オーガポンで愉悦したかった(できない)転生モモワロウ 作:アザミマーン
あと公式からモモワロウの動画とか詳細とかが公開されましたが、このお話はそれ以前に思いついた話なので主人公はそれらを知りません。
さて、モモワロウになってしまった俺だが。悪行を成す前に調べておきたいことが幾つかある。
まず、俺が死んでからどれくらい経った?
気分的には意識を失った後、目が覚めたらこうなっていたという感じなのだが、実際俺が死んでからどのくらい時間が経っているのかは分からない。
次、このモモワロウの体は何ができるんだ?
一応原作ゲームのことはまだ覚えている。支配ポケモンであるモモワロウは、自身の持つ毒を使って他の生き物の力を引き出したり、操ったりできるらしい。が、現実となった時にその能力がどの程度再現されているか分からん。俺が生前に使役していたポケモンたちは図鑑に書いてあった能力は全部使えたが、
最後、愉悦を得るための環境構築、その舞台に相応しい場所だ!
愉悦。それはそれは甘美な響きだ。他人の不幸、蜜の味。自分の不幸も、それはそれで蜜の味。
ただ、この愉悦という成分は中々に厄介なものなのだ。遠くから眺めるだけでも最初は満足できる。だが、人は慣れるもの。段々と満たされなくなっていくのだ。そうして最後には自分で作り出した愉悦でしか満たされなくなってしまう、ああなんて恐ろしい。
幸い、俺はまだその段階までは至っていない。しかしその時は確実に訪れるだろう。だがそうなってから動くのでは遅いんだ! 今のうちに、愉悦を得られる舞台を構築しておきたいものだ。
目指すのは、俺が指先一つ動かすだけで悲劇が巻き起こる、絶望の町スイリョクタウン。うん、最低のキャッチコピーだな。最低で最高だ!
よし、じゃあ色々確認していこう。
周囲をざっと見たが、俺が自分の姿を確認した川があるだけで、特筆するような物はない。
川の上流に見える村は…うん、村だな。普通の村だ。ただ俺が生きていた頃よりも建物が頑丈そうになっているし、生きていた時には無かった防壁らしきものもあるので、やっぱりそれなりに時間が経っていることは間違い無いだろう。
ただ、村は後にして、先に俺の出来ることを把握しておこう。多分俺の生まれた村なんだろうし、多少の発展はあるだろうがそんなに変わってるとは思えん。それにいつでも確認できる。
しかし能力を知るのは真っ先にやるべきだろう。己を知り彼を知れば百愉悦危うからず。逆に言えば自分が出来ることを知らなきゃ何もできんってことよ。
そうと決まれば早速試すんじゃい! オラッ毒鎖出ろっ! 餅出ろっ!!
一通り試してきました。結果。
こいつのスペック半端ねぇ。これは怖れられますわ…
まずステータス的な強さ。ゲームでやってたときは他に強いポケモンが多かったし特化したポケモンが強いから何とも思わなかった。しかしこうして現実になってみると、平均的に強いというのはかなり有利だ。
しかも
そして本命の特殊能力。これがマジでやばい。色んなサイトの考察でもヤバいヤバい言われていたが、実際飛び抜けておかしい性能だった。
モモワロウの能力といえば、その生成する毒素だ。生き物の欲望を解放させ、力を引き出す。他にも、その毒を受けた生き物を洗脳して鎖で操る。ゲームではその程度しか言及されていなかったが、その幅が凄まじい。俺の意思一つで毒の性質を変えられるのだ。
僅かな量で相手を死に至らしめるような猛毒から、苦しむだけ苦しませて死ぬことができない毒。逆に傷を治す毒。自由意志を認めずに洗脳してしまう強力な毒、ほんの少しだけ思考を誘導する毒。中毒状態にし、依存させてしまう毒。もちろんゲームで言及されていた、欲望と力を引き出す毒も出せる。
つまるところ、俺一人で村を滅ぼすこともできるし、戦争を引き起こすこともできるってことだ。こわー。
だがしかし俺にとっては好都合も好都合。この能力を使いこなせればどんな悲劇も俺の匙加減で引き起こせる。ワクワクするね(邪悪)
では早速張り切って行こう…と言いたいところなのだが。あちこち探索しながら能力を試していたら、小さな問題と重大な問題が発覚した。
小さな問題は、俺の出す餅について。
この餅、というかきび団子。そう、俺の出すやつは何故か餅ではなくきび団子になってしまっているのだ。これは生前の影響なのだろうか…。
