もう1人のバカ兄貴   作:佐倉シキ

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雨降る星にて

 

 

春雨。

 

銀河系の裏社会にその名を轟かせる、最大規模のネットワークを有する犯罪シンジケート。構成員のすべては天人であり、種族の混在が常である彼らの集団は当然ながら統制など名ばかりで、日々混沌とした争いと裏切りが繰り返されている。組織の内情は常に血の匂いを孕み、仲間同士の同士討ちが当たり前のように行われているという。主な活動は麻薬の売買と人身売買。無数の星々で影を落としながら暗躍し、人々からは畏怖と侮蔑を込めて“宇宙海賊春雨”と呼ばれている。

 

(蛮族だな)

 

燕心は己の出自を棚に上げ、冷笑めいたぼやきを胸中に押し込めた。

 

船は静かに宇宙を進み、やがて取引現場となる惑星へと近づいていた。そこは龍宮が直々に指定した星であり、四季折々の花々が絶え間なく咲き誇る美の楽園のような地だという。血と暴力の匂いが渦巻く取引の場としてはあまりにも不釣り合いなほどに華やかな舞台であった。

 

到着までの間、燕心は暇を持て余し、船内の一角に設けられた水槽群の世話をしていた。透明な硝子越しに数えきれぬほどの色鮮やかな魚たちが泳いでいる。青、紅、紫、黄金。それぞれの水槽が一つの小さな庭園であるかのように異なる景色を湛え、流れる水の音が静謐な調べを奏でていた。魚たちは龍宮が寵愛する美のコレクションであり、彼女の気まぐれに従い飼われている存在であった。

 

しかし、その華やかさの裏には残酷な掟が潜んでいる。龍宮が定める美の基準を満たせなくなった魚には、無情な処分が待ち受けていたのだ。かつて輝いていた鱗が鈍く曇り、美が枯れ落ちたと見なされた魚は、容赦なく排除される。小さな命たちは、美しさを保つためだけに生かされ、美しさを失えばあっけなく葬られていく。

 

燕心はその様子を見ながら、言葉にできぬ感情を胸に抱いていた。檻の中に閉じ込められ、龍宮のためにだけ存在を許される魚たち。その姿が、自分と重なって見えたのだ。あっけらかんとした笑顔で魚を捨て去る龍宮の横顔を思い出すたび、燕心は胸の奥に微かな苦味を覚える。

 

思わず猿との戦闘で負った両腕の傷跡を隠すようにして抱えた時、龍宮は楽しげに笑った。その傷は美しくないから、と冗談めかしながら刺青を入れて隠すことを勧めたのだ。今、その両腕には精緻な和彫りの龍が力強くも静かに身をくねらせていた。わざわざこの刺青が見えるように服も袖がないものに変更された。

黒と朱で描かれた鱗は筋肉の隆起に沿って流れ、燕心が腕を動かすたびにまるで生きているかのように優雅に蠢いた。少年の体に刻まれたその芸術は、彼が龍宮に確かに選ばれた存在であることを雄弁に語っていた。

 

閑話休題。燕心は処分の札を貼られた小さな魚たちを眺めながら、ひそかに自室で飼えないかと思案していた。特に、自分と同じ緑の瞳を宿した一匹の小魚に心を寄せていた。珊瑚色の鱗は彼の好みではなかったが、餌を投じると小さな体を震わせながら真っ直ぐに寄ってくる様子は、何とも愛らしく映ったのだ。

 

「おや、極道が紛れ込んでいたのかと思えば燕心さんでしたか。優美な場所は似合いませんね貴方。こんな所で何を? そろそろ到着のお時間ですよ」

 

不意に背後から声がかかり、燕心は振り返った。そこには整った顔立ちの青年、魈雲が立っていた。眼鏡の奥の瞳が皮肉げに笑い、相変わらずの冷ややかさを漂わせている。

 

