Ab06(アビドスぜろろく) 生徒名 レイヴン   作:sepa0

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頭に湧く妄想と、進む筆のスピードが乖離して来ていますが、なんとかお見せできる形に出来ましたので綴らせて頂きます。
C&Cのメンバーでは美甘ネルさんが好きです。まだ迎えられていませんが。
イラつくぜ…ロリ体型に…惹かれたんだ…!!
今回も楽しんでいただけると幸いです。


第11話 ギガンティック・ロマン

ミレニアムサイエンススクール

実習センター屋外

 

「さて、どうしようかな。」

 

エンジニア部の皆さんが私の新しい武器を作ってくれている間、ウタハさんの意見に従いミレニアムを観光することにした私は、とりあえずモノレールの線路に沿って外周を回ってみることにした。

アビドス自治区とは違い、そこら中にミレニアムの生徒達がいるが、今はしっかりパルスブレードを布で巻いて隠しているので誰もこちらを気にしない。

ウタハさんが言っていた通り、本来は来訪者だからと気にするような子達ではないようだ。

道もしっかりと整備されていて、歩きやすくて大変助かる。

ただ、チャティはもうここの学園の環境に怯えてしまったのか、一言も話さないしメールで、

 

『俺の存在はここでは秘匿しておいてくれ。 きっと解体されてしまう。』

 

と送ってきた。

なんとも人間らしい怯え方に、ルビコン3でのアイスワーム戦でのアーキバスの強化人間部隊『ヴェスパー』の第二隊長スネイルとチャティの会話を思い出す。

 

『チャティ・スティック。RaDの自動人形と聞いているが…死を恐れないのは良いことです。』

『………それに似た感情は、持ち合わせているつもりだ。』

 

下手な人間よりも人間らしいチャティが入ってるこの端末の中には、ルビコン3での戦闘データや、ACパーツのデータなどが入っている。

ACの修理を頼む時には提供するつもりだが、今はこの端末を狙われるのはまずい。

 

とりあえずエンジニア部の本拠地である実習センターを出て、まず通りかかったのは図書館だった。

アビドス高校にも図書室はあったが、そことは置いてある書物がまるで違った。

どれもこれも難解な論文や書物であり、私の読み書きの練習に使えそうなものではなかったので、30分ほどで出てしまった。

 

次に通りかかったのは、最初に訪れたモノレールステーション。

私があの人型作業機械…クレバースタッフを撃破したところだ。

そこには清掃業者と思わしき「C&C」とロゴが入ったトラックが止まっていた。

私が撃破したクレバースタッフの残骸を片付けている少し変わった服装…ヒビキさんが着せてくれようとした服と似ている。

確か、メイド服というものだ。

そのメイド服を着たそれぞれ個性的な姿の4人組が戦場跡地の清掃をしている。

 

「ふんふん〜♪ふふっ…♫」

「さて、つぎは…。」

「あー…信じらんねぇくらいだりぃ。」

「あはは! すごい壊されっぷり!」

 

一人だけ、ホシノ先輩のような体型のジャンパーを着た子は気が乗らない、と言った風でモップに体を預けてサボっている。

そのことに対して褐色と黒髪が特徴の子が苦言を漏らすが、特に気にしていないようだ。

灰色の長髪をしたすごく明るそうな子は、楽しそうにフォークリフトを操縦し、残骸をトラックの荷台へ移していき、この4人の中で1番大人びているメガネが特徴な子はかなり手慣れた様子でテキパキと掃除をこなしていく。

 

「それになぁ、この残骸を片すより、このブリキ人形を仕留めた奴を探し出す方が先じゃねぇのか?」

「確かに…何度も暴走したところを止めたことはあるけど、ここまで壊されたのは初めて見る。」

「私の爆弾の爆発にも耐えてましたものね。」

「だろ!!あたしだってこいつの硬さだけは買ってたんだ。 なのに見ろよ、この胴体と右腕の切断面。一体なにでやられたんだ?」

「乗ってた子はなんか『ひ、光の剣…!!』とか言ってたらしいよ! 一度みてみたいなぁ…とっても綺麗なんだろうね!」

 