問題はそこではない。原作のモモワロウは幾らでも餅を出せるようだったが、俺はそうはいかないようだった。生成にきのみが必要で、それを糧にして作っている。特にモモンのみは無いと団子自体が作れず、かなりネックになっている。
きのみ一つからたくさん作れるのでコスパが悪いという訳ではないんだが、面倒だ。幸い、外殻の裏側が格納庫のようになっていて、今のところ容量に限界は見えないので片っ端からきのみを回収している。ただいざと言うときに使えないのは困るので、運用は慎重に行こう。
で、重大な問題の方。
ここキタカミの里じゃねぇ…
ついでに俺の生まれた村でもねぇ…
最初はさ、ここがスイリョクタウンになるはずの場所で、俺の生まれた村だって思ったわけよ。なんせ前に使役してたポケモンはキタカミの里にいた種類だったし、今世で初めて見た村も一見しただけなら生前の村と見た目は似てたしな。
でも、さっき出歩いたらポケモンの分布が全然違ったわけよ。ヤンヤンマはいないし、ポチエナもいないし。
あれー? と思いつつ、隠れながら村の周辺を探ってみると、やっぱり地形とかちょっと違った。遠目から見たら似てるように見えたし実際そんなに違いは無かったけど、そりゃ同じ時代の建物なんて相当地域が違わない限りは似てて当然だわな。
マジか〜、じゃあまずキタカミの里を探すところから始まんの? 俺。
てかモモワロウってキタカミ出身じゃないんか。キタカミ出身みたいな雰囲気醸し出してたのに?
まぁ、違ったものは仕方がない。とにかく、どうにかしてキタカミの里を見つけて、オーガポンがキタカミに来る前に村を支配しとかねぇと。
ええいこうなりゃヤケだ! その辺にいるポケモンを適当に仲間にしながら移動開始!
まずはそこのボロボロの痩せ犬、お前からじゃい! 射出ッ! 団子食えっ! 腹一杯な!俺に恩を感じて一生仕えやがれ!!
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「おお、素晴らしいバトルの腕前ですな。スグリに勝利するとは!」
「わや…アオイは強えな。俺もブルーベリー学園じゃ四天王に推薦されたこともあるんだけども…」
スグリも強かった! ▼
チャンピオンだからね!
「ちょっと、スグ! 何負けてんのよ! オーガポンに鍛えてもらってるくせに!」
「ゼイユ、様をつけなさい」
「おにさまに申し訳ねぇ…」
オーガポン? ▼
おにさま?
「ああ、この村にはね、オーガポンっていう守り神みたいなポケモンがいるのよ」
「様をつけなさい…。オーガポン様は、元々キタカミの外から来たポケモンなんですがね。昔、この村を襲った災厄を他のポケモンと一緒に退けてくださったのです」
「そん時に襲ってきたポケモンたちを次々と薙ぎ倒す、まるで昔話に出てくる鬼みてぇな強さを見て、村ん人たちが尊敬と畏怖を込めて、おにさまって呼び始めたんだぁ」
「様って、なんか距離感じて嫌なのよ。物騒な呼ばれ方だけど、オーガポン自体は優しい良い子だし。普段は恐れ山に住んでるんだけど、祭りの時とかは神社まで降りてくるしね。ていうか、今日の夜から祭りがあるし、アオイも会おうと思えば会えるわよ」
「不敬ですよ、ゼイユ」
「不敬なんて。あの子はもう一人ぼっちになっちゃったんだから、村人のあたしたちが仲良くするべきじゃないの?」
他のポケモン? ▼
一人ぼっち?
「ええ…。実はオーガポン様以外にも、この村を守ってくれていたポケモンたちが
「でもそのポケモンたちは、災厄のときに、襲ってきたポケモンたちと戦って相打ちになったらしいのよ。だから、その時からオーガポンはずっとこの村を一人で守ってくれてるの」
「そのポケモンたちは、三体の家来とそれを引き連れた一体の英雄で構成されていました。三体の家来は村の人間たちの頼み事を直接引き受けることが多かったので、親しみを込めて『ともっこ』と呼ばれています」
「そんでもう一体、村を守っていたポケモンの筆頭にして、ポケモンたちの支配者。おにさまの唯一無二の親友…」
「桃の英雄、モモワロウ様だ」
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