儀は手頃な獲物を探す為に夜の街を駆けていた。瞳には以前として光が無いが、その瞳は赤青く輝いている。まるで虹を思わせる色彩をしたその瞳は引き込まれるような魅惑さと未知の神秘さがあった。

 

普段着と同じように闇に溶け込む真っ黒な服の上からウィザードフードジャケットを羽織っており、その姿を目視で確認するのは非常に困難だ。

軽い身の熟しでビル群を跳び回る両儀は闇そのもののようであり、そして静かな殺気が滲み出ていた。

 

「...居た」

 

小さく呟いた両儀の視線の先には向かい側の廃ビルに(たむろ)する異形の数々が居た。全部で数は七体。

上半身は普通の人間だが、目や耳が存在せず、口しかないのっぺらぼうのような顔。そして下半身が三叉に割れた蛇のような尾を持つキメラのような姿だった。このキメラのような異形を中心に他の6体の異形が取り巻いて居る。

その異形の姿は胴体に羽が生え、小さな腕と一対の鋭い鎌を持った昆虫のような姿をしていた。昆虫の姿をしていようと、その大きさは中学生ぐらいの大きさはあり、口元には歪に生えた鋭い牙がある。

 

「...喰われたか」

 

向かいのビルに居ても分かるほどの血の臭いがした。風が吹く程度でほとんど無音に等しい屋上でその音は嫌でも響く。グチャグチャと肉を喰らう咀嚼音に時折聞こえる骨の折れる音。人1人確実に死んでいるのは間違いないだろう。

 

人が死んでいる、喰われている。だと言うのに両儀の心は全く持って動かなかった、動じなかった。両儀の心は波の立たない水面のようにずっと一定だ。

この心内を知り、やはり自分は異常だと自覚する。

 

「まぁ、せめて仇だけは取ってやるよ」

 

これが、今の両儀に出来ること。そこら中に群がる他者など、両儀にとってはどうでもいい有象無象の存在だが、不憫だとは思うが故の行動だ。

殺す意思を固めると、より一層魔眼が強く輝き始める。腰に携えていたナイフを手に取り、鞘から引き抜く。するとよく研磨された銀色に輝く刃が顕になる。

そして両儀は向かいのビルに臆すること無く跳んだ。

 

等級に換算するとキメラの呪霊は2級だが、呪力量から判断するならば準1級に相当する呪霊だ。取り巻く呪霊の等級は精々3級が良いところの下級の存在。その内の一体を横に一線して、両儀はビルに降り立った。

 

「ギッギィイ!」

 

羽を根本から斬り落とすと、昆虫型の呪霊は痛みに悶え、獣のような声を出す。

 

「うるさい。死霊が喚くな」

 

ナイフを振り上げ、勢いよく突き刺し、()を穿った。

 

「ア"ッア"ッアァア"ッ!」

 

奇声を発しながら、呪霊の肉体が崩壊を起こし、塵となって消えて行く。

異変に気付き、全ての呪霊の視線が両儀に向けられる。

 

両儀は呪霊という存在を知らなければ、それらを祓う呪術師の存在も知らない。呪術師と接触はしているが、面倒事を避ける為に深追いせずに放置状態だ。

 

呪霊を祓う感覚は両儀からしてみれば害虫駆除に近いもの、何だったら、特に何もしなければある程度は無害な存在だと考えている。だが、自分の命の危機を犯してでも呪霊を祓う理由が両儀にはあった。

奴らが自身の想像の範疇を容易く超える危険の塊であると判断したのだ。両儀がそう判断した理由はたった一つに尽きる。

 

それは行動予測が難しいこと。

ある程度、基本的な行動パターンは分かっている。しかし、此れに当て嵌まらない個体も勿論存在した。

廃ビルなどは呪霊の縄張り、住処であり、狩場(・・)だ。食事が必要なのかは不明だが、呪霊は積極的に人間を襲う。縄張りに入った相手を襲うなら、まだ分かりやすい。廃墟を主にテリトリーとしているならば、そう言った場所に近付かなければ良いだけの話だ。

問題なのは自分の住処から出てでも、人間を襲おうとする個体が居ることだ。腹が空いていると言われれば、それまでだが、街中で漂うように存在している呪霊はそんな素振りを見せない。具体的な理由が不明な以上、安易に放置することは出来なくなった。

 