「極道って……魈雲、俺はお前の先輩だぜ? もう少し敬った発言はできないのか?」

「敬意が欲しいのですか? 分かりました。検討に検討を重ね、検討を加速させておきます」

「検討の無限ループに入るなよ、結論は早めに出しておけ」

「検討の終着点におきましても、検討に検討を重ねた結果更なる検討が必要だと検討が……あれ? 分からなくなってきたな」

「俺はそんなに検討が必要な程度には見下されてるのか? ぶちのめすぞお前」

「まあまあ落ち着いて下さい、似合ってますよそのタトゥー。それにしても柄は龍ですか、貴方本当に気に入られているのですね」

 

魈雲の視線が燕心の両腕に落ち、眼鏡の奥の目が細められる。その声音には軽薄さと同時に、どこか底知れぬ含みがあった。

 

「さて、下らない雑談はここまでにしておきましょう。予定が早まりあと5分ほどで到着です。龍宮様がいらっしゃりますので直ぐに向かって下さい。側仕えは貴方と夕染(ゆうぜん)さんです」

「それを早く言えよお前」

「失礼。魚を見て黄昏る貴方がおもしろ……いえ、中々愉快でしたのでつい」

「言い直した意味は?」

 

ため息をひとつ落とすと、燕心は迷いなくその場を駆け出した。船の通路を抜け、目的の場所へと急ぐ。まだ龍宮が到着する前に間に合うだろうと踏んでいた。

 

やがて辿り着いた入口には、既にひとりの女が立っていた。

 

その女の存在は一目で常人を圧倒する。身の丈は優に180センチを超え、頭には二本の大きな角が天へと伸びている。鍛え抜かれたその肉体は紅蓮のように鮮やかな赤い肌で覆われ、力強く盛り上がる筋肉の線が全身を鎧のごとく飾っていた。黒く塗り潰された強膜の中で、琥珀色の瞳が爛々と燃え立ち、戦場に咲く火焔のように鋭く輝いている。

 

逞しい胸元には重厚な鎧が嵌められ、その下、腰元には大きく裂けたスリット入りのスカートが流れ落ちている。肌を彩るのは、龍を象ったトライバルタトゥー。その存在感は力強い生命の奔流を象徴していた。さらに腕と脚には堅牢な鎧が装着され、そこに刻まれた無数の傷跡が、幾度も死線を越えてきた証を物語っている。

 

彼女の立ち姿は、まさに荼吉尼の戦士。息を呑むほどの威圧感と共に、迫りくる戦の前触れを思わせる凄烈な気配を漂わせていた。

 

「夕染殿。俺らは一応、戦いに行く訳じゃあないぜ?」

 

燕心は肩を竦め、棍棒を手にした逞しい女戦士を横目に、わざと気楽な声をかけた。

 

「ええ、ええ。分かっております。ですが相手は野蛮な宇宙海賊。卑賤な輩が万が一にも親方様に無礼を働くかも知れません。金だけ持った蛮族共など、欠片も信用できません」

「だからこそ俺らなんだろう? 主の手を煩わせる前に敵を叩き潰せる実戦派さ」

「そも、あのお方が出る必要など無かったのですよ。奴らとて提督を遣していない。取引に出したのは第七師団なのです。彼らは春雨でも突出した武闘派集団。何か邪な考えがあるとしか思えない。何故御自らが出られるのか」

「見たいものがあったからだよぅ」

 

ふいに涼やかで艶やかな声が雨音に溶け込み、二人の背筋が一瞬で正された。燕心も夕染も即座に膝を折り、頭を垂れる。

 

「んふふ。心配してくれてたんだねぇ、2人は良い子だねぇ、ありがとう」

 

柔らかく響くその声には、甘やかすような響きと同時に、抗えぬ圧が潜んでいた。

 

「いえ、出過ぎた発言でした。貴女の意思に水を差すなど」

「いいよぉいいよぉ。私の事を考えてくれてるのが嬉しいからねぇ。それより、行こうか。そろそろ時間だからねぇ」

 

