白い部屋から出たとして   作:九頭竜 胆平

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明日更新ちょい怪しいけど今日2つ出したから許して


誇れ、お前は強い。だから周りから狙いますね。

戸塚弥彦、結構ひどい感じで他クラスを見下すし、葛城の威を借りたりするような、まあ控えめに言ってなんでお前Aなのって感じの生徒であるが、それの答えがこれだろう。

 

「ばあさん無理すんな!そのゴミ袋重いだろ。俺が持つからよ」

 

じじばばと一緒にボランティアやってるこいつを見ると同一人物かほんとに疑うわ~。

ちなみにボランティアはこの学校から出られる貴重なイベントだ。でももらえるプライベートポイントは雀の涙。

 

「なあ戸塚、お前何で老人と子供には優しいのに同年代にはあんななの?」

 

「お年寄りと子供にやさしくするのは当たり前だろ?」

 

そうだな。じゃあお前の中では自分より成績低い同級生は見下すのも当たり前なのかよ。

腰が痛い。なんで休日の朝からゴミ拾いしなきゃなんねえんだ。綾小路も退学にできないしもう学校辞めたいんだが。

 

 

 

 

 

 

 

あれから戸塚が見かけた老人片っ端から助けたり餓鬼どもと遊ぼうとしたりするから予定を過ぎに過ぎて現在午後5時。僕の休日は潰れた。うっそだろお前。

帰りのバスの中、僕は親切心から戸塚に…ウソ。綾小路の退学の目途が立たなくてちょっとイラついてたから聞いただけだ。休日を潰された腹いせもまあちょっとあったけど。

 

「いやーわりーな。ちょっとなつかれちまってよ」

 

「全部見てたわ。なあ戸塚、お前編入とかしないの?」

 

「は!?ひでーな!本願寺のこと友達だと思ってたのにそんなこと言うなんてよ!」

 

いやマジ度肝抜かれたよね。友達とか言われたことなかったし、なんやかんや学校来て僕が友だちになったって思ってたの葛城くらいだったからさあ、ほんとびっくりした。

 

「いや、戸塚の趣味がボランティアとか知らなかったけどさ。こんないちいち学外に行くために申請して学校活動にならないと趣味もできないとかきっついし、しかも志望校に行けるかもわからないんだぜ?」

 

「俺も最初にクラス対抗の話を聞いたときはやめようかとか思ったけどさ。葛城さんもお前もいるこのクラスなら、簡単にAクラス維持して卒業できるんじゃねえかなって思ったんだよ」

 

その話を聞いた僕は完全に他人まかせじゃんって腹抱えて笑ったし、それを聞いたアイツもめちゃくちゃわらってた。まあだから、綾小路のこと無視して1年間普通に過ごすのも案外悪くないかもなっって思ったよ。

 

 

もしも過去に戻れるならそんな自分をぶん殴ってやりたいね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、戸塚弥彦が病院に運び込まれた。

 

「どけよ、葛城、鬼頭」

 

「今はダメだ。行くな、本願寺」

 

「俺がここに立っているのは坂柳の意思じゃない。俺がお前にいなくなってほしくないから立ちふさがっているんだ」

 

「うるせえ、黙って早くどけよぉ!」

 

Aクラスの雰囲気は過去一番にひどい。坂柳と葛城の派閥争いでもなく、本願寺と坂柳の諍いでもない。Aクラスが本願寺をいかにして止めるか。そこにつきた。

事件は昨日、戸塚弥彦がCクラスのほとんど全員から通りすがりに暴行を加えられるという事件が発生。もちろん決して少なくないクラスポイントの移動が行われた。反面、生徒個人に下された罰はない。別々の生徒がたまたま偶然、同じ日に同じ生徒に暴行を加えただけだからだ。

もしもこのまま本願寺を行かせれば、犯人を半殺しにして退学、最悪殺して逮捕される懸念すらある。それぐらい今の本願寺はキレていた。

 

「俺だって悔しい、だが、今Cクラスに殴りこんだところでどうする!クラスポイントが移動するだけでなくお前が退学する可能性だってあるんだぞ!それにまたほかの生徒が狙われたらどうする!」

 

「イマイマイマイマうるせえな!保身しか考えられねえのかよ葛城ぃ!未来なんてどうだっていいんだよ!」

 

「ならみんなで行きましょうか」

 

一色触発の雰囲気の中、凛とした声が教室に澄み渡る。

 

「このままだと授業に遅れてしまいそうですから。葛城君、鬼頭君、橋本君。本願寺君をすぐ拘束できるように近くにいてください」

 

「えぇ、俺もっすか?」

 

「他の人は今の本願寺君の剣幕で使い物になりませんから。神室さんはもしもの時のために私の近くにいてくださいね」

 

星之宮はHR途中のBクラスの一人からヒュッと息を吸いそこねる音が聞こえた。思わずそちらの方を見れば、いつもふざけた態度で、一之瀬を犯罪に巻き込もうとするちゃらんぽらんが、今は人ひとり簡単に殺せそうな形相で廊下を通過し、その後ろに葛城と鬼頭、橋本が続く。行列が完全にヤクザのそれで、星之宮も思わず悲鳴をあげそうになった。

 

「失礼します。龍園君はいらっしゃいますか?」

 

「おいおい、女王様が何の御用だ?あれはお前の部下じゃなかったはずだが」

 

「用があるのは私ではありませんよ」

 

坂柳が扉の前からどけるとともに三人に腕を抑えられた本願寺が入ってくる。叩きつけられた敵意にほとんどの生徒は硬直したが、動ける生徒がいなかったわけじゃない。

 

「石崎、アルベルト」

 

石崎大地はいまだ須藤の事件の時についた傷がいえていないが、それでも果敢に一番槍の役割を果たし、両腕を封じられた本願寺の腹に膝を叩き込む。その後、山田アルベルトもまた、動けない本願寺の顔に一切の容赦ない拳を振りかざした。

 

がああああ!!

 

直後、山田アルベルトがあまりの痛みに呻く。殴られた本願寺は鼻血を出しながら口に含んでいた何かを吐き出したとともに、Cクラスから悲鳴が上がった。山田の中指と人差し指からうっすらと露出した骨を見て悲鳴を上げたのか、本願寺から吐き出された赤黒い肉を見て悲鳴を上げたのかは定かではないが、そのパニックは伝播した。

そんな中、数多の悲鳴でボイスレコーダーなどがまともに使用できないだろうと察した龍園は、おもしろい獲物を見つけた喜びに笑みを浮かべながら、本願寺に話しかける。

 

「なんだよ、オツムが優秀って聴いてたから見せしめに半殺しにしたのに、なかなかどうしてでかい魚が引っ掛かったな」

 

「殺すぞ、お前」

 

ここは高度教育高等学校。知恵もカリスマも、はたまた暴力さえ、他人を蹴落とすための武器に他ならない。

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