七囚人『深淵の蛇』   作:ゲヘナ狂

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ゲヘナオオバカモノオロチの生態①

「うへへ~先生、良い店でしょ?柴関」

 

「それはそうなんだけど……」

 

「大丈夫ですよ先生!私達なりのサプライズです☆」

 

「ん、替え玉」

 

「あいよ」

 

対策委員会御一行は、シャーレの先生を伴い柴関へと来ていた。

ヘルメット団への対応でもう一悶着あったのだが、再び先生と協力することでそれは解決した。

 

「そういえばさっき色々連絡来てましたけどあれは何だったんですか?」

 

そんな空気の中、アヤネは先輩方を見回しながら尋ねた。

のんびり構えているかと思えばやる時はやるホシノのことだ、セリカのバイト姿を見に来ただけというのも十分ありうるが、アヤネとしては違和感を拭えない。

 

「う~ん…そろそろネタバラシしちゃっていいかなぁ」

 

「だめ、まだ二人が到着してない」

 

何やら事情を知っているシロコも交えて逡巡するホシノ。

と、そんな折にタイミングよく入店してくる─正確には車の止まる─音が外から聞こえてきて、ホシノとシロコは口元を綻ばせる。

 

「ふふ…その答えは今ここに到着したよ!アヤネちゃん!」

 

「えぇ?」

 

どこまでも煙に巻くような態度の二人であったが、その煙が晴れるのにはそう時間はかからなかった。

 

「ィイヤッホ~!!!!みんな~!!!!!」

 

来店と同時に元気よく挨拶をしてきたのは、アビドス生なら誰もが知っている青髪の乙女にしてみんなの先輩『ユメ』であった。

その姿を見て、ホシノとシロコの意図に気付いたアビドス生たちは一気に沸き立った。

 

「ユメ先輩!」

 

「わあ☆まさかのユメ先輩です!」

 

「朝っぱらから妙に機嫌がいいと思ったらこういうことだったのね……」

 

「そういうセリカちゃんだって嬉しいでしょ~~~~」

 

「っもう!当たり前に決まってるでしょ!」

 

「セリカちゃんがデレたぁ!!」

 

「おわっ!?」

 

三者三様の反応をする後輩達を見たユメは、愛おしさが抑えきれなくなりセリカに抱き着いた。

口ではともかく、セリカは満更でもないようだった。

 

「うへへへ、紹介するね先生。この人はアビドスの卒業生であるユメ先輩だよ!」

 

「ふぁ~早速皆がお世話になったみたいでありがとうございます~~」

 

「先生として当然の仕事をしたまでだよ」

 

「重ね重ねありがとうございます~~」

 

「ちょっ……先輩…そろそろ……//」

 

「ひぃん……ごめんねセリカちゃん」

 

それはそれは名残惜しそうにセリカを離すユメ、これを見た先生は何か新しい扉を開きかけたが、大人としての責任感でそれを無理矢理封印しユメと対峙していた。

少なくとも彼女が相当慕われているというのはこの光景を見れば一瞬で理解できる光景である。

 

「それにしてもまさか今日会えるとは思いませんでしたね☆」

 

「にへへ~纏まったお休みを貰っちゃったからさ~飛んできたんだ~」

 

「そういう訳なんだ~、皆驚いたでしょ!」

 

「はい☆とても驚きました」

 

「ん…しかも今日は一味違う」

 

「?」

 

シロコの発言にホシノとユメ以外は訝し気な視線を向ける。

それとほぼ同じタイミングで、再び柴関に入店する者がいた。

 

「大将ォ!!!さっきぶりぃ!!!!」

 

「おう、さっきぶり」

 

「「「「!?」」」」

 

勢いよく来店してきたその少女、紫髪紅眼の彼女は柴大将から先生達のテーブルへと目を向けると、微笑を浮かべて口を開いた。

 

「……やっはろ~だぜののみん、そっちのメガネっ子ちゃんははじめましてだな」

 

「ヤツメ先輩!?」

 

「???」

 

驚愕に支配されるノノミと、困惑に支配されるアヤネ。

セリカは業務をこなしつつも、このただならぬ気配を感じる少女から目を離せずにいた

 

「ふふふ~この人こそゲヘナの誇る才媛にして今は無き秩序総監部元部長!」

 

「……そして七囚人が一人、『深淵の蛇』八岐ヤツメだ、よろしくな、アビドスの新米達……それとシャーレの先生」

 

「「「えええええええええ!!!!??」」」

 

先生、アヤネ、セリカの絶叫が店内に響き渡った……

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ…もうやめよう…?」

 

アビドス砂漠。

照りつける太陽と吹き付ける砂塵も厭わず進軍する武装集団がいた。

彼女らは随分長い間戦ってきたらしく、防弾チョッキや各々が持つ銃などの装備は砂に塗れていた。

 

「怖気付いたかカクラ。我々はもはや死兵に等しい、あの人のいないところなぞキヴォトスの何処だろうと御免こうむる」

 

「それは…まぁ…うん、でも物資はそろそろ限界だよ?カタカタヘルメット団も最近見ないし…」

 

「そこよ、私もそれに悩んでいる」

 

武装集団のリーダー的存在なのだろう少女達は、減りゆく物資に対する憂慮を共有していた。

統一されたバイザー付きヘルメットからその表情を伺うことはできない。

 

「……いっその事アビドス高校を…」

 

「笑止千万。それをするくらいならここで朽ちる道を選ぶ」

 

「だよねぇ…」

 

「……しかしとうとうその案が出るほどに追いつめられたか」

 

「私たちが来た頃にはカイザーの雑兵もヘルメット団もいっぱいいたのになぁ…」

 

「我々の活動が実を結んだのだ、それに関して誇りこそはすれ後悔など万に1つも無い」

 

「…そう、だね。」

 

「……アビドスか」

 

駄弁りながらも、歩を止めることはしない。

彼女らは常に一定のリズムで進んでいた。恐らく無意識だろう。

 

「……元気にしているだろうか?彼女らは」

 

「…さぁ」

 

そう言って1人の少女が掲げた携帯端末に広がっていたのは真っ黒な画面だ。電源ボタンを何度押しても起動する気配は無い。

 

「ま、何とかして見せよう」

 

「あぁ、そうだな」

 

一切ペースを落とすことなく進軍する武装集団。

彼女らの装備しているバイザー付きヘルメットや防弾チョッキなどの物品に刻まれていたのは、くすんだゲヘナの校章、その隣に──

 

「「総監部監査部門の誇りにかけて」」

 

──今は無きゲヘナ秩序総監部の紋章が確かな存在感を以て刻まれていた

 

 




生徒紹介


愛新カクラ

所属:ゲヘナ学園

部活:秩序総監部

学年:三年

年齢:18

身長:163

体重:ひみつ

ヘイローの形:一般的に連想される竜の爪のような形

髪色:黄

眼の色:金

髪型:ストレート

誕生日:2月17日

元はパッとしない性格だったが、ヤツメと出会ったことで急変。
口では消極的なことばかり言うが、その腹の内に秘める発想は誰よりも過激であり、カヤノと並んで監査部門の双璧として恐れられたり恐れられなかったりされた。


石原カヤノ

所属:ゲヘナ学園

部活:秩序総監部

学年:三年

年齢:17

身長:172

体重:ひみつ

ヘイローの形:菊の花

髪色:黒

眼の色:茶

髪型:ベリーショート

誕生日:9月18日

厳格で真面目な性格。少々天然なところもある。
しかしヤツメに心酔しており、ヤツメが絡むと見境が無くなる。
ようはサオリに狂信者属性を一つまみしたような子。











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