未来から転移してきた最強兵士、アイドルになった元上官と渋谷駅前にて再会す   作:オムライス2023

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すみません・・・短めです・・・。


06先生

 

 

真夜中、午前一時。

 

少尉殿がグースカと寝息を立て始めたのを確認した僕は、アパートを抜け出して近くの公園へと歩き始めた。手には黒い携帯端末が収まっている。退院時に怪しい医師から押し付けられた物だ。ご丁寧にも『マリア・ブラッドベリ』の連絡先が登録されている。

 

公園にたどり着くと、街灯に照らされたいつものベンチへと座る。今にも暗がりから06が顔を出しそうで身構えてしまう。そもそも僕はあいつが苦手なのだ。そんな相手を頼ろうとしているのも大概なのだが。

 

『どうした、軍曹』

 

数度の呼び出し音の後で06が応答してくれた。思わず安堵の息を吐きながら携帯端末を耳に寄せる。

 

「夜中にすまん。昼間は少尉殿の監視の目が厳しくてな……」

『いや、こっちは昼前だ。そろそろ飯時だな』

 

……時差を忘れていた。

 

「そうか、安心した。少し相談したいことがあるんだが、聞いてくれるか」

『構わん。その為に携帯を渡したんだ』

「……少尉殿が子供を作りたいと言っているんだが」

 

06は電話の向こうで絶句している様子だ。しばらく無言が続いた。

 

『……貴方と?』

「他に誰が居るっていうんだ」

『……なんでそう、いきなり出力全開なんだ。色々とすっ飛ばし過ぎだろう』

「そうか?そうだよな……」

『まあ、この世界では貴方たちは子供みたいなものだからな。小さい女の子が赤ちゃんが欲しいと言ってるような物だろう』

 

イラっと来た。

僕はベンチの前に投げ出していた足を組みながら憮然とした声で抗議する。

 

「お前に言われたくないな」

『そんな相手に相談するのってどうなんだ?』

 

スピーカーから余裕の笑い声が響く。

正論だ。返す言葉もない。

 

『それで、貴方はどうしたいんだ』

「……全然分からん。そもそも子供を調達する方法すら分からないんだ」

『は?本気で?』

「残念ながら」

 

スピーカーの向こうから、何やら黒い感情が伝わって来る。

 

『呆れた。不勉強もいいところだな。英文は読めるか?』

「共通語と似ているから何となく読めるが、正直頼りないな」

『ならば動画か……いいか、その携帯端末はインターネットに接続することができる。メールでいくつかURLを送るので、リンク先の情報を適宜閲覧するように。それが終わりそうな頃にまたこちらから連絡する』

 

僕が何か言う前に、通話がバッサリと打ち切られた。

しばらく待つと端末に通知が表示される。表示に従いながら不慣れな手つきで操作を繰り返すと、何やら文字列が並ぶ画面に行き着く。

 

「……ポーン?カリビアン?」

 

僕は青色になっている文字列を叩いた。

 

 

 

 

 

 

二十分ほどが経過し、06からの着信が入る。

僕は安堵とも怒りともつかない感情に突き動かされながら緑色の通話ボタンを強打した。

 

「おい06!!なんだコレは!!」

 

開口一番で怒鳴る僕に、06は涼しい声で応える。

 

『観たか』

「とんでもない物見せやがって!!この音声ボリュームはどうやって下げるんだ?!」

『スマートフォンの使い方も分からんか。まるで原始人だな』

 

軽蔑を隠さない06に、僕の激昂が加速する。女性の叫び声を響かせながら夜の公園で右往左往する身にもなってみろ。

 

「副脳が使えないとなったらお前だってこうなるだろ!!」

『言わなかったか?私は普段、副脳を使っていないぞ』

「……は?」

『副脳に頼り切りだからそうなるんだ。……まぁ世話になった先生から提言されなかったら、私も副脳を使わない生活なんて試さなかっただろうけどな。自分の目じゃないと見えない世界があるんだよ』

 

僕は横面を殴られたような衝撃を受けていた。怒りは急速に勢いを失い、打ちのめされて黙り込んでしまう。そんな僕に06はお構いなしだった。

 

『観てもらった動画だがな、人の生殖行為を記録した物だよ』

 

そこから06による極めて詳細な解説が始まった。たっぷりと30分は続いただろうか。聞き終えた僕は真っ白な灰になった気分だった。

 

「……冗談じゃないぞ。そんな危険極まりない事を少尉殿にできる訳がない」

『やらないと子供は出来ないぞ』

 

僕は再び押し黙った。

そもそも、少尉殿がどのくらい子供を望んでいるのかが分からない。頑固な少尉殿のことだ。諦めさせるとなったら、その意志の固さによっては説得は困難を極めるだろう。

 

『一度押し倒してしまったらどうだ?やってみれば色々と分かると思うぞ』

 

この野郎、気軽に言ってくれる。

 

「ずいぶん分かったような事を言うが、お前はどうなんだ!パートナーができたんだろ?!」

『ノーコメントだ。さて、すまんがそろそろ行かないとだ。またいつでも掛けてくれ』

 

こちらの返事を待つことなく、唐突に通話が切れた。

 

そして再び、端末から女性の奇っ怪な叫び声が響き始めるのだった。

 

 

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