未来から転移してきた最強兵士、アイドルになった元上官と渋谷駅前にて再会す   作:オムライス2023

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Etsuki様、感想ありがとうございました!
感謝いたします……!!

※今回、だいぶ読みづらいかも。すみません。ネイティブな方の修正指示をお待ちしております。



(他視点)とある武士の奮闘

 

 

 

拙者が初めてそのニュースを知ったのは、自室でスナック菓子を頬張りながら春野ハナのまとめサイトをチェックしていた時の事でござった。

 

春野ハナが水着グラビアデビューとな?

拙者はPCチェアの背もたれにギシギシと音を立てながら体重を預ける。

 

オウフwww妄想乙www

 

あり得ぬわ、最高級の大トロでツナサンド作るくらいあり得ぬ事。かような素人以下の売り方をする芸能事務所があるなら見てみたい物でござるよwww

 

そう思ってたら本当だった。

 

雑誌の次回予告にばっちり書いてあるじゃないの。なんでまた飛ぶ鳥落とす勢いで人気急上昇中の清純派に、こんな奥の手みたいなお仕事をさせんの?これじゃフェラーリを一万円でお譲りしますみたいな話になるじゃない。

 

失敬失敬www驚きのあまり素に戻ってしまったでござるwww

 

いや有難き事にござるよ?大変捗り申すwww

 

なれど、これは完全に痴れ者の所業www奥の手を初手から出すような愚策中の愚策wwwほれ見い、転売屋がアップを始めておるわwwwどこのサイトも予約を受け付けておらぬではないかwww責任者は潔く自害せよ〜www

 

だがまぁ、掲載誌は誰もが知る青年誌だ。こんなもん数十万冊以上は印刷されるんだから、当日コンビニでも十分間に合うでしょう。転売屋乙。

 

 

そんな風に考えていた時期が拙者にもありましたwww

 

 

ふざけてやがる。

フラゲ組がバカみたいな値段でイキり出したのはまぁ置いとく。信じられん事に、発売日の前日から全国のコンビニや書店で謎の行列が発生。争奪戦は醜悪さを極め、入手直後に店先で高額転売を開始する剛の者が現れるなど、転売屋と買いあぶれた者たちの地獄絵図が全国で展開している。しかも転売価格はリアルタイムで上昇を続けており、このまま行けば万の声も聞こえてきそうな勢いだ。

 

死んでも転売屋に金は渡さぬ。それが拙者の矜持。

 

当然ながら海賊版もお断りにござる。故にネットに違法アップロードされている画像は欠片も見申さん。そもそもデジタル化などされれば情報の劣化は必定にござる。デビュー以来ずっと春野ハナを追いかけてきた拙者、生の誌面でご尊顔を拝まぬ限り、死んでも死に切れぬでござるよ。

 

カネの代わりに、拙者は時間と脚を使い申した。

なにせ拙者は町の遊牧民を自認する者。働く時間は自由に選べるのでござるのよwww

 

ド田舎の、誰もこんなとこ来ねぇよっていうコンビニを赤兎号(自転車)で次々と行脚して行き申した。されど同じ事を企てる輩は必ず出てくる物。当然ながら目当ての品など残っておらんのでござったwww

 

もうそろそろ次の号が出ちゃう。

 

何十件目か分からないコンビニでパニックになった俺は、駐車場にうずくまって泣いた。四十五にもなって、人目も憚らずに泣いた。

 

そんな俺の肩を、誰かが優しく叩く。

 

涙を拭うのも忘れて顔を上げた。

眼鏡をかけた気の良さそうなオッサンが、仏めいた笑顔で立っていた。そいつが何かを差し出している。それが渇望し続けてきた例の雑誌だと知った時の、俺の驚きをどう伝えればよいか。

 

「これをお探しなんでしょう?」

 

少しボケっとしてしまったあと、俺は生まれてこの方こんなに想いを込めた事が無いと断言できるほど全力で首を上下に振りまくった。

 

「では、これをどうぞ」

 

いいんですか。

そう言いたかったが、声が出せなかった。

俺は恐る恐る雑誌を受け取ると、それを胸に抱いて必死に涙を堪えた。

 

オッサンは微笑ましそうに俺を見ながら言う。

 

「一万二千円です」

 

俺はコンビニのATMで預金を引き出すと、黙ってオッサンに紙幣を三枚手渡した。

 

 

 

 

フワフワと浮いているような気分で帰宅した俺は、手汗が着くことを苦痛に思いながら何とか雑誌を二階の自室に運び入れた。

フィギュアを触る時に使っていた手袋を震える手に何とか装着し、学習机に置かれた雑誌の前で姿勢を正す。

 

改めて表紙を鑑賞。

 

「コプフォwww」

 

断言いたすwww

拙者、もう一万二千円の元は取り申したwww

 

誰だこの衣装を選んだ慮外者はwww

眩しく輝く神聖な肢体に、面積少なめの純白の水着。けしからんwww冒涜が過ぎるwww激しい殺意と感謝が同時に湧いてきて頭おかしなるでwwwこうして目を細めると、まるで何も着てな……いかん、こんな事考えてたらジロー君に処されてしまうwww

 

気を抜くと過呼吸になりそうなのをどうにか抑えて表紙をめくると、恥じらいながら体を隠している彼女の姿が。

 

「ヌッwww」

 

ポタポタと熱い何かが落ち、拙者は慌てて胸元を見た。赤く染まっちゃってる。ヤバイ。鼻血だ。ベタすぎるだろ。これじゃ昭和初期の漫画でござるwww

 

股間、いや肝を冷やしながら誌面に目を向けると、幸いにも血は飛び散っておらず無事にござった。ここは一旦仕切り直すが正しき判断。なれど、今の拙者を止める事は誰にも出来ぬのでござるよ。

 

ページをめくる度に胸が爆破されそうになる。今や鼻血で溺れそうな勢い。脳内麻薬でタプタプになった頭を電子レンジで全力加熱されてるような心地だった。この子がいれば違法な薬とかいらなくなるんじゃね?

 

そんな幸せと怯え、崇拝と冒涜が闇鍋状態になった至福と狂気の時間も、ついに終わりを迎える。次が最後のページ。ブルブル震えながら開いた俺は、成す術もなくその最後の一枚に涙と鼻水、そしてヨダレを落とす事になってしまった。

 

しゃくり上げて泣く。あまりにも幸せすぎて。涙で何も見えないが、誌面の中の彼女は、今も俺に恋情に満ちた視線を送り続けてくれているはずだ。

 

この子を追い続けてよかった。

まやかしだって分かってる。それでも彼女は、こんな俺とひとときだけ恋人になってくれたのだ。

 

雑誌はグチャグチャになっちゃったが、問題ない。あの微笑みはいつでも鮮明に思い出す事ができる。甘い啜り泣きがいつ果てるともなく続き、疲れ果てた俺は雑誌を胸に抱いて深い眠りへと落ちて行った。

 

 

 

 

ガチで疲れていたらしく、俺が目覚めたのは次の日の夕方だった。

 

あのページは涙と鼻水とヨダレで完全に溶接されて開かなくなっていた。預金残高もない。脳内に残っているはずだった記憶はなんか違う。中毒症状に苛まれる俺は赤兎号に跨り、失われし聖遺物を求めて再びコンビニ巡りの旅に出た。

 

雑誌の再販アナウンスが出ているのを知ったのは、泣きながら帰宅したその日の深夜の事だった。

 

 

 

 

 

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