フォークリフトで運ばれている残骸を指し示しながらの雑談が聞こえる。

少し派手にやりすぎたかもしれない…と思うが、あそこまでやらなければ止めることもできなかった。仕方なかっただろう。

そう考えながら、メイドさん達のテキパキとした掃除になんとなく見入っていると、例の派手なジャンパーの子と目があってしまった。

一瞬空気が固まった後、あっという間に眉間に皺を寄らせたその子に怒鳴られる。

 

「何だ何だ!みせもんじゃねぇんだぞごるぁ!」

「わぁ。」

「あらあら…。」

「リーダー。そんな小さな子に怒鳴るのは流石にどうかと思う。」

 

確かに、人が作業しているところを、ましてや散らかした張本人がジロジロみるのは悪いことだったかもしれない。

 

「す、すみませんでした!」

 

逃げるようにその場から離れる。

しばらく夢中で走ると、今度は大きな売店が見えた。

少し小腹の空いた私は軽食でも摘もうと店内へ入り、一番人気と書かれた菓子パンと初めて見るエナジードリンクという飲み物を購入する。

飲むと元気が出るらしい。

ちょうど横にいた生徒が買い物かご一杯にその飲み物を詰めていた。

そんなに美味しいのだろうか?期待が高まる。

カフェの持ち帰りコーヒー…特におすすめされているエスプレッソというのも気になったが、先生が淹れてくれたものの方が美味しそうだったのと飲み物はもう間に合っているのでやめた。

 

買い物を済ませた私は、次は食べる場所を探す。

店内の休憩コーナーは既に沢山の生徒達が集まっており、アビドスに慣れている私には少々騒がし過ぎる。

それと、アビドスの図書室にあった本には食事というものは良い景色を見ながら食べるとさらに美味しく感じると書いてあった。

アビドスの砂漠も景色は美しいが、砂が常に舞っているせいで外で食事をするには向いていなかった。

なので、空気がきれいなこのミレニアムで是非試したいと思った。

どこかいいところはないかと、売店の窓から外の景色を見る。

なぜ今まで気づかなかったのか、とても大きな高層ビルがあることに気づく。

このミレニアムで一番高そうなビルだ。

きっと、眺めが良いだろう。

 

 

 

 

 

あたしの勘が騒ぐ。

あの生徒は、只者じゃない。

好きでもない掃除をジロジロ見て来たので思わず怒鳴ってしまったが、よく見るとミレニアムの生徒ではなさそうだった。

ほとんど他の学園からの来客が無いこのサイエンススクールでは、珍しい。

その生徒は怒鳴られたことに対して謝罪を述べ走り去ったが、その速さが異常だった。

よく訓練されている、もしくは実戦を重ねている走り方だった。

 

「…おい、あとは任せる。」

「リーダー。職務放棄はどうかと思う。」

「ちげぇよ! あの走り方、見ただろ。 あんな走りができる奴、このミレニアムにはあたし達以外にいねぇ。」

「となると、このサイエンススクールの生徒では無い…その上、戦闘慣れしている人物である、と。そういうことですね?」

「ああ、もしかしなくても、このブリキ人形をバラバラにした犯人かもしれねぇ。 容疑者は現場に戻ってくる、とも言うしな。」

「仕方ありませんね…部長、ここは任せてください。」

「おう!行ってくるぜ!」

 

あたしは掃除よりも優先すべき事項が出てきてくれたことに感謝しつつ、他のメンバーに掃除を任せその生徒の追跡を始めた。

どこまで走って逃げたのか分からず、こちらも全力で走り追跡するが大して離れてない距離で発見した。

その生徒はふらふらとした足取りで売店へ入っていった。

追跡を振り切るつもりか?

確かに、あの背丈では人混みに紛れられると見失ってしまうかもしれない。

あたしはいつでも引き金を引ける状態で売店に駆け込んだ。

 

「ふむ…。これが、ここのめいぶつなのかな。」

(なにしてやがんだ? あいつ…。)

 

