七囚人『深淵の蛇』   作:ゲヘナ狂

18 / 29
今回は短めな代わりにアビドスのアットホーム感満載でお送りします

ここすきを見てみると前回小ネタ程度に散りばめたビナマキ要素を拾ってくれている方がいて嬉しい。
あとたまに無をここすきしてる読者ニキネキがいて困惑もする


深淵、暁を覚えず

 

 

「ヤ~ツ~メ~ちゃ~ん??何か私に言うことあるよね?」

 

「え………えぇっと…ごめんなさい?」

 

「ホントに心配したんだよ!?」

 

「いや…その…正直そんな怒ってるとは………」

 

「そりゃあ怒るよ!!!!!!!!!」

 

「ピィ」

 

ビナー討伐現場*1から数百キロ、アビドス自治区の数少ない病院の一つにてヤツメは焼け爛れた右腕の治療と説教を受けていた。

黒服は『誰かが近づいてるのでトンズラしますね』的な内容をヤツメに伝えて姿を消したため、ヤツメを叱っている人物─ユメと遭遇することは無かったが。

 

「いや…でもホントびっくりしたよ…まさかユメちゃんが颯爽と車で現れるなんて」

 

「しばらくお仕事お休みするって伝えてから飛ばして来たんだよ!!!」

 

ユメはアビドスの卒業生であり、卒業後はミレニアム自治区にある小規模な会社に就職し、アビドス対策委員会に支援を続けていた。

そんなユメだが、先のヤツメからの電話を受け、急遽ミレニアムからアビドスまで車で突っ走って来たのだ。

久しぶりに連絡が来た友人から自殺行為をするために遊びにいくと伝えられたユメの心境は推して知るべし

 

「本当に、ほんっっっっとに右手だけで済んで良かった!」

 

「いや…その………」

 

「言っとくけど私達が防いだ時だって結構ギリギリだったからね!?まともに受けてたら最悪死んでたし何なら私死にかけたからね!?」

 

「あ…あはは………」

 

「あははじゃありません!」

 

「ピィ」

 

頭ゲヘナを地で行く狂人『深淵の蛇』も、親しい友人からのガチ説教に怯む程度の倫理観は辛うじて残していたらしく、ユメの勢いにタジタジである。

特に二人は同級生であったというのもそれに拍車をかけているのだろう。

まぁ、この狂人は一年ムショ暮らしだったため強制的に留年しているが。

 

「と!に!か!く!もう無茶しないで!本当に!」

 

「アッハイ」

 

ガチ説教を食らってしまったヤツメ。友人を不安に晒してしまったという罪悪感をちょっぴり感じて反省気味である。

 

「はぁ…もう、相変わらず突飛だね。逮捕されたって聞いた時はヴァルキューレに乗り込もうとしたけど………」

 

「え?いやちょっと待ってそれ本当?」

 

「本当だよ?シロコちゃんはどこからか色んな物資を持ってきたしホシノちゃんも珍しくそれに協力的でさ…でもノノミちゃんのツッコミでみんな正気に戻ったからやらなかったけど…」

 

「あ、そう………」

 

ヤツメにとって意外過ぎる新事実である。

原作のことを知っているヤツメからすれば、何とかユメを生存ルートに持って行けたことに満足するばかりで、ホシノ達のことはあまり意識していなかったから。

ホシノがこの世界線できちんと"おじさん"になっているのかすらヤツメは先日ユメに電話するまで深く考えたことは無かった。

 

「…………そういやそのホシノちゃん達はどーよ?おじさんになったって聞いたけど」

 

「そうそう!なんとね…今年のアビドスには新入生が二人も来てくれたの!」

 

「そいつぁめでたい」

 

「それでホシノちゃんはね…前の感じだと新入生に怖がられるかもしれないってキャラ変したんだって!」

 

「なるほどですね~」

 

やはり世界はおじさんに収束したようだ。

 

「よ~し、せっかく来たんだしホシノちゃん達にも会っていくとしますか」

 

「そうだね!……でも、無理はしないでね?」

 

「ウッ…善処する」

 

ユメの一切裏のない心配からくる忠告に、ヤツメの(心の)HPは少し減ってしまった!

そして無自覚にヤツメへクリティカル攻撃を放った当のユメは携帯を取り出し、電話を掛けた。

相手は無論のことホシノである。

 

「もしもし!」

 

『わぁ~ユメ先輩、どうしたんですか~?』

 

「えっとね…ちょっと纏まったお休みが取れたから戻って来てるんだけど…」

 

『えぇ!?ほんと~!?じゃあいつも通り柴関で合流しましょ~!』

 

「うん!ヤツメちゃんもいるから周りの眼には気を付けてね!」

 

『ふぇ…せ、先輩ってば私のことそんなに喜ばせてどうするつもりなの~…』

 

幸せ爆撃だよ!!!!

 

そういうこった!

 

「あぁもう!喋っちゃだめだよヤツメちゃん!サプライズの意味が無いじゃん!」

 

「知らせてる時点でサプライズじゃない定期」

 

『ほ、ほんとにヤツメちゃんの声だ~…』

 

『ん、サプライズならもっと盛大にするべき』

 

『シロコちゃん!?いつの間に!?』

 

『さっき起きた』

 

「わぁ!シロコちゃんも!楽しみにしててね!」

 

『ん』

 

『うへ~後輩や先輩に囲まれておじさんは幸せだよ~…』

 

「あぁ………………もっと幸せになるがいいさ、今度ゲヘナで……いや、指名手配中だったわ私」

 

『もお~ヤツメちゃんったらおっちょこちょいなんだから!』

 

 

「「『あはははは!』」」

 

 

液晶越しの談笑は未だ始まったばかりであるが…

そこにあったのは、確かに青春を謳歌する学生達の姿だった…

 

 

『ん、総監部と私達のエピソードゼロももっと掘り下げるべき』

 

 

勘弁してつかぁさい。

 

 

 

 

 

 

 

*1
ビナーくんはあの後普通にお仕事に戻っていきました




実はゲヘナの次にアビドスが好きだったりします


追記

掲示板形式とやらも試してみたいけどその辺の文化が全く分からんので二の足を踏みまくっててもう足が無くなりそうですわ…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。