オーガポンで愉悦したかった(できない)転生モモワロウ 作:アザミマーン
でもその期待に応えられるほどの内容を考えてないよ(恐怖
モモワロウとして生まれてから数年経ち、俺はスイリョクタウン(候補地)へと辿り着いた。
…いや遠すぎだろ! 遠すぎて海まで渡るハメになったわ! なんなら海の上で数ヶ月過ごしたわ! 流石に申し訳なさすぎて洗脳してたラプラスにはお腹いっぱいになるまできび団子を奢ってやった。
海を越えるまでにも色々あった。
最初に出会ったのは、食い物にありつけていないのかガリガリに痩せた緑色の犬だった。
不幸なその姿に小愉悦を得て良い気分になった俺は、お礼代わりに痩せぎすの犬にきび団子を食わせてやった。その場で見返りを求めたわけじゃないが、もちろんタダって訳でもない。無理矢理恩をきせたのだ。
これで俺はこいつにとっての命の恩ポケモン、もちろん俺のためにこき使われてくれるよなぁ? さらに俺の愉悦センサーが反応してたので、プレゼントとばかりに毒の鎖を首に巻いて力を覚醒させた。さて、どんな愉悦を見せてくれるか。
なんて思っていたら、犬は俺を背に乗せて走り出し、同種の群れの居所に辿り着いたかと思うと、たちまちの内に群れの犬どもをボコボコにしてしまった。
そのまま全員ぶち殺すのかな〜とか思ってニコニコ笑顔で見ていたが、殺しはせずに止めたようだ。そしてもう用済みとばかりに、俺を再び背に乗せて悠然と歩き始めた。なるほど…
う〜ん王道の復讐! 素晴らしい、100点! (激甘採点)
あえて殺さないってのがいいね、復讐を分かってるわ。これで残された奴らは傷や後遺症を抱えたまま生きなきゃならない。まだ冬まではしばらくあるが、それまでに立て直せるかな? 非常に苦難の道を辿ることは明らか、というか普通に考えて死ぬでしょ。苦痛の時間を無駄に伸ばしただけ! これは愉悦。
最後後ろ足に縋り付いてきた同種を軽く蹴っ飛ばして引き剥がしたのもポイント高い。もう遅い、って感じ? 流行の最先端じゃん。愉悦ポイント加算!
その後も俺は愉悦できそうな奴を見つけては力を貸していった。
同種にいじめられていた青い猿のポケモン。頭に毒の鎖を巻いてやり、ずる賢さとサイコパワーを数段増幅させたその猿は、元仲間を全員罠にはめて復讐していた。非常に爽快でいい愉悦だった。
羽質が悪くて同種から嫌われた白い鳥のポケモン。胸元に毒の鎖を巻いてやり、見惚れるような美しさを得たその鳥は、同種の異性をその美しさであっという間に虜にし、全員こっぴどく袖にして帰ってきた。うんうん、それもまたユエカツだね。
みんないい愉悦を見せてくれた。感謝しているよ、ふふふ、はははは、ハァーッハッハッハ!!!
…これでお前らは自分が愉悦する側になったと思っているな? だがそうじゃない。愉悦する側なのは、常に俺だけなのだ!! その証拠に、実は力を与えたポケモンたちには、ある細工を施してある。
それは、体の制御を奪う毒だ。
下僕たちの鎖には行動を強制させる毒が仕込まれていて、俺の意思一つでいつでも発動できる。
しかもその毒、意識は残ったまま行動を強制できるのだ。考えた俺は天才だな! やりたくないのに、体は逆らうことができない屈辱!
最初は洗脳でいいかとも思っていたんだが、やはりそれだと芸がない。自分の作った箱庭で人形遊びをしても虚しいだけだ。
やはり愉悦とは
その他にも愉悦を得ては力を貸し、時には与えた力を再度奪って愉悦していた。いやぁ楽しいなあ!! 悪行!!! モモワロウ転生最高!!!!