それからは呪力量が多い危険度の高そうな呪霊を優先的に祓いながら生活して来た。稀に術式を持っていた呪霊とも出くわしたが、魔眼のおかげで特に苦戦なく祓うことが出来た。魔眼の使用はそれなりのリスクがあったが、制御訓練にはちょうど良かったのだ。使用の際はとどめを刺すときなどに使用を限定したおかげで、暴走にまで至ることはなかった。

 

話が逸れたが、両儀が呪霊を積極的に狩る理由は不確定さだ。どのタイミングで呪霊が人を襲うかが分からない以上、呪霊を視認出来る自分が祓わなくてはならない。

 

これは一種の使命感のような物だ。

 

母は呪霊の気配を感じ取れるが、視認は出来ない。父と妹は見ることも、気配を感じ取ることも出来ない。呪霊の姿を視認出来ない家族に呪いの凶刃が振り下ろされるのが嫌だった。自分を愛してくれた家族を殺されるのが嫌だったから、己の身を危険に晒してでも、守りたかったのだ。

 

「ギッギッギィ!」

 

「ニッ、アッアァアッ!」

 

二体の呪霊が両儀に向かって来る。もう一体は斬り裂こうと、もう一体は串刺しにしようと鋭い爪を振り下ろした。両儀は冷ややかな目でナイフを横に一閃。

 

「邪魔だ」

 

「ア"ッ、ア"ァアッア"ッ!」

 

「ウッ、ガッ、ギャア"ァア"ッ!」

 

死の線を斬り、呪霊の肉体は真っ二つに斬り裂かれる。呪霊は悶ながら体が崩壊して行き、数秒も経たずに塵芥となって消滅した。残った四体の呪霊は反応を見せず、ただ両儀を凝視している。何の行動も起こさない事が不気味に思えるが、両儀は気にすることなく、ナイフを再び構えた。

 

(周りの取り巻きは大したことはない。ただ...あの三叉の化け物が気掛かりだな。何かしてこようとする気配が全くない。攻撃意思がないのか?...駄目だな。考えたところで、アイツらの考えてることが分かる訳がない。何もしないんだったら...)

 

「何もさせずに殺すだけだ」

 

そう言うと両儀は駆け出した。

 

取り巻いていた三体の蟲型呪霊は向かって来る両儀に襲い掛かる。

蟲型呪霊の鋭い爪を兼ね備えた鎌は容易に人体を斬り裂く凶器だ。しかし、常日頃から刃物を扱っている両儀は怯むどころか恐怖すら見せない。

 

呪霊はまるで槍のように刺突を繰り出すが、呆気なく躱され、腕が伸び切った瞬間に斬り飛ばされる。ナイフを逆手に持ち変え、胴を穿つ。

両儀の側に居たもう一体の呪霊は両腕の鎌を構え、両儀を斬り裂こうと振り下ろした。両儀の表情は依然として変わらず冷ややかだ。体を少し逸らすだけで攻撃を回避する。空振った鎌はコンクリートの床に深く突き刺さり、そう簡単に抜けることはないだろう。そのすきに鎌を蹴り飛ばしてへし折ると、先程斬り飛ばした呪霊の鎌を持ち、頭に突き刺した。

 

時間にして数秒。流れるように蟲型呪霊を二体祓った両儀。疲弊した様子は無く、ナイフに付着した呪霊の血を振り払う。

残ったのは最後の蟲型呪霊とキメラの呪霊の二体。蟲型呪霊は恐怖によるものなのか、体が硬直して動けなくなっており、キメラの呪霊は依然として動きを見せない。それがただただ不気味であり、何もアクションを起こさないのかが不自然であった。

 

(さっきから違和感を感じる。贋物(にせもの)や幻影を殺しているわけじゃない、が何だ?この歯痒い感じは...)

 

両儀は違和感を拭えない。命の危機は感じない、催眠や幻惑系に掛かっているとしたら何かしら周囲や視界に異変が起こる。今の所異変は見られないが、それすらも真実かどうかが分からない。

 

(自分が催眠やら幻影に掛かったとしても、今の現状じゃ判断が付かないな。それに、違和感の正体は分かった。あのキメラ、恐らく生物として機能してない(・・・・・・・・・・・)な)

 

両儀が感じていた違和感の正体。それはキメラ型の呪霊が周囲の状況にあまりにも無頓着過ぎると言うこと。

呪霊も一種の生命体。生命体であるならば、その目的はほとんどが『生存』と『種の繁栄』の二つだ。後者に至っては呪霊に適用されるのかは不明だが、前者に関しては大まかに的を得ているはずだ。蟲型呪霊が恐怖しているのがその証拠だろう。それに比べてキメラ型の呪霊は無反応だ。