てっきり人混みに紛れるかと思ったが、むしろそいつは人混みを避けながら、買い物かごを持ち商品の物色を始めた。

即座に抑え込んで尋問してやっても良いのだが、流石にここでは人の目がつき過ぎる。

つい先日、あのセミナーの会計からC&Cの裏の顔が一般生徒に認知されかけていることに対して文句を言われたばかりだ。

派手にやればまたお小言が飛んでくることは間違いない。

まぁ良い、相手が撒く気がないなら、溶け込むためにやってるであろう買い物を終えたあと、見られないところで仕留めれば良い。

たっぷりと時間をかけた割には菓子パンとエナジードリンクしか買わなかったそいつはしばらく店内の休憩所を見たあと、唐突に売店の出口へ駆け出した。

 

「…!気づかれたか…!?」

 

私もすぐに追いかける。

これだけ時間をかけておいて成果無しでは流石にC&Cのリーダーとして示しがつかない。

 

「わぁ! ちょっと、店内で走らないで…」

「ああんっ!?」

「なんでもないです!!」

 

売店の自動ドアを蹴破り逃げ出した標的を探すが、見当たらない。

この短時間で、撒かれてしまったのか?

そんなはずはない!

何か痕跡が残っているはずと周りを見渡すと、一瞬、視界に違和感を感じた。

ミレニアムタワー…セミナーをはじめとした、主要な部活や委員会が入っている重要施設。

その壁面を、何かが登っている…というより、跳ねている。

僅かな窓のへりや窪みに足を掛け、どんどん上へ登っていく。

私は舌打ちをしながらタワーの入り口に突っ込み、エレベーターのスイッチを押す。

理由はまるで不明だが、あいつの目的地はわかる。

屋上だ。

そこから何をしようとしているかは知らないが、碌なことではないだろう。

施設への侵入か、狙撃ポイントの確保か…

よりによって何故か最上階に止まっていたエレベーターが降りてくるのを、イライラしながら私は待った。

 

 

 

 

 

「おもったより、たかいな。」

『…気を付けてくれ、ビジター。ここから落ちれば、その頑丈な体でも、痛いで済むか微妙だ。』

「こわいこといわないでよ、ちゃてぃ。」

 

タワーの中腹あたりで、一旦小休憩を挟む。

ここにはミレニアムの生徒がいないからなのか、何となくの独り言にチャティが返してくれた。

ACに乗っていた時とはまるで違う、吸い込まれるような地上の景色を見て興奮する。

私が歩いて来た施設が、ほとんど見渡せる。

真ん中の時点でこれほど遠くまで見渡せるのなら、屋上まで行けば、もしかしたらアビドス高校も見えるだろうか?

一層興味が湧いた私は、壁登りを再開する。

窓枠に足を引っ掛け、勢いよく踏み切る。

きっちりと等間隔に設置されている窓のおかげで、スイスイと登ることができる。

10分ほど登り続けると、ようやく屋上に辿り着いた。

 

「ふぅ…。」

「わぁ!そっちから来たんだ!びっくり!」

「わぁっ。」

 

一息ついて、袋の中からパンと飲みものを取り出そうとしたところでいきなり後ろから声をかけられびっくりする。

振り向くと、見覚えのあるメイドさんがいた。

確か、楽しそうにフォークリフトを運転していた子だ。

今も、何が楽しいのかわからないがワクワクしているような感じでこちらを見てくる。

 

「えっと…なにか、ようですか?」

「んー?えっと…なんだっけ…ああ、そうだ!掃除が終わったからリーダーの仕事を手伝おうと思って、ここに来たんだ!」

「しごと…?」

「うんうん!なんか私たちの掃除を見てた子があのロボットを壊した犯人なんじゃないかーってね!掃除放り出して走っていっちゃったの!ひどくない?」

 

なんとも掴み所ない、元気に溢れている人だ。

ただ、会話の内容をよく聞くと、私は今追われているらしい。

 

「…わたしをつかまえて、どうするんです?」

「うーんとね!私が来たからには大丈夫! いやー、リーダーより先に見つけ出せてよかった!」

 

そういうと目にも留まらない速さで私の前までぐいっと進んできて、私の脇あたりを両手で挟んで持ち上げる。

 

「確保!!」

「えぇ…。」

 

本来は逃走を図るべきなのだろうが、なんだかまともに取り合う方が損をしそうな気がするし、抑え込むような形ではないためこれならいつでも抜け出せる。

なのでとりあえず大人しくしておくことにした。

親が子供を抱き上げるような格好のまま、元気なメイドさんは話しかけてきた。

 