そんな感じで道のりを進んでいった。沢山のポケモンたちを引き連れていたが、中心となるのは犬猿鳥の三匹だった。
犬は日に日に大きくなっていくその体で俺や猿の乗り物となり、整備されていない道を走破した。
鳥は同種以外も見惚れさせるその容姿で人ポケモン問わず誘惑し、猿がその優れたサイコパワーで情報を頭から抜き取る。
輝く宝石が取れる池があるなんていう曖昧な情報からキタカミの里の位置を特定できたのはこいつらのおかげだろう。
俺は
そんなこんなで目的地らしき所に辿り着いた俺たち。似てるだけの場所という可能性を排除するために、先に山を登って、てらす池らしきものは確認済みだ。めっちゃキラキラしてた。
逆に言うと、あれがあったってことはここがキタカミの里なんだろう、多分。そして生前の風景と地形が完全一致したことで、俺の故郷ということも地味に確定した。
海を渡るまでは沢山いた下僕どもは、ラプラスの背の積載量の関係で犬猿鳥の三匹しか連れてこられなかった。まぁ、それは俺の毒があればまた増やせる。
てか今更だけどこの三匹ってともっこだよな? 最初出会った時は見た目が全然違ったから分からなかったのだが、きび団子をあげ続けていたら段々と見た目が変化していった。
犬はいつの間にか二足歩行するようになったし、猿は未来予知するようになったし、鳥は妖しいフェロモンみたいなのを帯びるようになった。俺には効かんが。
これも運命ってやつなのか。俺が好き勝手しても収束するのか、それとも原作のモモワロウと同じ行動を取ったのかは分からんけど。
ただともっこをわざわざ探す必要は無くなった。原作通りにしないとこの先のストーリーも変わってしまうかもしれんし。それでオーガポン来なくなったら本末転倒だからな。
よし、そろそろ村に乗り込むとしよう。
ただ先に偵察だな。状況を確認し、俺に有利に物事が運ぶようにする。愉悦の舞台作りには地道な作業も必要なのだ。
イイネイヌとマシマシラを近くの森の中に待たせ、キチキギスの背に乗せてもらう。上空からならバレずに村の様子が見えるだろう。いざ、イクゾー! デッデッデデデデ! (カーン
あの…なんか見るからに村が滅びそうなんですけど…
村人の表情に生気がないし、どいつもこいつも痩せ細ってるし、柵みたいなのは壊れかけだし家は何棟か倒壊してるし…
いや、これはこれで愉悦ではあるんだが、このまま放置すれば全滅は必至だろう。オイオイオイ、死ぬわアイツら。
待てぇい! 苦しんでるのは良いが流石に滅びてもらっちゃ困るんだよォ!! この村は末長く俺の遊び場になって貰わなきゃ、せめてオーガポンが来るまで保ってもらう必要が…!!
ええい、キチキギス、イイネイヌとマシマシラ呼んでこい! 復興手伝ってもらうぞ! 俺はこの村人どもにきび団子食わせてくる!!
くそ、微量の毒でも今の村人は死にかねないから普通の団子を配ることしか出来ない。何で俺がこんなボランティアみたいなことしなきゃならねぇんだ!
許さん、絶対にこいつらで愉悦してやるからな…! それの取り立てを以って貸しの返済としてやる。だから意地でも死なせてやらねぇ…!!
おい、そこのガキ!! まずは挨拶代わりだ、きび団子食えオラッ!!
