術式『ほのぼのにゃんにゃん』で呪術の世界を生き残る 作:藍沢カナリヤ
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特級呪霊が絡むかもしれない、しかも、生存者の確認なんて案件に、高専1年生4名を派遣する。これの無謀さは呪術師ならば誰しも理解できることだ。
つまり、今回の案件は、五条悟のことをよく思わない呪術総監部が仕組んだ、五条悟への嫌がらせである。嫌がらせに巻き込まれて死んだ私も虎杖くんも堪ったものではないが、まぁ、ひとまず生き返ったからよしとする。
それに対して、嫌がらせへの意趣返しとして、五条悟は東京校京都校の交流戦で、私と虎杖くんの生存サプライズをするという、最高に悪趣味なことを企んでいる。
………………うーん、いいね!
個人的には彼は苦手(嫌い)な人間ではあるが、この件に関しては大賛成である。思いっきり意趣返ししてやる!
と意気込んでいたんだけど……。
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「ふぇぇん、伏黒きゅんに会いたいよぉぉ……(ぽろぽろ)」
私は伏黒くん欠乏症、通称『ふしぐろす』に陥ってしまっていた。少なくとも交流戦までのこれから2ヶ月間、伏黒くんに会えないことを考えて、部屋の隅で体育座りして涙を流す私。情緒不安定の極みである。そんな私に吐き捨てる野郎が1人。
「みっともないですね、ねこさん」
「うぅぅぅぅ……」
憂憂はそう言って鼻を鳴らす。それに対して反論する余裕もない。悲しむ私を見かねて、ハンカチを差し出してくるのは、
「あまり羽々場くんを苛めるものではないよ、憂憂」
「姉様!」
「冥さぁぁん……っ」
我が師・冥さんである。せっかくの好意だ。差し出されたハンカチを受け取り、涙を拭き、鼻をかむ。余談だが、後でハンカチ代3000円を請求された。
「五条くんから君が生きていると聞いたときは驚いた。長年呪術師をしているが、まだまだ不思議なこともあるものだね。ともかく君が生きていてくれて嬉しく思うよ」
「うぅぅぅ……冥、さんっ!!」
「君から貰っている金額は毎月の投資に充てているからね。君がいてくれないと困るよ」
一気に涙が乾いてしまう。うん、まぁ、冥さんはそういう人だもんねぇ。知ってた知ってた。
今回も任務を受けられない私を匿ってくれて、任務に同行させてくれているのも、きっとどこかの誰かさんから金を掴まされているのだろうと容易に想像できるぜぇぇ。
「ねこさん」
「ん、なに、憂憂くん」
「そのハンカチを言い値で……」
「うるせぇ、これは私が貰ったんだ。羨ましがって舌噛み千切れ」
「うぎぃぃぃぃっ!!!」
「……憂憂、それには彼女の鼻水も……まぁ、いいか」
そんなやり取りをしつつ、私達はやがて目的地に辿り着く。憂憂の術式を使えばいいのにとは思うけど、まぁ、酔うよりはましか。それに目的地は思ったより近場だった。
「ここだね」
「………………うわぁ」
都内某ファミレスである。警察による規制線が張られ、さらに周りからそこが見えないように、ブルーシートで覆われている。いつもの私なら「すげぇ! ドラマで見たことあるぞ、この光景!」ってなるんだけど、今はそれどころではない。
……って、いやぁ、まさかね。そんなことないよねぇ?
「報道ではこのファミレスのキッチンから発火。火の周りが早く、その場にいた従業員、客が1名を除いて焼け死んだと報道されているようです」
「表向きは、だろう」
「はい。実際は焼け死んだ被害者たちからは呪力の残穢が見られたそうですよ」
「そうなると、呪詛師もしくは呪霊の仕業で間違いないね」
状況説明ありがとうございます。おかげで十中八九『それ』だと理解できました。
そうだ、ここはまさしく原作で特級呪霊『漏瑚』が人間を焼き殺したファミレスであった。
「………………」
「羽々場くん、どうしたんだい? 顔色が悪いようだけれど」
「あ、えっと……今回の任務って、ここの調査ってことですか?」
ただの調査だけなら問題はない。そう思って聞いたんだけど。
「ん? 調査は調査だが、ここの人間を焼殺した呪詛師か呪霊を祓うことだね」
「わ、ワァ……」
ですよねぇ……。まぁまぁ、冷静になれ、羽々場ねこ。これは原作にもあった出来事だ。原作でこの場所に関する描写がないということは、きっと調査は途中で断念することになるのだろう。気分が悪くなるほどの残穢の濃さや肉が焼けた臭いに反して、ここから外に続く痕跡らしい痕跡が見当たらない。恐らくその辺の工作は、偽夏油の仕業なんだろうけど。
「事件が起こって数日が経っているにも関わらず、この呪力の濃さ……なるほど、私が呼ばれるのも納得だ」
「少なく見積もって1級以上でしょうか、姉様」
「……あぁ、そうだろうね。下手をすると……。前の任務といい、最近、高い等級の呪霊の発生が多い。稼ぐにはいいが、割に合わない働きはしたくないものだよ」
「まったくその通りです!」
「…………」
「ん? どうかしたかい、羽々場くん」
少年院での一件が終わった時期……恐らくそろそろ特級呪霊が動き出す頃だ。
「……早く強くならなきゃだ」
ポツリと呟く。私は特級の中でも最下級である少年院の『虫』相手にも苦戦を強いられた。それでは10月31日、ハロウィンに起こる『渋谷事変』で生き残れない。しかも、渋谷では伏黒くんが一回仮ではあるけど、死んでしまう。それだけは回避しなきゃ!