「えっとねー。そうそう、まず、自己紹介からいこうかな! 私は一ノ瀬アスナ!このミレニアムのメイド部の人だよ!君は?」

「…わたしは、あびどすこうこういちねんせい、たいさくいいんかいしょぞくのくろはねれいゔんといいます。 ここには、えんじにあぶのかたにようじがあってきました。」

「ありがとー!よろしくねレイヴンちゃん! それにしてもちっちゃいねー!部長より小さい子なんて初めて見たかも!」

 

アスナさんはそのまま私を持ち上げたままくるくる回り始める。

私はACに乗れるほど三半規管が鍛えられているので酔うことはないが、この立ち位置でもし手が滑ったらそのまま落ちてしまうのでやめてもらう。

 

「あはは、ごめんごめん。楽しくてつい興奮しちゃった。 さて、この辺りだね!」

「はい…?」

 

そういうと、アスナさんは私を屋上の西側まで連れて行き、落ちないように余裕を持たせて降ろしてくれた。

 

「ここがね!1番眺めがいいところだよ!」

 

そう言われて改めて周りを見渡す。

綺麗な青空、白い雲、緑豊かな小山。

整然とした、美しい建造物達。

確かに

 

「…いいながめですね。」

「そうでしょ!私も結構気に入ってるんだ〜、ここ!」

 

私の同意に、彼女は自信満々に胸を張り答える。

 

「うーん…でもこの時間帯だと流石に夕焼けまで待つのは無理かなー。 ここから見る夕焼けはホントーに綺麗だから是非見てほしいな!…あっ、今度はちゃんと許可を取ってね!一応このタワーって、部外者は立ち入り禁止だからね!」

「そうでしたか…すいません、あびどすにいると、せきゅりてぃいしきがさがるというか…。」

「大丈夫大丈夫!それじゃ、ご飯にしよ?その為にここまで登ってきたんだもんね?」

「そうですね。 …ちょっとまってください、なんで、そのことをしってるんですか?」

 

私はエンジニア部に用事がある、と言っただけでこのタワーを登った理由はまだ言っていないはずだ。

彼女はそう言われて少し頭を捻ったあと

 

「なんとなく、そう思ったから!私の直感ってよく当たるんだよ!」

「…なるほど。」

 

よくよく考えてみれば、私を捕まえようとして、追いかけて来たのではなく既にこのミレニアムタワーの屋上に居たことを考えると、アスナさんの直感というのは、適当というわけではないのだろう。

この世には説明できないことがある。

そもそも爆発したコーラルに焼かれたはずなのに気付いたらこのキヴォトスにいた私も説明できない。

深く考えることはやめよう。

 

「…はんぶん、たべますか?」

「え!嬉しい!いただくねー!」

 

これも何かの縁だ。

アスナさんと菓子パンを半分こにして渡し、隣り合いながらまだ傾く様子もない太陽と、どこまでも続く青空を見ながらパンを食べて楽しみにしていた初めてのエナジードリンクを飲む。

 

「んうっ?!?」

「あれ?レイヴンちゃんってエナジードリンク飲むんだ。意外〜。」

 

甘い、ただひたすら甘い。あとすごいシュワシュワして痛い。

それから、不自然な高揚感がやってくる。

不味くはない。だが、どうやら私には合わないようだ。

 

「うう…。 ちょっと、あわないですね。」

「あはは!レイヴンちゃんやっぱ初めてだったんだ。 えっとねー、エナジードリンクっていうのは身体に無理させたい時に飲むものだから合わないなら飲まないほうがいいよ?」

「でも…もったいないですし…。」

「それならさ、私にちょうだい!その味まだ試してなかったから気になるんだよねー。」

「…すみません、おねがいします…。」

「ありがとー!」

 

そういうと、受け取ったエナジードリンクをアスナさんは一気に飲みきった。

 

「うーん、美味しかった!…でも、二度目はないかなぁー。」

「やっぱり、ちょっとへんなあじでしたよね?」

 

アスナさんと他愛のないおしゃべりをしながらゆったりと時間が流れていくのを楽しんでいると、不意にアスナさんが立ち上がる。

 

「レイヴンちゃん、私のそばから、離れないでね?」

「えっ、はい。」

 