龍宮は優雅に微笑むと、軽やかに足を運んだ。

 

彼女の傍らには、立派な箱を抱えた若い侍女が控えている。夕染はそのうちの一人から漆塗りの大傘を受け取ると、恭しく龍宮に差し出した。

 

「親方様、外は雨で御座います。私が傘をお持ちしましょう」

「あらあらぁ、ありがとうねぇ」

 

やがて、鈍い重圧を孕んだ音と共に船の扉が開き始めた。金属の擦れる軋みと機関の停止音が耳をつんざく。燕心はその音が昔から苦手だった。轟々とした残響の中で、遠い記憶の奥底から幼子の悲鳴が幾重にもこだまし、頭の奥を揺さぶる。

 

扉が完全に開かれると、雨の匂いが一気に流れ込んできた。夕染が傘を開き、龍宮を先導する。燕心も足を踏み出すと、小さな雨粒が頬や肩を叩き、衣を濡らした。ザーザーと地を洗う音に、混じるのは土と花が混ざった独特の香り。くらりと頭が揺れ、鈍い痛みが脳裏を掠めた。何か、何かとても大切な事を忘れている気がする。だが、掴もうとすると霧のように指の間から零れ落ちていった。

 

「燕心、燕心」

「はい、どうなされましたか?」

「催花雨って、知ってる?」

「……申し訳ありません。浅学の身故、その言葉の意味を存じません」

「んふふ。地球の言葉でねぇ、春の雨の事だよう。花々に早く咲くようにと急かすように降る雨の事。この星、今回の取引にはピッタリだと思わない?」

「そう、でしょうか?」

「可愛い蕾には早く咲いて欲しいんだよねぇ」

 

龍宮は軽やかに笑い、傘の下で静かに歩みを進めた。その言葉の意味を測りかねた燕心と夕染は、互いに視線を交わし、わずかに首を傾げるしかなかった。

 

 

 

      *   *   *

 

 

 

雨は絶え間なく降り続き、世界を覆うような薄靄をまとわせていた。花畑はその中で鮮烈に浮かび上がる。黄色い花々は雨に揺られながら凛として咲き誇り、滴る水が花弁に宝石のような輝きを添えていた。幻想めいた光景の中で、しかし不似合いな二つの集団が相対している。

 

一方は龍宮を中心に控える不夜城の一団。若く整った容貌の天人たちが整然と並び、艶やかな衣に身を包んで花の中に彩りを添えていた。だがその華麗さは同時に冷ややかな緊張感を孕んでいた。

 

対するのは黒衣の集団。十数人の男たちが揃って黒いチャイナ服を纏い、手には番傘を差して静かに立つ。着物の裾が雨風に翻り、その立ち姿は古き武士のように荘厳で、どこか異様な威圧感を放っていた。その列の中で一人、小柄な体躯の男が前に出る。その小ささは周囲との対比を強め、逆に群れの中心で際立つ存在感を与えていた。彼らこそが春雨が誇る武闘派、第七師団。その全員が夜兎族であった。

 

小柄な男は、茶髪の男と辮髪の男を従えて歩み出る。龍宮もまた燕心と夕染を伴い、花畑の中央へ進む。雨に濡れる花々の中で、六人の天人が対峙した。

 

口を開いたのは茶髪の夜兎だった。

 

「これはこれは、御婦人自らお出ましとは。いやはや、想像よりずっと美人だ」

「あらあらぁ、嬉しい事を言ってくれるんだねぇ」

「阿伏兎、俺達は遠路はるばる女を口説きにきた訳じゃないんだ。そういうのは後にしてくれ」

「いやいや、そんな訳無いだろう。いくらなんでも手に余る」

「貴様ら無礼だぞ!」

 

夕染の声が轟き、怒りに牙を剥いた。だが、その緊張をすり抜けるように、小柄な夜兎の視線が燕心を捉えた。

 

「へぇ? これは珍しいネ。こんな所で、こんな出会いがあるなんて」

 

その声には純粋な驚きが混ざっていた。男は燕心に歩み寄り、手を差し出す。握手を求めているように見えた。仕事の場で同族に会うのは珍しいのだろうか。理由は定かではないが、無視すれば礼を欠く。燕心は逡巡の末、手を握り返した。

 

これはどうもご丁寧に、さっさと本題に入ってくれますか?

