白い部屋から出たとして   作:九頭竜 胆平

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う、別のことを放せばよかったな


バッドコミュニケーション

体育祭も終わり、堀北生徒会長はオワコンになった。さらばだ堀北学、お前綾小路の周りにいるのマジで迷惑だからさっさと卒業してくれる?そうして空いた席には嬉しいことに清隆ではなく、南雲副会長が座ることとなった。桐…山…?知らない子ですねぇ。

だがそんな一大イベントに大きな関心を向けている生徒はあまり多くない。なぜなら数日前に新たな特別試験、「ペーパーシャッフル」なるものが発表されたからである。生徒同士が相手のクラスのテスト問題を作り点数を競い合うみたいなシステムだったはず。教師が仕事をさぼってんじゃねえよと僕は憤慨した。

お前は問題を作らないのかって?ええ作りませんよ。作りませんとも。だってどの問題が難しくてどの問題が簡単かなんてわかりゃしないし。

 

「文章問題?点数がいっぱいもらえるから簡単だろ。選択問題?時間がかからないから簡単だろ。」

 

「本願寺君、問題作成には関わらなくて結構です。」

 

なんて会話をして僕は追い出されましたよ。一応ペアを作ってその合計が平均いかなかったら退学みたいなシステムもあったような…なかったような?覚えてないのもしゃあなしだろ。俺が満点とって退学するときなんて相方が全問外したときだけだぞ。なんなら相方全問ミスで退学にしてくんねえかな。んでどうせ清隆も満点だろ?カンニング疑惑でも起こさなきゃ退学させれねえんだけど…あいつ自身に仕込めるとは思えないし、清隆の相方が決まってからそいつに仕込むぐらいしかねえな。つまり今は何もできねえって事さ。

 

「どうしたもんかね?」

 

「なんだ、悩み事か?」

 

「そうなんすよ。マジで困ってまして…」

 

南雲会長のつまらんの気持ち表明を聞き終わり何をしようかぶらぶらとほっつき歩いていた時にふと声をかけられる。その声は馴染みのある声ではなく、かといって聞き覚えが全くないかと言われればそうではないような、そんな声をしている。恐る恐る振り返ると、そこには堀北学前生徒会長と橘元書記がいた。

 

「堀北学ぅ!?ナズェミテルンディス!?!?」

 

「失礼ですよ本願寺君!任期が終わったとはいえ堀北君は先輩なんですから、敬称くらいつけるように。」

 

「それは失礼しました。堀北学ぅ!?さん、ナズェミテルンディス!?!?」

 

「いや、そうかしこまらなくても構わない。なに、生徒会長の職務を降りたものの、時間が余っていてな。気になる生徒に声でもかけてみようかと思っただけだ。」

 

気になる生徒か。

『俺がせっかく生徒会に誘ったかわいい後輩を退学させようとしている輩がいるらしくてな。せっかくだから最後に潰しに来た。』みたいな話かもしれん。

 

「ふっふっふ、良いだろう。しかし僕は最後まで抵抗するで?拳で。」

 

「何か勘違いをしているようだが、俺は本当に興味本位でお前に話しかけただけで、敵意はないさ。」

 

ほ、ほんとにござるかぁ~?僕の言動に怒っている橘書記は確かに何も裏はなさそうだけど、お前はさあ、堀北(妹)さんへのあたりの強さが尋常じゃなかったし裏があるんじゃないかと勘繰ってしまうよな。

 

「…それじゃあ、悩みでも聞いてもらおうかな。」

 

「ああ、何でも聞いてくれ。」

 

「最近同級生の女の子が3年生の兄に追いつくために頑張ってたって言うのに、そのお兄さんは女の子に酷い言葉を投げかけて泣かせていたんだよ。」

 

「そんな生徒がいるんですか!?私許せません!いったいどこの誰ですか!とっちめてやります!」

 

「とっちめてくれるんですか橘先輩、ありがとうございます!ちなみにその同級生の名前は堀北鈴音って言うんですけど。」

 

「堀北鈴音さんですね!堀北…、堀…北???」

 

隣に視線を移し顔を青くする橘、視線を逸らす堀北学。

 

「ねぇ、堀北学ぅ!さん。やってほしいことがあるんだろぅ?僕を説得できると踏んで、ダメ押しとしてわざわざ右腕である人畜無害な橘元書記を隠れみのにしてさぁ、素知らぬ顔をして恩を売りたかったんだよなぁ?いいぜ買ってやるよ堀北学ぅ!さん。だが代償はちゃんと払ってもらう。わかるよなあ僕の求めていることが。仲良くしろっつってんじゃねえ。ちゃんとコミュニケーション取れよ。何で妹をむやみやたらと敬遠してるのか、僕と橘先輩の前でしっかり話してもらうぞ。」

 

満面の笑み(邪悪)を浮かべながら、僕は堀北学ぅからイニシアチブをぶん獲ることに成功した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「自分の背を追い始めた妹が許せなかったぁ!?」」

 

込み入った話になるため二人を僕の部屋へ連れて行き話を聞いたのだが…これはぁ有罪、ですかねぇ。

 

「妹代表が残念ながらいないので、女の子代表として橘先輩に聞きたいんですけど、堀北学ぅさんの対応についてどう思いますかね。」

 

「女のk、こほん、女性代表としては、ちょっとないかなって思ってしまいますよね。堀北君がいろいろ考えてたのはよくわかりましたけど、伸びしろがあるからって冷たくあたってまで成長させようとするのは、正直毒親と大差ないって言うか。」

 

「だが鈴音のできることが減ってしまえば、当然選択肢も狭まり、鈴音が得られたはずの幸せが得られなくなってしまうかもしれないだろう。」

 

