七囚人『深淵の蛇』   作:ゲヘナ狂

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マコト様の笑い方、声を聞くまでは某海賊漫画の『グララララ』とか『ハハマママ』みたいな名状し難い類のものだと思ってました。
実際聞いてみると『キヒヒッ…』って感じですごくよかった(唐突な語彙の消失)

あと急に水着回の幻覚が降りてきたけど想定メンツ的に本編に区切りが付いた頃(エデン条約編後)になりそう。
長いね。


※こうしてアビドスでわちゃわちゃしている間にもカタコンベでは一分に六十秒が経過しています

マコトの姿を認めた便利屋─アル、ムツキ、ハルカは臨戦態勢に入りかけるが…

 

「やめて皆、私達じゃ勝てっこないよ」

 

「えぇ!?」

 

「ほう」

 

カヨコの諦めるような発言によって、その勢いは幾分も削がれた。

実際、カヨコは普通の態勢…いっそリラックスでもしているかのようにいつも通りであった。

 

「ヒナがあまりにも有名すぎて霞んでるけど、マコトも相当な実力者なんだ」

 

「キキッ、よく分かっているじゃないか、総監部の実力ナンバースリーとは私のことだ!」

 

「ちなみに一位がヤツメ先輩で、その次がヒナだよ」

 

「めっちゃ強いじゃない!?!?!?!?!?」

 

「これよりヤバいとかヤツメちゃんってどんだけなの…?」

 

「あっ…終わりです…私達は捕まってこわぁーい怪獣に丸呑みされちゃうんです…」

 

続々と開示される情報に恐れおののく便利屋の面々。

仮に彼女ら四人がガチで戦ったとしても、マコト単独で制圧するのには三分もかからないだろう*1

 

「まぁでも貴様らと遭遇したのは偶然なのだがな」

 

「「「「え?」」」」

 

「なに、偶には動かねば腕も鈍るだろうと思ってブラックマーケットに屯し不良共をシバきあげていたのだが…」

 

「銀行から颯爽と走り去っていく影とそれを追いかける便利屋(貴様ら)を見たのでな、気になって追いかけて来ただけなのだ」

 

「えぇ~…」

 

偶然の遭遇と知って、便利屋の面々は己の運の悪さを呪った。

そうこうしている間にも、マコトは覆面水着団の方へ向き直り…

 

「しかし懐かしいな!アビドス!風の噂で新入生が二人入ったと聞いたぞ!」

 

(バ、バレてる~!?)

 

その一言でバレていることを理解した覆面水着団………アビドス+ヒフミは、大人しく素顔を晒し話すことにした。

ちなみに背後でアルの驚く声が聞こえたが、それには触れなかった。

 

「うっへ~さすがマコトちゃん、この程度の変装はお見通しって訳だね~」

 

「そうですね…マコト先輩ってこういうので案外騙されてくれそうなんですが…」

 

「ん、トップの貫禄」

 

「キキッ、どれほど姿を偽ろうが滲み出る神秘までは誤魔化せん、まして見知った者となるとなぁ!」

 

「マコトちゃ~ん!」

 

「へぶっ!?」

 

もはや飛び掛かる勢いでマコトを抱擁したのは、どこぞのコールサインゼロワン並の人懐っこさを持つ大人、梔子ユメだ。

ユメの抱擁は、本人のいっそ殺人的なまでのバスト*2と合わさって一種の試練のように息苦しいのが常である。

 

「もごっ!もごごっ!」

 

「マコトちゃ~ん久しぶり~~~というかまた背伸びた~?」

 

「待ってくださいユメさん!マコトさんが!マコトさんが!!」

 

「あっ!?ごごごごめんねマコトちゃん!!!!」

 

「モガッゲッホゲッホ…ま、全く、ユメ先輩も相変わらずのようで何よりだ」

 

暴走するユメを止めたのは、この場で唯一のトリニティ生であるヒフミだった。

成り行きで銀行強盗をした上に、表面上関係の微妙なゲヘナのトップを前にして大して動じていないその胆力は尋常なレベルではないだろう。

 

「そして…ふむ、貴様はトリニティ生か」

 

「え!?あっ!はい!ヒフミです!阿慈谷ヒフミです!」

 

片やゲヘナのトップ。片や逸般*3トリニティ生。

代々仲が悪いこの組み合わせに、先生やアビドス、そして便利屋までもが緊張を覚えた。

若干眉を顰めてヒフミのことを見ていたマコトだったが、委縮したヒフミが反射的に自己紹介したおかげで、マコトの眉間の皺はあっさりと無くなった。

 

