面白いって思ってくれたら幸いです。
Prolog. 戦闘メイドの役目
「君を生き返らせる代わりに、私の世界を救って欲しい。彼女たちを守ってあげて欲しいんだ」
―――あぁ、私は死んだんだった。
美しい虹が掛かる蒼空の下、その少女―――
刺客から雇い主を護衛する職業、戦闘メイドと言う者になって約十年。自分の死に様は随分と情けなかった。
結論から言ってしまえば、任務失敗。
今まで一人で護衛をして来たが、百に近い人数の刺客を相手にしてつい先程、命を落とした。どんなに経験を積んでも数には勝てないと痛感させられた日だった。
実親に捨てられた五歳の頃から戦闘メイドの心得を鍛えられて来た彼女にとって、死と言う物は怖くなかった。寧ろ、雇い主を守って死ぬ事は誇らしい事でそんな
一体、雇い主は何をしてあんな人数に恨まれているんだと正直呆れたが自分の死に様よりかは幾分とマシに思えた。
三途の川を渡る為の
このまま彷徨っていようか、とも思っていた矢先、彼女の前に一つの光が向かってきた。その光は自らを神と名乗り、提案して来たのは転生だった。
出来る事ならもう二度とこの手で凶器を振るいたくは無かった。殺意を向ける者を殺戮する機械として生きる為に、全ての感情を捨てた彼女だが戦闘メイドと言う自分の舞台から降りたかった。
「………それは貴方様のご依頼、と言う事でしょうか」
「―――そうだね。依頼と言うか、お願いと言うか。私はもう見たくないんだ。あの子たちの絶望は」
あぁ、やはり降りれない。
玲はそう思うと同時に自分のスカートの裾を少し持ち上げ、頭を下げる。神ならば、知っている筈なのに。世界を救える程、自分は凄くない。あの情けない死に様を知っているクセに。
それでも依頼と言われてしまえば、それに応えなければならないと考えてしまう自分が一番嫌いだ。と玲は少し顔を歪ませた。
「………
その世界で正しき事をすれば、少しは自分の罪も赦されるだろうか。眩しい光に包まれる中、ゆっくりと目を閉じる彼女はそう、溢れる様に呟いた。
神世紀二八六年。その日、運命の歯車は変わった。
繰り返される少女たちの絶望に、絶望の世界に一筋の光がやって来た。自分の役目を淡々とこなす彼女の姿は、未来永劫きっと語り継がれる事だろう―――。
これは、神が望んだとあるおとぎ話。