「聞いてた限り人生にたった一度しかない青春時代を、堀北さんは兄から冷たくされて楽しくもない自分磨きにひたすら時間を費やしてたぽいっけど、青春時代に失われた幸せはどう考えてるの?」

 

僕の話を聞いて堀北先輩は数秒フリーズした後、眼鏡を置いて顔に手を当てたまま上を向き、ぼそっと呟いた。

 

「盲点だった。」

 

「ねえ今盲点って言った?お前の目が節穴だったせいで堀北さんは小、中の幸せをどぶに捨てた挙句、まともな会話もせずに散々否定したせいで、堀北さんは否定された自分を捨ててより積極的にお前になろうとするし、お前がそんな態度で接するから堀北さんの中の堀北学ぅは冷たくて他者とコミュニケーションをとらない畜生認定されて、あのエクストリームボッチ鈴音が誕生したっつったんかお前なぁ!?」「さすがにそれはひどすぎますよ!鈴音ちゃんはきっと堀北君に甘えたくて仕方がなかったはずなのに、ずっと冷たくされて堀北君の真意もわからないままで、堀北君が先を走り続けてるから認められるために追い続けるしかないのに堀北君が鈴音ちゃんに求める理想はそのもっと先で、なのにそのせいで失った幸せは気づかなかったって言いました?言いましたよね!?」

 

言葉の絨毯爆撃を食らった堀北学ぅはコーヒーを一口すすると俺にも砂糖をくれと要求した。

 

「嫌だね。せいぜい自分の犯した罪の味を噛み締めてろばぁーか。」

 

「よか、良かったら私のコーヒー飲みますか?」

 

橘先輩のコーヒーって言うかカフェオレじゃん。最初は格好つけてブラックを頼んできたのに案の定飲めなくてミルクと砂糖を足して半分僕がもらうことになったやつ。そしてそれを堀北学ぅに渡そうとするな、罰なんだから。よく断ったな、えらいぞ堀北学ぅ。

そうして僕からの罰だからと言って断られた橘先輩はしゅんとした。イチャイチャすんな。

 

「…仲直りできるな?」

 

「ああ、鈴音があのリレーでトップを走ったことは喜ばしいことだし、いや、こういう思考がダメなんだな。わかった。後で鈴音と話す機会を設け、目いっぱい甘やかすと誓おう。」

 

「んじゃあ、良いぜ。僕に頼みがあるんだろう?約束通り聞こうじゃないか。」

 

「良いのか?俺はまだ鈴音と話し合うことが出来てないが。」

 

「もちろん聞くだけだ。受けるか断るかなんて内容次第さ。」

 

「そうか…南雲の今日の演説を聞いていたか?」

 

「聞いた聞いた。あれだろ?『生徒会長が抜けた穴でかすぎワロタwww。抜けた穴埋める人員はいくらでも受け付けちゃうZE!ついでに伝統を守破離の破しちゃおうカナ ❤』みたいなやつ。」

 

「…まあ一応あっていなくもない。その伝統を破る部分が問題だ。あいつはこれからよりクラス間の闘争を過激にし、退学者も今よりもっと増えることだろう。」

 

「正直僕にはどうでもいい話だな。わざわざ次代の権力者にたてつく理由が見当たらないが。」

 

堀北学ぅは横目で橘先輩を確認した後、こちらに耳打ちしてきた。

 

「南雲は敵対する2年生を全員退学にして支配することでプライベートポイントが潤沢だ。更にあいつは女癖が悪く2年生の女子生徒を思いのままに喰っているという話だ。後はわかるな?」

 

「プライベートポイントと退学で脅して新入生のかわいこちゃんたちをパコパコするだって!?めっちゃ興奮す」

 

僕は右頬を張り倒した。キリストが右頬をぶたれたら左頬も差し出せと言っていたことを思い出したのでついでに左頬も張り倒した。

 

「めっちゃ可哀想!許せねえ南雲雅!」

 

「ねえ堀北君!この子本当に大丈夫なんですか!?」

 

「…」

 

「堀北君!?」

 

橘先輩は顔を真っ赤にしながら堀北学ぅへ話しかけるが、クッソ複雑な顔してて草。

 

「そもそも橘先輩が過剰に反応しすぎなだけですよ。コンビニにもコンドーム売ってますし、そもそもこの年頃の男女なんてエッチするなって言う方が無理がありますって。先輩も処女じゃあるまいし…え、嘘ですよね。い、いやいやいや、18ですよ?」

 

堀北学ぅとずっこんばっこんしているものだとばかり、そうか、未通女か。

 

「堀北君!私おかしくないよね?堀北君も、誰ともエッチしたことありませんよね?」

 

「…」

 

堀北学ぅは真顔で完全に黙りこくった。これどっちだ?同じ学年じゃなさそうだし、上の学年にいただかれた気がする。

完全に孤立したとわかった橘先輩は此処で終わるかと思われたが、彼女は諸刃の武器をこちらにも振りかざしてきた。

 

「それじゃあ、本願寺君は、誰かとエッチしたんですか。」

 

「…」

 

「ほ、ほらーーっ!!私おかしく無いじゃないですか!ねっ?ねーっ!おかしくなかったですよねーっ!」

 

この女、15歳と同じ扱いで恥ずかしくないんか?そもそもしょうがないだろ僕の場合は。スパンキングの最中に勢い余って抱き潰す(物理)するかもしれないし、憶が一受精した場合、母体がガキに栄養吸われて死んだり、腹食い破られて死んだり、腹蹴破られて死ぬ可能性すらあるんだぞ。無茶言うなよ。

などと言えるはずもなく。三者三様の傷を負った僕たちは堀北学ぅと後ほど連絡することを約束し解散した。はよフラスコベビーで自分のガキがどんな風に育つのか実験して見てえなぁ。




宝生永夢ぅ!!
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