「ヒフミ…もしやナギサのお友達だという、あのヒフミなのか!?」

 

「うぇっ!?あっはい!ナギサ様には色々とお世話になってます!」

 

「奴からの話を聞く限りでは銀行強盗なぞするような奴には思えなかったが……やはり人は見かけによらないという訳か…」

 

「あっ…あははは…………」

 

マコトの言に曖昧な笑みで返すしかないヒフミ。

まさか成り行きで銀行強盗をさせられるなんて微塵も思っていなかった故に、本人的には不本意………の筈である。そうだよね?

 

「ホントなの?ナギサの友達って」

 

「あぁ!例の条約の調整やら何やらで奴とはよく会うが…会話のレパートリーがミカかセイアかヒフミか紅茶しかない*4のだ」

 

「…………相変わらずなんだね」

 

これに反応したのは意外にもカヨコであった。

それもそのはず、元総監部のメンツは大なり小なり彼女らと関わりがあるのだ。

一年程会えていないカヨコが反応するのも仕方のないことかもしれない。

 

「………しかしこの場にいるなら好都合、ヒフミ、これをナギサに届けてくれ」

 

「あ~分かりまし…うぇっ!?!?!?」

 

そろそろ『lemon』の合いの手になりそうなヒフミの悲鳴が響く。

何せマコトから手渡された分厚いそれは明らかにエデン条約絡みの代物で、印刷されていたティーパーティと万魔殿のロゴの右下辺りに思いっきり機密指定のハンコが押されていたからだ。

 

「…………それ、ここで渡しちゃっていいの?」

 

これには思わず先生も聞き返す。

普段シャーレで書類の山に追われている彼だが、一応鬼畜厳しい首席殿(リンちゃん)の審査と薫陶を受けている身である、機密書類の取り扱いにも一家言あるのは当たり前とも言えよう。

 

「ご心配に預かり光栄だシャーレの先生…だがこれをこうすればもう大丈夫なのだ!」

 

「心配されてるのに光栄ってどういうことなの…?」

 

セリカのツッコミを流しながら、懐からスイッチ*5を取り出すマコト。

そのスイッチを押した瞬間─

 

「え!?え!?消えちゃいました!あっでも重さはそのまま…」

 

「キキッ!これこそ開発部門の傑作が一つ!『何でも透明化スイッチ』だ!」

 

「そのまんまなネーミングだね!?」

 

唐突に出てきた便利アイテムとそのシンプルなネーミングを驚きを以て迎える一行。

だがシンプル故にその応用性は幅広く、事実マコトは次に自分の姿すらも消してみせる。

 

「うへっ!ホントに見えない!…あっでも触れはするんだね~」

 

「そりゃあ触れなかったら運搬物にかける意味が無いしね~」

 

「キキキッ!これで理解してもらえたかな?諸君」

 

姿を現し、ここぞとばかりのドヤ顔で一同を見回すマコト。

しかしそこにカヨコがボソッと呟いた言葉がマコトに突き刺さった─

 

「……先輩のせいでもう麻痺しきってたけど、本来機密書類って作った本人だろうと簡単に持ち出していいものじゃないからね?」

 

「なっ──」

 

「「「「「それはそう(だね)(です)(よ)」」」」」

 

便利屋、アビドス、ヒフミ、先生、満場一致──

今ここに新たなる条約機構が設立され、ブラックマーケットの安定化を─

 

「しかし持ってきたものは仕方がないではないか」

 

「それはまぁ…………そう…だね」

 

図る前に条約機構は崩壊。

哀れキヴォトスは混沌に呑まれ往く選択をしてしまったようだ。

鬼畜米帝すらも恐れ慄くその選択をしてしまったここ(キヴォトス)に敬意を─

 

「まぁ、そんなことはいい、ついでの様なものだ」

 

「エデン条約をついで呼ばわり…」

 

「メインの用件はまた別にあるからな」

 

気を取り直したマコトは、不意に便利屋の方に向き直り…

音も無く己の得物を取り出した。

 

「!?」

 

「え?」

 

そして、一同の脳がマコトのその動きを処理し終わった頃には、彼女は意識の無い状態のアルを米俵のように担いでいたのだ。

 

「キキッ、まずは一人」

 

「っ!」

 

