鬼方カヨコに拗らせて   作:過酷な

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初投稿です


鬼方カヨコに拗らせて。

 

 

 

透き通るような白い肌、僕の心を射止めて離さない鋭い目にキレイな赤い瞳、

美しい白髪に混じる黒髪、小ぶりな羽にキュートな角、主張の激しすぎない胸とヘイロー、寡黙で奥ゆかしさを感じられるような雰囲気から一変して、ロックの荒々しさを感じるような服装。

2023年10月某日

その立ち絵を見た瞬間僕は画面越しに鬼方カヨコに恋をした、まさに一目惚れだった。

 

彼女を知りたくて、彼女を愛したくてゲームを始め、ガチャを引きまくった、ビジュアルが刺さりすぎたのもそうだが、やはりどんな声で、どんなトーンで先生(ぼく)に話しかけてくれるのだろうと期待したというのが大きかった。

 

「怒ってないから、誤解しないでね?先生。」

彼女が排出された時のボイスを聞いた時、僕ははっとした。

このブルーアーカイブというゲームの宣伝文句のひとつである、日常で奇跡を見つけるRPGというものはなんと適切なものであるのだろうと。

僕が最初に見つけた奇跡はカヨコのビジュアルであり、次に見つけた奇跡はカヨコの声である。

まさに僕の脳は蕩けてしまった、僕の耳はこの声を聞くためにあったのだ。

 

次に知りたくなったのは彼女の性格だ。上記のボイスから何となく予想できる、彼女はとてもいい子なのであろう、いや、どんな性格だろうと僕は彼女を肯定するだろう。

結果は大正解、第一章の「アビドス対策委員会篇」に出演した彼女はとてもとても良い子だった。

便利屋68というアウトロー集団()におけるミステリアスでクールなブレイン、だが振り回されるのが似合ってしまう苦労人といった印象だった。

 

第一章を読了した後、思わず僕はとある「記憶」を思い出した。

 

・・・

 

僕と彼女は学園都市キヴォトスのどこかに建てられているボロアパートで同棲することになった。

 

「カヨコ、君の会社には立派でキレイな事務所があって、そこで素敵な仲間たちと暮らしていたんじゃないの?こんなボロアパートで僕なんかと過ごすのは嫌じゃない?」

 

事務所からの引越し作業を終えて、少し休憩しているさなか、僕は隣に座る彼女に尋ねた、実際彼女は僕といる時より、「会社」にいた方が楽しそうだし、「会社」のメンバーも彼女と過ごすことを望んでいるだろうと思ったからだ。

 

「事務所で寝泊まりしなきゃいけないなんて言う規則はないよ、うちはブラックじゃないからね」

 

彼女は冗談めかして言い、さらに

「それに、貴方と一緒に過ごしていることが幸せなの、みんなを蔑ろにしているわけじゃないけどね。」

と付け加えた、その後、恥ずかしそうに目線を僕から外し、頬を少し赤らめた。

 

「あはは、ありがとう、僕もカヨコと一緒に居られて幸せだよ」

そう言って僕も恥ずかしさから頬を赤らめ、2人の時間を過ごした後、必要な家具と生活必需品などを買いに行った。

 

彼女と僕の荷物は少ないうえに、彼女はとても要領が良く、作業は一日で終わった。

その日の夜、僕と彼女は「疲れたね」とか言い合って、ご飯を食べに行った後あとはお風呂に入って寝るだけの状態になった。

 

「ごめんね、僕があんまりお金に余裕がないばっかりに、君にご飯も奢ってあげられなくて」

その日はお互い疲れており、外食に行った。彼女のご飯くらい奢らせてもらおうと思ったのだが、彼女から「お金ないの、知ってるから。」と言われ、割り勘を余儀なくされた。

 

「私もバイト頑張るから、いいよ、今は余裕なくても。」

彼女がそう言ってくれるのはとても嬉しいのだが、同時に頼りない男だと思われてないか心配だ。

でもきっと彼女は僕のことを捨ててくれないでいるだろう、などと心のどこかで思っている自分がとてめ情けなく感じた。

寡黙な彼女とのコミュニケーションを取ったあと、順番にお風呂に入って、お互いの愛を確認しあって一緒のベッドで眠りに落ちた。

 

・・・

 

「近所じゃ有名なおしどり夫婦...か」

 

僕は立ち上がり、天を仰いで涙と鼻水を垂れ流していた。

僕はどうしても彼女のことをただのゲームのキャラクターであると認識することが出来なかった。

そこからの日々は今迄とは変わらないはずの日々、しかし何かが欠けていると感じてしまうようなものになった。

 

次の日

どこか上の空、ぼけーっとした頭で自転車を漕いでおり、いつも通りならスピードを緩めつつ運転している急勾配にさしかかった。

朝のため少し肌寒く感じる気温、風を感じながら運転するが、実際そんなに余裕がなく、会社に遅刻気味なのでブレーキをかけずに駆け下りようとした。

 

加速しきった後、体が浮くような感覚に陥った。

いや身体は浮いていた。

車輪が石に躓き、自転車から投げだされてしまったのだ。

 

「あー、これ絶対やばいやつだ、僕死んじゃうよ。僕の死因、チャリの爆走かよ、嫌だなあ」

 

違和感、これから僕は死ぬというのに、嫌に落ち着いていた。

僕はこの世界で希望をもてなかったからであろうか、カヨコは概念であり、存在していない。

この世界に未練がない訳じゃない、やりたいことだってあったし、行きたい場所だってあった、しかし、今の僕にはすっと事実が受け入れられた、この死は自分のミスというだけでなく、必然の結果だったのかもしれない、とさえ思っている。

 

薄れゆく意識の中、僕が最期に見たのは、焦燥しきった顔で僕に近づいてくるカヨコの幻影だった。

 

・・・

 

目が覚めた、今のは夢だったのか?