言われた通りにアスナさんに寄り添う。

次の瞬間、銃声が響き、私たちの後ろにあった屋上への出入り口の扉が蹴破られる。

そこからは、あの時睨まれ怒鳴ってきた小さなメイドさんが両手にサブマシンガンを持ちながら不機嫌そうに歩いてきた。

 

「やっと着いたぜ…どこにいやがる!」

「リーダー!遅かったねー!」

「ああん? なんでオメーがここに…」

 

相変わらず不機嫌そうな顔の小さなメイドさんと目が合ってしまう。

今まで出会ってきた人達の中で1番風格が滲み出ているかもしれない。

ここがルビコン3だったら確実にどちらかは家に帰れなくなる、そんな気迫を感じる。

 

「見つけたぜ不審者!…おい、退けアスナ。撃てねーだろ。」

「待って待ってリーダー! この子は不審者なんかじゃないよ!」

 

サブマシンガンを構えたその小さなメイドさんから私を庇うようにアスナさんが前に出る。

 

「ああ?ミレニアムタワーの壁面を登っておいてどこが不審者じゃないんだ!! バッタか何かみてーにぴょんぴょん跳ねやがって…。」

「うん? 確かに、それはちょっと擁護できないかも…。」

 

確かに、少し行動が大胆にすぎたかもしれない。

それにしても、これほどの気迫を放つ人に平然としていられるアスナさんは、私が思っているよりも大物な人物なのかもしれない。

 

「それによぉ…わかってんだぜ。 てめぇ、只者じゃねぇだろ。」

 

ギラギラと光っていた目が少し落ち着き、逆に冷たさを感じる鋭い眼光になる。

 

「この辺じゃそうそう会えない、圧を感じるぜ。 このミレニアムサイエンススクールで、何をしようってんだ?」

 

なるほど、ただ戦闘が好きなだけではないようだ。

目の前の小さなメイドからは、このミレニアムサイエンススクールを守るという、強い意志を感じる。

私に対してここまで敵対心を出しているのは、私がこの学園の脅威と認識しているからだろう。

彼女と撃ち合う理由は何一つない。

こちらの事情を話せば、警戒を解いてくれるだろう。

 

「はじめまして。 わたしはあびどすこうこ

「この子はアビドス高校から来たレイヴンちゃん! ここにはエンジニア部の人達に用があってきたんだって!」

「あん?エンジニア部に何してもらうつもりなんだよ?」

「あたらしい「なんか厳しい戦いが控えてるから、特別な武器を作ってもらいに来たんだって!」

「特別な武器だぁ?ますます怪しいじゃねーか。」

「ここに「でもでも、シャーレの先生の案内でここに来たんだって! もし悪いことに使うつもりなら、先生がエンジニア部を紹介することはないと思うな!」

「オメーそれを1番最初に言えよ…。あーくそっ、時間無駄にした…。」

 

私が喋ろうとするところをことごとくアスナさんに上書きされてしまったが、どうやら納得してくれたようだ。

 

「あー、それじゃ最後にひとつ。 駅の前でぶっ壊されてたあのブリキ人形、やったのお前か?」

「…はい、わたしがやりました。」

「オーケーオーケー、じゃああのブリキを叩き切れる化け物刀を持ってるのが変なやつじゃないってことがわかって良かったよ。…いや、変なやつではあるか。」

 

最後の質問を終えると、その小さなメイドさんはようやくサブマシンガンをしまってくれた。

 

「まぁいいや、あたしは美甘ネル。 アスナと同じメイド部で、そこの部長をやってる。

今回はこれで終わりだが、次怪しいことしたら問答無用で蜂の巣にするからな。」

「アスナ、そのチビ助をミレニアムタワーの入り口まで案内してやれ。C&Cが一緒なら不審に思われないだろ。」

「了解! じゃ、ご飯も食べ終わったし帰ろっか!」

「は、はい。」

 

なんとか暴力沙汰になる事は防げた。

その後はミレニアムタワーの中をアスナさんに案内してもらいながら、入り口まで送ってもらった。

 

「じゃ、元気でねー!」

「はい、みじかいあいだでしたが、おせわになりました。」

 