そう、そのために……って、そうだ!
「冥さん」
「ん? なんだい?」
「今回私、自分の術式と向き合えって、担任の先生に言われて、この任務に就いたんですけど、何かあの人から聞いてますか?」
今回の任務を重めの任務、と五条悟は宣っていたはずだ。私を冥さんに預けたのは、私の生存を隠すためだろうけど、調査任務をあの男が重いなんて評するわけがない。五条悟は、呪術初心者の虎杖くんに、作中最強格である特級呪霊『漏瑚』を倒せるくらい強くなってほしいなんて無茶を言う男である。勿論、この調査任務が空振りになるであろうことを見通せなかっただけかもしれないけれど。
そんな私の疑問に、冥さんは答えてくれる。
「五条くんからは……そうだね、この任務後に2つ、依頼されてはいるよ。中々いい金額だから嬉しい限りだったよ」
冥さんの守銭奴ぶりは予想通りではあったが……。
「2つ?」
「あぁ。1つはもう一度稽古をつけること。特に『黒閃』を撃てるレベルに至るまでね」
「……『黒閃』」
理論上はどの術師でも撃てる技『黒閃』。
打撃と呪力が0.0001秒以内で衝突した際に発生する呪力の黒い稲妻。普通の打撃の2.5乗の威力を誇る。ゲーム的な表現だと、クリティカル攻撃である。その本質は威力よりも呪術師のレベルアップだろう。『黒閃』経験者とそうでない者では、呪力の核心からの距離が段違いだと言う。
それを私に会得させようというのが、五条悟の計画か。妥当ではある。同じ体術メインの術師でも、虎杖くんより呪術に慣れている私を1つ上のステージに立たせるならば、『黒閃』を経験させるに超したことはない。だが、それは術式と向き合うことにはならない。つまり、もう1つはーー
「もう1つの依頼、それは君の曖昧な『記憶』を取り戻す」
転生する以前の『羽々場ねこ』の記憶が私にはない。術式は基本的に先天的に刻まれるもので、それが発現する時期の記憶・経験は呪術的にも重要であると言われてる。それを思い出せってことか。理には叶っているね。その辺は流石、先生ってところか。
「……姉様、記録取り終わりました」
「うん、ありがとう、憂憂」
冥さんと話しているうちに、どうやら憂憂はファミレスの調査を粗方終えたようだった。それを受け、冥さんは追跡は難しいようだ、とファミレスの出口へ足を向ける。そして、憂憂に移動の準備をするように伝えて。
「どこに行くんですか?」
「ん? ここでは手合わせも儘ならないからね。周りに被害のない場所に移動しようじゃないか」
「だ、だから、どこにーー」
「行きますよ、姉様」
「ちょ、憂憂っ、待て心の準備ってものがぁぁ!?」
ーーバシュンーー
ーーーー????ーーーー
「おろろろろろろ……」
「おっと」
「うわっ、汚いですよ! 姉様にかかったらどうするつもりですかっ!?」
急に移動したもんだから、もろに移動酔いし、吐く私。冥さんは軽く避け、憂憂は憤る。心配してくれる人はいなかった。吐きながらも、公共の場所だったら申し訳ないという私の常識心が発揮されたのだが、それは杞憂に終わった。うっすらとではあるが、見覚えがあるこの場所はーー
「…………私の、村?」
■県旧■村。
呪詛師によって村民が皆殺しにされた『羽々場ねこ』の故郷であった。
「冥さん、なんで今さらここに……?」
「ここなら心置きなく戦えるだろう。被害額を気にする建物もないしね」
「そ、そういう意味じゃ……」
「…………もう1つの理由は後から語ろうか」
ーーゾワッーー
「っ」
そんなつもりはなかったのに、体が勝手に戦闘態勢に入る。夏油傑による遺産と戦った時や少年院の『虫』と戦った時と変わらない。体が警告している。気を引き締めろと。
「加減は……しないよ」
改めて感じる『1級呪術師』の圧力。彼女の視線、体捌き、構えた斧。すべてから目を離すな、私。目を離せばーー
ーーブンッーー
「っ、あぶなっ!?」
ーーバッーー
ーー死ぬぞ。
「よく避けたね。さぁ、次だ」
「ッス」
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修行パート(冥冥vsねこ)、描写は……?
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いる
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いらん