個人競技は負けた。団体競技は勝った。説明終了。
「やぁってられるかぁあああああ!!!!!」
後は選抜リレーしか残ってねえけどよぉ!このままじゃ僕ぁおんぶにだっこのゴミカスじゃねえですかぁ!?でもDクラスの策略でBもCもボロボロ!われらが康平も保健室へ連行されちまった!んぁぁぁぁぁぁぁ!!!!??????(発狂)
「落ち着け。康平の分は俺が、橋本の分は弥彦が出る。確かに戦力は大幅に落ちたかもしれないが、勝利は狙えるはずだろ!」
「確かに。」
「うわああああああ!急に落ち着くな!」
里中の言う通り、総合点的には少しAに負けている状態なので、リレーで4位差つければ勝てるんだよな。
「そうだよ。たかが4位程度差をつけるだけじゃねえか。いけるいける!がぁんばぁるぞぉ!」
「私は、兄さんに追いつくために!」
「くだらないな。お前がAクラスに行くことは不可能だ。」
ここ空気悪すぎるだろ。テイクオーバーゾーンの一番手前で堀北兄妹が言い争ってるのを南雲副会長が聞かされている状況だ。誰か空気清浄機持ってきてぇー!
堀北学に冷たくあしらわれた堀北さんは涙をぬぐうと、全速力でバトンをもらうために駆け出した。怪我した三宅と平田の代わりに綾小路と高円寺が入ったせいで後続と70mは差があるのマジで酷ない?これどうやって勝つんだよ。
「今回は俺の勝ちみたいですね。それはそうと、妹さん居たんですか。生徒会に入れてあげればよかったのに。」
「あれにそんな実力は無い。どうしようもない愚妹だ。」
「へぇ、んじゃま、お先に失礼しますよ。堀北先輩。」
続いて助走を駆け出したのは南雲生徒会長だ。自分のスピードが乗りきるタイミングにバトンの受け渡しをしており、この競技にはそこそこ本気らしい。
その後も何人かの生徒がここから走り去っていきついに僕の番となる。
「本が、ごめ。」
神室は息も絶え絶えにバトンを渡す。ごめんってのはたぶん3年Cクラスと2年Bクラスに抜かれたことだろうな。
「気にすんな。」
走り出しと共に喋ったから彼女の耳に聞こえたかどうかはわからないが、これは本当に気にしなくていい。だってそこ2クラスには勝つし。問題は1年Cクラスなんだよな。
一歩目は神室に土が被らないように抜き足で、二歩目は地面を踏み割るほど力を籠める。
堀北さんは今カーブの半分に差し掛かるかどうかといったところだが、おそらく彼女のゴールまでの時間は19秒前後。となると僕は当然この200m(カーブ在り)をそれよりも短い時間で走り切らなければならない。
「できらぁ!!(クソデカ爆音)」
僕の正面の奴がこけやがった。は?僕悪くないが?悪いのは僕のことを邪魔したこいつなんだが?
2年を回避することは容易だがここで小ジャンプなんて入れた日にゃ堀北さんには絶対追いつけない。そう判断した僕は腕を振る勢いでバトンを前に飛ばすと火の輪くぐりの要領で両手を前に突き出し着地、そのまま四足で走り出し、バトンを口でキャッチする。
バキィッ
強く噛み過ぎたせいで永久歯がどこか御陀仏したかもしれんが過剰分泌したアドレナリンで痛みを感じれんわ。柴田を抜かし、堀北学を抜かし、南雲副会長を抜かす。堀北学、南雲副会長の双方は確かに強い。この二人が僕を退学にしようとすれば僕はなすすべなく追い出されるかもしれない。それでも、かけっこはこっちの土俵だ。負けて堪るか。
ゴールまで残り18m、堀北さんはあと8m。ここを抜かせば勝てる!
指先まで意識して前へ。一歩をよりでかく。届く。届かせる。
1位Aクラス
2位Bクラス
3位Cクラス
4位Dクラス
「なんの成果も!!得られませんでした!!」
人体実験で全身に改造を施した僕にため張るような奴が在野にいるのがおかしいんだって。ミュータントと言っても過言ではない僕に才能だけで勝つな。
しかも白組がマイナスだからこんだけ頑張って-50クラスポイントなのだ。当然Cクラスも-150クラスポイントと大きな痛手を負う中、Dクラスだけは元からクラスポイントがないので±0となっている。無敵の人戦法止めろ。
「康平ー、橋本ー、敗けたぞー。」
「…そうか。」
「敗けちまったかぁ。」
康平は足首に、橋本は腕に包帯を巻いておりどちらも痛々しい。康平は棒倒しの時にDクラスにやられたらしく、それでも無理をしながらDX康平号として僕の騎手を行い鬼神の如き強さを見せつけたものの、それで怪我が悪化。橋本は騎馬戦の時に騎馬を崩され落下の拍子に腕を痛めたらしい。幸い罅で済んだものの、そのあとの競技は見送ることとなった。幸い僕は歯も無事だったためここに参列することはなかった。
「すまぬ。(´・ω・`)」
「俺たちがお前を責める通りなどない。」
二人は負けたことを一切責めなかった。理由は各々違うだろうけど。
ぶっちゃけて言おう。僕は正直悪いとはみじんも思っていない。だって敗因はクラスメイトだ。クラスメイトが全員僕なら勝ってたし。…だがまあ、最近人と接してきて、それが当然のような気がしてきた。僕なら楽々とできることがこいつらはできない。二人が怪我をするほど頑張ったって、僕の足下にすら及ばない。でもきっと、こいつらがそうまでして頑張ったという事実は僕が体育祭で見せたどんなものよりも価値のある行為だったのだろう。
二人に申し訳ない気持ちを抱えながら僕は保健室を後にした…
んなわきゃねぇーよ!
勝てない奴はゴミだ。僕も敗北者、お前らも敗北者。僕が敗北者だとぉ!?取り消せよ今のことばぁ!!!
そもそも僕Aクラス目指してないから。橋本、お前がDクラスに出走順チクったことも許してやるよ。綾小路、半泣きの堀北ちゃんにどしたん、話きこか?して特別塔に連れ去ったことも見なかったことにしてやるよ。坂柳、橋本を利用して僕を裏切者にしようとしていることも知ったこっちゃねえよ。
僕が最後に笑ってればそれでいいさ。今に見てろ、てめえら全員ぶち殺してやる!!!
「ブチ切れたぜ、完全によぉ、僕には向かうやつ皆惨殺すればよくねぇか?」
「ほ、本願寺!どうしたんだ急に!?」
「橋本ぉ、お前にはこれから地獄を見せてやる。勝ち馬であるこの僕を差し置いてあっちにフラフラこっちにフラフラ、肉片になる準備はできたか?ゲヒヒヒヒヒヒッ!」
「待ってくれ、一体何の話だ。」
意味もなく橋本を怖がらせるために高笑いをしていたが、30分後真嶋先生の手によって僕は保健室から強制退出を食らうのだった。
ira iraしてきた