テニスの試合で先輩に勝ったら粘着されたんだが   作:ガラクタ山のヌシ

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純一くんサイドです。



第4話

夕刻、近くの体育館で事務員に言えば使える運動公園のクレーコートにてラリーが行われていた。

 

別にそれ自体は珍しい事ではない。

予約が入っていなければスムーズに使用できるのだ。

 

利用者は彼ら二人以外にもちらほらいたが、平日ゆえかさほど人数はいなかった。

 

そして、そのラリーは他の利用者も思わず手を止めて息を飲み見学に回るほどハイレベルなものだった。

 

かれこれ十分は続く打ち合いに、夜神先輩はやはり強いと郡山は実感する。

 

たったの数プレイだが相変わらずサーブの角度はえげつないし、スピンのキレも良い。

 

少しでも油断をすればそれこそストレート負けしてもおかしくは無いという確信があった。

 

むしろ現役でやっていた頃よりも更に腕を上げているかもしれないと思うと、郡山の背に思わず冷や汗が流れる。

 

やはり断るべきだったか…。

しかしこれ以上断り続けるのも不自然だし、世話になった手前いつかは受けなくてはならない。

何より夜神の執念の籠った視線は郡山に何となく不穏なモノを感じさせた。

 

「さすが夜神先輩。お強いっすね」

「ははっ!なに。まだまだこれからだよ!」

 

現役時代と変わらず爽やかに微笑む夜神がサーブを打つと、再びラリーが始まる。

 

互いに時折鋭いショットが入れるが、なかなかポイントにならない。

やっとのことで点をとったかと思えば今度はあちらに取られ、何くそと取り返してもやはり追いつかれる。

その結果先輩と後輩の二人は何度もデュースを繰り返し…気がつけば一ゲームこなすのにかなりの時間を費やす事態となっていた。

 

互角…先輩である夜神月の引退後、自分では成長したと思っていた郡山はしかし、それも自惚れなのかも知れないと思うと悔しくなる。

 

相手は文武両道の王者夜神月なれど、そんな彼も今は受験生でテニスなんてしてる暇はないはずだ。

そのブランクのある先輩相手に自分が互角とは…。

 

お気に入りの赤いリストバンドで汗を拭いながら、郡山は己の努力不足を嘆くと同時に先輩の偉大さを思い知る。

そしてはたと思い至る。

もしやこれは、卒業間近の先輩からのはなむけなのかも知れないと。

自分に付き纏ってきたのも、ひとえにこれからのテニス部を頼むと言う気遣いから来るモノだったのかも…。

そう思うとグリップを握る手に力が入るのを感じる。

 

数時間に渡る打ち合いの末、たどり着いたのはタイブレークだった。

 

「まさか…あの時と同じくタイブレークとはね。僕もまだまだ動けるものだね」

 

ネット越しにやはり爽やかな笑顔でそう言うと同時にボールを丁寧に手渡す先輩をちらと見ると、その目は現役時代と変わらず闘志に燃えているのがわかる。

 

ならばこそプロプレイヤーを目指す郡山にとって、夜神は絶対に越えるべき壁であり、引導を渡す必要があると再認識するのだった。

 




試合描写って難しいですね…。
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