意識が覚醒しつつあるなか、時間を確認するためにスマホを取ろうとする。

しかしそれは叶わなかった、何故ならばスマホがそこになかったからだ。

不審に思い目を開ける

「このままじゃ仕事に遅刻してしまうよ」

と呟き立ち上がろうとした時、眼前に広がる光景に違和感を覚えた。

ここ、僕の家じゃないぞ、と

 

まさかあれは夢ではなく現実で、倒れているところを誰かに助けられたのか?

何だか体が痛んでいる気がする、そう思って身体を眺めるが、目立った外傷は見当たらなかった。

 

立ち上がろうとしたその瞬間、また違和感を覚えた、目線がどうも低すぎるのだ。どうもおかしい、まさか僕は某国民的探偵アニメの主人公のように背が縮む薬でも飲まされたのか?

疑問がどんどん増えていく中、とりあえずこの家を見て回ることにした。

僕が寝かされていた部屋はリビングに繋がっていた。

20畳位の広さであろうか、自宅が狭いので少し憧れを持ってしまうような広さだった。

 

リビングの奥にはキッチンがあり、リビングとキッチンはカウンターで仕切られており、リビング側に大きいテーブルがある、食卓テーブルだろうか。

その上にはパンが置いてあったので、有難く頂くことにした。

これって犯罪にならないよね。

 

食卓テーブルの横、というか斜め後ろには一般的な大きさのテレビが置いてありその正面にはソファー、さらにその後ろに玄関へ続きそうなドアが構えていた。

大抵玄関には鏡があるものだ、例に漏れずこの家もそうであろう、自分が今どうなっているかを確認するために鏡を覗き込む。

 

「は?」

思わず声が出た、背が縮んでいるどころの騒ぎでは無い。

鏡に映ったのは身長が150cmあるかないかくらいで顔にあどけなさが残る子供の顔、少年にしては少し長めの黒髪..

そこまでは良かった、いや、良くないが。

さらに特筆すべき点がある、それは頭上に煌々と当たりを照らしている天使の輪っかのような物体...これ、もしかしなくてもヘイローか?

 

理解が追いつかなかった、不気味で不気味でしょうがないのだ。

僕はまだ夢の中にいるのか?それとも様々な記憶がごっちゃになって出来た走馬灯なのか?

とりあえず僕は寝ることにした、この家がなんなのかもよく分かっていないのだ、僕が自主的に入った訳では無いので、きっとこの家の家主が僕を拾ってきてくれたのであろう、時間を経過させて家主を待つんだ、夢なら覚めてくれるだろうし。

 

疲労のせいか頭が全く回らない、いやに冷静でいられるのは多分そのおかげだ。

さっき起きたばかり(気絶したばかりかもしれないが。)だがもう一度意識を手放した。

 

・・・

 

あれから2回は寝た、多分1日位は過ぎたんじゃないか?

冷蔵庫にあったもので食事もとったし、少しだけ活動もした、それに伴ってわかったことが幾つかある。

まず、現状この世界は夢でも幻覚でもなさそうということと、ここが日本であるということだ。

年代としては2010年っぽい、ぽい。というのはカレンダーがいつから放置されているのかわからないからだ。

2番目に、この家に僕以外の人間が出入りしている気配がないということだ。

家主どころか、配達だって、近所の友達だって、宗教勧誘なんかも来たりしなかった。

 

3番目、僕にはスーパーパワーがあるということ。

何を言っているか分からないかもしれないけど僕にも正直分からない、画面越しに恋をするような人間なんだ、厨二病でもおかしくない、ただ、暫定小学生にしては力がありすぎるし、暫定前世では感じえなかった全能感を感じられるから、そうなんじゃないかと思っている。これが頭上に浮かぶヘイローによるものなのかは分からないが。

 

そうそう、この世界に人がいるかはまだ分からないが、僕は

鬼方 カオルと名乗ることにした、婿に入ったんでな、今はもう****じゃねえ...ん?前の名前はなんだっけ、まあいいか。

僕にはヘイローとスーパーパワーがある、ということはここはブルーアーカイブの世界なんじゃないか?その発想に至ってからは、もう前世のことなんてどうでも良くなっていた。

 

僕とカヨコは恋仲であり、夫婦の関係だ。

僕が鬼方性を名乗るのは何も不自然では無いハズだ。

きっと外に飛び出せば、どこかに学園都市キヴォトスがあるはずなんだ、帰るべき場所が僕にはある、そうだ、あと一回寝たらもうここを発とう。

きっとカヨコは僕のことを分かってくれるし、きっと幸せな日々が待っているんだ。

甘い妄想に浸りながらパンをかじる。

あと一本のパンを食べてしまえばもうここの食料は全滅だ。

ニコニコしながら自身の力の確認とここでの最後の生活に時間を費やし、最後の睡眠に入った。




【悲報】第1話で4回寝る主人公
【悲報】ここまで呪術要素なし
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