アスナさんに元気に手を振られながら、ミレニアムタワーを離れる。

次はどこへ行こうかと考えたところで、先生からメールが来た。

どうやら、頼んでいた代物が出来たらしい。

エンジニア部のみなさんが、最終調整は私と一緒にやりたいとの事なので、落ち着いたら戻ってきてほしいとのことだ。

すぐ戻ります。と返信を打って、私は最初の実習センターへ向かった。

 

 

 

エンジニア部部室

 

「できたよ、レイヴン。」

「うん…。我ながら、いい出来。」

「さぁさぁ、早く解説をさせてください!」

「よろしくおねがいします。」

"相変わらず仕事が早いね。"

 

エンジニア部の工房に入ると、要望通りに作られた見た目が異なるライフルと、どこか懐かしい気がする円柱型の機械と、胸に夕暮れ時を飛ぶカラスのワッペンが付けてある灰色のパーカーがずらっと並べられていた。

おまけに、いくつかの試作品も一緒に並べられている。

 

「じゃあまずは…このパーカーから…。とりあえず、まずは着てみて。」

「はい。」

 

今まで着ていたパーカーを脱ぎ、ヒビキさんが用意してくれたパーカーに着替える。

元のパーカーより若干重い感じがする。

 

「このパーカーには、着ると暖かい以外にも色々機能が備わってる…。」

「ほう?」

「まず、防弾性に優れている。平均的なライフル程度なら貫通しない。」

「それは、たすかります。」

 

このパーカーには、防弾チョッキとしての機能も備わっているらしい。

頼んだ後になって防弾チョッキをつけるとせっかく付けてもらったカラスのエンブレムが隠れてしまうと思ったが、その心配は要らなそうだ。

 

「それから、防水、防炎、防爆機能も付いてる。」

「はい?」

「あと、胸のカラスのワッペンを親指で3秒触れ続けるとパーカーが透明になる。」

「はい!?」

 

試しにワッペンを3秒触ると、まるで消えるように透明化していき、下に着ているアビドスの制服と校章もはっきり見えるようになった。

MDD方式ではない、完全に肉眼で視認できないステルス技術は、初めてみた。

完全に意表をつかれた私の顔を見て、エンジニア部の皆様は満足そうに微笑む。

 

"凄いね…着てるかどうかもわからないよ。"

「うん…驚いてくれたみたいで良かった…。」

「いったいどういうぎじゅつですか…?」

「それは秘密だよ。」

 

完全に未知の技術に不気味さを覚えるが、この機能があればもう変装用のパーカーを鞄に入れる事に苦戦することもなくなる。

おまけに防弾仕様…というか過剰なまでの防御力も備わっているので、今まで以上の無茶ができそうだ。

ありがたく使わせてもらおう。

 

「さて、次はこの新しいライフルだ。要望通り見た目を似せないように作ったよ。」

 

ウタハさんがライフルを少し重そうにしながら私に手渡してくれた。

相変わらずストックは無いが、この見た目ならレイヴンが疑われる事はないだろう。

 

「でも、試射はまだしてないんだ。フルオートの対物ライフルなんて、私達では撃てないからね。データ上では威力が20%程度向上しているはずだ。是非試してくれ。」

 

ウタハさんがコトリさんに合図を送ると、簡素な的が5つほど出てきた。

早速新造のライフルを握りしめ、発砲する。

タァン! タァン! 

今まで使ってきたライフルと遜色のない使い心地だ。威力も不足している事はないようで、命中した的は粉々になった。

残りの的も問題なく撃ち落とす。

 

「うん…かんぺきです。 ありがとうございます。」

「良かったよ。 実際に使ってみるまでは、成功しているかどうかわからないからね。」

 

これほどのものを、1日もたたず作れるなんて、彼女達の技術力は部分的には私がいた世界より進んでいるようだ。

 

「満足していただけたようで良かったです! さてさて最後の品はさえずり砲で終わってしまっていた私達エンジニア部と火薬研究部こと花火師のコラボレーション作品の新作です!!」

 

コトリさんが目を輝かせながら円柱型の機械…パイルバンカーが乗った台車を押してくる。

 