 

そう言おうとしたのだが、その言葉が口から出ることはなかった。

 

男は骨が砕けるかと思うほど強烈な力で燕心の腕を握りしめた。次の瞬間、燕心の体は宙を舞い、土と花の世界へと叩きつけられる。だが彼は驚愕しながらも冷静さを失わず、身を翻して受け身を取り、転がりながら衝撃を逃した。無惨に踏み潰された花々が土煙と共に舞い上がり、花弁が散る中で、記憶の奥底から何かが呼び覚まされる気配があった。

 

だが今は怒りがそれを上回った。

 

「お前ッ!! いきなり何しやがる!! 何のつもりなんだよッ!!!」

「随分と楽しく暮らしてたみたいだし、一体どの程度の実力なのか試してみたくなったんだ。弱いヤツは嫌いでネ」

 

小柄な男は楽しげに笑いながら言う。挑発を含んだその声音は耳障りで、燕心の胸にさらなる火を投じた。

 

「はあ!? まずお前誰なんだよ、何様だ! 名を名乗れ無礼者ッ!」

 

燕心は荒々しく声を張り上げ、雨の中で睨み据える。

 

「名前?」

 

男は小首を傾げ、きょとりと瞬きをしたかと思うと、不意に口元を緩めた。笑みを浮かべながら顔に巻かれていた包帯をゆっくりと外す。その仕草は不気味なほど余裕に満ちていた。現れたのは予想外の幼さを持つ顔立ちだった。燕心より一つか二つ年長といった程度の少年。橙色の髪を三つ編みに束ね、青い瞳が雨に濡れ煌めく。一房だけ跳ね上がった髪が印象的で、無邪気さすら漂わせている。

 

「俺は神威。お前のお兄ちゃんだよ」

 

その言葉は、雨粒が叩きつける音の中で異様なほど鮮明に響いた。燕心は一瞬意味を理解できず、思考が空白となる。脳裏に何かが閃くような感覚が走り、同時に視界にノイズが走った。頭を内側から掻きむしられるような激しい痛みが襲う。

 

「そうかい。俺は燕心、兄なんて居ない」

 

痛みに耐えながら、燕心は低く吐き捨てるように返した。

 

「いやいや、ここにいるだろう? 薄情だなぁ。忘れちゃったの、江鷹」

「江鷹じゃない。燕心だ、間違えるな」

「……あっそ、どっちでも良いよ」

 

神威はつまらなさそうに肩をすくめ、しかし口角は吊り上がっていた。

 

燕心は頭痛を振り払うように、足元の花を無造作に踏み潰す。湿った花弁が泥に混ざり、形を失っていく。わからないことだらけだが、はっきりしているのはただひとつ。この男、神威は確かな殺意を向けてきているということ。それならば応じるしかない。殺意に殺意で答えるのみ。

 

神威は強者だ。その気配は肌で理解できた。全身全霊で挑まねば瞬く間に潰されるだろう。燕心は己の胸の奥に刻みつける。二度と無様な敗北は許されない。かつて狂った猿との戦いで味わった屈辱。その後、血の滲むような修行を重ねてきたのは、この瞬間のためでもあったのだ。

 

深く息を吸い込み、肺に冷たい雨の匂いを満たす。余計な雑念を削ぎ落とし、研ぎ澄ませば、頭にこびりついたノイズはすぐに消える。残るのは鋭利な刃物のような殺意のみ。

 

神威は面白そうに目を細め、嗤った。

 

