術式『ほのぼのにゃんにゃん』で呪術の世界を生き残る 作:藍沢カナリヤ
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『天元』様による特訓は割愛させてもらおう。
決して面白い特訓ではなかったことは明言しておく……だって、結局、毎日『結界術』の練習をクーラーついた部屋でしてただけだし。あ、土産物は2人で美味しく食べました。
ともかくだ。この1ヶ月間の特訓を経て、私は遂に高専の皆と合流できることになった。
そう、京都の姉妹校との交流戦の時がやってきたのである。
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「はい、これね」
そう言った五条悟が運んできたのは、巨大な箱2つ。漫画で見た覚えのある箱であった。
「五条先生、これは?」
「ん? 前に言ったでしょ、サプライズだよサプライズ。これに入ってばばーんと登場しよう!」
「おー! いいね! えー、どうしよう、なんて言って登場したらいいかなぁ」
「そうだなぁ、おっぱっぴー! とかどうよ?」
下らないことを相談する2人をボーッと見ながら考える。この後のことだ。きっと私もこれに入るように言われる。まぁ、それはいいとしよう。抵抗できるとも思えないし。問題はその後の白けまくった空気に私が耐えられるか、だ。なにより伏黒くんに白い目で見られたくはない。ならば、私はおっぱっぴーをせずに、自然に箱から出ていく。そして、ちゃんと生きていたのに黙っていたことを謝ろう。
……うん、そうしよう。そうすればきっと穏やかに笑い合えるはずだ。
ーーーー1時間後ーーーー
「故人の虎杖悠仁くんと羽々場ねこちゃんでぇ~っす!」
「はい、おっぱっーー」
「ふしぐろきゅぅぅぅんっ♡♡♡」
箱から飛び出すと同時に、私は彼めがけて跳ぶ。呪力で強化した脚力での跳びつきだ。その上、不意を突かれたのだ。避けられるはずもない。そんな私が狙うは唇1択である。自分を好いていた、死んだと思っていた女の口づけだ。なんやかんや感動とかなんかで、唇を奪い(舌も入れよう)、味わい尽くしてから、その罪を有耶無耶にしてやるっ!!
「なっ!? くっ、『玉犬』っ!」
「あまいッ!!」
俊敏性に優れた『玉犬』を呼び出した伏黒くん。咄嗟にその選択ができるとは、流石は我が推し。だけど、ワンテンポ遅れたね。その一瞬で、私は彼の首の後ろに腕を絡ませられる。私の方が速い! これは獲れるッ!!
「もらったァァァ!!!」
「はーい、ストップストップ~」
そう言って、私と伏黒くんの間に割り込んできたのは、五条悟である。無下限呪術バリアーのせいで、私の体に触れることなく、止めやがった。くそがァァ!?!?
「がるるるるるっ、離せ! 伏黒きゅんの唇を奪わせろ。フシグロキュゥゥゥンッ!!」
「えぇと……硝子~、麻酔とか持ってな~い?」
「俺の登場、台無しじゃーん……」
数分後、私はどうにか落ち着いた。いやぁ、失敗失敗。冷静に誠実に謝るつもりだったん炊けどなぁ。でも、久しぶりに推しの顔を見たんだ。ああなっちゃうのも、仕方がないよねぇ?
「…………」
「 ´・ω・` 」
『私達は悪趣味な人間です』
……まぁ、そんで今に至る。
「あのぉ~、これは……見方によってはとてもハードなイジメなのでは……?」
「うるせぇ、しばらくそうしてろ」
その後、遺影フレームを2人で掲げながら、各々自己紹介をする。
私と虎杖くんは正座をしながら、その他の人は思い思いに座って、交流戦1日目、団体戦についての話を進める。急遽メンバーが追加されたことで、動きを変えようかという話も出ていたが、虎杖くんのスペックを伏黒くんが口にしたことで、話がまとまったようだ。
「それで? お前は何ができるんだ?」
「え、あっ、私は交流戦出ませんよ」
「そうなの?」
そうなのって虎杖くんは五条先生から聞いてたでしょうに。向こうは6人で、こっちも虎杖くんを含めて6人。人数の差を考えると、私は必然的に余り物になってしまう。というより、私自身が辞退したのだ。そもそも私はこの団体戦で何かをしようというつもりもない。この勝敗で『伏黒くんの生死』に関わることはないし。それよりも、『有事』の時に動けるようにした方がいいからね。
そうこうしている間に、話は進みーー
「勝つぞ」
「がんばれ~!!」
姉妹校交流戦1日目、団体戦が始まった。
ーーーーモニター室ーーーー
つつがなく試合は進む。
虎杖くんVS東堂葵。パンダ先輩VS究極メカ丸。野薔薇ちゃんVS西宮桃。伏黒くんVS加茂憲紀。原作通りの展開で進んでいく。
その中の真希先輩VS三輪霞の試合を見ながら、私の隣に座る冥さんが口を開いた。
「フフフ、面白い子じゃないか。うちの
「僕もそう思ってるんだけどねぇ」
禪院家が邪魔しているようだと五条悟は続ける。金以外のしがらみは理解できないと言う冥さん。それに付随するように、五条悟は虎杖くん周りのカメラが切れることを指摘していた。さらに、どっちの味方だと彼女に訊ねる五条悟。当然、冥さんは……。
「どっち? 私は金の味方だよ。金に換えられないモノに価値はないからね。なにせ金に換えられないんだから」
まぁ、こういう人ですからねぇ。
冥さんは金によって動く。だから、五条悟からの依頼で私に修行もつけるし、虎杖くんの暗殺を隠蔽しようともする。良くも悪くも金次第である。
「そういう割には、ねこのこと、ちゃんと育ててるじゃないか」
「!」
「…………まぁ、この子は大事だからね」
「!!!」
そんな五条悟からの突っ込みに、冥さんは私が大事だと言ってくれた。そ、そうだよねぇ! 金だ金だ言いつつも、私のことは弟子と認めてはくれているし、そんな弟子にはちゃんと愛情をもって接してくれてるんだ!!
「冥さんっ! 私のことーー」
「そりゃあ彼女の給料から投資してる株が最近上がっているからね。彼女は大事な金のなる木だよ」
「………………」
「ん? どうしたのかな、羽々場くん?」
「なんでもないですぅぅ……」
悪びれずにそう言うもんだから、開いた口が塞がらなかった。
うん。今日、寮に帰ったら泣こう。
そんなやり取りをしている間も試合は進む……って、そうだ! 今、伏黒くんはどうしてる!? っておい! もう校舎の中に入ってるじゃんっ!!
「ヤベっ!」
「ん? どうかした?」
「え、あっ、いやぁ……」
いきなり音を立てて立ち上がった私を怪訝に思ったようで、常識人・庵歌姫がそう訊ねてきた。うーむ、どう答えたものか。これから特級呪霊が襲撃しに来るので、助けに行きます、なんて答えるわけにもいかないしなぁ。
そう考えていると、
「彼女はそういう子なんだ。たまに妙なことをし出す。気にしないでやってくれ」
「冥さんがそう言うなら……」
冥さんが助け船を出してくれた。グッジョブ、師匠! それじゃあ私の目的を果たしに行動開始だ。
「いってきま~す!!」
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