「元々はレールガンの技術を応用した電磁誘導でパイルを打ち込む予定だったんだが、どうしても重量問題を解決できなくてね。」

「少し行き詰まったところに、火薬研究部の子達が「耳鳴り砲を撃った猛者はどこメリ…どこです!?」って押しかけてきてね…。」

「彼女達は時間がない忙しい方々…なんせ火薬研究部の製品はミレニアムだけではなく、このキヴォトス全体で人気ですが、その武器の弾薬は全て彼女達の手作りなのです!学校にいる時間の8割以上が注文品の制作に追われているのだとか…まぁとにかくその人達がパイルバンカーの杭を打ち出すための火薬とそれが詰まったカートリッジを速攻で作ってくれましてね!」

 

コトリさんはパイルバンカーの底の方に取り付けられた平たい円柱状のパーツを指差す。

 

「先ほどと同じ理由で実際に試してはいないのですが、計算上123回使用できる分の火薬が入っているそうです!おまけに残り使用回数が20を切ると全体にカタカナで『カエドキ』と表示されるそうです!」

「それは、わかりやすくてべんりですね。」

"そんな虫除けみたいな…"

「使用回数に制限がないことを達成できていないが、初めて作る武器だ。 データ取りも兼ねて、カートリッジの交換時期を目安に持ってきて整備させてほしいんだ。

その頃には本来のプランの重量問題も解決できるようになっているかもしれないしね。」

「ひゃっかいもうてればじゅうぶんです。」

 

早速パイルバンカーを左腕に装着する。

流石にパルスブレードよりは重いが、これくらいならいつもの動きに支障も出なさそうだ。

この重さと大きさなら、ホシノさんの盾と同じような使い方も、単純に鈍器として殴ることも出来そうだ。

 

「試しにゴリアテの正面装甲を模倣した標的を用意した。使い方の説明も兼ねて、一回使ってみてくれ。」

「なに、簡単さ。 トリガーを引くと杭の射出態勢に入る。あとはタイミングを合わせて殴りつけてくれ。」

「…むずかしくないですか?」

 

文句を言いつつもとりあえず用意された鉄板に対して、パイルバンカーを放つ。

ガコンッという重い音ともに、鉄板が串刺しにされる。

タイミングを掴めるようになれば、もっと効果的に使えるようになるだろう。

 

「…なるほど、まんぞくです。 えんじにあぶのみなさん、ありがとうございました。」

「気に入ってくれて良かったよ。これからも気が向いたらいつでも来てくれ。」

「また、服を作って欲しくなったら言ってね…。」

「満足してくれたということは…今度は私たちが報酬を受け取る番ですね!夢にまで見た人型ロボットの整備…ああ、楽しみです!!」

 

こんな素敵な武器まで作って貰った上に、ローダー4の修理までしてもらえる。

彼女達が望んでいることとはいえ、少し申し訳ない気持ちになる。

何か別の形でお礼をしなければ…と思っていると、ウタハさんが話しかけてきた。

 

「レイヴン。最後にもう一つだけ試してもらいたい武器があるんだが、いいかな?」

「もちろん、ここまでしてもらいましたから、なんでもきょうりょくしますよ。」

「ありがとう…こんな武器、扱えるのはきっとレイヴンだけだから…。」

「試して頂きたいのはこちらです!先ほど重量問題を解決できなかった100%エンジニア部製の試作パイルバンカーです!」

 

そういうと、コトリさんは今私が持っているパイルバンカーより二回りほど大きい物を台車に載せてふらつきながら持ってきた。

 

「たしかに…おもそうですね。」

「うむ。 ただ、耳鳴り砲を扱えた君なら、とりあえず持ち上げて構えるくらいはできるはずさ。」

 

左腕のパイルバンカーを交換する。

ずしり、と重さがのしかかる。

これでは私の得意なスピードを活かした戦いはできないだろう。

それに何やら不明なボタンがたくさん付けられている。

 

「あの、このたいりょうのぼたんたちは…?」

「ああ、すぐにわかるよ。それでは早速使ってみてくれ。使い方は同じ、トリガーを引けば良い。」

 

言われた通りトリガーを引くと、先ほどとは違う独特な加速音を響かせ杭が飛び出す。

威力は先ほどの物とほぼ同等で満足のいくものだった。

 

「ふむ…ではレイヴン。次はこのパイルバンカーに備え付けられたロマンを体感してもらおう。真ん中の赤いスイッチを押してくれ。」

「ろまん…はい。」

 

言われた通り、赤いスイッチを押す。

するとパイルバンカーは変形し、多数の放熱板が現れると同時に、音声が流れる。

 

『フェーズ3.5 パターンE 出力リミッター解除』

「り、りみったー?」

「よし、正常に作動したな。 先生、危ないからこっちに来てくれ。」

"危ないの!?"