「分かってるみたいだね、夜兎族(俺達)の居場所は戦場(此処)だって。そう、余計な物は要らないんだ。ただ強く、ただ鋭く有ればいい。夜兎はそういうもんなんだよ」

「随分とよく喋るな」

「久しぶりの再会だ、少しくらい許せよ。覚えてるか? 星海坊主はつまらない男だった。でも俺達は違うだろう? 道は違えども、不要な物を切り捨てただ強さだけを求めてきたはずだ。だったら比べようじゃないか、どちらの方が強いかを」

「上等だ! お前のその首、春雨の蛮族共に送りつけてやる!」

 

言葉と同時に二人の夜兎は雨に濡れた花畑を蹴り砕くように強く踏み込み、地面が抉れるほどの勢いで突進する。轟音と共に両者の拳が同時に振り抜かれ、互いの顔に直撃した。常人ならばその一撃だけで即死するだろう。衝撃で水滴が霧のように弾け、花びらが宙を舞った。だが神威は血を滲ませながらも笑みを浮かべている。その狂気めいた姿に、燕心は忌々しげに眉を歪め、間合いを取った。

 

「何やってんだ団長ッ!」

 

辮髪の夜兎が神威に駆け寄り、激昂した声を上げる。彼の正論は雨音を割いたが、神威は容赦なくその後頭部を鷲掴みにすると、地面に叩きつけた。泥水が弾け、土がめり込む。

 

「引っ込んでてよ。ただの兄弟喧嘩じゃないか。家庭の事情に首を突っ込む奴は馬に蹴られて死ぬらしいよ」

「微妙に間違ってるぞ団長!」

 

茶髪の夜兎、阿伏兎が呆れたようにツッコミを入れるが、神威は聞く耳を持たず再び燕心に襲いかかる。拳と拳が激しく衝突し、花畑は次第に戦場へと変わっていった。

 

「身内相手でも発動すんのかよ、あの悪い癖。あーもう、めんどくさい事になっちゃったなァ」

 

阿伏兎は額に手をやり、茶髪を乱暴にかきあげる。

 

「アンタは止めなくて良いのかい? 龍宮さんよぉ」

「ふふふ、何で止めるの? 私達にはなんの害もないんだから好きにやらせたら良いよ。ただの兄弟喧嘩なんだからねぇ」

「……アンタまさか、こうなるって分かってて連れてきたのか?」

「可愛いねぇ、んふふ。久しぶりに会えて嬉しいのかなぁ? やっぱり若い子はヤンチャなのも可愛くて良いねぇ。あの子も欲しくなっちゃうなぁ」

「かぁー、コレだからドラゴンってのは分かんねぇや。自分の大事な部下が死んだらどうすんだよ?」

「死んだらどうしようもないよ? 死人は蘇らないからね」

「そう言う意味じゃねえよ。このままじゃあ殺されちまうだろ、それで良いのかって聞いてんだよ」

「殺されちゃったらちょっとショックだなぁ、ガッカリしちゃうかも」

「じゃあさっさと止めてくれ。どんな訓練を積んだか知らないが、流石に弟じゃ兄貴にゃ勝てないだろう」

「勝てなくても別に良いよ、面白いものが見れればね。ふふ、どうなるかなぁ、燕心はどう転ぶかなぁ」

 

(これだから、人類の規格から外れた生き物は苦手なんだよなァ)

 

阿伏兎は冷ややかな視線を龍宮へ投げながら、胸中で吐き捨てる。言葉こそ通じているが、それはまるで異星の存在と会話しているに等しい。夜王鳳仙も龍宮と並ぶ怪物であったが、彼はまだ“人”を“人”として認識していた。しかし、この女にはその認識が無い。彼女の眼差しは、愛玩動物や蟻を見下ろす人間と同じものだ。理解不能の怪物、人の皮を被った龍。

 

(頼むぜ団長、上手い落とし所を見つけてくれ)

 

阿伏兎は深く息を吐き、両拳をぶつけ合い続ける“兄弟喧嘩”を祈るように見つめるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

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