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その犬は元々群れで暮らしていた。しかし、狩りのときに大怪我を負い、役立たずとして群れから追い出されてしまった。
囮役の自分が居なかったら狩りは成功しなかったはずなのに。群れの長は代わりは幾らでもいると判断し、食い扶持を減らすために犬を追い出した。
一匹では狩りは出来ない。怪我もある。犬は体の強い種族ではあったが、それでも少しずつ死の淵に向かっていった。
桃色のポケモンが犬の前に現れたのは、ついに犬が動けなくなったときだった。
そのポケモンは死にかけの犬を見て鹿爪らしい表情をする。そしてゴソゴソと外殻の内側を漁り、桃色の何かを犬に向かって射出した。突然の出来事に犬は躱すこともできず、射出したものを口で受け止め、飲み込んだ。
「ヌンダ…?!」
何をする。そんな意図で絞り出した声だったが、すぐに自分の体の異常に気づく。
怪我が治っている。痛みはなく、そして空腹すらも無くなっていた。
呆然とした顔のまま桃色のポケモンを見る。桃色のポケモンは、元気になった犬を見てモモワーイと笑い、団子をまた取り出した。
団子を食べた犬は暫く体力回復に専念していたが、動けるようになると、自分を捨てた群れに怒りが湧いてきた。
奴らに復讐したい。だが、自分一匹では返り討ちになるのがせいぜいだ。
犬がそう考えていると、桃色のポケモンが笑顔のまま近づいてきた。そして、犬の首に鎖のような何かを巻いた。
突然、体が芯から熱くなる。膨大なエネルギーが溢れ出し、犬に力を与えていく。暫くの後、犬は一回り大きくなり、二足歩行ができるようになっていた。
犬は突然湧いてきた力に困惑したが、状況を理解し、歓喜の吠え声を上げた。そのまま桃色のポケモンを背に乗せて走り出す。
目的地は、元仲間の住処だ。
辿り着いた先には変わらぬ様子の群れがいた。犬が居なくなってせいぜい数週間、変わるはずもない。
怒りに駆られた犬は正面から堂々と群れに襲いかかり、覚醒した力で一方的に群れを蹂躙した。昏い悦びがそこにはあった。
このまま殺してやる。黒い意志のままに、倒れた群れの長の前に来た。
そして拳を握りしめ。
視線を感じた。
後ろを振り向くと、連れてきた桃色のポケモンが犬を見ていた。ニコニコと、笑っていた。
犬に団子を分け与えたときのように、首に鎖を巻いたときのように。ニコニコ、ニコニコ。変わらず笑っているように見えた。
しかし、酷く寒々しい。
今だけはそう見えた。少なくとも、犬が団子を食べたときと同じ嬉しそうな笑顔ではない。
その視線に頭が冷える。力を得たから何だというのだ。復讐とはいえ、弱いものを虐げ、殺す。このまま行けば、自分はこの元仲間たちと同じ外道になる所だった。
自分を救ってくれた恩人に、なんて醜いものを見せてしまったのか。
そう考えれば、自然に犬の怒りは薄れていった。忘れることはないだろう。だが少なくとも、命を助け、力を貸してくれたポケモンの前でやることではない。犬は拳を収めた。
幸い、自分たちはかなりしぶとい種族だ。多少痛めつけはしたが、自分のように大怪我を負ったわけではないし、それに群れでなら狩りができる。死ぬことはないだろう。
それに、このまま殺していればどうなっただろうか。きっと自分は幸福になれない。それだけは間違いないと直感で分かった。
犬は桃色のポケモンを背に乗せ、群れの元を立ち去った。未練がましく犬の足を掴んできた長をつい蹴飛ばしてしまったが、それは桃色のポケモンには見えていなかったようで、何も言われなかった。
その後も桃色のポケモンは、次々と弱いポケモンたちを助け、力を貸していく。その姿に犬は尊敬し、心酔した。
同じように救われた猿と鳥のポケモンは犬と意気投合し、共に命をかけて仕えることを誓う。
サイコパワーを持つ猿のおかげで、きび団子を食べたポケモンとは意思疎通もできるようになり、より一層桃色のポケモンのために励んでいった。
あるとき、桃色のポケモンに力を貸されたポケモンが増長したことがあった。
犬たちが止めたが、構わずに暴れ回った。それでも桃色のポケモンは笑顔のままだった。
そして笑顔のまま、暴走したポケモンの力を奪い取った。
暴走したポケモンは衰弱し、そのまま死んでしまった。桃色のポケモンはずっと笑顔だった。
それを見た犬は、かつての自分の考えが間違っていなかったことを確信し、桃色のポケモンへの尊敬と、そして殊更に畏怖を強めた。
感想は返してないけどちゃんと見てます。めっちゃ嬉しいです。
(だから続きすらろくに考えてなかったとは言えない…)