その後、鈍い音が2回響いたかと思えば─

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズガァァァァン!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………存外、鈍ってはいないようだな」

 

「………お褒めに預かり光栄です、議長殿」

 

マコトとカヨコが銃を交えていた。

この場合の交えたとは、銃撃戦が始まったことの比喩ではなく物理的に交えたという意味である。

 

「前に耳が腐って落ちる程言ったけどさ、銃って本来殴るものじゃないんだよ?」

 

「キキキッ、私専用の殴打特化特別カスタムさ…しかしそんな我が唯我独尊(固有武器)と互角に打ち合ってくる貴様のソレも大概だと思うぞ」

 

「…私のデモンズロア(固有武器)の歴史は総監部(撃たずに直接殴ってくる脳筋共)と共にあるからね、対策はバッチリだよ」

 

今、何が起こったのか?

答えは至極単純だ、まず最初にマコトが目にも止まらぬ速さでアルをノックアウト(銃でぶん殴って気絶させたの意)し、返す刀でムツキとハルカを沈め、その後カヨコも殴ろうとしたところを、カヨコの武器『デモンズロア』が阻んだのだ……

 

 

……………………いや、そうはならんやろ。(なっとるやろがい!)

 

 

唐突に人外のやり取りを見せられたアビドス御一行…いや、アビドス新入生コンビや先生、ヒフミは呆けたような顔をしていたが、それ以外の年長組─ユメ、ホシノ、シロコ、ノノミは驚いた様子はあったもののいつもの調子を崩すことはなかった。

 

「去年と比べたら随分見違えたね~」

 

「そうですね……私も反応するのに精いっぱいでした…」

 

「反応できたのはカヨコ先輩だけ…ん、つよい」

 

「うぅ…マコトちゃん、こんなに立派になってぇ…」

 

「あっユメ先輩が感極まって泣いちゃった!」

 

演習の度、ヤツメと共にマコトの成長を見てきたユメに至っては感極まって目頭にほろりときており、こっちはこっちで大変な状況になっていたが、それはさておき。

さて、その後投降したカヨコと共に、便利屋は万魔殿に捕縛されることとなったのだ…

 

「で、用件って何?ヤツメちゃんのこと?」

 

その後、こんな路上で立ち話も何だとマコトが呼んだ万魔殿の車両でアビドス校舎まで移動することになり、出発してしばらくした頃、後ろの席のホシノが徐に助手席のマコトに問いかけた。

 

「それもある…が、一番はこれだな」

 

「これ…は…………!!!」

 

「マコトちゃん!これって!」

 

「あぁ、昨年度の『預言者』襲撃においてアビドス生徒会に関する重要書類が本校舎と共に砂に埋もれ、本来共同管理だった筈の"アレ"に関するアビドス側の権利が宙ぶらりんになっている件について…改めて、契約の更新をしなければならぬと思って、な」

 

「おぉ~!あれさえあれば借金の返済が結構楽になります!」

 

「ん、この時を待ちわびた」

 

「うん?えぇ?ちょっちょっと皆…?」

 

「そっか、セリカちゃんにはまだ教えてなかったね」

 

「せっかくだし先生にも聞いてもらおうよ!」

 

「そうだね!」

 

次回、アビドスのみんなが喜ぶ完璧で究極の資金源とは何なのか─!?

答えはGWの後で!

 

 

*1
ヤツメやヒナ相手だと一分持てばいい方

*2
「ひぃん…肩がめっちゃ凝るよぉ~」

*3
誤字にあらず

*4
「せっかく会えた友人に対してつまらない政治の話ばかりする方がナンセンスですよ、何事も楽しみが無ければやってられません」

*5
ゾディアーツスイッチみたいなビジュアルをしている




ヒント:アグネスタキオン


ちなみに下記の幻覚が見れるのも本編が一区切りついてからになります。長いね。

見たい幻覚を一つ選んでね、きっと見れるよ(ネオ・ゲヘナ抗争とは…総監部+αが本編時空のゲヘナに飛んだ結果、刺激を求めて宣戦布告してしまう√である…!)

  • ヤツメ、風紀委員会の問題児√
  • ヤツメ、美食研の苦労人√
  • ヤツメ、温泉部最高戦力√
  • ヤツメ、万魔殿の隠し玉√
  • ヤツメ、便利屋の用心棒√
  • ヤツメ、救急医学部の特攻型ヒーラー√
  • ヤツメ、帰宅部の野良強者√
  • ネオ・ゲヘナ抗争編
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