ママ味を感じてオギャリ隊。日本男児はいくつになろうともこの隊に所属し、人によっては母親を尋ねる為だけに約12000キロメートルも移動することすらある。
羨ましい。母親がいるほかの生徒たちが。僕も欲しい、母親が。
別に気がふれたわけじゃない。でも今、この瞬間、僕は無性に母親が欲しいのだ。
思い立ったが吉日という言葉通り、僕はその日のうちに母親になってくれそうな女性に連絡を取り、土下座をかますことにした。
「知恵ちゃん!僕の母親になってください!」
「…???どういうことか聞かせてもらっていい?」
僕は特別塔に呼び出した知恵ちゃんに僕がどれだけ母親が欲しいのかを熱いパッションを込めて極めて論理的に語った。また知恵ちゃんが母親になってくれたらどれほどの利点があるのかも懇切丁寧にパワーポイントにまとめ、プレゼンを行った。
「ごめんなさい。」
僕は振られた。
ママ味を感じてオギャリ隊。日本男児はいくつになろうともこの隊に所属し、金持ちで攻撃的な髪型の鼻につく餓鬼も泣くときは実際に金を稼いでいる父親ではなく母親を呼ぶのだ。
羨ましい。母親がいるほかの生徒たちが。僕も欲しい、母親が。
別に気がふれたわけじゃない。人生の岐路に立たされたわけでもない。でも今、この瞬間、僕は無性に母親が欲しいのだ。
思い立ったが吉日という言葉通り、僕はその日のうちに母親になってくれそうな女性に連絡を取り、土下座をかますことにした。
「僕を一之瀬寺にしてください!」
「にゃっ!?急すぎるよっ!それに、そういうのはもっと時間をかけるものだと思うかな。」
それもそうだ。あまりに性急にことを進み過ぎたことを反省した僕はゆっくりと、一つ一つ言葉をかみしめるように彼女に思いを伝えた。煮えたぎるマグマのような熱い思いを余すことなく声に出し、約1時間一之瀬に母親という大切な存在が駆けた僕の穴を埋めてほしいとわからせた。
「ちょっと気持ち悪いかな。」
僕は振られた。
ママ味を感じてオギャリ隊。日本男児はいくつになろうともこの隊に所属し、気の良い上司だったはずのロン毛は母親のせいで激キショホモストーカーとなり、ときどきどん兵衛を進めてくるようになった。
羨ましい。母親がいるほかの生徒たちが。僕も欲しい、母親が。
別に気がふれたわけじゃない。人生の岐路に立たされたわけでもない。誰かに母親を自慢されたわけでもない。でも今、この瞬間、僕は無性に母親が欲しいのだ。
思い立ったが吉日という言葉通り、僕はその日のうちに母親になってくれそうな女性に連絡を取り、土下座をかますことにした。
「母親っていいものだと思わない?」
「え?う、うん。お母さんは大切だよね?」
先ほどまでの失敗を思い出し、僕は土下座をするのをやめた。僕がどれだけ熱く語ろうとも、相手にその熱量が伝わらなければ意味がないのだ。そのために、櫛田ちゃんの熱量を僕の熱量まで引き上げる必要がある。
「僕は思うんだ。愛を与えられた人間とそうでない人間は幸福度に大きな差が出る。たとえば、非常に無理難題な、それこそ宇宙飛行士になるとか、オリンピックに出て金メダルを取る、みたいな願いを両親の死の代わりにかなえてくれるド〇ゴンボールがあるとする。」
「ずいぶんと限定的で酷いド〇ゴンボールだね。」
「でもきっと両親から愛されてる子はそのド〇ゴンボールで願いをかなえられないと思うんだ。それはこれから先両親がいなくなって愛が得られなくなってしまうからだ。でもこのド〇ゴンボールが殺すのが一度もあったことのない遠縁の親戚や、顔も名前も知らない誰かであれば、敷居はぐっと低くなるはずだ。」
「そんなことないんじゃないかなぁ。少なくとも私は誰が死ぬとしても思いは変わらないと思うけど。」
「それは櫛田ちゃんが優しくてかわいくてかわいくてかわいいからだ。きっと山内なら家族が死ぬときは躊躇するけど他人だった時は、『俺が小学生で卓球で全国に行ったあと、中学の野球部でエースで四番になったあとにインターハイで怪我するためには必要な犠牲だろ?』とか言う。絶対言うに決まってる。」
櫛田ちゃんは山内の擁護をしたが、僕にはわかる。いま彼女はちょっと言いそうだなって思ったに違いない。山内はきっとあんな性格でも肯定してくれる家族がいたんだろうな。あいつにやさしくしてくれる家族がいるのになんで僕にいないんだよふざけんな。
「だから僕のお母さんになってくれませんか?」
「は?(低音)」
僕は振られた。
母親候補の辛辣な対応に半泣きになっている僕とばったり出会った葛城は僕をカフェに連れて行き僕にモンブランとコーヒーを奢りながら話を聞いてくれた。
「だから僕はただ、エグ、ママが欲しっほしくて、うらや、やましくてぇ、ズビッ、みんなっあ、母親良いなって!うぼぁぁぁぁぁ!」
「わかった、わかったから泣くな。ほら、モンブラン好きだっただろう?俺も両親がいないからお前の思いもわからなくはない。しかし母親になってほしいというのは無理な話だろう。」
「っひ、だっで!だっっで僕も母親欲しかっだんだもぉぉぉぉ!!」
勉強をするためにカフェに来ていた生徒が何事かとこちらに目を向ける。こちとら見せもんじゃねえんだぞ!どいつもこいつも母親がいます、って面しやがって~~!!
「うぅ~~~~~!」
「なあ葛城、本願寺はどうしたんだ。」
「ぎよだが~~~~!!」
遠目からうかがっていた清隆が声をかけてくる。葛城は僕の泣いている経緯を簡単に伝えると清隆の分のケーキをコーヒーを注文した。
「ぎよだがががぶぇにいるだんでべずらじいで。」
「なんて?」
清隆から差し出されたハンカチで鼻をかんで返す。
「清隆がカフェにいるなんて珍しいねって言ったの。」
「ああ、それはな」
「綾小路、まだ勉強は終わってないぞ。」
奥から勉強道具を持った幸村、三宅、長谷部さん、佐倉ちゃんが移動してきた。幸い僕らの近くの席はなぜかすべて開いていたので4人は空いていたテーブルに着く。
「本願寺が酷い顔して泣いてたからビビってたけど、何があったんだよ。勉強の息抜きに話くらい聞いてやるぞ。」
「僕もママが欲しい!!!」
「さっきの言葉を撤回させてくれ。お前の話はレベルが高い。」
「僕も母親に甘やかされたいんだよ!」
「母親なんてそんなにいいものじゃないぞ。」
「うるせえうるせえ!母親がいるやつの言葉なんて今は聞きたくない!」
「俺の母親は俺と姉、父親を置いて出て行ったぞ。」
「あっ。」
幸村の発言で空気が凍った。
「本願寺君、謝ったほうがいいんじゃ。」
「ごめん幸村。僕が悪かった。」
「いや、良いんだ。お前も母親がいないんだろう。それなりに苦労はわかる。」
「幸村……今日から君も親無し同盟の一員だ!一緒に傷を舐め合おうじゃないか!」
「なんでいちいちそんな嫌な言い方をするんだ!?」