目や耳が存在しないのだから、周囲の情報を得る方法が制限されているとしても他の方法で補うだろう。それを差し引いたとしても、あまりにも奇怪過ぎる。

 

生物ならば断固として避けたい『死』をこれほどまでに感じている。死んだ同族が居るというのに、口を開くことも、呪力に乱れが起きるわけでもない。何もないように平然を保っている。

 

「お前...一体何なんだ?」

 

「...」

 

問いかけてもやはり無駄。期待してはいなかったが、こうも平然としていると、目の前の呪霊が不気味に思えて来る。

 

死に直面した生物は基本的に逃げの一択だ。生きることを目的としているならば、本能からの叫びに身体は正直に反応するはずなのだ。感情的に動く人間を除けば、生物は皆同じ行動を取る。

なのに目の前の呪霊にはそれがない。

 

(気持ち悪いな。コイツに恐怖って言う感情がないのか?いや...そもそもコイツに自我(・・)はあるのか?)

 

両儀はキメラ型の呪霊が「自我どころか本能すら無いのではないか?」と考えた。仮にこの予想が当たっているとしたら、生物としてはこれ以上に無いほどの欠陥だ。

自立して行動が出来ない上に危険を危険として認識出来ない。更には思考力すらもない。この呪霊が行動するには第三者の介入が必須であり、人形の状態なのだ。

 

(どうして自我や思考能力が無いのか気になるところだが...確認しようが無いし、残しておくのはリスクがデカい。ここで仕留めておくべきだな)

 

両儀が再びナイフを構え、走り出そうとしたその瞬間。

 

「イ"ッ、ア"ッア"ッ!」

 

「!?」

 

今まで呆然としていたキメラの呪霊が逃げようとした蟲型呪霊を尾で突き刺した。この光景に両儀は目を見開き、思わず足を止めた。

 

悶える蟲型呪霊をそのまま自分の顔前まで持ってくると、手でブチブチと胴体を引き裂いた。血飛沫が舞い、飛び散るとすぐに塵となって消失する。そして、バラバラとなった蟲型呪霊に齧り付いた。

 

(共食い!?有り得なくはないが、目的は何だ!?あの昆虫もどきを食うことになにかメリットがあるのか!?)

 

共食いは自然界でも起こる出来事である為か特段驚きはしなかったが、両儀は今この場で共食いをする理由を理解出来なかった。戦力を減らすことに意味があるとは到底思えなかったのだ。

 

両儀が訝しんでいるうちにキメラ型の呪霊は蟲型呪霊の肉体を喰い尽くした。そして次の瞬間、肉体(からだ)がメキメキと音を立てながら、変化し始めた。

 

鞭のように(しな)るであろう三叉の尾には鋭い鱗が生え、爪は長くなり、鋭利になった。

肉体を守る為か、身体からは鎧のような甲殻が作られ、一部は逆さとなった逆鱗と呼ぶべき鱗に。

最後に口しかなかった顔には縦に一線が刻まれ、左右に開くと、そこからギョロリと目玉が現れた。

 

元から異様だった風体が更に異様な姿に変貌した。いや、この場合は変態と言うべきだろうか。

蝶が羽化するように、蛇が脱皮をするように、この呪霊も肉体が変化する直前だった為に動きがなかったのだろうか?呪霊の知識が無い両儀には正解が分からない。しかし、分かることが一つだけあった。

 

(少なくともあの蟲共とは違う。生物としての重み()が違う。この眼(魔眼)ならば、簡単に殺せるだろうが...上手く近づけるか?)

 

圧倒的な殺傷能力を持つ直死の魔眼だが、相手を殺す条件として線に触れなくてはならない。つまり、物理的に届く範囲にしか作用しないのだ。攻撃を掻い潜るのは容易だが、魔眼を掌握しきれていない両儀はタイムリミットのようなものが存在する。今は一種のゾーンの状態に居ることで、一時的に使い熟せているが、これが何時まで保つかは分からない。

 

(...多少の負傷は仕方ない。短期決戦でコイツを殺す。魔眼を完璧に扱えない以上、精神崩壊が起きるのは避けるべきだ)

 

魔眼を制御しきれない両儀は暴走が起きないように、細心の注意を払ってきた。しかし、殺人衝動に関してはどうしようもなかった。

 

殺人衝動が起きた時、咄嗟的に己の体を包丁で刺した。それと同時に自分の意識は途絶えることになり、目覚めた時は自分は血溜まりの中に居て、奇妙な感覚が己の身体に残っていた。

沈静化したと思った殺人衝動は消えておらず、今もまだ己の心の内に残っている。生命の死を望み、実際に手に掛ける。人ではないが、呪霊を殺すことでその衝動を抑えて来た。

しかし、今の状態は言葉では言い表せない奇妙な感覚に襲われていた。

 

(本当に異常者だな。私は...)