「もちろん!リミッターが外れましたから!」

「あの、わたし、どうなってしまうのですか…?」

「大丈夫…その新しいパーカーが貴方を守ってくれるはず…多分。」

「たぶん…。」

 

とんでもないことを引き受けてしまったと後悔している自分と、何が起きるのか少しワクワクしている自分がいる。

皆が離れていく中、パイルバンカーから青白い光が洩れ始め、時間の経過とともにその強さは増していく。

 

『各部アクチュエータ、駆動コストおよび上限値再設定…完了』

「レイヴン、今だ!叫んでくれ!」

「さ、さけぶってなにを?」

「なにかかっこいいセリフでビシッと決めながらトリガーを引いてください!」

「なんでもいいよ、ただ録画するから…あまり変な事は言わないでくれると助かる…。」

"レイヴン!これは必殺技って奴だよ!カッコいい!"

 

先生までノリノリだ。ここまで期待されては、仕方ない。

私は今までの人生で、印象に残ったかっこいいセリフを思い出す。

…やはり、このセリフだ。

あの時のラスティは、脳を焼かれた私でも痺れるくらい、かっこよかった。

 

「これできめる…!」

 

皆の歓声を聴きながらトリガーを引く。

ドゴォォオン!!!という凄まじい轟音と共に青白い光に包まれた杭が発射され、部室の壁に大穴を開けながら飛んでいった。

耳鳴り砲とは比にならない、自分の左腕が無くなったかもしれないと感じてしまうほどの衝撃が私を襲う。

 

「おお…。」

「素晴らしいね…。」

「でも、これは…。」

「「「パイルバンカーではないな(ね)(ですね)。」」」

"レイヴン!とってもかっこよか…じゃなくて大丈夫!?"

「だ、だいじょうぶ…です…!?」

 

パイルバンカーだったものから漏れ出ている光が段々と強くなっていく。

この光り方、なんとなく見覚えがある。

ああ、思い出した。

グリッド086でシースパイダーを撃破した時、中央氷原でアイスワームを撃破した時、技研都市でアイビスを撃破した時に見た時の光と似ている。

つまり

 

「爆発するぞ!離れろ!」

「先生、離れて!」

「あの、わたしは…。」

「大丈夫…その為の特製のパーカーだから…。」

 

本当に大丈夫なのか?

そう聞き返す前に私はパイルバンカーだったものの爆発に飲み込まれる。

 

"レイヴーン!!!!"

 

衝撃は凄まじかったが、特に異常は無い。

どうやらヒビキさんの言う通り、この特殊パーカーが守ってくれたようだ。

ただ、私をこんな危機に晒したのも彼女達だと思うと、かなり複雑な気持ちになる。

 

「…けほっけほっ。」

「良かった。生きていたか。」

「先に着ていて貰って良かった…。」

「うーん…やはりリミッター解除はロマンですが、問題も山積みですね…。ところであの飛んでいった杭はどうなっているんでしょうか?方角からしてミレニアムタワーに突っ込んだと思われますが。」

 

…ミレニアムタワーに?

 

"それってかなり問題だよね!?"

「まぁ…レイヴンが生きてくれていたんだ。良しとしようじゃないか。」

「…いいわけ…」

"レイヴン?"

 

彼女達のあまりに変わらない態度に私は思わず、作業机の端を掴みちゃぶ台を返す要領でひっくり返し叫ぶ。

 

「いいわけないじゃないですかぁ!!」

 

Ab06、生徒名レイヴン。普通に怒る。




最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
さて、レイヴンちゃんの挙動がどちらかというとACV寄りになっている今日この頃らブルーアーカイブのアニメが始まりましたね。
かなり図々しい考え方ですが、なんか一人足りないな?って思えてもらったら良い二次創作が出来てると思えます。
誤字報告も、感想も、ここ好きも全て因数分解したいので沢山いただけると嬉しいです!
それでは、また。
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