 

相手の死を望み、自分の死を望み、死を拒み、生を求める。

 

やはり自分は碌でもない人間だと両儀は常々思う。今この瞬間にも、心の奥底では煮え滾るマグマのように殺人衝動が渦巻いている。

 

「ナ、ナ、何故殺ス?」

 

「ん?」

 

思考に耽っていた両儀は呪霊の言葉に僅かに目を見開いた。

 

「ナ、ナ、何故奪ウ?何故、我ラヲ殺ス?」

 

「へぇ、お前らにもそう言う感情があんのか。てっきり食うことしか考えてないと思ってた」

 

片言だが、聞き取れないことはない。

 

「何故奪ウ?何故殺ス?」

 

「...弱い奴は淘汰され、強い奴が生きる、単純なことだ。お前達の場合は生きていたら、災厄しか振り撒かない。それが理由だ。...もういいな?お前達の言葉遊びに付き合う気はもうないぞ」

 

そう言うと、両儀は縮地を使い、呪霊の背後に回り込む。ナイフを構え、呪霊の頭に突き刺そうとナイフを振り下ろした。ここまで1秒も掛かっていない。呪霊は為す術無く頭を貫かれると思えた。

 

しかし、刃が届く前にシャキン、と斬り裂く音が鳴った。

両儀が自身の脇腹に目をやると羽織っていたジャケットが斬り裂かれていた。それを皮切りに、呪霊は三叉の尾を使い、次々に攻撃を放って来る。

両儀は宙で身を翻し、呪霊の尾による攻撃を躱すが、両儀の死角に当たる所から呪霊が腕を伸ばし、両儀の腕を掴んだ。咄嗟に呪霊の腕を斬り落とそうとするが、呪霊の攻撃の方が早かった。

 

「ッ!」

 

打撃音が鳴ると同時に両儀は屋上の床に叩き付けられた。背中を打ち付け、身体に走る痛みにくぐもった声と一瞬、苦悶の表情を浮かべるが、すぐに体勢を立て直す。

 

(骨に異常は無い。掴まれた腕も、肩も捻っていない。問題はない)

 

肩を回したり、肘を曲げたり伸ばしたりを何回か繰り返し、自身の身体に以上がないか確認すると、両儀は呪霊に目を向けた。呪霊は自身の攻撃が上手くいったことが嬉しいのか、ニヤリと笑みを浮かべている。

 

(肉体の強化が少し甘かったな。...知能はほとんどないと思っていたが...片言だが喋れるんだ。知能が高くてもおかしくない、か。だとしてもどうやって反応した?人間視野は大体180度。アイツは単眼で、どれだけ広かったとしても、人間と同じくらいのはずだ。なのにアイツは私が背後に回っても、問題なく対応した。後ろまで見るには、左右に目が必要のはず)

 

両儀は呪霊がどうやって自分の攻撃に対応したのかを考えていた。少なくともあの目では後方までは確認出来ないはずなのだ。

自身が背後に回り込んだと同時に攻撃が飛んできた。攻撃までほとんどタイムラグがなかったことを考えると最初から分かっていたか、反射的に攻撃したのかの2択。

 

前者で考える場合、呪霊は少なくとも未来視のような能力を持っていることになる。詳細なことは分からないが、何らかの方法でこちらの動きを先読みしたことになるだろう。

 

後者の場合は反射神経によるものだろう。そうなると、目には見えない振動を感じ取るような身体機能がある可能性がある。

 

(思い付くのはこの辺りか。だけど、まだ腑に落ちない点がいくつかある。朧げな自我、肉体の変異...この感じ、知能も上がっているのか?)

 

予想外の出来事は起きたが、依然として対処は可能だ。それでもまだ、不可解な点も存在した。

両儀はまだ認知していない存在が居る可能性も考え、魔眼の出力を上げた。




主人公は呪術師の存在を知っていますが、どういうものかは知りません。それと同じく、呪霊、呪力、術式も知りません。
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